米国株式指数(NYダウ、S&P500など)との連動を目指すインデックスファンドについて純資産総額、資金流出入額、運用成績(ベンチマークとの乖離)を調査します。
*原則1~3カ月毎に更新します。
[最終更新日:2021.1.7]2020.12末時点の情報に更新。
*本記事は原則2020年12月末日時点の情報に基づき記載しています。
ベンチマークとの乖離は、月報・運用報告書に記載されていますが、その値を他社のファンドと比較する事は出来ません。各社、同じベンチマークでも、配当込・除く、配当課税有無、円換算レートなどの影響でベンチマーク騰落率がファンドにより異なるからです。そこで、 本サイトでは騰落率とコストの関係からベンチマークとの乖離を評価していきます。
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見出し
米国株式インデックスファンドの最近のニュース
NewsSBI・バンガード・S&P500インデックス 初回決算、実質コスト判明
NewseMAXIS S&P500インデックス 新規設定
(所謂eMAXIS FatのS&P500追加です)
比較した米国株式インデックスファンドの信託報酬・純資産総額
比較したファンド、及び、その信託報酬・実質コスト、2020年12月末時点の純資産総額を下表にまとめます。(信託報酬の低い順に並べてあります)
*DC専用ファンドは参考値扱い。(表中グレーの行のファンド)
*全て為替ヘッジ無。
*信託報酬は税込み。実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して8%から10%に換算した概算値です。
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額 (億円) |
NYダウ | |||
NZAM・ベータ・NYダウ | 0.2310% (決算前) | 2020/3/12 | 4.7 |
iFree NYダウ・インデックス | 0.2475% (0.276%) | 2016/9/8 | 202.4 |
たわらノーロード NYダウ | 0.2475% (0.303%) | 2017/3/21 | 37.0 |
SMT ダウ・ジョーンズ インデックスオープン | 0.5500% (0.575%) | 2013/11/19 | 161.9 |
eMAXIS NYダウインデックス | 0.6600% (0.687%) | 2013/8/7 | 179.0 |
日興インデックスファンドNYダウ30(アメリカ株式) | 0.6820% (0.816%) | 2014/3/31 | 22.5 |
S&P500 | |||
SBI・バンガード・S&P500インデックス | 0.0938% (0.114%) | 2019/9/26 | 1026.9 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0968% (0.141%) | 2018/7/3 | 2289.2 |
SMBC・DCインデックスファンド(S&P500) | 0.0968% (決算前) | 2020/7/22 | 1.5 |
つみたて米国株式(S&P500) | 0.2200% (0.273%) | 2020/3/6 | 1.2 |
Smart-i S&P500インデックス | 0.2420% (決算前) | 2020/7/29 | 2.5 |
iFree S&P500インデックス | 0.2475% (0.280%) | 2017/8/31 | 170.2 |
NZAM・ベータ S&P500 | 0.2640% (決算前) | 2020/2/13 | 0.3 |
iシェアーズ米国株式インデックス・ファンド | 0.4125% (0.433%) | 2013/9/3 | 50.6 |
SSGA米国株式インデックス・ファンド | 0.4950% (0.585%) | 2017/9/29 | 56.6 |
CRSP USトータル・マーケット・インデックス[VTI] | |||
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.1620% (0.209%) | 2017/9/29 | 1737.0 |
FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス[VYM] | |||
楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド | 0.1920% (0.290%) | 2018/1/10 | 31.5 |
NASDAQ100 | |||
NZAM・ベータ NASDAQ100 | 0.4400% (決算前) | 2020/3/12 | 13.0 |
インデックスファンドNASDAQ100 (アメリカ株式) | 0.4840% (決算前) | 2020/8/31 | 151.7 |
iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | 0.4950% (0.579%) | 2018/8/31 | 23.3 |
S&P500配当貴族指数 | |||
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族[Funds-i] | 0.5500% (0.606%) | 2017/1/10 | 91.8 |
米国配当貴族(年4回決算型) | 0.5500% (0.596%) | 2018/11/14 | 162.2 |
SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン | 0.6050% (0.699%) | 2016/8/30 | 9.9 |
最新の信託報酬・実質コスト等は下記記事を参照して下さい。
米国株式の各指数について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
NYダウ (ダウ・ジョーンズ工業株価平均)
NYダウとの連動を目指すインデックスファンドで信託報酬最安値は、2020.3.12に新規設定されたばかりのNZAM・ベータ・NYダウ。
これに続くのがiFree NYダウ インデックスとたわらノーロードNYダウの0.2475%。信託報酬以外のコストが高かったたわらノーロードですが、2020.10の決算で実質コストが0.382%から0.303%まで下がりました。
そして、純資産総額トップはiFree NYダウ インデックス。古参のeMAXIS NYダウインデックスより大きな純資産です。
S&P500
S&P500との連動を目指すインデックスファンドは、設定から2年半のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)が純資産総額でトップです。
2019.1.18に100億円、2020.1.20に500億円、2020.5.28には1,000億円の大台にのり、2020.11.25には2,000億円を突破しました。尚、受益者還元型信託報酬により、500億、1000億を超えた部分については上表記載の値より僅かながら低い信託報酬が適用されています。
12月末日時点の純資産総額は2,289億円で、今回比較する米国株式インデックスファンドの中で最も純資産総額の大きいファンドです。
そして、2019年9月26日に超低コストで設定されたSBI・バンガード・S&P500インデックス、設定から僅か1年3カ月後の2020.12.24に1,000億円を超えました。また初回決算が公表され実質コストでも最安値になりました。
楽天・バンガード・ファンド (楽天VTI/VYM)
それぞれ米国バンガード社のETF VTI、及びVYMに投資する楽天・全米株式インデックス・ファンド、楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド。
楽天・全米株式インデックス・ファンドは設定から僅か1年4カ月で300億、2019.7.25には500億円、2020.5.27には1,000億円を超え、2020年12月末時点で1,737億円。2020.5.29に純資産総額でeMAXIS Slim米国株式(S&P500)に抜かれるものの、依然、人気のあるファンドです。
一方、楽天・米国高配当株式インデックス・ファンドは設定から3年になりますが、純資産総額31億円とあまり伸びていません。
尚、楽天・全米株式の実質コストは3期目の決算が公表され、初回決算0.311%、2期目 0.221%(消費税8%)/0.225%(消費税10%)から、0.209%(消費税10%)まで下がりました。
NASDAQ100
最近人気を集めているNASDAQ100との連動を目指すインデックスファンド、信託報酬は若干高いものの、設定から2年が経過したiFreeNEXT NASDAQ100インデックスが純資産総額トップ、2020.12末時点で152億です。
S&P500配当貴族指数
S&P500配当貴族指数との連動を目指すインデックスファンドは野村インデックスファンド・米国配当貴族[Funds-i]、(野村AM)米国配当貴族(年4回決算型)、SMT 米国株配当貴族インデックス・オープンの3本。
信託報酬・実質コストでは野村の2本が低く、純資産総額では設定が最も遅い米国配当貴族(年4回決算型)が大きくなっています。
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資金流出入額 【米国株式インデックスファンド・人気ランキング】
2020年10~12月の概算の月次資金流出入額(*)3カ月合計、及び2020年累計(12月までの1年間)を見てみます。
2020年10~12月の資金流出入額が大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事は、それだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなく、ファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
2020年10~12月 | 2020年累計 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
1 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 512.6 | 1 | 1578.4 |
2 | SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド | 220.6 | 2 | 828.7 |
3 | 楽天・全米株式インデックス | 210.5 | 3 | 768.2 |
4 | iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | 35.7 | 4 | 113.5 |
5 | インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式) | 20.2 | 11 | 22.1 |
6 | iFree S&P500インデックス | 14.4 | 6 | 54.9 |
7 | SSGA米国株式インデックス・ファンド | 2.3 | 10 | 31.3 |
8 | NZAM・ベータ NASDAQ100 | 1.2 | 16 | 6.8 |
9 | 農林中金つみたてNISA米国株式 S&P500 | 0.9 | 18 | 2.9 |
10 | 楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド | 0.7 | 14 | 10.6 |
11 | つみたて米国株式(S&P500) | 0.6 | 19 | 1.1 |
12 | Smart-i S&P500インデックス | 0.2 | 21 | 0.2 |
13 | NZAM・ベータ・NYダウ | 0.1 | 20 | 0.3 |
14 | NZAM・ベータ S&P500 | 0.1 | 22 | 0.2 |
15 | iシェアーズ米国株式インデックス・ファンド | -1.4 | 13 | 11.6 |
16 | iFree NYダウ・インデックス | -1.5 | 9 | 49.5 |
17 | SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン | -1.9 | 23 | -3.4 |
18 | たわらノーロード NYダウ | -2.6 | 12 | 13.9 |
19 | 日興インデックスファンドNYダウ30(アメリカ株式) | -3.5 | 17 | 5.7 |
20 | 米国配当貴族(年4回決算型) | -14.2 | 5 | 60.5 |
21 | 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 | -16.4 | 15 | 10.1 |
22 | eMAXIS NYダウインデックス | -18.0 | 7 | 52.5 |
23 | SMT ダウ・ジョーンズ インデックスオープン | -24.8 | 8 | 52.5 |
参考 | SMBC・DCインデックスファンド(S&P500) | 1.3 | 参考 | 1.4 |
2020年10~12月は上記23本の資金流出入額合計で936億、
その中でeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、SBI・バンガード・S&P500インデックス、楽天・全米株式インデックス・ファンドの3本が突出して多く、この3本だけで944億です。
そして、この3本の中でも圧倒的な資金流入額の多さでトップとなったのがeMAXIS Slim米国株式(S&P500)。2位に倍以上の差をつけています。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) vs. SBI・バンガード・S&P500 vs. 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド)
米国株式インデックスファンドで人気の3本、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス・ファンド、SBI・バンガード・S&P500インデックスの資金流出入額を比較します。
この3本は2020年10~12月期、2020年年間累計でも同一順位です。以下ランキング順にコメントします。
1位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
1位はS&P500との連動を目指すeMAXIS Slim米国株式(S&P500)。
毎月大きな資金流入がありますが、特に株価が急落した2020年3月は201億円と巨額の資金を集め、直近3カ月でも143~210億/月と大きな資金流入が続いています。
2019年12月以降、楽天・全米株式インデックス・ファンドを抜いて1位をキープしています。
2位 SBI・バンガード・S&P500インデックス
設定から1年強にもかかわらず、早くも大きな人気を集めているのがSBI・バンガード・S&P500インデックス。
ついに2020年6月に楽天・全米株式インデックス・ファンドを抜き2位に上昇しました。
当初販売会社がSBI証券 1社だけでしたが、2020.4以降、マネックス証券、岡三オンライン証券、auカブコム証券、SMBC日興証券(ダイレクトコース)、佐賀銀行と増えてきており、資金流入もますます増えてくると予想されます。
3位 楽天・全米株式インデックス・ファンド (楽天・バンガード・ファンド)
設定来、人気を集めているのが楽天・バンガード・ファンドの一つである楽天・全米株式インデックス・ファンド、通称、楽天VTI。
設定当初からほぼ毎月10億以上、2020年は50億(/月)以上と巨額の資金流入が続いています。
最近はeMAXIS SlimやSBI・バンガードの後塵を拝していますが、本ファンド自体の資金流入が減った訳ではありません。
NYダウ・インデックスの資金流出入額比較
NYダウ連動型の主なインデックスファンドの資金流出入額を比較したのが下図。
月毎に資金流出入額が大きく変わる傾向があるNYダウですが、株価が急落した2020年3月は巨額の資金流入がありました。
ただ、その後、資金流入は減り、特に8月、11月は多くのファンドが大きな資金流出となっています。
資金流入・流出とも多いのが、決して低コストとは言えないSMTやeMAXIS。
NYダウへの投資はこういった古参ファンドが中心で、低コストのiFree NYダウインデックス、たわらノーロード、そして2020.3.12に新規設定され、信託報酬最安値となるNZAM・ベータ・NYダウも未だ大きな資金流入はありません。
NASDAQ100インデックス
2020年に入り急激に人気を集めているのがNASDAQ100。
NASDAQ100との連動を目指すインデックスファンドは本数が少なく、現状はiFree NEXT NASDAQ100インデックスの独占状態。
ただ、2020.8.31に新規設定され、iFreeより若干信託報酬が低い(日興)インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)が徐々に資金流入を増やしています。
尚、信託報酬最安値で2020.3.12に設定されたNZAM・ベータ NASDAQ100、まだ多くの資金を集めるまでには至っていません。
NASDAQ100との連動を目指すインデックスファンド、ETFの詳細は下記ページをご覧ください。
リターンの比較。実質コスト(信託報酬+α)が騰落率に反映されているか?ベンチマークとの乖離は?
各米国株式インデックスの騰落率の比較
先ずは2020.12月末日時点の3カ月、年初来(12カ月)、1年騰落率を比較してみます。各ベンチマークで代表的なファンドで比較します。
*今回は12月の結果ですので年初来と1年騰落率が同じになります。
インデックス(ファンド) | 3カ月騰落率 | 年初来騰落率 | 1年騰落率 |
NYダウ(iFree) | 8.5% | 1.7% | 1.7% |
S&P500(eMAXIS Slim) | 9.7% | 10.3% | 10.3% |
S&P500配当貴族(SMT) | 8.3% | 0.4% | 0.4% |
CRSP USトータル・マーケット[VTI](楽天・全米) | 12.2% | 12.8% | 12.8% |
FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス[VYM](楽天・米国高配当) | 11.0% | -6.0% | -6.0% |
NASDAQ100(iFree) | 11.0% | 38.3% | 38.3% |
2020年に入り新型コロナの影響で米国株は大きく下落、そして、その後急速に回復している過程にありますが、その中でも最も好調なのがNASDAQ100、年初来、1年で大きなプラス、ここで評価している中で最も高いパフォーマンスを示しています。
一方、冴えないのがS&P500配当貴族やFTSEハイディビデンド・イールド・インデックスといった高配当系のインデックス。直近3カ月は好調ですが、年初来、1年では他のインデックスに大きく劣後しています。
また、この1年に限ればS&P500よりも、中小型株を含むCRPS USトータル・マーケットの方が好調です。
次にNYダウとS&P500について直近5年間の年率リターン、リスク、シャープレシオ(無リスク資産のリターン=0と仮定)をまとめます。
尚、参考までに先進国株式(MSCI Kokusai)とも比較します。
インデックス(ファンド) | 年率リターン | 年率リスク | シャープレシオ |
NYダウ(SMT) | 9.9% | 18.4% | 0.54 |
S&P500(iシェアーズ) | 10.3% | 17.2% | 0.60 |
MSCI kokusai(SMT) | 8.4% | 17.8% | 0.48 |
直近5年間ではNYダウ、S&P500は概ね同等、若干リスクが小さいS&P500が勝っているという結果。
NYダウ、S&P500を、先進国株式[MSCI kokusai]と比較すると、リターンは大きく上回り、シャープレシオでも勝っています。ここ数年の米国株式の強さがわかります。勿論、今後もこの成績が続くかどうかはわかりませんが。
尚、各米国株式指数の詳細、長期のパフォーマンス比較は下記記事をご覧ください。
参考記事米国株式(アメリカ株)インデックスファンド、そのベンチマーク(指数)を解説、比較。
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ベンチマークとの乖離
NYダウとS&P500に連動を目指す各インデックスファンドのベンチマークとの乖離を調べます。
騰落率と実質コストの関係から乖離を評価します。
*騰落率は各ファンドの基準価額から管理人が独自に計算した結果。
*ベンチマーク値(NYダウ、S&P500)もプロット。米国S&P Dow Jones Indices社サイトのデータを引用、さらに三菱UFJ銀行の為替レートを使って管理人が独自に円換算。
*実質コストに対する騰落率を見ていきますが、期中に信託報酬の変更があったファンドは、その期間に応じて按分した実質コストを用います。(期中平均コストは基準価額の変動を考慮せず)
騰落率とコストの関係は、理想的には配当課税を適切に考慮したインデックス(指数)騰落率(これを「真のインデックス」と定義)から決まる傾き、切片の直線になります。ただ、外国株式の場合、「真のインデックス」騰落率がわかりませんので、管理人の主観で図中グレーの点線を引き「真のインデックス」(推定値)をピンクの星印で示しています。
*S&P社は配当課税を考慮したネット指数も出していますが、配当課税は日本に対して適切なものではありません。経験上、「真のインデックス」は配当課税を考慮しないグロスとネットの中間にあると思われます。
(注)本評価では、多くのファンドがベンチマークとの乖離がないであろうとの仮定・前提のもと、この「多くのファンド」から外れた騰落率を示すものを「乖離」と判定します。評価方法やインデックスの詳細については下記記事をご覧ください。
NYダウ連動型インデックスファンドのベンチマークとの乖離
2020.12末日時点の1年騰落率と実質コストの関係を見てみます。
概ね各ファンド、そのコストに応じた騰落率となっています。
ただ、厳密にはSMTが若干上方乖離しているようです。
尚、今まではたわらノーロードが上方乖離しているように見えていたのですが、最新の実質コスト(前期より大幅に下がった)でプロットする事で、概ね同一直線上にのるようになりました。
NZAM・ベータ・NYダウ
信託報酬最安値で2020.3.12に設定されたNZAM・ベータ・NYダウ、この運用結果を2020.12末日時点の6カ月騰落率で見てみます。
NZAM・ベータ・NYダウは他のファンドに比べて大きくマイナス側に位置しており、大きな乖離、または信託報酬以外のコストの増大が起きていると推測されます。
まだ安定した運用とは言えませんが、これからの結果に注目していきましょう。
S&P500連動型インデックスファンドのベンチマークとの乖離
*データ数を増やすため農林中金<パートナーズ>つみたてNISA米国株式S&P500を追加します。
1年騰落率
2020.12末日時点の1年騰落率と実質コストの関係を見てみます。
S&P500はコストと騰落率の相関が弱い事が多いのですが、その中でも順当に低コストのeMAXIS Slimの騰落率が最も高くなっています(iFreeとの差は僅かですが)。
尚、実質コストでも最安値となったSBI・バンガード・S&P500インデックスですが、未だマイナス側の乖離が生じており、そのコストの低さが騰落率に反映されていないようです。
3カ月騰落率 (つみたて米国株式、Smart-i、NZAM、SMBC・DCの運用状況は?)
設定から1年未満のつみたて米国株式(S&P500)、Smart-i S&P500インデックス、 NZAM・ベータ S&P500、SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)、及び直近の運用成績という事で、2020.12末日時点の3カ月騰落率を見てみます。
3カ月と短期間の評価ですが、信託報酬・実質コスト最安値のSBI・バンガード・S&P500インデックスが最も高い騰落率を示しています。ただ、(図示しませんが)1カ月毎の騰落率を見ると、他のファンドに比べて12月はマイナス、11月はプラスと安定しておらず、偶然の結果と推測します。
つみたて米国株式(S&P500)はマザーファンドがeMAXIS Slimと同じという事もあり、既に安定した運用になっています。
一方、Smart-i、NZAMベータ、SMBC・DCの3本は大きくマイナス乖離しており、未だ運用が安定していません。NZAMベータと同じマザーファンドで運用する農林中金<パートナーズ>米国株式 S&P500インデックスも同等の騰落率となっており、こちらもベンチマークとの乖離が生じているのでしょう。
*運用が安定しないというのは、実質コストの増大、あるいはコスト要因以外でのベンチマークとの乖離を意味します。
(注意)以上の評価は、一部管理人の主観を含みます。
おすすめの米国株式インデックスファンド(投資信託)は?
(注)「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なファンドの選択はご自身の判断で行ってください。
NYダウ
設定から4年、順調に純資産を伸ばしている事、そして低いコストに応じた高い騰落率になっている事から「おすすめ」としました。
ただ、たわらノーロード NYダウも実質コストが下がり、iFreeとパフォーマンス的には大きな差はありません。
S&P500
信託報酬最安値(税抜)で、今最も売れている
そのコストの低さに応じた高い騰落率となっており、ベンチマークとの乖離がない安定した運用が魅力のファンドです。
勿論、信託報酬・実質コスト最安値のSBI・バンガード・S&P500インデックスも有力な選択肢の一つです。ベンチマークとの連動性よりも、バンガード社 ETF VOOに魅力を感じる方におすすめ。
楽天・バンガード・ファンド(全米株式)
CRSP USトータル・マーケット・インデックス、そしてVTIに気軽に投資できるファンド。
初回決算では実質コスト0.311%と高めでしたが、2期目、3期目決算で十分下がり「信託報酬以外のコスト」という点では問題なくなりました。そして小型株を含めた米国株式に投資できる唯一無二の存在だけに、そのベンチマークに拘りがあり、米国ETF VTIへの直接投資の代わりとして、つみたてNISA等で購入したい方にはお勧め。
ただ、ベンチマークが違うとはいえSBI・バンガード・S&P500インデックス、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)と信託報酬の差が大きすぎます。信託報酬引下げを期待!
まとめ
以上、米国株式に投資するインデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、騰落率、及びベンチマークとの乖離を調査しました。
圧倒的な人気を誇るのがeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、SBI・バンガード・S&P500インデックス、楽天・全米株式インデックス・ファンドの3本。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は運用も安定しており、資金流入額でも圧倒的な強さを見せています。純資産総額も2,000億円を超え、(ここで評価対象にしたファンドの中で)最も大きな米国株式インデックスファンドです。さらに、2019.11.12からの信託報酬引下げでコスト的にもSBI・バンガードと並び最安値(税抜き)をキープしています。
そして早くも人気を集めているSBI・バンガード・S&P500インデックスにも注目です。未だベンチマークとの連動性という点では問題があるように見えますが、コストは低くeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の良きライバルファンドとなる事でしょう。
楽天・全米株式インデックス・ファンド、依然、大きな資金流入額で純資産総額も1,700億を超えました。
NYダウではiFree NYダウ・インデックス。低い信託報酬と、それに応じた高い騰落率で、純資産総額も古参のSMT、eMAXISを抜き200億円を突破しました。
販売会社
ここで取り上げた米国株式インデックスファンドは主に下記ネット証券を中心に販売されています。
*一部ファンドは「つみたてNISA」の対象外です。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
(つみたてNISAでも購入可能)
*SBI・バンガードは取扱い無
公式サイト楽天証券、楽天カード
SMBC日興証券(ダイレクトコース)
大手店頭証券で唯一eMAXIS Slimシリーズ、SBI・バンガード、楽天・バンガードを取扱い(ダイレクトコースのみ)。
国内株式を定額(100円~)、買付手数料無料(100万円以下)で買付・積立出来、さらにdポイントも使えるキンカブ・日興フロッギーも魅力の証券会社。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイトSMBC日興証券
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでも購入可能、但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)では、楽天・全米株式インデックスファンドを楽天証券 iDeCo、
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)はマネックス証券 iDeCo、SBI証券 iDeCo(セレクトプラン)
、
そして、松井証券 iDeCoでは両方のファンドを取扱っています。
米国株式の各種インデックスについての解説は下記記事を参照して下さい。
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米国株式インデックスファンド(本記事)
国内株式(JPX日経インデックス400)インデックスファンド