りそなアセットマネジメントが運用する低コストのインデックスファンド「Smart-i」シリーズ。
2017年8月29日に設定され、設定当初は全てのアセットクラスで信託報酬最安値と注目されましたが、その後、販売会社がなかなか決まらなかった事、eMAXIS Slimをはじめ、他社が次々と信託報酬引下げを行った事などから、すっかり影が薄い存在となってしまいました。
しかし、依然、Jリート(国内リート)、先進国リートに関しては、他社に大きな差をつけて信託報酬最安値の座を維持しています。
そこで、今回は、Smart-i Jリートインデックスについて、資金流出入額、運用状況を調査します。
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見出し
Smart Jリートインデックス
信託報酬、純資産総額を他社の低コスト国内リートインデックスファンドと比較
東証REIT指数をベンチマークとする低コスト国内リートインデックスファンドの信託報酬・純資産総額を比較します。
*信託報酬・実質コストは税込み
*純資産総額は2018年4月11日時点
*マザーファンド純資産総額はファンドにより最大1年の時期のずれがあります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | ファンド 純資産総額 (億円) |
マザーファンド 純資産総額 (億円) |
Smart-i Jリート インデックス |
0.1836% | (決算前) | 1.22 | 38.7 |
たわらノーロード 国内リート |
0.2700% | 0.274% | 20.40 | 292.8 |
<購入・換金手数料なし> ニッセイ Jリート インデックス |
0.2700% | 0.275% | 86.71 | 145.7 |
三井住友・DC 日本リート インデックス |
0.2808% | 0.283% | 4.69 | 144.9 |
iFree J-REIT インデックス |
0.3132% | 0.319% | 3.16 | 2401.1 |
Smart-i Jリートインデックスは他社に0.1%近い差をつけて、信託報酬最安値のファンドとなっています。
ただ、ファンド純資産総額、マザーファンド純資産総額は、他社よりかなり小さくなっています。
*インデックスファンドの信託報酬・実質コスト・純資産総額の詳細は↓を参照して下さい。
資金流出入額
2018年1~3月の概算の月次資金流出入額(*)、及び3カ月間の合計を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、例えば2018年3月であれば、
(2018年3月末時点の純資産総額) - (2018年2月末時点の純資産総額) x (1カ月間騰落率+1)で定義
ファンド | 1月~3月 合計 |
3月 | 2月 | 1月 |
たわらノーロード 国内リート |
1.25 | 0.68 | 0.54 | 0.03 |
Smart-i Jリート インデックス |
0.81 | 0.18 | 0.10 | 0.52 |
三井住友・DC 日本リート インデックスファンド |
0.54 | 0.27 | 0.25 | 0.01 |
iFree J-REIT インデックス |
0.09 | -0.07 | 0.05 | 0.11 |
<購入・換金手数料なし> ニッセイJリート インデックスファンド |
-1.43 | 1.20 | -1.02 | -1.62 |
野村 インデックスファンド ・J-REIT |
-2.97 | 0.20 | -0.30 | -2.88 |
SMT J-REIT インデックス・オープン |
-5.76 | 0.82 | 0.25 | -6.83 |
eMAXIS 国内リートインデックス |
-6.52 | -0.80 | -0.61 | -5.11 |
投資額が少ない国内リートクラスですが、その中でSmart-iは2018年1~3月トータルで、たわらノーロードに次ぐ2位と健闘しています。
ただ、2018年1月に多額の資金流入があった影響が大きく、2月、3月それぞれで見ると、4位、6位とあまり振いません。
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運用状況(ベンチマークとの乖離)
ベンチマークとの乖離が小さい運用がなされているかを確認します。
評価方法
各月の月末時点の3カ月騰落率と実質コストの関係を見ていきます。Smart-iは実質コストが未だ分かりませんので、信託報酬でプロットします。
*国内リートの場合、1カ月騰落率だと綺麗な相関を示さない事が多いため3カ月騰落率を見ていきます。
近似的には、各ファンドの騰落率は、
ファンド騰落率=(1 + ベンチマーク騰落率) x 実質コスト + ベンチマーク騰落率
の直線関係にあります。
この直線からのズレがベンチマークとの乖離となります。
国内リートの場合、ベンチマークは東証REIT指数(配当込)で、配当が出てもファンド段階では課税されませんので、実質コスト0の時が、ベンチマークの値そのものとなります。
*尚、データ数を増やすため東証REIT指数との連動を目指すETF(1343,1488)もプロットしてあります。
2018年1月末日時点の乖離
2018年1月末日時点の3カ月騰落率と実質コストの関係です。
上記手法で求めたSmart-iのベンチマークとの乖離は-0.14%となります。まだまだ大きな乖離です。
尚、<購入・換金手数料なし>ニッセイや三井住友・DCは、Smart-i以上に大きなマイナス乖離を起こしている事がわかります。また、Funds-iやeMAXISはプラス側の乖離が見えます。
2018年2月末日時点の乖離
2018年2月末日時点の3カ月騰落率と実質コストの関係です。
上記手法で求めたSmart-iのベンチマークとの乖離は-0.04%となります。1月に比較してかなり小さくなりました。
2018年3月末日時点の乖離
2018年3月末日時点の3カ月騰落率と実質コストの関係です。
上記手法で求めたSmart-iのベンチマークとの乖離は-0.02%となります。
十分小さくなってきています。
Smart-i Jリートインデックスのベンチマークとの乖離のまとめ
Smart-i Jリートインデックスの(3カ月騰落率から見た)ベンチマークとの乖離をまとめると下表のようになります。
*グラフは示しませんでしたが、2017年11月、12月の乖離も調査してあります。
ベンチマークとの乖離 | |
2017年11月 | -0.125% |
2017年12月 | -0.137% |
2018年1月 | -0.142% |
2018年2月 | -0.038% |
2018年3月 | -0.019% |
2017年までは大きな乖離を示していたSmart-i Jリートインデックスですが、2018年に入り乖離が徐々に小さくなり、2018年3月末時点の3カ月騰落率での乖離は-0.019%。
Smart-iは実質コストではなく信託報酬で計算している事、及び、国内リートの場合、他のファンドもSmart-i以上の乖離を起こしている事なども考慮すると、Smart-iはベンチマークとの乖離が少ない安定した運用になってきたと言って良いでしょう。
まとめ
国内リート・クラスで信託報酬最低水準のSmart-i Jリートインデックス、当初大きかったベンチマークとの乖離も、漸く他のファンドと同等レベルに落ち着いてきました。
まだファンド、及びマザーファンドの純資産総額が小さいという懸念はありますが、国内リートのインデックスファンドとして、有力な選択肢の一つとなるでしょう。
Smart-i Jリートインデックスが購入できるのは、SBI証券 、楽天証券 、マネックス証券
の3社のみです(2018.4.12時点)。
もっと販売会社が増え、純資産総額も大きくなれば、さらに安心して投資できるようになるのですが・・・