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前回に続き、資産運用に必要な計算の方法をご紹介します。
今回は、一生懸命貯めた老後資金を取り崩していく場合の計算です。
見出し
貯めた資産、これから毎年いくらずつ受け取れる?
例えば老後資金として1000万円貯めました。これからも年利2.0%(1年複利)で運用しながら取り崩す(おろしていく)場合、毎年、いくらもらえる? 年金みたいなものですね。
現時点での資産額P円、年利をr%、これからn年かけて取り崩すとすれば、毎年受け取れる金額Wは
W = P x r x (1+r)n / {(1+r)n -1} (式15) *詳しくは本記事最後の備考欄参照
下線部の係数を資本回収係数と言います。
またはEXCELのPMT関数を使うと、
W = PMT(r, n, -P, 0) (式16)
Pの前にはマイナスをつけます。
この計算、実は
Pが借入額、rがローン金利、nは返済年、Wが毎年の返済額と考えると、
ローンの返済額の計算にもなります。
尚、上記計算 式15,16は、毎年期末におろしていった(年金を受取った)場合です。
期首におろす(受取る)場合は、
W = P x r x (1+r)n / [(1+r) x {(1+r)n -1}] (式17)
または、
W = PMT(r, n, -P, 0, 1) (式18)
となります。
ある年金額をもらうためには、いくら貯める必要があるの?
例えば毎年100万円、10年間の私的年金が欲しい、その為には、いくら貯めておく必要があるの? 老後の資金計画に必要な計算ですね。
毎年受取る年金をW, 年利をr%、これからn年かけて取り崩すとすれば、現時点で必要な元本Pは、
P = W x {(1+r)n -1} / {r x (1+r)n } (式19)
下線部の係数を年金現価係数と言います。資本回収係数(式15)の逆数ですね。
あるいは、EXCEL PV関数を使い、
P = PV(r, n, -W) (式20)
となります。
この計算もローンの場合にも使え、毎年の返済額をW円とした場合の借入可能総額となります。
尚、式19,20とも、期末に年金を受け取る時の計算です。
期首に受取る場合には、
P = W x (1+r) x {(1+r)n -1} / {r x (1+r)n } (式21)
P = PV(r, n, -W, 0, 1) (式22)
となります。
将来貯めたい金額、決まった元本(積立額)、年利いくらで運用すれば良いの?
あるいは、元本、積立額、将来の受取額がわかっている金融商品、この商品の利率っていくら? って場合も同じです。
ここでは、すべてEXCELのRATE関数を使います。
EXCELのヘルプによると
RATE(期間, 定期支払額, 現在価値, [将来価値], [支払期日], [推定値])
[]は省略可能
元本P、n年後の受取額F、利率はいくら?
年利r = RATE(n, 0, -P, F) (式23)
毎年の積立額T、n年後の受取額F、利率はいくら?
年利r = RATE(n, -T, 0, F) (式24)
毎月の積立の場合、*Tは年間の積立額です。
月利 = RATE(n x 12, -T/12, 0, F) (式25)
年利になおすには、
(1) 月利 x 12 : 単利
(2) (1+月利)12 -1 : 複利
のどちらかで計算してください。
元本P、n年間受け取れる年金W、利率はいくら?
年利r = RATE(n, -W, P) (式26)
最後に
2回にわたって説明しました各種計算方法、いかがでしたか? 普段、EXCELを使いこなしている方には簡単だと思います。そうでなない方も、是非、ご自分で実際に使って計算してみてください。資産運用のお役に立てるかと思います。
*2016.7.22 第3回としてIRR関数、XIRR関数の記事を追加しました。
本シリーズは3回に分けて記事にしてあります。
第1回資産運用に役立つ計算をしよう(1) ~いくら積立てたら良いの?~
第2回(本記事)資産運用に役立つ計算をしよう(2) ~いくら受取れる?~
第3回資産運用に役立つ計算をしよう(3) ~毎月、異なる金額の投資を行った場合の利率~
備考 (式15の説明)
現時点での資産額P円、年利をr%、これからn年かけて取り崩すとすれば、毎年受け取れる金額Wは
1年目の残金 P x (1+r) - W
2年目の残金 {P x (1+r) - W)} x (1+r) - W = P x (1+r)2 - W x (1+r) -W
3年目の残金 P x (1+r)3 - W x (1+r)2 - W x (1+r) - W
n年目の残金 P x (1+r)n - W x (1+r)n-1 - W x (1+r)n-2 - W x (1+r)0
n
= P x (1+r)n -Σ W(1+r)k-1
K=1
前回の記事の備考で示した等比級数の公式を使って
= P x (1+r)n + W x {1-(1+r)n)} / r
n年目の残金が0なので、 W = P x r x (1+r)n / {(1+r)n -1}
式15になります。