インデックスファンドの信託報酬が低コスト化した今でも海外ETFへのリレー投資は有効か?[海外株式]

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[最終更新日 2017.7.7] 海外ETFの投資国、米国、日本の3重課税をも考慮し再計算しました。

低コストが魅力のETF、海外株式においてもバンガードVTなど人気があります。

一方で、ETFは必ず分配金を出し、そこで課税されてしまうというデメリットもあります。

従来、インデックスファンドで積立し、資産額が大きくなった時点で、より低コストの海外ETFに乗り換えるリレー投資が有効とされていました。

(海外ETFの場合、売買手数料が高いため少額の積立には向いていません。海外ETFなら、まとまった資金で購入するのが一般的です。)

ここ数年、インデックスファンドの低コスト化も大きく進んでいます。

このように低コスト化が進んだ今でも海外ETFへのリレー投資が有効なのでしょうか? 実際に計算し、比較してみました。

尚、国内株式については↓の記事で調査しており、若干ですがETFの方が有利という結論になりました。(勿論、リターンや配当利回りにも依存します)

参考記事国内株式(TOPIX)、信託報酬低コスト化の中でもETFのメリットはあるのか?

今回は、海外株式で調査します。

尚、海外ETFと一括りにしていますが、本記事で対象としているのは、米国ETF、しかも米国株式のみでなく米国以外にも投資しているETF、具体的にはVTを想定し、およそ米国50%、米国以外50%のケースを想定しています。対象国により配当課税の計算が変わります

(注)本記事で、インデックスファンド、あるいはファンドといった場合は、ETFではない、非上場の投資信託の事を意味します。

インデックスファンド、海外ETFの課税のまとめ

インデックスファンド

*インデックスファンドは分配金を出さないという前提で話を進めます。

海外株式に投資するインデックスファンドは、保有する株式から配当が出た場合、その配当金は海外で源泉徴収された後、ファンド内で再投資されます。先進国株式インデックスファンドの場合、多くの国の株式に投資し、それぞれの国で課税され、税率も異なりますが、ここでは、米国の10%一律とします。

下記記事によると、MSCIコクサイの場合、現地国課税は概ね10%とありますので、そう大きな誤差にはならないでしょう。
K-ZONE money : 投信フォーカス 取り戻せない「海外源泉徴収税」の実態を知る – 注目の投信 – 投資信託

(注)国内株式のインデックスファンドでは、配当金が出てもファンド内では課税されず、それを分配金として出した場合、あるいは売却した場合にまとめて課税されます。

インデックスファンドを売却した場合は、その売却益に対して20.315%が国内でのみ課税されます。

海外ETF

ETFの場合(ここでは米国ETFとします)配当金を必ず分配金として出します。

その配当・分配金には、米国株式の場合、米国で10%で、国内で20.315%課税されます。

さらに、米国以外の株式には、その現地国で源泉徴収された後、米国10%、国内20.315%の3重課税となります。(たわら男爵さんより指摘して頂きました)

現地国課税の税率も国により異なりますが、ここでは10%と仮定します。即ち、米国以外の株式だと、1 – 0.9 x 0.9 = 19%が海外で課税され、その後、国内20.315%の課税となるわけです。

VTの場合、概ね米国が50%を占めますので、米国を含む海外課税合計は、 
10% x 0.5 + 19% x 0.5 = 14.5%で計算します。

(注)米国で課税される10%は確定申告の外国税額控除を申請すれば一部還付されます(NISAを除く)。

ETFの売却時には、その売却益に対して、国内でのみ20.315%が課税されます。(米国での課税は無)

課税の違いのまとめ

以上の課税に関する情報を表にまとめます。尚、課税口座に加え非課税口座(NISA)の場合も、同時に記載します。

*国内課税は20.315%を20%として表記しています。

  無分配
インデックスファンド
海外ETF
  課税口座 NISA 課税口座 NISA
現地国課税 10%(*1)課税後
再投資
10%課税(*1)
米国配当課税 10%課税
海外配当課税合計 10%課税後再投資 VTの場合、約14.5%
国内配当課税 (*2) 20%課税
売却時課税 国内20%  国内20%

(*1)計算上、あくまでも仮定した税率であり、実際の税率とは異なる場合があります。
(*2)インデックスファンドの場合、配当を出さないと仮定してますので、国内配当課税は無しですが、最終的には譲渡益として課税されますので、正確には非課税ではなく税の繰延べです。

インデックスファンドと海外ETFのリターン、どちらが得か?

さて、本題のインデクッスファンド海外ETFのリターンの違いを計算してみます。

計算の前提条件、方法

インデックスファンド海外ETFにそれぞれ100万円を一括投資し、その後のリターンを調査します。

ここで、元本P円、配当込のリターンをR%、配当(=ETFの分配金)をH%、信託報酬・実質コストをS%とし、下記のように計算します。

インデックスファンド

1年後

総資産 T1 = P x  (1 + R – S – H x 10%)

そして、これを売却すると、

売却後の資産総額は、T1 –  (T1 – P) x 20.315%

2年後

同様に

T2 = T1 x  (1 + R – S – H x 10%)

 売却後の資産総額は、T2 –  (T2 – P) x 20.315%

と順次計算していきます。

NISAの場合は、20.315%が全て0となります。

海外EFT

分配金は年に1回と仮定します。

1年後

総資産 T1 = P x  (1 + R – S – H)  
受取分配金 U1は、P x H x (1 – 10%) x (1 – 20.315%)

そして、これを売却すると、

売却後の資産総額は、T1 –  (T1 – P) x 20.315% + U1

2年後

1年経過後、受取った税引き後分配金を全額再投資するとして、

2年後の総資産額T2は

T2 = (T1 + U1) x (1 + R – S – H)  
受取分配金 U2は、(T1 + U1) x H x (1 – 10%) x (1 – 20.315%)

そして、これを売却すると、

売却後の資産総額は、T2 –  (T2 – P – U1) x 20.315% + U2

と順次計算してきます。

尚、NISA口座の場合は、上記20.315%を全て0で計算します。

売買手数料

実際の計算では最初の投資時、及び売却時に売買手数料をも考慮し、SBI証券の$21.6(上限)、日本円換算で2,376円を入れています。(但し、NISAの場合は、購入時手数料無としています)

但し、再投資時の売買手数料は考慮していません。

信託報酬・実質コスト

インデックスファンドは、実質コスト0.28%、0.60%の2通り(0.28%はたわらノーロード先進国株式の実質コストです)、

ETFは、VTの0.11%としました。

尚、先進国株式インデックスファンドVTでは投資対象が異なりますが、ここでは、実質コストの違いと、分配金課税後再投資の影響を調べるのが目的ですので、投資対象国の違いは無視します。

外国税額控除

前述のように米国課税10%は、確定申告で外国税額控除を申請すれば一部が還付されます。

そこで、この外国税額控除を適用しない場合、適用する場合の両方について計算します。

適用する場合、必ずしも全額が還付される訳ではありませんので、半分が還付されると仮定して、米国課税を5%として計算します。その場合の、VTの海外課税合計は9.75%となります。

計算結果

10年後に売却するとして、それまでの年率換算利回りで比較します。

10年後の時価評価だと、配当・分配金相当の国内課税を繰延べしたファンドにとって有利な比較になってしまいますので、あくまで10年後に売却し、そこでの譲渡益に対する課税を考慮しています。

配当込リターン 年率5%、 配当利回り 2%の場合

実質コストが0.28%のファンド1,0.60%のファンド2、そして0.11%の海外ETF、さらに最右列には、外国税額控除で半分を取り戻せるとして米国課税を10%から5%に減らした場合の計算結果も示します。

  ファンド1 ファンド2 海外ETF
 実質コスト  0.28%  0.60%  0.11%
外国税額控除 非適用 半分還付
課税口座
10年利回り(年率) 3.74% 3.46% 3.69% 3.77%
非課税口座(NISA)
 10年利回り(年率)  4.52% 4.20%  4.58% 

課税口座では、実質コスト0.28%のファンド1の年率リターン、海外ETF(外国税額控除無)より大きくなっています。

外国税額控除を使うと(半分還付)、ようやくファンド1より高い利回りとなりますが、その差は僅かです。

さすがに実質コスト0.60%と高いファンド2では、海外ETFの方が大きく勝っています。

非課税口座(NISA)だと、配当・分配金に対する国内課税が無くなりますので、実質コストの差から、ETFの3重課税(NISAだと国内がないので2重課税)、及び売却手数料分が引かれても、まだ海外ETFが有利です。

尚、今回の計算では、為替手数料は考慮していません。

そうすると、課税口座でかつ外国税額控除を受けない・受けられない方は、低コストのインデックスファンドに投資すれば十分、もはや手間をかけてまで海外ETFを選択する意味はない、と言えるでしょう。

配当込リターン 年率5%、 配当利回り 3.0%の場合

  ファンド1 ファンド2 海外ETF
 実質コスト  0.28%  0.60%  0.11%
外国税額控除 非適用 半分還付
課税口座
10年利回り(年率) 3.65% 3.38% 3.55% 3.66%
非課税口座(NISA)
 10年利回り(年率)  4.42% 4.10%  4.44% 
  
先の計算より、配当利回りを大きくして計算してみました。(3%はちょっと難しいかもしれませんが傾向を見るためです)
 
このように配当利回りが大きくなると、さらにファンドが有利になり、もはや、外国税額控除、非課税口座でも、殆ど差がなくなります。

結果は示しませんが、逆に配当利回りが低くなると、今度は海外ETFの方が有利になります。

まとめ

[冒頭でも書きましたが、海外ETFとは、米国50%、米国以外50%に投資するケースを想定しています]

以上、インデックスファンド海外ETFの差を見てきましたが、インデックスファンドの低コスト化が進んだ今、(課税口座で)海外ETFにリレー投資するメリットは、為替手数料や手間も考えると、殆ど無いと言っても良いでしょう。

但し、外国税額控除を使える方や、非課税口座(NISA)を利用する場合は、よりコストの安い海外ETFにリレーする意味が出てきます(その差は縮まってきていますが)勿論、NISAでは投資額が限られてしまいます。

そして、今回は、ETFの配当金を全額再投資するという前提で計算しましたが、実際は、僅かな配当金で海外ETFを購入するのは手数料負けしてしまいますので、最近始まった100円からの投資信託購入サービスを利用して、再投資はインデックスファンドというのが現実的かと思います。(だけど、ここでまた為替手数料が・・・)

勿論、海外ETFには、豊富なバリエーションなど、その魅力はコストだけではありません。また、逆に分配金が欲しいという方もいるでしょう。そういう方は、外国税額控除や非課税口座を使って、うまく海外ETFに投資する事をお勧めします。

尚、本記事の趣旨は、決して海外ETFへの投資を否定するものではありません

特に、海外ETFに初めて投資されようという方に対して、安易にコストの違いだけに注目するのではなく、その課税制度までをも理解する必要がある、それを考えるきっかけにこの記事がなれば幸いです。(といいつつ、自分が一番勉強になりました。)

そしてもう一つは、日本のインデックスファンドも頑張っているぞ!と。

次回は、もっと踏み込んで、投資対象国を分類したうえで国内インデックスファンドと海外ETFの比較を行っていきます。↓の記事を見て下さい。
参考記事国内インデックスファンド vs. 海外ETF(米国籍ETF) お得なのはどちら?

[注意] インデックスファンド、海外ETFとも多くの国に投資しており、その配当に対する課税は複雑です。あくまで概算の見積もりである事をご承知おきください。
また、私の認識違いなどありましたら、是非、ページ下部のコメント欄でご指摘ください。

参考にさせて頂いたサイト

K-ZONE money : 投信フォーカス 取り戻せない「海外源泉徴収税」の実態を知る – 注目の投信 – 投資信託

Rockyさん インデックス・ドライバー :米国ETFの配当課税ロスに関する疑問

たわら男爵さん 40代でアーリーリタイアしたおっさんがたわら先進国株でベンツを買うブログ :  投資信託とETFの課税関係

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