確定拠出年金 そのメリットとデメリットを徹底解説(2) ~所得控除に勝る資産運用無し~

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確定拠出年金、その最大のメリットは、個人で拠出した分が、全額、所得控除になる事です。個人型確定拠出年金(以下、iDeCoと略)の場合は、全額個人拠出なので拠出額が全額、企業型確定拠出年金(以下、企業型DCと略)は、会社が拠出する分は対象になりませんが、マッチング拠出した分は所得控除の対象になります。

所得控除ってなに?

という方に、簡単に税金の話を説明します。「そんなの知ってらー」、という方は読み飛ばしてください。

尚、「しんたろう」は残念ながら税理士の資格は持っておりません。ここでする税金の話は、あくまで一般的なものです。詳しくは、税理士、または税務署にご確認ください

所得税や住民税は、サラリーマンの方だと、もらった給与やボーナス(これを収入と呼びます)に対して全額、税金がかかるわけではありません。

良く、「自営業者は必要経費を差し引けていいよな、サラリーマンだってスーツ代ぐらい必要経費に認めてほしいよ」なんて話を聞くこともありますが、ちゃんとサラリーマンにも必要経費に相当するような控除が認められているのです。これを給与所得控除と言います。控除額は給与収入により異なりますが、最低でも65万円は控除してくれるのです。年間65万円もスーツ代やクリニング代かからないですよね?

給与所得控除以外でも、どなたでも控除できる基礎控除社会保険料控除(厚生年金や健康保険料など)生命保険料控除配偶者控除扶養控除等々。生命保険料控除は、年末調整の時に申告しているはずなのでご存知ですよね?

他にも医療費控除(これは確定申告しないと控除されません)などもあります。

これらの控除と同様に、企業型DCマッチング拠出分も小規模企業共済等掛金控除として収入から差し引くことができるのです。iDeCoの場合は、拠出額全額が控除されます。

既にマッチング拠出をされている方だったら、源泉徴収票社会保険料控除の欄が2段に分かれている筈です、その上段に書かれている分が小規模共済等掛金控除の額です。

課税所得 = 給与収入 – 給与所得控除 – 各種控除 – 小規模企業共済等掛金控除

となり、所得税だったら税率、課税所得に応じて最低5%、最大45%の税金が徴収されるという仕組みです。下表に所得税率を示します。
所得税は、課税所得金額 x 税率 – 控除額で計算されます。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4000万円超 45% 4,796,000円

*国税庁サイトより転載

(注意)上表の控除額とは、今まで説明してきた各種控除とは全く別のものです。
所得税率は超過累進税率になっています。課税所得が上がると税率も上がります。例えば330万を境に税率が10%から20%に上がりますが、課税所得全部に対して20%になるわけではありません。課税所得が400万円とすると、195万以下は5%、330万以下は10%で、それを超える70万に対して20%がかかる仕組みです。ここでいう控除額とは、それを調整するための定数みたいなものです。

住民税は所得によらず10%です。(他に均等割と言われる定額部分もあります)

企業型DCやiDeCoの拠出額の控除は、こんなにお得なのです。

企業型DCマッチング拠出や、iDeCoに拠出していれば、その分が小規模企業共済等掛金控除として差し引かれますので、

すなわち、そこで税金が安くなる分は 拠出額 x 税率。 

例えば、毎年20万円拠出していれば、所得税 最低税率5%の方でも、

20万円 x (所得税5% + 住民税10%) = 3万円も税金が少なくなります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)では最大68,000円/月、拠出できますので、年間122,400円もお得になります。しかも、これは最低税率での計算ですので、課税所得の多い方は、もっと節税になるわけです。

こんなお得な制度を利用しない手はありません。

こうやって少なくなった税金は、年末調整や確定申告で還付されます。

ただし、「しんたろう」のように収入がないと、控除するにも、控除できるものがありませんんので、残念ながら、このメリットを享受することは出来ません(涙…)。控除してマイナスになったからといって、「収入が無いのに良く頑張ってこんなに拠出しましたね」と国からご褒美をもらえたりはしません。

無収入の主婦(夫)等が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入し、拠出する場合も、この所得控除の恩恵は受けられないという事を覚えておいてください。

この所得控除がどれだけお得なのか、年利で考えてみましょう。

毎月、iDeCoの最大積立額 68,000円を10年間積立てた場合を考えてみましょう。

ここでは、投資などはせず元本保証の定期預金(簡単のため利率0とします)に預けたと仮定します。(尚、手数料は考慮していません)

毎月 68,000円、毎年816,000円積立てることになりますが、これにより最低税率(所得税5%+住民税10%)の方でも、122,400円税金が少なくなります。

実質 年 816,000 – 122,400 = 693,600円の積立で、

10年後には、816,000円 x 10年 = 8,160,000円となります。

これを年利に換算してみましょう。

以前説明したEXCELのRATE関数を使います。

年利 = RATE(10, -693600, 0, 8160000) =3.56%

となります。

実際の運用利回り0でも、所得控除分だけで、事実上3.56%の年利で運用できていることになるのです。

この年利は、毎月・毎年の投資額には依存しません。関係するのは、積立期間と税率だけです。

加入期間(拠出期間)と税率に対する所得控除分の年利換算をグラフにまとめます。

*下図の横軸、DC運用期間とありますが、正しくはDC加入期間(拠出期間)です。運用指図者期間は含めません。

DC拠出 所得控除の年利換算

*グラフでは、参考までに5年までプロットしてありますが、加入期間5年の場合、受給開始が63歳になりますので、3年間の運用指図者期間(拠出無し、よって所得控除も無)を考慮すると、実際は、もっと低い年利となります。60歳から受給できるのは加入期間10年以上ですので、上図のDC運用期間10年以上を見て下さい。

加入期間が長いほど、所得控除の年利換算は低くなります。所得控除、一般的には拠出期間が長いほど有利と言われていますので、この結果、なかなか理解しがたい方も多いかと思います。

確かに所得控除の合計額だけで見ると単純に長い方が多くなります。しかし、所得控除は、資産額全体に対して行われるわけではありません。単に、毎年の拠出額に対して控除されるだけです。例えば30年前に15%節税した分は、30年間という期間で見たら0.5%にしかなりません。逆に、拠出期間1年だけであれば(実際には不可能ですが)、税率そのままの運用、例えば15%の年利換算になるという事です。

確定拠出年金への拠出は60歳に達する前までです。今30代と若く、かつ税率が低い方は、これから30年ほど加入する事になりますので、所得控除のメリットが薄れますが、それでも30年、税率15%の条件で1.1%あるのです。全く運用しなくてですよ。

50代で加入される方、残り最大10年、最低税率でも年利3.6%の効果があります。ノーリスクでこれだけの運用が出来る資産運用など他にあるでしょうか?

50代で加入を考えている方は↓の記事も参考にして下さい。
参考記事50代でも間に合う個人型確定拠出年金(iDeCo)。50代こそお得なんです。

勿論、年齢とともに、給与収入も上がる、すなわち税率もアップする事が多いでしょうから、実際はこんな単純ではないですが、一つの目安として理解して頂ければと思います。

(注意)60歳から給付を受けるには、加入通算期間が10年以上必要です。

まとめ

企業型確定拠出年金マッチング拠出個人型確定拠出年金(iDeCo)による所得控除のメリットがご理解頂けたでしょうか? 拠出するだけでこれだけ税制メリットがあります。これに、実際に運用した利回りが足される(運用が失敗したら引かれる)事になります。

ただし、所得控除により、折角、税金が安くなっても、いつのまにか使っちゃった、というのでは意味がありません。先ずはご自分の税率、そしてDC拠出による控除額をちゃんと把握する事が重要かと思います。そして、その控除額分を別の銀行・証券口座に定期的に預けていくというのが最も効果的ではないでしょうか。

ここで計算した年利換算は、あくまで名目利回りです。もし、今後、インフレが進めば、その分を差し引いた実質利回りは小さくなります。それを考慮したうえで、この所得控除がお得なのかどうかをご判断下さい。特に若い方=これからの加入期間が長い方は判断が難しいとは思いますが。

また、DCには勿論デメリットもあります。これも考慮したうえでご自分の判断で加入、拠出するかをお決めください。

次回(第3回)は、60歳以降で受け取る場合の話です。思わぬ落とし穴があります。

第1回確定拠出年金 そのメリットとデメリットを徹底解説(1)

第2回(本記事)確定拠出年金 そのメリットとデメリットを徹底解説(2) ~所得控除に勝る資産運用無し~

第3回確定拠出年金 そのメリットとデメリットを徹底解説(3) ~え、元本にも税金かかる!~

第4回確定拠出年金 そのメリットとデメリットを徹底解説(4) ~運用編~

第5回確定拠出年金 そのメリットとデメリットを徹底解説(5) ~手数料&特別法人税~

第6回確定拠出年金 そのメリットとデメリットを徹底解説(6) ~まとめ~

まとめ確定拠出年金(iDeCo) 徹底解説

参考記事[完全版] 個人型確定拠出年金(iDeCo) SBI証券、楽天証券、イオン銀行、マネックス証券 徹底比較。

参考記事個人型確定拠出年金(iDeCo) 金融機関 徹底比較

 

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