スパークス・アセット・マネジメントが運用し、国内株式に投資するアクティブファンド、スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)のパフォーマンスを、人気のひふみ投信(ひふみプラス)や、国内株式の代表的指数であるTOPIXとの比較も含めて評価します。
[最終更新日:2024.9.10]マネックス証券ポイント10月分よりアップ。
[2024.2.23]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024年1月末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)の基本情報・概要
先ず、スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)の基本情報をまとめます。
運用会社 | スパークス・アセット・マネジメント |
設定日 | 2008年3月28日 |
信託期間 | 2045年3月27日(*2) |
運用形態 | アクティブファンド |
投資形態 | --- |
ベンチマーク | 無 |
参考指数 | TOPIX(配当込) |
購入時手数料 | 上限3.3%(販売会社が独自に設定) *主要ネット証券は無料(ノーロード) |
信託財産留保額 | 0.30% |
信託報酬(税込) | 1.804% |
実質コスト | 1.859%(2023.3.27決算時点) |
純資産総額 | 1,958億円(2024.1.31時点) |
分配金実績 | 有(2014年以降は毎年500円分配) |
NISA(つみたて投資枠) | 対象外 |
NISA(成長投資枠) | 対象 |
個人型確定拠出年金(iDeCo) | マネックス証券 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.10% (対象投資信託1,000万円以上保有で0.20%) |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*1) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.26%(*3) |
松井証券ポイント還元年率 | 0.70% |
(*1)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
(*2)信託期間、2028.3.27だったものが2045.3.27に延長されました。
(*3)2024.10保有分より
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)の運用方針、投資対象
運用方針
1. 高い技術力やブランド力があり、今後グローバルでの活躍が出来る日本企業を中心に投資します。
2. ベンチマークを設けず、20銘柄程度に厳選投資を行います。
3.原則として短期的な売買は行わず、長期保有する事を基本とします。
~交付目論見書より引用~
国内株式に投資するアクティブファンドですが、その大きな特徴は20銘柄程度と特定の銘柄に集中投資している点。
1銘柄の構成比率が10%を超える場合もある「特化型運用」になり、リスクが高くなる可能性があります。
投資対象
2024年1月末時点の銘柄総数は僅か22銘柄、組入上位5銘柄は下記のようになります。
投資銘柄数が少ない為、1位の日立製作所が9.0%と高い比率になっています。
画像引用:スパークス・新・国際優良日本株ファンド マンスリーレポート(2024/1)
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スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)の運用状況・パフォーマンス (ひふみ投信、TOPIXと比較)
*以下、年率リターン・リスクは月次データ(終値)より計算。またシャープレシオは無リスク資産の収益率0として計算。
*基準価額は、各運用会社のサイトまたは投資信託協会より入手。分配金がある場合は、分配金再投資の価額に独自に変換。
*TOPIXは野村 NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信【1306】のデータ使用。
基準価額のチャート
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)の設定日は2008年3月28日ですが、比較対象とするひふみ投信の設定日に合わせ2008年10月1日を基準(10,000)として規格化した基準価額のチャートを示します。
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)は、(ほぼ)設定来のチャートで見ると人気のひふみ投信にも匹敵する成績で、参考指数であるTOPIXを大きく上回っています。
以下、運用成績を詳細に分析していきます。
設定来の運用実績(リターン・リスク)
設定日からは7カ月遅れますが、ひふみ投信に合わせ2008.10~2024.1(月末基準)の15年3カ月のリターン・リスクを見てみます。
スパークス厳選投資 | ひふみ投信 | TOPIX | |
年率リターン | 14.54% | 13.49% | 9.57% |
年率リスク | 15.93% | 14.74% | 16.13% |
シャープレシオ | 0.91 | 0.92 | 0.59 |
*一般的にシャープレシオが大きいほど投資効率が良いとされています。
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)はTOPIXをリターンで大きく上回り、集中投資で懸念されるリスクもTOPIXより小さくなっています。またひふみ投信と比較すると、リターン・リスクとも若干高く、概ね互角のパフォーマンスといって良いでしょう。
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5年間の運用成績(2008年10月~2023年1月) ~ローリングリターン~
上述の現時点までの運用成績は、ある特定期間のみの騰落率に大きく左右される事もあり、ファンドの比較・評価として十分とは言えません。
また、アクティブファンドの評価として重要な要素は、常にインデックスに対して勝ち続ける事が出来るかという点です。
そこで、2008年10月から5年間、さらに2008年11月から5年間・・・2019年1月から5年間と、起点(投資月)を1カ月ずつずらして、それぞれの5年間のリターン、リスクを計算します。全部で124個(区間)のデータとなります。
この複数の5年間のリターンの平均、最大値、最小値をプロットしたのが下図。
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)は平均値でTOPIXを6%ポイント程上回っており、さらにひふみ投信にも平均値、最大値、最小値とも勝ってます。
下表に5年間のリターン、リスクの平均値をまとめます。(ここでのリターン、リスク、シャープレシオは124区間の平均値を示したもので、厳密な意味でのリスクやシャープレシオとは異なります。)
スパークス厳選投資 | ひふみ投信 | TOPIX | |
年率リターン | 16.41% | 15.33% | 9.90% |
年率リスク | 15.75% | 15.19% | 16.20% |
シャープレシオ | 1.04 | 1.01 | 0.61 |
この評価でもTOPIXには完勝、ひふみ投信とは概ね互角、若干上回る結果です。
次に、投資月に対する5年間のリターン(年率)をプロットします。
この124個の5年間という区間で、スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)のリターンはTOPIXに対して117勝7敗と圧勝。
ただ、この7敗は投資月が2018年6月以降(投資終了月が2023.6以降)とここ数年に集中しています。これは、後述するように特に2022年のパフォーマンスが冴えなかった影響です。
ひふみ投信にも91勝33敗と大きく勝ち越しています。
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1年間騰落率 年別比較
次に各年(1年毎)の1年騰落率(リターン)を比較します。
騰落率が高い方 |
年 | スパークス厳選投資 | TOPIX | 差 |
2023年 | 30.5% | 28.2% | 2.3%pt |
2022年 | -20.0% | -2.5% | -17.5%pt |
2021年 | 11.0% | 12.6% | -1.7%pt |
2020年 | 21.4% | 7.3% | 14.1%pt |
2019年 | 18.6% | 18.0% | 0.7%pt |
2018年 | -5.7% | -16.1% | 10.4%pt |
2017年 | 29.1% | 22.1% | 7.1%pt |
2016年 | 7.4% | 0.2% | 7.2%pt |
2015年 | 18.5% | 11.9% | 6.6%pt |
2014年 | 26.1% | 10.1% | 16.0%pt |
2013年 | 65.2% | 54.1% | 11.1%pt |
2012年 | 26.0% | 20.6% | 5.4%pt |
2011年 | -15.7% | -17.0% | 1.4%pt |
2010年 | 6.8% | 0.9% | 5.8%pt |
2009年 | 15.9% | 7.4% | 8.6%pt |
2009年~2023年の15年間で、スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)はTOPIXに13勝2敗と2年負けただけです。しかも勝った13年のうち2011、2019、2023年を除いた10年で5ポイント以上の差をつけています。
ただ、2021年は僅差で、2022年は大きくTOPIXに負けています。
尚、表には示しませんでしたが、ひふみ投信にも9勝6敗と勝っています。
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)の人気 (資金流出入額)
月次資金流出入額、純資産総額からスパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
設定から暫くは全く売れていませんでしたが、2015年に大きな資金流入があり、純資産を一気に増やしました。
その後も資金流出・流入と安定しませんが、2021年~2023年前半は資金流入の月が多くなっています。
過去の素晴らしいパフォーマンスのわりには、あまり人気が無いように思えます。
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まとめ
国内株式の約20銘柄に集中投資するアクティブファンド、スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)は、設定以来、TOPIXを大きく上回る成績を残しています。さらに、2020年までは毎年TOPIXを上回る安定した運用も評価できます。集中投資で懸念されるリスクの増大は現在までのところ見られていません。
そして、人気のひふみ投信にも勝る成績です。
過去の長期の実績から見れば国内株式を対象とした魅力的なアクティブファンドの一つと言って良いでしょう。
ただ、2021~22年、特に2022年はTOPIXに大きく劣後しました。
また、資金流出入は安定せず、また信託期限が2045年3月27日までとなっている点にも注意して下さい(将来変更・延長される可能性もありますが)。
販売会社
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)は下記ネット証券なら購入時手数料無料で購入できます。
ポイント還元という点では松井証券が有利です。
一方、マネックス証券、SBI証券、auカブコム証券、楽天証券はクレジットカードによる投資信託の積立が可能でポイント還元が受けられます。
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他の人気・低コストのアクティブファンド一覧は下記ページを参照して下さい。