「つみたてNISA」(積立NISA)では金融庁が認定したファンドしか投資する事が出来ません。
その金融庁認定ファンドの殆どが低コストのインデックスファンドですが、一部アクティブファンドも含まれています。
そこで、現時点でつみたてNISA対応として認定されている国内株式を主な投資対象としたアクティブファンドの過去のパフォーマンスを調査します。
つみたてNISA対応の外国株式に投資するアクティブファンドについては下記記事を参照して下さい。
参考記事つみたてNISA(積立NISA)で買える外国株式アクティブファンドを徹底比較。
「つみたてNISA」の制度を知りたい方は↓を参照して下さい。
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[最終更新日:2020.6.5]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2020.5末時点の情報に基づき記載いています。
見出し
「つみたてNISA」対応の国内株式アクティブファンド
国内株式を主な投資対象とし、つみたてNISA対応となっているアクティブファンドは現時点(2020.6.5)で下記の7本。
- コモンズ30 (コモンズ投信)
- 大和住銀DC国内株式ファンド (大和住銀投信投資顧問)
- 年金積立 Jグロース (日興AM)
- ニッセイ日本株ファンド (ニッセイAM)
- ひふみ投信 (レオス・キャピタル)
- ひふみプラス (レオス・キャピタル)
- 結い 2101 (鎌倉投信)
各ファンドの基本情報
上記7本のファンドの信託報酬など基本情報を下表にまとめます。
*純資産総額は2020.5末日時点
ファンド | 純資産総額 (億円) [設定日] | ベンチマーク | 信託報酬 |
コモンンズ30 | 189 [2009.1.19] | 無 | 1.078%(*3) |
大和住銀DC国内株式ファンド | 149 [2006.10.23] | TOPIX (配当込) | 1.045% |
年金積立 Jグロース | 291 [2001.10.31] | TOPIX | 0.902% |
ニッセイ日本株ファンド | 821 [2001.12.26] | TOPIX (配当込) | 1.10% |
ひふみ投信(*1) | 1,247 [2008.10.1] | 無 | 1.078%(*4) |
ひふみプラス(*1) | 5,377 [2012.5.28] | 無 | 1.078%(*3) |
結い 2101(*2) | 421 [2010.3.29] | 無 | 1.10% |
(*1)ひふみ投信、ひふみプラスは一部海外株式を含みます。
(*2)結い2101は金融庁分類では「株式及び公社債」。実際のファンドの株式比率も60%前後となっています。
(*3)純資産総額に応じて信託報酬率が低くなります。
(*4)5年以上の長期保有で信託報酬の実質的な割引があります。
全て1%前後の信託報酬。
国内株式の代表的指数、日経平均株価やTOPIXとの連動を目指すインデックスファンドの信託報酬最安値が0.154%ですので、これに比べるとかなり高くなります。
勿論、信託報酬の差以上のリターンを毎年確実に上げられれば良いのですが。
以下、過去のパフォーマンスを見ていきます。
国内株式アクティブファンドの運用成績
上記7ファンドの過去の運用成績をTOPIXと比較する形でまとめます。
尚、ひふみ投信とひふみプラスは、同じマザーファンドで同じ方針のもと運用するファンドですので、運用実績が長いひふみ投信で代表させます。(ひふみプラスの結果も、ひふみ投信と同じと思って問題ないでしょう)
TOPIXは野村AMのTOPIX連動型上場投資信託(1306)[ETF]の分配金再投資基準価額を使用します。
*各ファンドの基準価額は全て分配金再投資時の値、データは各運用会社または投資信託協会より引用。
直近10年間のリターン・リスク
2020年5月末時点の直近10年間のリターン・リスクを見てみます。
同じリスクでより高いリターンをあげたファンドが優秀という事になりますが、最も素晴らしいパフォーマンスをあげているのがひふみ投信(ひふみプラス)。
年金積立Jグロースも先ず先ずの成績です。
尚、結い2101は株式比率が少なく、その分リスクも低くなっていますが、リターンはTOPIXとあまり変わらず、これも良好なパフォーマンスと言えます。
シャープレシオ (リスク調整後リターン)
リターンをリスクで割った値をシャープレシオと呼びますが、これはリスク1単位あたりのリターンを意味し、勿論、大きいほど優秀な成績という事になります。
*厳密にはリターンから無リスク資産のリターンを引きますが、ここでは無リスク資産のリターンを0とします。
2020.5時点のリターン、リスク、そしてシャープレシオを下表にまとめます。
シャープレシオの大きい順に記載します。
ファンド | 年率リターン | 年率リスク | シャープレシオ | |
1 | ひふみ投信 | 15.5% | 15.5% | 1.00 |
2 | 結い 2101 | 7.1% | 9.1% | 0.78 |
3 | 年金積立 Jグロース | 11.1% | 17.2% | 0.64 |
4 | コモンズ30ファンド | 8.8% | 15.4% | 0.57 |
TOPIX | 8.1% | 16.6% | 0.49 | |
5 | 大和住銀DC国内株式ファンド | 7.6% | 16.9% | 0.45 |
6 | ニッセイ日本株ファンド | 6.6% | 16.7% | 0.39 |
シャープレシオから見ても、ひふみ投信(ひふみプラス)、結い2101が優秀な成績をあげています。
一方、ニッセイ日本株ファンド、大和住銀DC国内株式ファンドはTOPIXに負けています。
複数の5年間のリターン
直近の騰落率は現時点の基準価額に大きく左右されますのでファンドの評価としては十分ではありません。そこで、2010年3月から2020年5月までの複数の5年間のデータで見てみます。
2010年3月から5年間、さらに2010年4月から5年間・・・2015年5月から5年間と、起点(投資月)を1カ月ずつずらして、それぞれの5年間のリターン、リスクを計算します。全部で63個(区間)のデータとなります。
この複数の5年間のリターンの平均、最大値、最小値をプロットしたのが下図。
下表に5年間のリターン・リスクの平均値、及び平均値から計算したシャープレシオをまとめます。
シャープレシオの大きい順に並べます。
(注)ここでのリターン、リスク、シャープレシオは、63区間の平均をとったもので、一般的に使われるリターン、リスク、シャープレシオの値とは異なります。
ファンド | 年率リターン | 年率リスク | シャープレシオ | |
1 | ひふみ投信 | 19.7% | 14.8% | 1.33 |
2 | 結い 2101 | 8.4% | 8.5% | 0.99 |
3 | 年金積立 Jグロース | 15.3% | 16.2% | 0.94 |
4 | コモンズ30ファンド | 12.0% | 15.2% | 0.79 |
TOPIX | 11.8% | 16.4% | 0.72 | |
5 | 大和住銀DC国内株式ファンド | 11.2% | 16.8% | 0.67 |
6 | ニッセイ日本株ファンド | 10.6% | 16.8% | 0.64 |
この評価でも、シャープレシオの順位は直近10年の結果と同じで、ひふみ投信(ひふみプラス)、結い2101が優秀な成績をあげています。
次に、リターンだけに注目して、63区間の5年間でTOPIXとの勝負けを勝率でまとめたのが下表。
ファンド | 勝率 | |
1 | ひふみ投信 | 100% |
1 | 年金積立 Jグロース | 100% |
3 | コモンズ30ファンド | 57% |
4 | 大和住銀DC国内株式ファンド | 6% |
5 | 結い 2101 | 6% |
6 | ニッセイ日本株ファンド | 0% |
ひふみ投信(ひふみプラス)、年金積立 Jグロースは63区間全てでTOPIXをリターンで上回っています。
一方、ニッセイ日本株ファンドは一度もTOPIXに勝った事がありません。
結い 2101もリターンの勝率は低くなっていますが、本ファンドはリスクを抑えた運用に注力していますので、リターンだけで評価するのは適切とは言えません。
年度別リターンの推移・勝敗
アクティブファンドの評価として、もう一つ重要な要素が、毎年安定的にインデックスに勝ち続けることが出来るかという点。
そこで各年度のリターンを比較してみます。(2020年は5月まで)
*表はクリックすると拡大します。
各年でTOPIXのリターンを上回った年を青色、下回った時は赤色で示しています。
設定から12間にわたりTOPIXに1年しか負けていないのが「ひふみ投信」。勝率92%です。(2020年は5月までのデータ)
その他のファンドは概ね勝率5割。勝ったり負けたりを繰り返しています。
結い 2010だけ極端に勝率が悪くなっていますが、これは前述のようにリスクを抑えた運用を行っているからです。
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人気(資金流出入額)
各ファンドの人気を資金流出入額から見てみます。
(*)資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
2020年(5月まで)、2019年の資金流出入額、及び2020.5末時点の純資産総額をまとめます。
2020年の資金流出入額の大きい順にランキングをつけてあります。
ファンド | 2020年 | 2019年 | 純資産総額 | |
1 | 年金積立 Jグロース | 15.8 | 14.7 | 291 |
2 | コモンズ30ファンド | 15.0 | 21.9 | 189 |
3 | 結い 2101 | 12.7 | 17.1 | 421 |
4 | 大和住銀DC国内株式ファンド | 8.5 | 9.6 | 149 |
5 | ニッセイ日本株ファンド | -1.6 | 58.7 | 821 |
6 | ひふみ投信 | -60.1 | -92.8 | 1,247 |
7 | ひふみプラス | -175.8 | -882.8 | 5,377 |
2020年の1位は年金積立 Jグロース、2019年の1位はニッセイ日本株ファンドとなっていますが、各ファンド、あまり資金流出入が安定していないようです。
*ニッセイ日本株ファンドは2019/9の1日だけで70億も集めた日があり、これがトップとなった要因です。
そして、ひふみ投信、ひふみプラスは大きなマイナス(資金流出)となっています。一時期爆発的な人気を博したファンドだけに、2018年の成績が冴えなかった事ですぐに解約した方が多かったのでしょう。
まとめ
以上、つみたてNISAで購入出来る主に国内株式を投資対象とするアクティブファンドの評価でした。
リターン、リスク、シャープレシオ、年度毎のTOPIXに対する勝率、総合的に見て圧倒的な好成績を残しているのが「ひふみ投信」(ひふみプラス)。
残念ながら2019年から資金流出となる事が多いようですが、純資産総額では群を抜いて大きくなっています。
年金積立Jグロースも比較的健闘しています。TOPIXと同等のリスクで、TOPIX以上のリターンを出しています。
リターンは低いものの、リスクを抑えてシャープレシオとして優秀な成績を残しているのが結い2101。
コモンズ30も僅かですがTOPIXを上回っています。
この4本が相対的に優れたパフォーマンスを残しています。
勿論、以上は過去のデータであり、今後のリターンを保証するものではありません。
ひふみ投信は、レオス・キャピタルの直販で購入出来ます。(つみたてNISAにも対応)
公式サイトレオスのひふみ投信
ひふみプラスを含む上記ファンド(結い2101、ひふみ投信を除く)は、主要ネット証券で購入できます。(つみたてNISA対応)
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
公式サイト楽天証券、楽天カード
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
「つみたてNISA」の全商品は下記記事を参照して下さい。
参考記事「つみたてNISA」(積立NSA)全商品(ファンド)と主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券)の取扱商品。