三菱UFJ国際投信が運用し、米国株式に投資する低コスト・インデックスファンド eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が2019年4月25日に決算を迎え、運用報告書がアップされましたので、その実質コスト、ベンチマークとの乖離をまとめます。
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eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の初回決算 実質コスト・マザーファンド
実質コスト
今回が初回決算、設定日2018年7月3日ですので297日間の決算となります。
実質コストは運用報告書記載の値を年率換算し、さらに2019年6月14日に引き下げとなった最新の信託報酬に対応した値に換算して示します。
*年率換算は信託報酬/(運用報告書記載の信託報酬)から計算。また()内には日数換算(365/決算期間)で計算した結果も記載。
*信託報酬、実質コストは税込み表記。
信託報酬 | 実質コスト | 信託報酬以外 のコスト |
0.162% | 0.243% (0.242%) | 0.081% (0.080%) |
ライバルのiFree S&P500・インデックスの信託報酬以外のコストが0.129%、楽天・全米株式インデックス・ファンドが0.142(初回決算)~0.065%(2期目9ヶ月の途中結果)ですので、今回の決算は概ね良好な結果と言えます。
他社 米国株式インデックスファンドとのコスト比較
S&P500をベンチマークとする他社のインデックスファンド、及びベンチマークは異なりますが、米国株式に投資するインデックスファンドと比較してみます。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト |
S&P500 | ||
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.162% | 0.243% |
iFree S&P500 インデックス | 0.2430% | 0.372% |
CRSP USトータル・マーケット・インデックス | ||
楽天・全米株式 (楽天・バンガード) | 0.1596% | 0.311% ~0.224% |
NYダウ | ||
iFee NYダウ・ インデックス | 0.2430% | 0.288% |
たわらノーロード NYダウ | 0.2430% | 0.443% |
(*)楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド)の実質コストは初回決算の値と、2期目9ヶ月の結果の両方を記載。
S&P500では実質コストで見てもiFree S&P500インデックスに大きな差をつけています。
ベンチマークは異なりますが、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と直接のライバルになる楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド)とは概ね同等と言って良いでしょう。
マザーファンド(S&P500インデックスマザーファンド)純資産総額
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、そのマザーファンドが新設ではないことは分かっていましたが、純資産総額は明らかにされていませんでした。
今回の運用報告書によると純資産総額36,436(百万円)。今回が11回目の決算ですが、年2回決算ですので約5年前に設定されたマザーファンドです。
*純資産総額は2019年2月25日時点
そのうち eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は35%、残りは機関投資家向けファンド(為替ヘッジ有)1本です。
eMAXIS Slim先進国株式インデックスのマザーファンド純資産総額が337,226(百万円)ですので1桁小さく、そう大きなマザーファンドではありません。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の初回決算でのベンチマークとの乖離
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のベンチマークはS&P500(配当込み、ネット)です。
ネットとは配当の源泉徴収税課税後の指数です。
ただし、配当込み・ネットでも、その配当課税率が(日本に対して)適切に計算されているという保証はありません。先進国株式(MSCI-Kokusai)の結果だと、適切に配当課税を考慮した「真のベンチマーク」はネットと配当課税を考慮しないグロスの中間のところにあるようです。詳細は下記記事をご覧ください。
参考記事【インデックスファンド】運用報告書でのベンチマークとの乖離の見方、乖離0だから単純に素晴らしいファンドとは言えません。
*eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の運用報告書にも「ファンドとベンチマークで適用される配当税率の差異によるプラス要因」という記載もあります。
(注)ベンチマークとの乖離の評価は、他社ファンドの多くがコスト要因以外での乖離がないという仮定のもとで行い、管理人の主観・推測が含まれる事に注意して下さい。
決算期間のベンチマークとの乖離
設定日2019年7月3日から決算日2019年4月25日までの10カ月近くの騰落率からベンチマークとの乖離を見てみます。
運用報告書によるとベンチマーク(配当込み、ネット)との乖離は+0.1%、正確には+0.05%で上図の①に相当します。
一方、iFreeなど他社のファンドがコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がないと仮定すると、(配当課税を適切に考慮した)「真のベンチマーク」は上図緑色の点線になります。
*「真のベンチマーク」は管理人の主観で推定したものであり、その真偽を保証するものでありません。
この「真のベンチマーク」に対してeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は0.35%マイナス側に乖離している事になり(図中②)、これからコスト成分を除いた成分(図中③)が0.13%。
即ち、コスト要因以外に運用上の問題で0.13%マイナス側に乖離していたと推測します。
2019年 年初来のベンチマークとの乖離
上述の決算全期間では若干の乖離が見られましたが、最近の運用状況を調べるため2019年年初来の騰落率(2018.12.28~2019.4.25)からベンチマークとの乖離を見てみます。
ベンチマーク(配当込み、ネット)との乖離が+0.03%(図中①)、
一方、「真のベンチマーク」に対する乖離は-0.11%(図中②)。これからコスト成分を除いた乖離は-0.01%。ほぼ乖離のない運用と言って良いでしょう。
即ち、設定当初は多少の乖離があったものの2019年以降はコスト要因以外での乖離がない安定した運用になっていると推測されます。
まとめ
以上、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の初回決算のまとめでした。
信託報酬以外のコストも十分許容範囲内で、S&P500との連動を目指すインデックスファンドとしては実質コストで見ても2位以下に大きな差をつけての最安値です。
設定当初はベンチマークとの乖離が若干あったものの、2019年に入り(コスト要因以外での)乖離がない安定した運用になっています。
米国株式に投資したい方にとって、楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド)とともにお勧めできるファンドです。
eMAXIS Slim全世界株式 3本の決算結果は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slimシリーズの他のファンドの決算結果は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slim米国株式はネット証券、ネット取引など購入先が一部金融機関に限られています。
販売会社 SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、SMBC日興証券(ダイレクトコース)、松井証券など。
eMAXIS Slim米国株式を含む米国株式に投資するファンドの比較は下記ページを参照して下さい。