国内株式の代表的な指数としてTOPIXと日経平均株価があります。
より幅広い銘柄に分散投資するならTOPIX、一方、ニュースなどで取り上げられる事が多く、一般的に知名度が高いのは日経平均株価、どちらに投資するか悩んでいる方も多いかと思います。そこで、この両者の過去のパフォーマンスを比較してみます。
[最終更新日:2021.6.24]全て最新の情報に更新。
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見出し
TOPIX、日経平均株価とは?
TOPIX
東証一部に上場する全銘柄(2,188銘柄、2021.4.30時点)を対象とした株価指数。浮動株時価総額加重型の指数。
*時価総額とは株価 x 発行株数
1969年7月1日より算出を開始し、1968年1月4日を基準日(100ポイント)とします。単位は円ではなく「ポイント」になります。
~日本取引所グループサイトより一部引用~
当然、時価総額の高い銘柄の影響を受けやすくなります。
日経平均株価
日本経済新聞社が公表する、東証一部に上場する銘柄から選定された225銘柄の平均株価指数。
*平均といっても、現在の株価の単純平均ではなく、「みなし額面50円換算」を、株式分割・併合などによる連続性が損なわれないように修正した除数で割った値。
原則、年1回(10月初め)「定期見直し」による銘柄入れ替えを実施。算出開始日は1950年9月7日。
~日経平均プロフィルより一部引用~
株価の高い、いわゆる「値がさ株」の影響を受けやすくなります。
構成銘柄の比較
TOPIXと日経平均株価の構成銘柄上位20位までを比較してみます。
*TOPIXは2021.4月末時点、日経平均株価は2021.5月末時点の値です。それぞれ公式サイトより引用。
TOPIX | 日経平均株価 | |||
1 | トヨタ自動車 | 3.16% | ファーストリテイリング | 11.13% |
2 | ソフトバンクグループ | 2.95% | ソフトバンクグループ | 6.18% |
3 | ソニーG | 2.62% | 東京エレクトロン | 6.07% |
4 | キーエンス | 1.98% | ファナック | 3.28% |
5 | 三菱UFJ | 1.50% | KDDI | 2.78% |
6 | 任天堂 | 1.38% | ダイキン工業 | 2.70% |
7 | リクルートHD | 1.30% | アドバンテスト | 2.47% |
8 | 信越化学 | 1.28% | 信越化学工業 | 2.35% |
9 | NTT | 1.21% | エムスリー | 2.22% |
10 | 日本電産 | 1.17% | テルモ | 2.10% |
11 | 武田薬品 | 1.16% | リクルートHD | 2.08% |
12 | 東京エレクトロン | 1.09% | TDK | 1.74% |
13 | ダイキン工業 | 1.07% | 京セラ | 1.68% |
14 | KDDI | 1.00% | 中外製薬 | 1.57% |
15 | 三井住友 | 1.00% | ソニーG | 1.35% |
16 | 日立 | 0.99% | オリンパス | 1.17% |
17 | 村田製作所 | 0.98% | トヨタ自動車 | 1.14% |
18 | ホンダ | 0.98% | アステラス製薬 | 1.12% |
19 | HOYA | 0.94% | NTTデータ | 1.11% |
20 | 第一三共 | 0.92% | オムロン | 1.08% |
上位20位までで、TOPIXは全体の29%に過ぎないのに対し、銘柄数の少ない日経平均株価は55%も占めています。
広く分散されたTOPIXに対し、日経平均株価は1位のファーストリテイリング(ユニクロの親会社)だけで11%を占め「ユニクロ指数」と揶揄される事もあります。
また、日経平均株価で1位のファーストリテイリングや、7位、9位のアドバンテスト、エムスリーがTOPIXの20位以内に入ってない、
一方、TOPIXのTOP20に入っている三菱UFJ、三井住友の銀行業が日経平均株価のTOP20には入っていない、
等、大きな違いがあります。
一般的には、外需、ハイテク株の影響度が高い日経平均株価、内需株のTOPIXと言われています。
TOPIX、日経平均株価、人気があるのはどっち?
非常に大雑把な見積もりですが、つみたてNISA対象の低コスト・インデックスファンド資金流出入額(2021.4時点の直近6カ月)、純資産総額(2021.4時点)から人気度を見てみます。
さらに、各インデックスファンドのマザーファン純資産総額でも比較してみます。
ファンドの資金流入額や純資産総額で見ると、TOPIXより日経平均株価の方が人気が高いように見えます。
一方、マザーファンド純資産総額では圧倒的にTOPIXが多くなっています。マザーファンドには機関投資家【適格機関投資家】も含まれますので、機関投資家がTOPIXを好んでいるのかもしれません。
詳細は、下記記事を参照にして下さい。
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TOPIX、日経平均株価の過去のパフォーマンスを比較
*TOPIXはYahooファイナンス & SBI証券(HYPER SBI)、日経平均株価は日経平均プロフィル、ETF、インデックスファンドの基準価額は各運用会社のサイトから引用。
チャート
(配当を含まない)チャート
先ずは、1991年1月を基準(10,000)として規格化したTOPIX、日経平均株価の月次チャートを示します。参考までにNT倍率(=日経平均株価/TOPIX)もプロットします。
*いずれも配当は含みません。
基本的な傾向は概ね同じですが、その変動率は大きく異なっている事が分かります。
また、直近10年はNT倍率が増大傾向にあり日経平均株価の方が好調だった事がわかります。
尚、本チャートは配当を含みませんので、パフォーマンスの正確な評価としては適切とは言えません。
配当込みチャート
次に評価期間は短くなりますが配当込みのチャートを比較します。
野村アセットメントマネジメントが運用する下記ETFの分配金再投資時の基準価額を用います。
*基準価額には各ETFの信託報酬などのコストが控除されています。
- TOPIX : NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信【1306】
- 日経平均株価 : NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信【1321】
いずれも2001年7月の設定で20年近い運用実績があります。
下図は2001年7月末日を基準(10,000)として規格化したTOPIX、日経平均株価の月次チャートです。
2001~2008年は殆ど変わらなかった両者ですが、2009年ぐらいから差がつきはじめ、日経平均株価の方がTOPIXを上回るパフォーマンスを示しています。
*以下の評価は、基本的にこの配当込み(ETFの基準価額)で比較していきます。
現時点(2021.5)までのリターン・リスク
2021.5末までのリターン、リスク、シャープレシオ(無リスク資産のリターン0と仮定)を、複数の期間で計算してみます。(いずれも配当込、ETFの結果です)
TOPIX | 日経平均株価 | |
2002.5~2021.5(19年間) | ||
年率リターン | 4.69% | 6.33% |
年率リスク | 17.32% | 18.72% |
シャープレシオ | 0.27 | 0.34 |
2001.7~2011.7(前半10年間) | ||
年率リターン | -2.13% | -0.80% |
年率リスク | 17.63% | 19.78% |
シャープレシオ | --- | --- |
2011.5~2021.5(後半10年間) | ||
年率リターン | 10.91% | 13.40% |
年率リスク | 16.65% | 17.40% |
シャープレシオ | 0.66 | 0.77 |
2002.5~2021.5までの19年間、及び、この19年間を前半・後半の10年に分けて比較していますが、全ての期間で日経平均株価のリターンが上回っています。
リスクは日経平均株価の方が若干大きくなっていますが、それでもリターンの差が大きくシャープレシオでも日経平均株価が勝っています。
複数の5年間のリターン
次に、2001.7から2021.5までの複数の5年間におけるリターン(年率)を見てみます。
*2001.7から5年、2001.8から5年・・・2016.5から5年と投資期間(起点)を1カ月ずつずらした5年間、全部で179区間のデータになります。
ほぼ全ての期間において日経平均株価がTOPIXを上回るリターンを示しています。
この179区間の年率リターン・リスクの平均値をまとめたのが下表。
TOPIX | 日経平均株価 | |
2001.7~2021.5までの複数の5年間の平均 | ||
年率リターン | 4.80% | 6.48% |
年率リスク | 17.45% | 18.73% |
以上、さまざまな期間でリターン・リスクを比較しましたが、全ての期間で、リスクは日経平均株価が若干高いものの、リターンは日経平均株価がTOPIXを上回る成績を残しています。
年間騰落率の比較
各年ごとにTOPIX、日経平均株価の年間騰落率を比較してみます。
下図は、各年の年間騰落率の差、TOPIX-日経平均株価をプロットしたものです。0%ptより上はTOPIXの騰落率が高かった年になります。
尚、2001年までは配当を含まない指数値、2002年以降は配当込み値(ETFの基準価額)での騰落率です。
概ね±5%pt程度の年間騰落率の差があります。そして大きく異なるのが1999年と2009年。1999年はITバブル、2009年はリーマンショックの翌年に当たります。このような○○バブルや△△ショックなど株価が大きく変動する年、及びその前後はTOPIXと日経平均株価に大きな差が出る可能性が高いようです。
尚、全部で29年間の比較になりますが、その間の年間騰落率は、TOPIXの16勝13敗とTOPIXが勝っています。
ただ前章までのリターンの比較に用いた2002年以降(配当込み)では8勝11敗と日経平均株価が勝っています。さらに、日経平均株価が勝った2009年、2020年は10%ptを超える差があり、これが前述のリターンの大きな差につながったと言えます。
為替との相関
次に為替(ドル円)との相関を見てみます。(期間は1991.1~2021.5、配当を含まない指数値)
相関係数は、月次変動率の対数から算出しています。
TOPIX | 日経平均株価 | |
相関係数 | 0.247 | 0.252 |
日経平均株価の方が僅かに為替との相関が強くなっています。
先進国株式(MSCI Kokusai)との相関
さらに先進国株式インデックスファンド(MSCI Kokusai)との相関を見てみます。
尚、TOPIX、日経平均株価、先進国株式とも、SMTインデックスシリーズの基準価額を使用しています。(期間:2010.7~2021.5)
TOPIX | 日経平均株価 | |
相関係数 | 0.781 | 0.820 |
これも若干ですが、日経平均株価の方が相関が強くなっています。
分散投資という観点からは、相関係数は小さい方が望ましいという事は言うまでもありません。
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まとめ
TOPIX、日経平均株価、どちらが良いと一概に決められるものではありませんが、
日経平均株価は、TOPIXに比べて、
- 直近19年間ではリターン大
- リスクは若干大
- 為替・先進国株式インデックスとの相関が僅かに大きい
といった特徴があります。
以上、TOPIX、日経平均株価の比較でした。
TOPIXインデックスファンドの評価・比較は下記ページをご覧ください。
日経平均株価インデックスファンド評価・比較は下記ページをご覧ください。