[最終更新日:2020年9月23日]マネックス証券、松井証券が依然切上げである事を確認。
マネックス証券毎日積立に対応。
[2018年6月6日]マネックス証券の検証結果を更新。
見出し
100円からの投資信託購入
SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などの主要ネット証券では100円から投資信託を購入する事が出来ます。
100円投資といっても、「まあ、そんな使い道はないかな」と思っている方も多いかと思いますが、うまく使えば、ものすごくお得になるんです。
金額指定で投資信託を購入する場合、必ずと言っていいほど端数(小数点以下の口数)が出ます。この端数をどうするかは、その証券会社の裁量に任せられているようで、各社、対応が異なります。
例えば、100円で基準価額15,000円の投資信託を購入すると、単純に計算すると、66.66・・口となりますが、これを切り上げて67口とするか、もしくは切り下げて66口となるか。または四捨五入という事もありますが、このケースでは切上げと同じく67口。
100円投資のように、少額であればあるほど、切り上げ、切り下げた1口の重みが違ってくるんです。
どれだけ違うのか実際に検証してみます。
1口未満の端数を切り上げる場合
100円、1,000円、10,000円で投資信託を購入するとして、基準価額を5,000円~30,000円の範囲で計算してみます。
そして、10,000円で購入する場合の口数と、100円で購入した口数の100倍、1,000円で購入した口数の10倍とを比較します。全て投資金額は10,000円で同じです。
100円x100回と10,000円 1回の比較
横軸は基準価額、縦軸は「100円投資のお得度」としていますが、100円で100回購入した場合の口数が、1万円で購入した場合よりどれだけ増加するか、その比率で表示したものです。
当然ですが、基準価額が高いほど、そのお得度は上がっていき、最大で基準価額が10,000円なら1%、20,000円なら2%も多く購入できる事になります。因みに人気の「ひふみプラス」は基準価額が35,000円近くにありますので、この図の範囲外ですが、3.5%近く得する場合があるという事です。
勿論、基準価額によっては、切り上げる分が少ないので、殆ど変わらない事もあります。
1000円x10回と10,000円 1回の比較
今度は1,000円 10回と10,000円1回の比較です。
*グラフ中、"1円未満切上げ"と書いていますが、正しくは"1口未満切上げ"です。
お得度はだいぶ小さくなりますが、それでも基準価額10,000円で最大0.09%、20,000円で0.18%程、多く購入出来る事になります。
1口未満の端数を切り下げる場合
今度は、1口未満の端数を切り下げる場合です。
100円x100回と10,000円1回の比較のみ示します。
縦軸はお得度と書いていますが、マイナスですので、実際は損失度になります。
切上げの場合と全く逆ですね。1口未満の端数を切り下げる証券会社の場合、少額で購入すると、損してしまうという事です。
後、図は省略しますが、端数を四捨五入する場合は、基準価額により得したり損したりで、平均すると同じとなります。
各証券会社の対応は?
[注意]各社の計算方法については、コールセンターに確認しましたが、各社、明確な回答を頂けない、回答を頂いても実際の約定結果と合わないなど、いまいち確信が持てないところがありますので保証は出来ません。さらに、端数処理は各社の裁量に委ねられているため今後変更される可能性もあります。約定結果が、この記事の結果と異なったとしても、証券会社にクレーム等行わないようお願いします。
松井証券
- 概算口数 = 購入金額 / 基準価額 x 10,000 (小数点以下切上げ)
- 約定金額 = 概算口数 x 基準価額 / 10,000 (円未満四捨五入)
- [口数調整]
約定金額>=購入金額の場合、口数を1口減らして2を再計算。
約定金額<購入金額の場合、口数を1口増やして2を再計算。 - [最終判定] 最終金額 = (約定口数 x 基準価額 /10,000) - 購入金額 (円未満もそのまま)
最終金額<0の場合、約定口数を1口増やして2を再計算
最終金額>=0の場合、計算終了
となります。
なにやら複雑な計算になっていますが、複数の購入金額、基準価額で上記アルゴリズムで確認したところ、実際は、上記1の購入金額 / 基準価額 x 10,000の小数点以下切上げの口数が、最終口数となりました。さらに、実際に購入した100回の取引履歴でも(1回で500円投資)、単純に切上げした場合と同一となりました。
よって、概ね、端数は切上げと思っても良いかと思います。(保証の限りではありませんが。)
*2020.9.23時点でも切上げである事を確認。
公式サイト松井証券
楽天証券
楽天証券に確認した限りでは、「1口未満は切下げ」との回答。その後、自分の約定結果を含めて、再確認した結果、正しくは下記のようになります。
- 概算口数 = 購入金額 / 基準価額 x 10,000 (小数点以下切捨て)
- 概算約定金額 = 概算口数 x 基準価額 / 10,000 (円未満四捨五入)
- [口数調整]
概算約定金額<=購入金額の場合、口数を1口増やして2を再計算。 - [最終判定] 概算約定金額>=購入金額となったら計算終了。
- 最終判定の前の結果が概算約定金額<購入金額の場合、最終判定時の口数、
最終判定の前の結果が概算約定金額=購入金額の場合、1口増やす前の口数が最終口数。
上記アルゴリズムにより、基準価額7,000~20,000円(1円単位)の範囲で計算したところ、85.9%が四捨五入の結果と一致。
概ね端数は四捨五入だが、四捨五入よりは若干有利と思っても良いかと思います。(保証の限りではありませんが。)
公式サイト楽天証券
SBI証券
- 仮約定口数 = 購入金額 / 基準価額 x 10,000 (小数点以下切上げ)
- [逆算] 算出金額 = 仮約定口数 x 基準価額 / 10,000 (小数点以下四捨五入)
- 算出金額が購入金額を超える場合は、仮約定口数を1口減らして2を再計算
- 2,3より暫定口数が決定。
- [検算] 暫定口数 x 基準価額 / 10,000 (小数点以下四捨五入)
- 検算結果が購入金額より少ない場合は、1口加算
- 最終的な約定口数
という事です。(あくまでノーロードの場合。購入時手数料が必要な場合は、手数料で調整する場合もあるとの事)
仮約定口数は小数点以下切上げですが、その後、複雑な調整の計算が入っています。
管理人が30程度の取引履歴から確認したところ、全ての取引が、購入金額を基準価額で割った口数(x10,000)を四捨五入した場合と一致しました。
その後、上記アルゴリズムにより、基準価額7,000~20,000円(1円単位)の範囲で計算したところ、86.0%が四捨五入の結果と一致。
概ね端数は四捨五入だが、四捨五入よりは若干有利と思っても良いかと思います。(保証の限りではありませんが。)
公式サイトSBI証券
マネックス証券
コールセンターの回答では、
「小数点以下切上げ」
との事。
実際に購入してみた結果、全て切上げた口数が買い付けられていました。
コールセンターの回答通り、「小数点以下切上げ」という事でしょう。(保証の限りではありませんが。)
*2020.9.23時点でも切上げである事を確認。
公式サイトマネックス証券
お得な100円投資をどう使う?
口数の端数を切り上げてくれる証券会社の場合、なるべく少額で分割して購入した方が、お得な事は分かりましたが、さて、実際問題として、毎月数万円投資する方がどうやって使う?
毎日積立
マネックス証券、松井証券なら毎日積立(毎営業日)が設定できます。
毎日と分散する事で、より少額で購入出来るようになります。
100円を毎日積立設定すれば、月約2,200円の投資額となります。さらに複数ファンドを設定、例えば10ファンドなら月2.2万円です。
なるべく少額の方がお得ですが、100円にこだわらず、200円、300円と増やしていっても、一括で投資するよりはお得になります。
実際に少額で投資信託を毎日積立てていった場合、端数処理が年率リターンにどの程度影響を与えるか検証した結果が下記記事。
同じアセットクラスで複数ファンドを購入
同じような信託報酬・実質コストという条件で、例えば、先進国株式クラスなら、たわらノーロード先進国株式、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式ファンド、eMAXIS Slim先進国株式インデックスと複数のファンドに分けて購入すれば1回あたりの購入金額を下げる事が出来ます。
まとめ
端数を切り上げてくれる証券会社の場合、なるべく少額で投資する事で、より多くの口数を購入する事ができます。その為には、毎日積立と複数ファンドに分割する事が有効です。
逆に、切下げの場合、なるべく一括で購入した方が良いという事になります。
少額で毎日積立を行うなら、基本的に端数を切上げ処理し、毎日積立が設定可能なマネックス証券、松井証券が有利です。
但し、冒頭でも書いたように、端数処理は証券会社の裁量で変更される可能性もあります。
また、今回示した「切上げにより得する分」は、あくまで購入時に、購入した分に対してのみ得するのであって、長期的に見れば、総資産全てにかかる信託報酬の方が重要である事に変わり有りません。