[2017年3月9日]リターン推移のデータ追加しました。
リバランスの効果の確認、第2弾です。
前回は、2008年1月に一括投資し、2017年2月時点のリターンで比較しました。その結果、リバランスにより、トータル・リターンの向上が観察されました。
但し、これは基準価額の動きに依存するもので、リバランスにより必ずしもリターンが向上するとは限りません。
今回、その例をお見せします。
検証方法は基本的に前回と同じですので、そちらを参照して下さい。
前回との違いは、投資期間の違いです。
前回は2008年1月とリーマンショックの直前に投資したとして検証しましたが、今回は、リーマンショクで株価が暴落した後の2009年1月に一括投資し、2017年2月時点のリターンで比較しましす。
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見出し
基準価額のチャート
2009年1月を1とした国内債券、国内株式(TOPIX)、先進国債券、先進国株式、各アセットクラスの基準価額のチャートを示します。
*データ引用 : 三井住友トラスト・アセットマネジメント「SMTシリーズ」の基準価額。
リーマンショック後の先進国株式は、ほぼ右肩上がりといっても良いでしょう。そして、国内株式も、それから遅れる事4年、アベノミクス効果もあり上昇します。
さて、このような相場環境でのリバランスの効果を見てみます。
検証結果 ~リバランスの効果~
リバランスを行わない場合のアセットアロケーションの変化
先ずは、リバランスを行わない場合、アセットアロケションがどのように変化するかを下図に示します。
リバランスを行わないと、先進国株式の基準価額の上昇に伴い、その比率は、当初設定した25%から大きく乖離し40%程まで上がります。一方、国内債券の比率は、最小で13%まで下がっています。
国内株式、先進国債券は、概ね+-5%の範囲内に収まっています。
リバランス有無、及びリバランス間隔によるパフォーマンスの比較
リバランスを行わない場合、そしてリバランスを毎月、半年、1年、2年、3年間隔で行った場合のトータル・リターン、年率換算のリターン・リスクを下表にまとめます。そして、トータル・リターン及び、リスクとリターンの関係を下図に示します。
*実際の運用結果の月次リターンから、年率リターン、及びリスクを計算しました。
*トータル・リターン : 2017年2月の資産額/2008年1月の資産額(初期投資額)-1
リバランス | 無 | 毎月 | 半年 | 1年 | 2年 | 3年 | |
トータル・ リターン | 103.5% | 95.1% | 95.9% | 95.5% | 95.9% | 98.8% | |
年率 リターン | 9.1% | 8.5% | 8.6% | 8.6% | 8.6% | 8.8% | |
年率 リスク | 11.6% | 10.2% | 10.2% | 10.3% | 10.5% | 10.8% | |
リターン/ リスク | 0.787 | 0.833 | 0.838 | 0.831 | 0.819 | 0.814 |
今回のケースでは、リバランスを行う事によりリターンの低下が観察されます。
ほぼ一本調子で上昇している先進国株式の比率をリバランスにより落とすのですから、リターンが低下するのも当然です。
一方、リスクはリバランスにより低下します。これも同様の理由です。
但し、リターン/リスク(=シャープレシオ)は、前回同様リバランスにより大きくなってますので、投資効率はリバランスによって上がっていると言えます。
このように、リバランスを行う事により、リターンが低下する事もあるのです。
リターンの推移
リターンについて、さらに詳細に比較するため、リターンの推移を見てみます。2009年1月に投資し、その後、リターン(ある時点の資産額/初期投資額-1)がどのように変化していったか、リバランス無のリターンとの差としてプロットしてみます。
2013年になり先進国、国内とも株式が上昇するとともに、リバランスを行った場合のリターンが急激に悪化している事がわかります。特に毎月リバランス行う場合の低下が顕著です。
その後、2016年頃、株価が若干下降してくると、リバランス有無のリターンの差は縮小していきますが、ここ数カ月のトランプ相場で再度株価上昇、そしてリバランス行った場合のリターンが低下していく傾向がみられます。
前回の結果と合わせて考えると、リバランスによりリターンが向上するか、もしくは悪化するかは相場次第と言えます。
それでは、リバランスの目的は?
決してリターンの向上ではなく、リスクのコントロールにあると理解すべきです。
前回の例では、リバランスによりリターンが上昇、今回は減少という結果ですが、それはあくまでも結果論であり、投資している時に将来の基準価額が予想できるわけではありません。
投資家にとって出来る事は、当初設定した、そして許容できるであろうリスクをキープする事です。
先進国株式が、今後も上昇していくと予想して、リバランスを行わないというのも一つの選択肢ですが、それはアセット・アロケーションの変更を意味します。その際は、それに伴うリスクの増大が許容できるのか、再度、考え直す必要があります。
まとめ
以上、まとめますと、
リバランスの目的は、あくまでリスクをキープ、コントロールするものだと考えるべき。
次回は、一括投資ではなく、積立投資の場合を見てみます。
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