三井住友DSアセットマネジメント(*)が運用し、アクティブファンドながらノーロード、そしてインデックスファンド並みに信託報酬を抑えたひとくふう・シリーズの一つで、国内の株式に投資するひとくふう日本株式ファンド、そのパフォーマンスを、本ファンドの参考指数にもなっているJPX日経インデックス400、およびTOPIX、日経平均株価との比較を中心に評価します。
(*)設定時は大和住銀投資顧問が運用、その後三井住友アセットマネジメントと2019.4に合併し現社名に変更。
[最終更新日:2021.5.24]最新の情報に更新。
本記事は原則2021年4月末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
ひとくふう日本株式ファンドの基本情報
先ず、ひとくふう日本株式ファンドの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三井住友DSアセットマネジメント |
設定日 | 2016年3月4日 |
信託期間 | 無期限 |
運用形態 | アクティブファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 無 |
参考指数 | JPX日経インデックス400(配当込) |
購入時手数料 | 無(ノーロード) |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.275% |
実質コスト | 0.335%(2021.3.3決算時点) |
純資産総額 | 1.22億円(2021.5.24時点) |
マザーファンド 純資産総額 | 2.50億円(2021.3.3時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象外 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*) |
(*)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更。
ひとくふう日本株式ファンドの魅力は何といっても信託報酬の低さ、アクティブファンドで0.275%、これは、SBI証券で取り扱っている国内株式ファンドの中で信託報酬(低い方から)26位に相当し(2021.5.24調べ)、多くのインデックスファンドよりも低コストです。
実質コストも0.335%と信託報酬以外のコストもそう高くはありません。
ただ、純資産総額はまだ1.2億円と大きくありません。
ひとくふう日本株式ファンドの運用方針、投資対象
運用方針
・原則としてJPX日経インデックス400の構成銘柄を投資対象
・価格変動リスクを相対的に抑えることを目指して組み入れ銘柄数とウエイトを決定。
・JPX日経インデックス400に比して、より投資効率(リスク調整後リターン)を高めた運用を目指します。
・同じリターンならばリスク低減効果、同じリスクなら高いリターンを目指す。ひとくふう日本株式ファンド 交付目論見書(2020/4)、および公式サイトより抜粋して引用。
ベンチマークはありません。参考指数はJPX日経インデックス400(配当込)です。
上記、運用方針からわかるように、インデックスを上回る超過リターンを狙うというより、主に低いリスク、高いシャープレシオを目指すファンドのようです。
投資対象
2021年4月末時点の組入上位10銘柄は下表、組入銘柄数は100銘柄、JPX日経インデックス400の1/4という事になります。
画像引用:ひとくふう日本株式ファンド月次レポート(2021/4)
上位10銘柄でみると1.6~1.8%とほぼ均等、尚、1位のセブン&アイHDはJPX日経インデックス400では29位(0.83%)、2位の岩谷産業は255位(0.08%)、3位の伊藤忠商事は20位(1.20%)となっています。
*JPX日経インデックス400の順位・ウエイトは2021.3末時点。
ひとくふう日本株式ファンドのパフォーマンス評価
*以下、年率リターン・リスクは月次データ(終値)より計算。またシャープレシオは、無リスク資産の収益率0としています。
*基準価額は、各運用会社、または投資信託協会のサイトより入手。分配金がある場合は、分配金再投資の価額に独自に変換。
*JPX日経インデックス400、TOPIXとの連動を目指すインデックスファンドとして<購入・換金手数料なし>ニッセイシリーズ、日経平均株価はニッセイ日経225インデックスファンドの基準価額を使用。
基準価額のチャート
ひとくふう日本株式ファンドの設定日(2016年3月4日)を基準日(基準価額10,000)とし、JPX日経インデックス400と比較したチャートを示します。
チャートでは両者概ね同様の動きをしていますが、2016年末、2018年初、そして2020年末の相場急騰時にひとくふう日本株式ファンドは大きく出遅れているように見えます。一方で、JPX日経400は急騰後の調整局面で大きく下げているのに対し、ひとくふう日本株式ファンドの下落幅は小さく、ファンドの方針にある「価格変動リスクを抑える」という運用がうまくいっているように感じます。
以下、運用成績を詳細に分析していきます。
設定来の運用実績(リターン・リスク)
2021年4月末日時点の直近5年のリターン・リスクを見てみます。概ねひとくふう日本株式ファンドの設定来の結果になります。
ひとくふう日本株式ファンド、JPX日経インデックス400に加え、日経平均株価、TOPIXとも比較します。
*スマホの方は横にスクロールしてご覧ください。
ひとくふう 日本株式 | JPX日経 400 | 日経平均 株価 | TOPIX | |
年率リターン | 6.99% | 9.08% | 13.44% | 9.44% |
年率リスク | 12.20% | 15.33% | 16.60% | 15.28% |
シャープレシオ | 0.57 | 0.59 | 0.81 | 0.62 |
*一般的にシャープレシオが大きいほど投資効率が良いとされています。
ひとくふう日本株式ファンドはJPX日経インデックス400に対してリターンで約2%pt劣るものの、リスクは小さくなっています。ただ、シャープレシオではJPX日経インデックス400に若干負けています。
リスクだけを見れば、日経平均株価、TOPIXをも含めて、ひとくふう日本株式ファンドが最も小さくなっています。
ファンドの運用方針にある「価格変動リスクを相対的に抑える」という点では、その通りの運用が出来ているという事になりますが、「JPX日経インデックス400に比して、より投資効率(リスク調整後リターン)を高めた運用」という点では僅かながら達成できていません。
複数の1年間の運用成績(2016年3月~2021年4月)
上述の現時点までの運用成績は、ある一期間の基準価額の暴騰・暴落に大きく左右され、ファンドの比較・評価として十分とは言えません。
そこで、2016年3月から1年間、さらに2016年4月から1年間・・・2019年4月から1年間と、起点(投資月)を1カ月ずつずらして、それぞれの1年間のリターン、リスクを計算します。全部で50個(区間)のデータとなります。
*本サイトではアクティブファンドを評価する際、通常、複数の5年間の成績を比較していますが、本ファンドの場合、設定から5年余りしか経っていませんので1年間で評価します。評価期間として決して十分と言える期間でないことをご承知おきください。
この複数の1年間のリターンの平均、最大値、最小値をプロットしたのが下図。
下表に複数の1年間のリターン、リスクの平均値をまとめます。(ここでのリターン、リスク、シャープレシオは50区間の平均値を示したもので、厳密な意味でのリスクやシャープレシオとは異なります。)
*スマホの方は横にスクロールしてご覧ください。
ひとくふう 日本株式 | JPX日経 400 | 日経平均 株価 | TOPIX | |
年率リターン | 7.18% | 7.84% | 12.00% | 8.13% |
年率リスク | 11.44% | 14.30% | 15.89% | 14.20% |
シャープレシオ | 0.63 | 0.55 | 0.76 | 0.57 |
ひとくふう日本株式ファンドはリターンこそ各インデックスに負けるものの、最大値と最小値の差が小さく、リスクが抑えられている事がわかります。
そして、この複数の1年間のリスク・リターンの平均値から求めたシャープレシオではJPX日経インデックス400に勝っています。また、日経平均株価には負けるものの、TOPIXにも勝っています。
尚、この50区間の1年間でひとくふう日本株式ファンドのリターンはJPX日経インデックス400に対し29勝21敗と勝ち越しています。
1年間騰落率 年別比較
アクティブファンドの評価として重要な要素は、常にインデックスに対して勝ち続ける事が出来るかという点です。
そこで1年騰落率(リターン)を年別に比較してみます。(たった4年+α分しかありませんが)
*ひとくふう日本株式のようにシャープレシオの向上を目指すファンドでは本来リターンだけの評価で優劣をつけられるものではありません。
騰落率が高い方 |
年 | ひとくふう日本 | JPX日経400 | 差 |
2021年 (4月まで) | 0.1% | 5.6% | -5.5% |
2020年 | 6.3% | 8.5% | -2.1% |
2019年 | 12.6% | 18.3% | -5.7% |
2018年 | -10.4% | -16.0% | 5.6% |
2017年 | 20.8% | 19.6% | 1.3% |
2017年、2018年、それぞれ上昇相場、下落相場でしたが2年ともひとくふう日本株式ファンドはJPX日経インデックス400に勝っています。ただ、2019年以降は負けています。
ひとくふう日本株式ファンドの人気・評判
月次資金流出入額、純資産総額からひとくふう日本株式ファンドの売れ行き・人気を見てみます。
*月次資金流出入額は純資産総額の増減に日々の基準価額変動を考慮して計算した概算値。
設定当初に僅かながら資金流入があったものの、その後は殆ど売れていません。
純資産総額も設定から5年経つも1.2億円しかありません。
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まとめ
以上、ひとくふう日本株式ファンドのパフォーマンスを、主に参考指数であるJPX日経インデックス400と比較してきました。
ひとくふう日本株式ファンドはJPX日経インデックス400に対し、リスクを抑え、高いシャープレシオ(リスク当たりのリターン)を目指すファンドですが、その運用方針通りリスクは十分抑えられています。ただ、シャープレシオでは、(評価期間にもよりますが)必ずしも勝っているという結果にはなっていません。
最大の懸念は、あまり売れておらず、純資産総額も増えていない事。
インデクスファンドと同水準の低い信託報酬を誇るアクティブファンドだけに、期待したいファンドではありますが。。。
*これらは全て過去のデータですので、将来のリターンを保証するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
販売会社
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