個人型確定拠出年金(iDeCo)、所得控除という大きな恩恵を受けられるものの、原則途中解約ができない、特別法人税復活の可能性が排除できない、退職所得控除や公的年金等控除を超えた分については元本にも課税されるなど、その制度の複雑さもあり、加入を悩んでいる方も多いかと思います。
「十分な所得控除を受けられる方は、仮に特別法人税が復活し、退職所得控除が使えなかったとしても、十分お得な制度である」という事を下記ページで詳細に解説していますが、この記事でも良く分からない、で、結局、入った方が良いの、得なの損なの?と結論を知りたい方の為に、簡単にまとめてみました。
*本記事には管理人の主観が一部含まれています。実際に加入する・しないの判断は、あくまで自己責任でお願いします。
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個人事業主・サラリーマンなど所得控除を受けられる方(課税所得が拠出額以上の方)
ずばり、加入した方がお得です。特に加入期間の税率(所得税、住民税の合計)が30%以上の方にお勧め。
個人型確定拠出年金(iDeCo)、拠出額以上の課税所得があるなら、仮に受給時に課税されたとしても、所得控除だけでも十分メリットがあります。(税率が少ない方を除く)
投資に興味がない、あるいは投資する余裕がない方、安全な定期預金でも、例えば、加入期間の税率が30%以上で、加入期間20年であれば、所得控除だけで3%以上の年利回りをノーリスクで確保できます(特別法人税無、退職所得控除内の場合)。仮に特別法人税が復活し、退職所得控除が使えないとしても1%以上の年利回りです。
*加入期間が長ければ年利回りは下がります。
尚、サラリーマンの場合、企業からの退職一時金や老齢厚生年金が受取れますが、受給時税制優遇のメリットを最大限活かすためには、退職一時金が退職所得控除以下であれば、その残りを確定拠出年金の一時金として、さらに公的年金受給開始前の60~64歳の間に確定拠出年金を年金として受取る併給が有利となる場合があります。
*所得控除は年末調整や確定申告により還付されますが、それをいつのまにか使ってしまっては意味がありません。ちゃんと還付された分を貯蓄や投資にまわす事をお忘れなく!
専業主婦(夫)など、所得控除を受けられない場合
投資に興味がない、あるいは投資する余裕がないという方は、加入しても手数料分、損するだけです。
投資信託で運用し、ある程度の運用益を出さないと加入するメリットはありません。
また、受給時に退職所得控除や公的年金等控除の範囲内におさまるよう、拠出額も良く検討して下さい。
例えば、加入期間20年、拠出額月23,000円で、運用利回りが3.9%以上だと、一時金受給の場合、退職所得控除額以上となり一部課税されてしまいます。
さらに、NISAや「つみたてNISA」等と比較し、どちらが有利なのか、あるいは両方加入するか等も検討する必要があります。
確定拠出年金は、一度加入すると基本的に脱退不可能、拠出をやめても手数料だけは取られる、受給開始時期が制限されるなど、利便性・流動性に劣ります。
加入をお勧めできるのは、NISA枠以上に投資する方や投資信託を頻繁に売買する方。例えば、リバランスを確定拠出年金で行う等。NISAでは一度売却すると、その枠は使えなくなりますが、確定拠出年金は、その点、何回でも売買できるというメリットがあります。
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企業型確定拠出年金に加入していた企業を退職し、第1号被保険者になった場合
企業型確定拠出年金に加入していた方が、退職後、第1号被保険者になると、基本的には個人型確定拠出年金に移管する事になります。加入・非加入に選択の余地はありません(*)。ただ、拠出するか、しないか(運用指図者)の選択は出来ます。
(*)個人型に移管しないと現金化され国民年金基金連合会に自動移換されます。そうなると全く運用されない上、手数料も取られます。非常に厳しい条件を満たせば脱退も可能ですが。
退職後も個人事業主などで、それなりの課税所得があれば、サラリーマンと同様、所得控除を受けられますので、引き続き拠出する事でメリットを享受できます。
ただし、退職後、無職、殆ど収入がない場合は、当然所得控除は受けられません。さらに、企業からの退職金や厚生年金等がある分、受給時の税制優遇をフルに受ける事が難しいケースも出てきます。
その場合は、退職所得控除と公的年金等控除を組み合わせて最大限、受給時の税制優遇を受けられるよう、確定拠出年金の受給は一時金と年金の併給、さらに、今後の資産運用成績に応じて拠出額の調整も考えた方が良いでしょう。(受給時の控除を受けられる範囲で拠出する)
また受給時期などを調整する事で節税できる場合もあります。詳しくは下記記事を参考にして下さい。
最後に
確定拠出年金は非常に複雑で難しい制度です。特に、受給時の税制優遇が、個々の状況に応じて変わりますので、下記書籍などでよく勉強し、理解してから加入する・しないを決めた方が良いでしょう。
そしてお勧めできるのは、十分な課税所得があり、所得控除を受けられる方。
専業主婦(夫)、無職など所得控除が受けられない方は、NISAなどとも比較して下さい。
iDeCoは誰にでも無条件にお勧めできるものではありません。
その上で、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入すると決めた方、運営管理機関(金融機関)の手数料無料は必須条件とも言って良いでしょう。
運営管理機関手数料無料のSBI証券、楽天証券、イオン銀行、マネックス証券、松井証券のiDeCoを下記記事で詳しく比較してありますので参考にして下さい。