スポンサーリンク
国民年金の第1号被保険者(自営業や無職の方)は、一般の国民年金保険料にちょっと保険料を上乗せする事で年金額を増やすことが出来る、「付加年金」という制度に任意で加入することが出来ます。
この「付加年金」、既に、多くのサイト・ブログでも「お得な制度」として取り上げられていますが、将来のインフレを考慮しても本当にお得なのか、年利回りから検証してみます。
付加年金とは
付加年金は、国民年金の第1号被保険者(自営業や無職の方)だけが加入できる制度で、サラリーマンやその配偶者などは加入できません。
制度はとてもシンプルで、
一般の国民年金保険料に400円/月上乗せして支払うだけで、
もらえる年金額が、毎年 200円 x (付加年金の納付月数) 増えるというものです。勿論、この増額は一生涯続きます。
支払う保険料の総額 400円 x (納付月数)に対して、年金の増加額は200円 x (納付月数)なので、2年で元が取れる、66歳まで生きれば元が取れるという事になります。
これだけ見れば、誰が見てもお得な制度なのですが、年金の増加額200円 x (納付月数)、一般の年金とは違い、物価スライドが適用されません。物価が上がろうが下がろうが一定額のままです。これからインフレが起き、物価が上昇すれば、この年金増加額の価値が、現在より大幅に下がってしまう可能性だってあり得ます。そうなると、2年で元が取れるという事だけでお得だとは言い切れません。
そこで、拠出額(保険料)に対して、受取額が年利換算の利回りでどの程度になるかを把握しておく必要があります。この年利回りが、予測するインフレ率より上回っている事が確認出来て初めてお得だと判断出来るわけです。
付加年金の年利回り
計算を簡単にする為、保険料の納付を1年分まとめて年初に支払い(年間 400円x12=4,800円)、年金の給付も、65歳から年初に1年分をまとめてもらう事とします。計算はEXCELのIRR関数を使って行いました。
尚、付加年金にも、一般の国民保険料と同様、前納による割引がありますが、ここでは割引前の保険料400円/月で計算しています。
付加年金に加入した年齢と、何歳まで年金を受け取るか(何歳まで生きているか)に対する利回りを下表にまとめます。また付加年金により増額される年金額(年額です)も記載してあります。
年金受給最終年齢(何歳まで生きているか) | |||||||||
年金増額 | 70歳 | 75歳 | 80歳 | 85歳 | 90歳 | 95歳 | 100歳 | ||
加 入 年 齢 | 20歳 | 9.6万円 | 3.7% | 5.2% | 5.9% | 6.3% | 6.6% | 6.7% | 6.8% |
25歳 | 8.4万円 | 4.1% | 5.8% | 6.5% | 6.9% | 7.2% | 7.3% | 7.4% | |
30歳 | 7.2万円 | 4.6% | 6.4% | 7.2% | 7.7% | 7.9% | 8.1% | 8.2% | |
35歳 | 6.0万円 | 5.2% | 7.2% | 8.1% | 8.6% | 8.8% | 9.0% | 9.1% | |
40歳 | 4.8万円 | 6.0% | 8.3% | 9.2% | 9.7 % | 10.0% | 10.1% | 10.2% | |
45歳 | 3.6万円 | 7.1% | 9.7% | 10.7% | 11.2% | 11.5% | 11.6% | 11.7% | |
50歳 | 2.4万円 | 8.7% | 11.7% | 12.8% | 13.3% | 13.5% | 13.6% | 13.7% | |
55歳 | 1.2万円 | 11.1% | 14.7% | 15.8% | 16.3% | 16.5% | 16.6% | 16.6% |
付加年金による増額分は、単に拠出月数を掛けるだけで計算されますので、拠出期間が長いほど、年利回りとしては悪くなります。
ただ、それでも最長の20歳から拠出した場合でも、70歳ですら3.7%の年利回りがあります。今後、どれだけのインフレになるかは、わかりませんが、もし3.7%以上のインフレが起きるとすれば、きっと、付加年金がどうのこうの言う以前に、もっと他の大きな問題が起きますね、きっと。
高年齢からの拠出、例えば、40歳だとすれば、70歳でも6.0%もあります。これだけの利回りであれば、まずインフレにも負ける事はないでしょう。
年利回りから見ても、付加年金はお得な制度だと言えます。
ただ、残念な事に、納付額も400円/月と少ない事もあり、増額される年金額も、そう大きな額ではありません。最長の20歳からの加入では、年額9.6万円増額となりますが、40歳以降の拠出では、5万円にも及びません。
付加年金加入時の注意点
- 国民年金を免除されている方は、付加年金を拠出できません。
- 「国民年金基金」に加入している方は、付加年金を拠出できません。
- 個人型確定拠出年金との併用は可能です。ただし、確定拠出年金と付加年金の拠出額を合わせて、最大68,000円/月となります。もし、確定拠出年金を最大額68,000円拠出している方が、付加年金に加入するには、確定拠出年金拠出額を減額する必要があります。
まとめ
付加年金は、単に2年で元がとれるというだけでなく、年利回りとして見ても、十分拠出する価値のある制度です。
ただ、年金の増額は、そう大きくはありません。その分、拠出額も少ないですので、軽い気持ちで加入しておいて損はないかと思います。
*最終的な判断はご自身で。