個人型確定拠出年金(iDeCo)で、投資信託を使って運用・投資するメリットを解説します。
*企業型確定拠出年金でも同じです。
[最終更新日:2020.6.30]最新の情報に更新。
本記事は記事執筆時点の情報に基づき記載しています。
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確定拠出年金(iDeCo/企業型DC)は運用中の利益(運用益)が非課税
通常の課税口座では、投資信託を売却すると、その利益に対して課税されますが、確定拠出年金では全て非課税です。
また、分配金が出た場合も同様に非課税です。
最終的には前回説明したように、元本を含めて課税される場合がありますので、正確には非課税ではなく「課税の繰延べ」ですが、それでも繰延効果により効率的に資産を殖やすことが出来ます。
勿論、退職所得控除や公的年金等控除の範囲内でおさまるなら、この非課税メリットを最大限に享受できます。
非課税口座としてNISAやつみたてNISAという制度もありますが、これらの口座では一度売却したら二度とその非課税枠を使う事が出来ませんが、確定拠出年金では何度でも非課税で売買する事が出来ます。
*確定拠出年金では商品を入れ替える事をスイッチングと言います。ある投資信託を売却したい場合は、投資信託から定期預金にスイッチングする事になります。また投資信託Aから投資信託Bにスイッチングする事も出来ます。
好きな時に売却・購入が可能
「今は株価が高値圏にあるから、投資信託を売っておこう」
「よし、今が底値だ、定期預金から投資信託に一気にスイッチングだ」
といった投資が、課税を気にする事無く確定拠出年金では可能になります。
コラムただ、こういったタイミングをはかる投資は、今の株価が高値・安値かを見分けられる方のみ。
弊サイトでは、「株価は長期的には高い確率で上がっていくと信じているが、今の株価が高いか安いかはわからない」というスタンスを基本としており、今の株価に関係なく淡々と積立てていく事を推奨しています。
リバランスに使える
もう一つ、この非課税のメリットを活かせるのがリバランスを行う時です。
リバランスとは、簡単に言うと、各アセットクラスの価格変動によって生じたアセットアロケーションのずれを、本来の比率に戻す事です。
株式、債券、それぞれ50%のアセットアロケーションを設定し、毎月、同じ金額、債券・株式のファンドを積立てたとします。積立を続ける中で、例えば、債券が大きく値を下げ、株式は逆に上昇したとすれば、時価で見たとき、株式の比率が元の50%より大きくなってしまい、当初、設定したアセットアロケーションから乖離していきます。
これを、元の比率に戻すのがリバランスです。
リバランスは、通常、比率の上がりすぎたアセットクラスのファンドを売却し、その売却した資金で下がったファンドを追加購入する事で行います。
課税口座で、このリバランスを行うと、利益の出ているファンドの売却時に課税されてしまいます。また、NISAでは一度売却すると、その非課税枠は二度と使えなくなります。
この点、運用益非課税の確定拠出年金では、課税を気にする事なくリバランスが可能です。
ちなみに、売却を行わず、比率の下がったアセットクラスのファンドを追加購入するだけでリバランスを行う方法もあります。これだと、課税口座でも課税を気にする必要はありません。ただし、その為の追加資金が必要になりますので、くれぐれも、ご自分で決められた投資可能な資金の範囲内で行ってください。
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iDeCoには比較的コスト(信託報酬)の低い投資信託がラインアップ (???)
投資信託は保有している間手数料がかかりますが、その手数料を信託報酬と言います。
勿論、基本的には信託報酬は低い方が望ましい事は言うまでもありません。
特にインデックスファンドと呼ばれる、特定の指数(日経平均株価やNYダウなど)と連動するように運用するファンドの場合、信託報酬の低さが、ファンド選択時の最も重要な要素と言って良いでしょう。
この信託報酬の低いファンドが比較的多くラインアップされているのが確定拠出年金です(でした)。
運用会社も一般販売向けのファンドとは別に、信託報酬の低い確定拠出年金専用のファンドを設定する場合があります。
ただ、近年、一般販売向けインデックスファンドの急激な低コスト化、確定拠出年金専用だったファンドを一般向けに売り出すなど、確定拠出年金の信託報酬という点でのメリットは小さくなりつつあります。いや、既に無くなったと言っても良いでしょう。
今は、確定拠出年金だからと言って、必ずしも低コストの商品がラインアップされているとは限りません。
iDeCoでは、そのプランにラインアップされている商品にしか投資出来ません。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、加入する金融機関・プランをご自身で選択する事が出来ます。
一方で、そのプランにラインアップされている商品にしか投資する事が出来ません。
前述のように、今は確定拠出年金だからといって低コストの商品があるとは限りません。iDeCoの金融機関は、その商品ラインアップ、特にインデックスファンドの信託報酬に注目して選択するようにして下さい。
コラム企業型確定拠出年金では会社が決めた金融機関のプランになります。もし、信託報酬が高い商品しかラインアップされていなかったら、一度、お勤めの会社の担当部門や組合等にご相談されては如何でしょう。金融機関は多くのファンドを扱っており、その会社に提供している商品はその一部です。もっと信託報酬の低い商品があるかもしれません。
課税口座、NISA、そして確定拠出年金も全てをセットで考えてみたらどうでしょう?
確定拠出年金以外にも投資している方、その余裕のある方、課税口座、NISA、確定拠出年金を全てまとめてアセットアロケーション・ポートフォリオを考えてみては如何でしょう?
比較的リターンの小さいアセットクラスは一般の課税口座、ハイリターンが見込めるクラスはNISA、確定拠出年金等の非課税口座で購入、
あるいは、課税・NISA口座と確定拠出年金、それぞれのファンドのコストを比べて、よりコストの安いファンドがある方で購入する、
また、所得にもよりますが、課税口座では高配当の国内株式に投資し、配当控除のメリットを享受するという方法もあります。
そして全体のリバランスを確定拠出年金で行うのが効率的かと思います。
コラム 管理人の場合
管理人はマネックス証券 iDeCoに加入していますが、ここではeMAXIS Slim先進国株式・米国株式・新興国株式を中心に投資しています。
そして、NISA(つみたてNISAではなく一般NISA)で米国ETF、
課税口座では比較的高配当の国内株式(個別銘柄)に投資し、配当控除の恩恵を受けています。
第1回個人型確定拠出年金(iDeCo) そのメリットとデメリットを徹底解説(1) ~概要編~
第2回個人型確定拠出年金(iDeCo) そのメリットとデメリットを徹底解説(2) ~所得控除に勝る資産運用無し~
第3回個人型確定拠出年金(iDeCo) そのメリットとデメリットを徹底解説(3) ~え、元本にも税金かかる!~
第4回(本記事)個人型確定拠出年金(iDeCo) そのメリットとデメリットを徹底解説(4) ~運用編~
第5回個人型確定拠出年金(iDeCo) そのメリットとデメリットを徹底解説(5) ~手数料&特別法人税~
第6回個人型確定拠出年金(iDeCo) そのメリットとデメリットを徹底解説(6) ~まとめ~
運営管理機関手数料無料のSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行など、下記ページに主要金融機関のiDeCoをより詳しく比較・解説してあります。