確定拠出年金(iDeCo)

【個人型確定拠出年金(iDeCO/イデコ)】もしも特別法人税が復活し退職所得控除がなくなったら? それでもiDeCoはお得なの?

投稿日:2019年4月18日 更新日:

個人型確定拠出年金(iDeCo)

はじめに ~個人型確定拠出年金(iDeCo)の特別法人税、退職所得控除~

個人型確定拠出年金(iDeCo)には、拠出時に掛金が所得控除になるという大きなメリットの他、受給時にも退職所得控除や公的年金等控除の税制優遇を受けられます。

一方、個人型確定拠出年金の資産に対してかかる税金、特別法人税の復活に対する懸念もあります。

特別法人税は年金資産に対して1.173%の税金がかかるというものですが、2020年3月末までは課税が凍結されています(凍結はあくまで時限措置ですが、今まで何回も凍結、期間終了後再度凍結といった事を繰返しています)。ただ完全廃止までには至っていませんので復活する可能性も否定は出来ません。

さらに退職所得控除や公的年金等控除の見直しといった声も聞かれます。

退職所得にかかる税金と退職所得控除

退職金(iDeCoの一時金)を受取った場合、
勤続年数20年以下は、勤続年数 x 40万円

20年以上は、800万円 + (勤続年数 -20 ) x 70万円
が退職所得から差し引かれ、その1/2に対して税金がかかります。確定拠出年金の場合、掛金拠出期間が勤続年数となります。

そこで、本記事では、仮に特別法人税が復活し、さらに、退職所得控除が無くなったら個人型確定拠出年金のメリットはなくなるのか、加入したら損するのか、具体的に計算して検証してみます。

*退職所得控除の勤続年数に対する控除額見直しの声はありますが、完全に無くなるという話は聞いたことがありません。あくまで、本記事は退職所得控除が完全になくなったらという仮定での話である事に注意して下さい。但し、退職所得控除は、個人型確定拠出年金だけでなく企業からの退職一時金などと合算されて計算されますので、結果的に退職所得控除を受けられない事は十分有り得ます。

 

尚、本サイトでは既に特別法人税が復活した場合や退職所得控除が受けられない場合について、それぞれの検証を行っていますが(下記ページ)、本記事では特別法人税復活・退職所得控除無しを組み合わせた場合について検証します。

 

*企業型確定拠出年金のマッチング拠出についても基本的な考え方は同じです。

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個人型確定拠出年金のメリットを年利換算利回りで評価

所得控除による還付分、特別法人税徴収分、運用利回り、そして一時金として受給した時の税金を考慮した最終資産額と拠出元本から年利回りを計算し、これを各条件で比較していきます。

計算の前提条件など

    • 確定拠出年金の受取は全額を一時金で受給。
    • 拠出額は月額12,000円、68,000円の二通りで計算。
    • 確定拠出年金の年間手数料は2,042円とする。(現状2,004円を消費税10%に換算した概算値)
    • 運用利回りは0%、5%の二通りで計算。
    • 特別法人税は1.173%。
    • 計算の便宜上、拠出は各年の年末に一年分を一括拠出とする。
    • 退職所得にかかる税金は資産額/2に対して課税。
    • 退職所得控除有でも退職所得控除を超える分については、その1/2に対して課税。(拠出額6.8万円/月の場合)
    • 参考までに課税口座での結果も示すが、積立時は配当等なく非課税、売却時に利益分に対して20%が課税されるとする。
    • 復興特別所得税は考慮しない。

所得税 + 住民税率

iDeCoの最大のメリットである所得控除は、それぞれの方の所得税率、住民税率に依存します。

本記事では税率が15%、(20%)、30%のケースで計算した結果をお見せしますが、先ずはご自身の税率を確認して下さい。

課税される所得金額所得税率住民税合計税率
195万円以下5%一律
10%
15%
195万円を超え330万円以下10%20%
330万円を超え695万円以下20%30%
695万円を超え900万円以下23%43%
900万円を超え1,800万円以下33%43%
1,800万円を超え4,000万円以下40%50%
4000万円超45%55%

 

特別法人税が恒久的に廃止、退職所得控除も現状のまま

現状の条件が続く最も理想的な場合です。

 

運用利回り 0%

運用での利回りを0%とした場合です。即ち、所得控除だけの年利回りを見ている事になります。

各税率、拠出額に対し加入期間毎の年利回りを下表にまとめます。

*スマホの方は横にスクロールしてご覧ください。

所得税率
+住民税率
拠出額
(月額)
加入期間
10年15年20年25年30年40年
15%¥12,0003.25%2.08%1.53%1.21%1.00%0.74%
¥68,0002.65%1.64%1.13%0.94%0.81%0.62%
30%¥12,0007.40%4.72%3.46%2.73%2.26%1.68%
¥68,0006.81%4.29%3.07%2.48%2.07%1.56%

例えば、税率30%の方が毎月12,000円拠出、20年間加入すると、運用の利回りが0でも所得控除だけで3.46%の年利換算になるという事です。いかに所得控除のメリットが大きいかがお分かり頂けると思います。

尚、拠出額68,000円の利回りが低くなっていますが、これは総資産額が退職所得控除の枠を超え、その1/2に対して課税されているからです。

因みに、所得控除は、拠出した年に、その拠出額のみに対して控除されるものであり資産総額に対して控除される訳ではありません。よって加入年数が長いほど年利回りは低くなります。

 

運用利回り 5%

次に投資信託で5%の運用を行った場合です。

所得税率
+住民税率
拠出額
(月額)
加入期間
10年15年20年25年30年40年
15%¥12,0008.15%6.95%6.39%6.06%5.85%5.60%
¥68,0007.28%6.09%5.58%5.30%5.13%4.91%
30%¥12,00012.19%9.44%8.16%7.42%6.95%6.37%
¥68,00011.35%8.60%7.37%6.68%6.24%5.70%
課税口座---4.10%4.16%4.22%4.27%4.32%4.41%

同じく税率30%、毎月12,000円拠出、20年間加入の方を例にすると、投資信託の運用に所得控除分が上乗せされ8.16%の利回りとなります。これは課税口座と比較し+3.94%上回っています。

*注意:ここでは計算の便宜上、毎年5%の利回りで運用としましたが、実際の運用では期待リターン5%でも、毎年5%ずつ増えていくわけではありません。

 

特別法人税が復活、退職所得控除も使えない、それでもiDeCoはお得?

さて、本題の特別法人税が復活し、さらに退職所得控除も使えない場合です。今考えられるワースト条件と言っても良いでしょう。

*税率20%の場合も追加します。

 

運用利回り 0%

先ずは運用利回り0%の場合です。今回は所得控除の利回りから特別法人税分が差引かれる事になります。また受給時も総資産の1/2に課税されます。

赤字年利回りがマイナスを意味します。

所得税率
+住民税率
拠出額
(月額)
加入期間
10年15年20年25年30年40年
15%¥12,0000.40%-0.16%-0.42%-0.57%-0.67%-0.81%
¥68,0000.18%-0.58%-0.84%-0.98%-1.11%-1.23%
20%¥12,0001.73%0.71%0.22%-0.06%-0.24%-0.49%
¥68,0001.52%0.29%-0.20%-0.47%-0.68%-0.90%
30%¥12,0004.63%2.56%1.60%1.04%0.67%0.20%
¥68,0004.42%2.16%1.19%0.64%0.25%-0.19%

さすがに税率15%では加入期間10年を除き全てマイナスの利回りとなります。所得控除があっても、それ以上に特別法人税がとられ結果的に元本割れになるという事です。

しかし、税率20%で加入期間20年以下、税率30%だと加入期間40年、68,000円拠出を除き、プラスとなっています。

勿論、将来インフレが進んだ場合、元本を確保できても紙幣価値は落ちていきますので、実質的な利回り、
上表の利回り + 定期預金金利 - インフレ率
で考える必要があります。

iDeCoの場合、ネット銀行・支店のような高金利の定期預金がないのがネックですが、それでもインフレ率に大きく負ける事はないと推測します。

 

運用利回り 5%

次に投資信託で5%の運用を行った場合です。

赤字課税口座よりも利回りが低い事を意味します。

所得税率
+住民税率
拠出額
(月額)
加入期間
10年15年20年25年30年40年
15%¥12,0005.34%4.77%4.49%4.28%4.12%3.93%
¥68,0004.86%4.18%3.80%3.64%3.54%3.49%
20%¥12,0006.63%5.57%5.06%4.73%4.48%4.19%
¥68,0006.16%4.99%4.38%4.09%3.91%3.75%
30%¥12,0009.44%7.32%6.31%5.69%5.26%4.74%
¥68,0008.97%6.74%5.64%5.07%4.70%4.32%
課税口座---4.10%4.16%4.22%4.27%4.32%4.41%

税率15%の方だと加入期間20年以上のケースで課税口座より利回りが低下しますが、税率20%で加入期間が20年以下の場合、そして税率30%なら殆どの条件で課税口座を上回ります。

即ち、特別法人税が復活しようとも、退職所得控除が使えなくても、上記税率であれば個人型確定拠出年金(iDeCo)は依然有利という事です。

 

まとめ ~iDeCoはやっぱりお得な制度です~

仮に特別法人税が復活し、退職所得控除が使えないとしても、

税率が15%、あるいは税率が20%で加入期間が概ね20年超の方を除き、

依然、個人型確定拠出年金(iDeCo)が有利な制度である事に変わり有りません。
(企業型確定拠出年金のマッチング拠出についても考え方は同じです。)

そして、より所得控除の恩恵を受けるには、若い時は拠出額を少なく、ある程度の年齢・年収になったら拠出額を限度額一杯に増やすという方法も有効です。

尚、繰返しになりますが、本記事は特別法人税が復活という仮定に基づいて計算した結果です。将来の特別法人税がどうなるかは分かりませんし、退職所得控除も同じです。

以下、私見ですが、iDeCoに限らず将来の証券・金融税制がどうなるかは誰にも分かりません。iDeCoには原則途中解約ができないという縛りはあるものの、(所得控除を受けられる方にとって)現状では最も有利な制度です。これを将来の税制変更に対する不安だけで使わないのは勿体ないように思えます。取りあえず少額から始めてみては如何でしょう?

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(注意)「しんたろう」は残念ながら、税理士や社会保険労務士の資格を持っていません。正確な情報に基づき記載したつもりですが、より詳細は、税理士、税務署、社労士にお問い合わせください。また確定拠出年金を取扱っている金融機関でも相談にのってもらえます。

 

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