米国株式を代表する指数、S&P500指数に対し、日々の基準価額の動きが2倍程度となるように運用するレバレッジ型ファンド、iFreeレバレッジ S&P500について解説します。
[最終更新日:2021.11.10]実質コスト、純資産総額を最新の情報に更新。
[2021.10.22]初版。
*本記事は原則2021.9末日時点の情報に基づき記載しています。
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iFreeレバレッジ S&P500の基本情報
大和アセットマネジメントには、多くのファンドをラインアップするiFreeシリーズがありますが、iFreeシリーズがシンプルなインデックスファンドなのに対し、iFreeレバレッジシリーズは「ファンドごとに世界の有望企業を厳選し、パッケージングした企業"群"」にレバレッジをかけて投資します。 (iFree公式サイトより抜粋・編集して引用)
今回解説するのは、米国株式 S&P500に2倍のレバレッジをかけて運用するiFreeレバレッジ S&P500。
NASDAQ100にレバレッジをかける、iFreeレバレッジ NASDAQ100については下記記事を参照して下さい。
先ず、iFreeレバレッジ S&P500の基本情報をまとめます。
運用会社 | 大和アセットマネジメント |
設定日 | 2018年8月31日 |
運用形態 | レバレッジ型ファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 無 |
参考指数 | S&P500指数(米ドルベース) |
購入時手数料 | 販売会社が定める率 上限2.2% *主要ネット証券は無料 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.99% |
実質コスト | 1.127%(*1) |
純資産総額 | 184億円(2021.11.9時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象外 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.10% (対象投資信託1,000万円以上保有で0.20%) |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.080% |
(*1)実質コストは2021.8.30決算より。
(*2)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更。
投資対象
S&P500に対し2倍のレバレッジをかけて投資します。
実際の運用は、主に株価指数先物(S&P5000 E-MINI FUT)に200%投資します。
為替へッジ
本ファンドは為替ヘッジを行います。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
iFreeレバレッジ S&P500の信託報酬は0.990%(税込)。
実質コストは1.127%(2021.8決算結果より)。
購入時手数料は最大2.2%かかりますが、主要ネット証券なら無料で購入できます。
信託財産留保額はありません。
信託報酬の変更履歴
iFreeレバレッジ S&P500は、未だ信託報酬を引下げた実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2018/8/31 | 0.990% | 新規設定。 |
??? | ??? |
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レバレッジ S&P500のリスク、リターン特性、レバレッジの減価(逓減)
米国ETF VOO/SPXL
本章ではS&P500連動型ETF、及びレバレッジ型ETFのデータを参考として用います。
Ticker | ETF | レバレッジ | 経費率 |
VOO | Vanguard S&P500 ETF | 無 | 0.03% |
SPXL | Direxion Daily S&P500 Bull 3X Shares | x3 | 1.01% |
*各ETFの騰落率は分配金10%課税後再投資した場合の終値での騰落率。(終値は米国Yahoo Finance、分配金は各運用会社サイトより引用)
*一部データは三菱UFJ銀行公表のTTMより円に換算
また、VOOの日次データから2倍、3倍のレバレッジ相当の基準価額を作成したデータも用います(VOO x2 or 3 [Sim]と表記)。
レバレッジ S&P500のリスク、リターン
レバレッジをかける事で大きなリターンを得る事が出来る可能性もありますが、同時に大きなリスクをも負う事になります。
そこでレバレッジをかけたS&P500のリスク・リターン特性を調べます。
直近3年のリスク-リターン特性
iFreeレバレッジ S&P500は設定から未だ3年強ですので、先ずは2021年9月末時点の3年間のリスク・リターンを確認します。
レバレッジ無のVOO(円換算)とiFree S&P500インデックス、(この期間ではドル/円の違いも小さい)
レバレッジ2倍のVOO x2[Sim](ドル)、そしてiFreeレバレッジ S&P500、
レバレッジ3倍のSPXL(ドル)、VOO x3[Sim](ドル)
は、それぞれ概ね一致します。
リターン(年率)はレバレッジ無が15%強、2倍レバレッジが25%強、3倍レバレッジが30%前後と、レバレッジ倍率より若干低いリターンになっており、後述する減価の影響を受けていると考えられます。
そして、重要なリスク、当然、レバレッジ倍率に比例して大きくなります。レバレッジ2倍のiFreeレバレッジ S&P500のリスクは38%です。
*リスクが若干レバレッジ倍率の比例からずれているのは、リスクを月次データより計算している為。
直近10年のリスク-リターン特性
3年では評価期間として短すぎますので、もっと長期のデータという事で、iFreeレバレッジ S&P500のデータはありませんが、米国ETFのデータから2021年9月末時点の10年間のリスク・リターンを見てみます。
レバレッジ2倍でリスク28%です。
過去の大きなリターンだけに着目するのではなく、このような大きなリスクを負う事を十分理解し、これを許容できる方のみ投資するようにして下さい。
S&P500レバレッジの減価・逓減
レバレッジ型ファンドは、単調に基準価額が上昇する相場ではレバレッジ倍率以上のリターンを得る事が出来ますが、一方で、基準価額が上昇、下落を繰り返すような相場では次第に基準価額が低下していく現象が見られます。
レバレッジの減価の詳細は下記「グローバル3倍3分法ファンド」で詳しく解説していますので参考にして下さい。
実際にS&P500で、この減価の影響がどのように効いているか見てみます。
VOOの騰落率の2倍と、VOOから作成した2倍レバレッジの騰落率とを比較する事で評価します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
(1)2倍レバレッジ (VOOから作成,Sim) | 72.2% | 27.8% | 32.1% | 30.7% |
(2)VOO騰落率 x2 | 65.1% | 32.4% | 34.2% | 32.0% |
(1)-(2) | +7.2pt | -4.6pt | -2.1pt | -1.3pt |
1年だけはプラスですが、3年以上はマイナスとなっています。
マイナスとは、その期間中の騰落率がレバレッジ無の2倍より小さいという事で、これが減価の影響という事になります。
直近10年でS&P500は大きく上昇しましたが、このような相場でも減価の影響を受けるという事は認識しておく必要あります。
*直近1年のようにレバレッジ無で年率32%も上昇すると、さすがに上昇分の複利効果が減価を上回り騰落率は2倍以上となります。
今後、ボックス相場が続くような事があれば、さらに減価していく事も考えられますので、注意して下さい。
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iFreeレバレッジ S&P500の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からiFreeレバレッジ S&P500の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
2019年までは殆ど売れていませんでしたが、2020年以降徐々に増え、2021年は月10億円前後の資金流入があります。
比較的売れているファンドではありますが、NASDAQ100にレバレッジをかけたiFreeレバレッジ NASDAQ100ほどの人気はありません。
運用状況は?
VOOのデータから作成した2倍レバレッジの騰落率を基準とし、これとiFreeレバレッジ S&P500の騰落率の差を見てみます。
下図は実質コスト(ETFは経費率)に対する2021年9月末時点の3年騰落率(年率)をプロットしたものです。
図中、点線はVOOx2[Sim]を基準に、コストと騰落率の関係を表しています。
図中グレーの点線に対して、iFreeレバレッジ S&P500の騰落率は3年で-1.64%pt、コスト成分以外の乖離が見られます。
これは、例えば、運用報告書にあらわれないコスト(為替ヘッジコスト等)、先物と指数の連動性などに起因すると推測します。
ただ、インデックスファンドと違い、このような乖離をレバレッジファンドで気にする必要があるかは???ですが。。。
iFreeレバレッジ S&P500の分配金
iFreeレバレッジ S&P500は分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ
iFreeレバレッジ S&P500は、S&P500の日々の値動きの2倍となるよう運用するレバレッジ型のファンドです。
iFreeレバレッジ NASDAQ100ほどではありませんが、大きなリターンを望む方に比較的人気のあるファンドです。
ただ、同時に大きなリスクをも負う事になりますので、これを十分理解した上で投資する事をおすすめします。
販売会社
iFreeレバレッジ S&P500は下記の金融機関で購入出来ます。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイント/Pontaポイント/dポイントがもらえます。さらにT or Pontaポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
三井住友カードで投信積立が出来ます。還元率0.5%(ゴールド、プラチナカードはさらに還元率アップ)。
*三井住友カード(NL)なら年会費永年無料。
公式サイト SBI証券、三井住友カード(NL)
楽天証券
楽天ポイントで投資信託を購入出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があります。
公式サイト楽天証券、楽天カード
マネックス証券
マネックスカード(クレジットカード)で投信積立が出来ます。投信積立での還元率1.1%。マネックスカードの発行はマネックス証券口座が必要。
公式サイトマネックス証券
参考記事マネックスカード(クレジットカード)での投信積立決済サービス
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
公式サイト松井証券
尚、本ファンドはレバレッジ型のファンドの為、つみたてNISAでは購入できません。
レバレッジ無のS&P500インデックスファンドの比較・評価は下記記事を参照して下さい。