2018年からスタートしたつみたてNISA、その制度の概要、そしてお勧めの金融機関(証券会社、銀行)、商品(投資信託)について、初心者(初めて投資をする方)にも分かりやすく解説します。
[最終更新日:2022.5.25]全て最新の情報に更新。(2024年改定を反映)
重要2024年からの新NISA、2022.12.16与党発表の「令和5年度税制改正大綱」によると大幅に改定される事になりました。(非課税期間無期限、制度恒久化、年間投資上限360万円、最大利用額 1,800万円など)
本記事記載の新NISAは、この「令和5年度税制改正大綱」が反映されていませんのでご注意ください。
新しい制度については、法案が成立し詳細が判明した後、解説します。
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見出し
NISAって何? 非課税ってどういう事?
NISA制度は2014年にスタートした、一定の投資額の範囲内であれば、その配当(分配金)、及び売却益が非課税となる制度の事です。
通常、株式や投資信託の配当、売却益には20.315%(*1)の税金がかかります。例えば、100万円で購入した株式を120万円で売却すると20万円の利益となりますが、ここから税金が約4万円引かれ、実際の税引き後利益額は16万円となります。
(*1)2037年までの復興特別所得税を含む
一方、NISAでは、この4万円の税金が免除され、元々の利益20万円を丸々手にする事が出来ます。
NISA口座は、金融機関(証券会社や銀行等)に申し込む事で利用できるようになります。また金融機関は年単位で変更する事も出来ます。(同一年に複数の金融機関でNISA口座を開設することは出来ません)
(一般)NISA制度とは
先ず、既に2014年から始まっているNISA制度(以降、これを一般NISAと呼びます)について概略を説明します。
毎年、120万円を限度として(2014,2015年は100万円)、5年間に限り非課税になるというものです。
例えば、2017年にNISAで購入した株式や投資信託は、2021年までの5年間非課税となります。5年間の間ずっと保有している必要はありません。この5年間の期間中なら、いつ売却しても構いませんし、その売却益は非課税となります。
もし途中売却しないで5年間保有し続けた場合、非課税期間終了後、その時点で売却するか、あるいは、一般の課税口座に移す、さらに、ロールオーバーといって、例えば、2017年のNISAで購入した株式・投資信託等を、2022年のNISA枠に移す事も出来ます。これにより、実質、非課税期間が10年間に延びます。
但し、2022年の新しいNISAで投資できる額は、120万円からロールオーバーした額を引いた分になります。
尚、2017年に購入した株式・投資信託が、ロールオーバー時に時価で120万円を超えていたとしても、全てを2022年分に移管する事が出来ます。
この一般NISA、2023年までの制度で、2024年以降は新NISAに移行されます。
また2019年以降の一般NISAで購入した投資商品は新NISAに時価でロールオーバーできます。
*後述するように新NISAは2階建ての制度になっていますが、ロールオーバーは先ず2階部分を使用し、102万円を超過する部分は1階部分を使用。
新NISA (2024年以降)
一般NISAは2024年から新NISAに生まれ変わります。
投資可能期間は2024年から2028年まで。
非課税期間は一般NISAと同様5年間です。
ただ、新NISAでは2階建ての制度になり、投資対象商品が変わります。
新NISAの2階建て
新NISAでは上図のように2階建ての制度となり、非課税額は1階部分が20万円、2階部分が102万円、合計122万円が5年間非課税となります。
尚、原則として2階部分を利用するには1階部分の積立投資を行う必要があります。
但し、1階部分の利用額に制約はなく、少額でも積立投資を行っていれば2階部分が利用できます。さらに、過去にNISA口座を有していたなど投資経験のある方は1階部分を利用せずに2階部分のみ利用することが出来ます。
1階部分の投資対象商品・ロールオーバー
つみたてNISA対象商品のみ購入・投資する事が出来ます。
また、1階部分については5年間の非課税期間終了後、つみたてNISAに簿価(取得価格)でロールオーバーする事が出来ます。
2階部分の投資対象商品
従来の一般NISAと概ね同等で、上場国内・海外株式(ETF、REITを含む)、投資信託などに投資出来ます。
但し、レバレッジ型商品などが除外されます。
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つみたてNISA(積立NISA)とは
2018年から新しくつみたてNISA(積立NISA)という制度が始まりました。
今後は、前章で説明した一般NISA(2024年以降は新NISA)か、つみたてNISA、どちらか一方を選択する事になります。
毎年変更は出来ますが、同じ年に両方のNISAを利用する事は出来ません。
また、一般NISAの資産をつみたてNISAに移す事(ロールオーバー)も出来ません。
*但し新NISAの1階部分に限りつみたてNISAにロールオーバー可能
つみたてNISAの制度の概要
非課税期間、毎年の投資額
一般NISA/新NISAが毎年の投資可能額120万円、非課税期間5年なのに対して、つみたてNISAでは、毎年40万円、非課税期間20年となります。
少額を長期にわたって投資する為の制度です。
現時点では、2018年に始まり、2042年までの時限的な制度となっています。よって、早く始めた方がより多くの非課税枠を利用できる事になります。
*2024年の改定で、2037年までだった口座開設可能期間が2042年まで5年延長されました。
購入出来る商品の制約
一般NISAでは、国内外の株式、(殆どの)投資信託などを購入する事が出来ましたが、つみたてNISAでは、金融庁が定めた基準に適合する投資信託(ファンド)のみとなります。
個別銘柄の株式は購入出来ません。
詳細は金融庁の「つみたてNISAについて」(平成29年6月)を参照して頂くとして、
一部抜粋してご紹介すると、(上記資料より引用)
インデックスファンド
- 指定されたインデックスに連動する事
- 主たる投資の対象資産に株式を含む事
- 購入時手数料無料(ノーロード)
- 信託報酬が 国内資産に投資するもの 0.5%以下、海外資産に投資するもの0.75%以下。(税抜き)
アクティブファンド
- 純資産総額 50億円以上、設定から5年以上経過
- 購入時手数料無料(ノーロード)
- 信託報酬が 国内資産に投資するもの 1.0%以下、海外資産に投資するもの1.5%以下。(税抜き)
ETF
- 指定されたインデックスに連動する事
- 株式投資
- 最低取引額 1,000円以下
- 販売手数料 1.25%以下
- 信託報酬 0.25%以下
- 最小取引単位 1,000円以下。
*ETFをつみたてNISAで取扱っているのは現時点(2022.5)で大和証券のみです。
その他、全ての商品に対して、
- 信託契約期間が無期限又は20年以上
- 分配頻度が毎月でない事
- ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていない事。
など、厳しい制約が設けられています。
要は、株式を含まないもの(債券やREITだけ等)はダメ、高い信託報酬はダメ、購入時手数料のかかるものはダメ(ETFを除く)、毎月分配型はダメという事です。
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一般NISA(新NISA)、つみたてNISA、そして個人型確定拠出年金(iDeCo)の特徴、違いを比較。
一般NISA(新NISA)、新しく始まったつみたてNISA、そして、もう一つ、(場合によっては)大きな税制優遇を受けられる個人型確定拠出年金(iDeCo)の特徴、違いを比較します。
一般NISA/新NISA、つみたてNISA、iDeCoの比較
*他にジュニアNISAもありますが、2024年以降廃止されますので、ここでは割愛します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
一般NISA ()内は新NISA | つみたてNISA | 個人型確定 拠出年金 (iDeCo) | |
年間最大 投資額 | 120万円 (122万円) | 40万円 | 14.4~ 81.6万円 (加入者資格 による) |
上限であって、これより少ない額でも構いません。 | |||
投資可能 期間 | 2023年 (2028年) | 2042年 | 60歳到達まで (条件により 65歳未満)(*1) |
非課税 期間 | 5年 | 20年 | 受給終了 まで。 但し厳密には 非課税 ではなく 税の繰延べ(*2) |
購入出来 る商品 | 国内外株式、 投資信託 など (1階部分は つみたてNISA と同等) | 指定された投資 信託で口座開設 した金融機関で 扱っている 投資信託 (ETF含む) | 加入金融機関 のプランにある 投資信託、 定期預金、 保険商品 |
購入 ・積立 方法 | 1年の間に いつでも 購入可能。 | 定期的・ 継続的に積立 | 毎月拠出 または 年単位拠出 |
口座管理 手数料 | 無 | 無 | 最低年額 2,052円 (金融機関 による) |
途中解約 ・売却 | 可能 | 可能 | 原則60歳 未満(*3)での 引出し、 脱退不可。 |
商品の 変更・乗換 | 不可 | 不可 | 可能 |
例えばファンドAを売却しファンドBを購入する事。 一般NISA(新NISA)、つみたてNISAともに、ファンドAを売却したら、その非課税枠は 使えなくなります。 iDeCoでは自由にファンドや定期預金などの入れ替えが可能(スイッチング)。 | |||
金融機関 変更 | 年毎に可能 | 年毎に可能 | 可能。 但し手数料 必要。 |
拠出時の 税制優遇 | 無 | 無 | 所得控除 |
(*1)公的年金(国民年金・厚生年金)に加入していれば65歳到達まで拠出可能(公的年金、iDeCoの老齢給付を受給していない事)
(*2)確定拠出年金は、運用期間中非課税ですが、受給時に退職所得控除、公的年金等控除を超える分については課税されます。
(*3)加入期間によっては、60歳以降になる場合もあります。
個人型確定拠出年金の税制優遇については、下記の記事などをご覧ください。
参考記事個人型確定拠出年金(iDeCo) 徹底解説
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NISA(ニーサ)、iDeCo(イデコ) どちらを選ぶ?
毎年、多額の投資を行う方は、一般NISA(新NISA)/つみたてNISAとiDeCoを併用して非課税制度の恩恵を十分に受ければ良いのですが、投資額が限られている方は、どちらの制度を使った方が良いのでしょうか?
所得控除を受けられる方
所得控除を受けられる方、即ち、所得税・住民税を支払っている方なら、先ず第一に優先すべきは個人型確定拠出年金(iDeCo)でしょう。
但し、60歳までは引出し不可な事、また受取時の税制優遇が複雑で、場合によっては元本まで課税される場合も有り得ますので拠出額には注意して下さい。特に、企業からの退職一時金や公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)が多い方は、受給方法なども十分に検討する必要があります。
所得控除を受けられない方
専業主婦(夫)や無職の方は、引き出しの制限、手数料もかかる、そして税の繰延べであって完全な非課税ではない個人型確定拠出年金(iDeCo)よりも、一般NISAやつみたてNISAの方が、より使いやすい制度でしょう。
一般NISA(新NISA)、つみたてNISA、どちらを選択?
一般NISA(新NISA)、つみたてNISA、どちらを選択するかは毎年の投資額、年齢、投資対象、投資方針にもよりますので、それぞれお好きな方を選択されれば良いかと思います。
例えば、既に一般NISAを使用している方でロールオーバーを考えている方、個別銘柄の株式にも投資したい方などは一般NISA。
*毎年、一般NISA、つみたてNISAの変更が可能ですので、一般NISAのロールオーバーを行いたい年だけ一般NISAを選択し、それ以外はつみたてNISAという方法も可能です。
ただ、これから初めて投資しようという、特に若い方には、つみたてNISAをお勧めします。
年額40万円と、一般NISAよりは少なくなりますが、初めて投資する方には十分すぎる金額でしょう。
つみたてNISA、どこの金融機関で何に投資する?
つみたてNISAの申込は証券会社等の口座開設と同時に申込む事が出来ます。勿論、年の途中で申込む事も可能です。
お勧めの金融機関は?
つみたてNISAの場合、金融庁が認定した投資信託だけしか購入出来ませんので、どこの金融機関で口座開設しても、いわゆる「ぼったくり投信」と言われる高コストのファンドを購入してしまう危険はありません。
ただ、金融庁が認定したといっても、その信託報酬には結構幅があります。なるべく信託報酬の低い商品を扱っている金融機関を選択する事が重要です。また、今後、つみたてNISA以外の口座で投資を行う事も有り得ると思いますので、本サイトでは基本的にネット証券をおすすめしています。
*信託報酬 : 投資信託の手数料のようなものです。日々、公表される基準価額(株価のようなもの)は既に信託報酬が差し引かれた後の価額です。信託報酬は販売した金融機関、運用会社、(資産を管理する)信託銀行の利益となります。
そして、マネックス証券やSBI証券 等ではクレジットカード決済で購入出来たり(勿論ポイント付与あり)、投資信託保有でポイント付与があります。これらのサービスをうまく利用して、よりお得に資産形成をすすめましょう。
おすすめの商品(投資信託)は?
つみたてNISAの対象となる投資信託は必ず株式を含む事とあります。即ち、債券やREITだけのファンドは対象になりません。
一般的に株式はハイリスク・ハイリターン、債券はローリスク・ローリターンです。
銀行預金などの無リスク資産を十分確保した上でリスクを十分とれるという方であれば、例えばeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)などを購入して全世界の株式に投資しては如何でしょうか?
一方で、そんなリスクはとれないという方、複数の投資対象を組み合わせたバランスファンドなら、株式、債券両方に投資する事が出来ます。
株式・債券に分散投資する方が値動きがマイルドになります。(今は債券投資は旨みがないという意見もありますが、なにせ20年と長期にわたって運用するわけですから。)
株式の激しい値動きには耐えられないなら、債券を含んだバランスファンドから始めてみるのも良いかと思います。
後、投資対象は日本国内だけでは無いという事も忘れてはいけません。もっと広く世界に目を向けましょう。つみたてNISAの対象となるファンドには、海外株式(先進国・新興国)に投資するファンドも含まれています。
株式・債券に分散、日本・海外に分散、ある特定の投資対象に集中するのではなく、分散投資という事を心がけましょう。
おすすめの商品は下記記事にまとめてあります。商品選びの参考として下さい。
最後に
以上、2018年から始まったつみたてNISA、及び一般/新NISAの解説でした。
金融庁が認定したものだからといって必ず儲かるという保証がある訳ではありません。
また、つみたてNISAの対象となる投資信託は、一発大儲けという部類の投資でもありません。あくまで、長期にわたって積立て、着実に資産形成していく事を目的としています。
もし、今後も世界経済が伸びていくと信じるなら、つみたてNISAをきっかけに資産の一部を投資にまわしてみては如何でしょう? もちろん、投資する上でのリスクは十分理解した上で。
リスクについては下記記事を参考にして下さい。
参考記事投資における期待リターンとリスクの考え方
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また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
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