国内株式に投資するアクティブファンド、ポートフォリアが運用するみのりの投信、及び確定拠出年金専用のみのりの投信(確定拠出年金専用)[みのりのDC]のパフォーマンスを評価します。
*みのりの投信(確定拠出年金専用)を以下、みのりのDCと表記します。
[最終更新日:2020.6.18]最新の情報に更新。
本記事は原則2020年5月末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
みのりの投信、みのりのDCの基本情報
先ず、みのりの投信、みのりのDCの基本情報をまとめます。
*スマホの方は横にスクロールしてご覧ください。
みのりの投信 | みのりのDC | |
運用会社 | ポートフォリア | |
設定日 | 2013年4月30日 | 2016年9月30日 |
信託期間 | 無期限 | |
運用形態 | アクティブファンド | |
投資形態 | ファミリーファンド | |
ベンチマーク | 無 | |
参考指数 | 無 | |
購入時手数料 | 上限4.4% (販売会社が独自に設定) *主要ネット証券 は無料(ノーロード) | (販売会社が独自に設定) 現時点で手数料を徴収 している販売会社は無 |
信託財産留保額 | 無 | |
信託報酬(税込)(*1) | 1.925% | 1.705% |
実質コスト | 2.015%(*2) | 1.772%(*2) |
純資産総額 (2020.6.17時点) | 274.4億円 | 15.5億円 |
分配金実績 | 無 | 無 |
つみたてNISA | 対象外 | |
個人型 確定拠出年金 (iDeCo) | --- | SBI証券 (オリジナル) 北國銀行 |
SBI証券 ポイント還元 年率 | 0.10% (対象投資信託1,000万円 以上保有で0.20%) | --- |
楽天証券 ポイント還元 年率 | 0.048% | --- |
(*1)信託報酬は後述するように純資産総額に応じて下がる体系となっています。
(*2)2020.3.1決算時データ。信託報酬以外のコストに全て消費税がかかるとして増税前後の日数で按分して税率10%時の実質コストに換算。
みのりの投信、みのりのDCは、基本的に同じ方針に基づき、同じマザーファンドで運用されています。異なるのは販売形態、そして信託報酬。信託報酬はみのりのDCの方が0.22%低くなっています。
以後、評価は運用期間が長いみのりの投信を中心に行います。
純資産総額に応じて低くなる信託報酬
みのりの投信、みのりのDCとも、純資産総額に応じて信託報酬が下がる料率体系となっています。
*注:信託報酬が下がるのは、純資産総額が下表の資産額にある部分のみで、全体に対する信託報酬率が下がるわけではありません。
純資産総額 | みのりの投信 | みのりのDC |
300億円以下 | 1.925% | 1.705% |
300億円超 500億円以下 | 1.815% | 1.485% |
500億円超 1,000億円以下 | 1.705% | 1.375% |
1,000億円超 | 1.595% | 1.265% |
みのりの投信は一時300億円を超えていましたが、現時点(2020.6.17)では274億円。今後の資金流入、相場状況によっては、近いうちに300億円を突破する可能性が十分あります。
みのりのDCは、販売会社も少なく、300億円超になるのはまだまだ先でしょう。
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みのりの投信、みのりのDCの運用方針、投資対象
運用方針
「みのりの投信」は、お客様の資産形成のために、
日本円でみた資産の着実な成長を図る事を目的とし、
「みのりの投信マザーファンド」の受益証券を通じて、
日本および海外の株式から選んだ「剛・柔・善」企業への規律ある集中投資によって、
"階段型"に基準価額が上昇する絶対収益型の投資信託を目指します。
みのりの投信 交付目論見書より引用。
目論見書では海外株式にも投資できるようになっていますが、実際は日本株式のみに投資しているようです。
投資対象
2020年5月末の投資状況が下図。
みのりのみのり(月次レポート2020年5月)より引用
相場状況により現金比率を高めたり、あるいは先物売建により、実質的な株式保有比率を下げる事があります(2020年5月で51%)。
また組入銘柄は30と少なく、比較的集中投資しているようです。
みのりの投信(みのりのDC)のパフォーマンス ~過去の運用成績~
みのりの投信の過去のパフォーマンスを調査します。
みのりの投信にはベンチマークも参考指数もありませんが、国内株式に投資するファンドですのでTOPIX、及び人気のひふみ投信とも比較します。
*ひふみ投信は一部を外国株式にも投資します。
*TOPIXは野村 NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投資信託【1306】のデータ使用。
*年率リターン・リスクは月次データ(終値)より計算。またシャープレシオは、無リスク資産の収益率0としています。
*基準価額は各運用会社、または投資信託協会より引用。分配金がある場合は、分配金再投資の価額に独自に変換。
基準価額のチャート
みのりの投信の設定日2013年4月30日を基準(10,000)として規格化した基準価額のチャートを、TOPIX、及びひふみ投信とともに示します。
設定から2020年5月まで、みのりの投信はTOPIXと概ね同等、ひふみ投信には大きく負けているようなチャートに見えます。
以下、パフォーマンスを詳細に解析していきます。
設定来の運用実績(リターン・リスク)
設定日の月末(2013.4)から2020年5月末までの7年1カ月のリスク・リターンを下表にまとめます。
みのりの投信 | TOPIX | ひふみ投信 | |
年率リターン | 3.48% | 6.36% | 13.27% |
年率リスク | 13.72% | 15.42% | 15.55% |
シャープレシオ | 0.25 | 0.41 | 0.85 |
*一般的にシャープレシオが大きいほど投資効率が良いとされています。
設定から現在までの結果を見ると、ひふみ投信はおろかTOPIXにも大きく負けています。
リスクが若干小さくはなっていますが、如何せんリターンが低すぎます。
5年間の運用成績(2013年4月~2020年5月)
上述の現時点までの運用成績は、ある一期間の基準価額の暴騰・暴落に大きく左右され、ファンドの比較・評価として十分とは言えません。
そこで、2013年4月から5年間、さらに2013年5月から5年間・・・2015年5月から5年間と、起点(投資月)を1カ月ずつずらして、それぞれの5年間のリターン、リスクを計算します。全部で26個(区間)のデータとなります。
この複数の5年間のリターンの平均、最大値、最小値をプロットしたのが下図。
みのりの投信はひふみ投信には負けているものの、TOPIXとは概ね同等の成績のように見えます。
下表に5年間のリターン、リスクの平均値をまとめます。(ここでのリターン、リスク、シャープレシオは26区間の平均値を示したもので、厳密な意味でのリスクやシャープレシオとは異なります。)
みのりの投信 | TOPIX | ひふみ投信 | |
年率リターン | 6.57% | 6.87% | 13.94% |
年率リスク | 12.78% | 15.28% | 14.55% |
シャープレシオ | 0.51 | 0.45 | 0.96 |
リターンはTOPIXに若干負けているものの、リスクが小さく、その分シャープレシオでは勝っています。
ただ、ひふみ投信には大きく負けています。
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1年間騰落率 年別比較
アクティブファンドの評価としてもう一つ重要な要素は、常にインデックスに対して勝ち続ける事が出来るかという点です。
そこで1年騰落率(リターン)を年別にTOPIXと比較してみます。
騰落率が高い方 |
*2020年は5月までの騰落率
みのりの投信 | TOPIX | 差 | |
2020年 | -17.4% | -8.0% | -9.4% |
2019年 | 18.7% | 18.0% | +0.8% |
2018年 | -30.4% | -16.1% | -14.3% |
2017年 | 32.2% | 22.1% | +10.2% |
2016年 | 12.4% | 0.2% | +12.2% |
2015年 | 14.3% | 11.9% | +2.4% |
2014年 | 6.1% | 10.1% | -4.0% |
年別の勝敗で見るとみのりの投信の4勝3敗とTOPIXに勝ち越しています。
設定後20017年までは非常に好調なパフォーマンスでしたが、2018年にTOPIXに大きく負け、2020年も5月までは大きく負けている事で、設定来現時点までの成績が前述のように悪くなっています。
傾向としては、相場が堅調な時はTOPIXに勝っているものの、下落時に大きく負けているよう見えます。
みのりの投信、みのりのDCの比較
同じ方針で運用されるみのりの投信、みのりのDCですが、念のためリターンを比較してみます。
2020年5月末日時点の3年間の年率リターンです。
ファンド | リターン (年率) |
みのりの投信 | -6.24% |
みのりのDC | -5.97% |
みのりの投信のリターンをDCの実質コストに換算 | -6.01% |
信託報酬の低いみのりのDCの方が当然リターンは高くなっています。
みのりの投信のリターンを、下式でDCの信託報酬(実質コスト)で換算した値は、実際のみのりのDCのリターンに概ね一致することから、両者の違いは信託報酬だけで運用そのものは同じである事がわかります。
*みのりの投信の年率リターンをT1、実質コストS1、みのりのDCの年率リターンをT2、実質コストS2としたとき、
T2 = (T1+1) x (1-S2) / (1-S1) -1
みのりの投信(みのりのDC)の人気 ~資金流出入額~
みのりの投信の人気を月次資金流出入額・純資産総額から見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
みのりの投信
2017年には大きな資金流入がありましたが、その後徐々に減り始め、ここ2年は大きな資金流入はありません。逆に資金流出の月も多くなっています。
純資産総額も2018年始めには350億を超えましたが、その後減少に転じ、今では300億を割っています。
最近はあまり人気がないようです。
みのりの投信(確定拠出年金専用)[みのりのDC]
確定拠出年金専用だけあって、資金流入は安定していますが、2社しか取り扱いがない事もあり、その額は0.5億前後と大きくはありません。
純資産総額も設定から4年近く経って15億程度にとどまっています。
まとめ
以上、国内株式に投資するアクティブファンド、みのりの投信、みのりの投信(確定拠出年金専用)[みのりのDC]のパフォーマンスをTOPIX、及びひふみ投信との比較を中心に評価しました。
*みのりの投信にはベンチマーク、参考指数はありませんが、国内株式中心に投資するファンドである事からTOPIXと比較しています。
設定当初数年は比較的良好なパフォーマンスを示していましたが、2018年、そして2020年(5月まで)とTOPIXを大きくアンダーパフォームした事により、現時点での設定来のリターンは、ひふみ投信のみならず、TOPIXにも負けています。
2018年1月末に評価した際は、TOPIXやひふみ投信に対して小さなリスクが特徴のファンドだったのですが、現時点では、リスクは若干小さいものの、リターンの低さをカバーできるようなものではありません。
そして、パフォーマンスの悪化とともに資金流入も減少し、最近は資金流出の月も多くなっています。
*これらは全て過去のデータですので、将来のリターンを保証するものではありません。
販売会社
みのりの投信は下記ネット証券で購入できます。
楽天証券なら楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです(上限5万円/月)。さらに、そのポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト楽天カード
また、みのりのDCを個人型確定拠出年金(iDeCo)で取り扱っているのはSBI証券 iDeCo(オリジナルプラン)です。
他の人気・低コストのアクティブファンド一覧(国内株式)は下記ページを参照して下さい。