米国株式、NASDAQ(ナスダック)上場銘柄のうち時価総額上位100(除く金融)から構成されるNASDAQ100指数に対し、日々の基準価額の動きが2倍程度となるように運用するレバレッジ型ファンドについて解説、評価します。
NASDAQ100のレバレッジ型ファンドは下記の3本が運用、販売されています。
いずれも2倍のレバレッジをかけます。
- iFreeレバレッジ NASDAQ100
- 楽天レバレッジNASDAQ-100 (愛称:レバナス)
- auAMレバレッジ NASDAQ100
この3本の比較も行います。
尚、NASDAQ100レバレッジ型ファンドの事をネット、SNS等では「レバナス」と呼ぶ事もあります。
*ただ正式にレバナスという言葉をファンド名称・愛称に使用しているのは楽天レバレッジのみです。
[最終更新日:2022.9.30]auAMレバレッジの投資先について追記。
[2022.9.13]初版。
*本記事は原則2022.8末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
レバレッジ型 NASDAQ100ファンド(iFreeレバレッジ / 楽天レバレッジ/auAMレバレッジ)の基本情報
先ず、レバレッジ型 NASDAQ100ファンド、
- iFreeレバレッジ NASDAQ100
- 楽天レバレッジNASDAQ-100 (愛称:レバナス)
- auAMレバレッジ NASDAQ100
の基本情報をまとめます。
尚、iFreeシリーズにはレバレッジをかけないインデックスファンド、iFreeNEXT NASDAQ100インデックスもありますが、これについては下記記事を参照して下さい。
iFreeレバレッジ NASDAQ100 | 楽天レバレッジNASDAQ-100 | auAMレバレッジ NASDAQ100 | |
運用会社 | 大和アセットマネジメント | 楽天投信投資顧問 | auアセットマネジメント |
設定日 | 2018年10月19日 | 2021年11月17日 | 2022年7月28日 |
運用形態 | 2倍レバレッジ型ファンド | ||
投資形態 | ファミリーファンド | --- | ファミリーファンド |
為替ヘッジ | 有 | ||
ベンチマーク | 無 | ||
参考指数 | NASDAQ100(米ドルベース) | ||
購入時手数料 | 上限2.2% | 上限3.3% | 上限2.2% |
*主要ネット証券は無料 | |||
信託財産留保額 | 無 | ||
信託報酬(税込) | 0.99% | 0.77% | 0.4334% |
実質コスト | 1.165%(*1) | 決算前 | 決算前 |
純資産総額(2022.8.31時点) | 1,475億円 | 250億円 | 2.0億円 |
分配金実績 | 無 | ||
つみたてNISA | 対象外 | ||
SBI証券ポイント還元年率 | 0.10%(*2) | 取扱無 | auカブコム証券 のみ取扱い |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*3) | ---%(*3) | |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.080% | 取扱無 |
(*1)実質コストは2021.10.19決算より。
(*2)対象投資信託1,000万円以上保有で0.20%
(*3)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更。
投資対象・レバレッジ手法
NASDAQ100に対し2倍のレバレッジをかけて投資します。
尚、レバレッジ運用には、
株価指数先物を用いてレバレッジ運用を行う手法と、連動債券を用いて行う手法があります。
大和アセットマネジメント iFreeレバレッジNASDAQ100 ファンドの運用手法に関するご説明より引用
各ファンドの運用方法は下表のようになります(比率は2022.8末時点)。
株式指数先物 (E-mini Nasdaq-100) | 連動債券 (HARP ナスダック100 先物2倍レバッレッジ リンク債) | |
iFreeレバレッジ NASDAQ100 | 199.3% | --- |
楽天レバレッジNASDAQ-100 | 67.5% | 66.8% (x2) |
auAMレバレッジ NASDAQ100 | 208.9%(*) | --- |
(*)auAMの先物の具体的な商品名の記載無。E-mini Nasdaq-100と管理人は推測。
iFreeレバレッジ NASDAQ100
iFreeレバレッジ NASDAQ100は、株式先物指数(E-mini Nasdaq-100)のみでレバレッジをかけます。
楽天レバレッジNASDAQ-100
楽天レバレッジNASDAQ-100は、株式先物指数(E-mini Nasdaq-100)とHarp Issuer plcが発行する円建債券の両方に投資し、その配分比率は流動性を考慮し決定とあります。
2022年1月~8月までの間で最も円建債券比率が高かった時(2022.3)で、円建債券 82.6% : 先物 38.1%となっています。
円建債券の場合、その信託報酬、経費率などのコストが別途かかる可能性がありますが、交付目論見書、月報等には記載がありません。
1期目決算が2022.10.7で、おそらく2022年末までには運用報告書が公開されると思いますが、そこに詳細が記載される事を期待しましょう。
auAM レバレッジNASDAQ100
auAM レバレッジNASDAQ100は、株式先物指数のみでレバレッジをかけます。
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為替へッジ
3ファンドとも為替ヘッジを行います。
iFreeレバレッジ NASDAQ100の場合は、先物に投資しますので、為替リスクは主に証拠金の部分にかかりますが(余剰金を米国債に投資した場合はこの米国債部分も)、この証拠金(純資産の30~40%程度)、及び米国債部分に為替ヘッジを行います。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
各ファンドの信託報酬・実質コストを下表にまとめます。
但し、現時点で実質コストが判明しているのはiFreeレバレッジ NASDAQ100のみです。
*信託報酬・実質コストとも税込み表記
信託報酬 | 実質コスト | |
iFreeレバレッジ NASDAQ100 | 0.99% | 1.165% |
楽天レバレッジNASDAQ-100 | 0.77% | (決算前) |
auAMレバレッジ NASDAQ100 | 0.4334% | (決算前) |
最も信託報酬が低いのがauAM レバレッジNASDAQ100の0.4334%。
そして、楽天レバレッジNASDAQ-100 0.77%、
iFreeレバレッジ NASDAQ100 0.990%と続きます。
ただ、楽天レバレッジNASDAQ-100は前述のように円建債券に多くを投資している為、この経費が別途上乗せされる可能性があります。
購入時手数料は目論見書上は最大2.2~3.3%かかりますが、主要ネット証券なら3本とも無料で購入できます。
信託財産留保額は3本ともありません。
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【レバナス】レバレッジ NASDAQ100のリスク、リターン特性、レバレッジの減価(逓減)
米国ETF QQQ/QLD/TQQQ
本章ではNASDAQ100連動型ETF、及びレバレッジ型ETFのデータを参考として用います。
Ticker | ETF | レバレッジ | 経費率 |
QQQ | Invesco QQQ Trust Series1 | 無 | 0.20% |
QLD | ProShares ULTRA QQQ | x2 | 0.95% |
TQQQ | ProShares ULTRAPRO QQQ | x3 | 0.95% |
*各ETFの騰落率は分配金10%課税後再投資した場合の終値での騰落率。(終値は米国Yahoo Finance、分配金は各運用会社サイトより引用)
*一部データは三菱UFJ銀行公表のTTMより円に換算
また、QQQの日次データから2倍、3倍のレバレッジ相当の基準価額を作成したデータも用います(QQQ x2 or 3 [Sim]と表記)。
レバレッジ NASDAQ100のリスク、リターン
レバレッジをかける事で大きなリターンを得る事が出来る可能性もありますが、同時に大きなリスクをも負う事になります。
そこでレバレッジをかけたNASDAQ100のリスク・リターン特性を調べます。
直近3年半のリスク-リターン特性
国内インデックスファンドで最も運用実績の長いiFreeレバレッジ NASDAQ100ですら設定から未だ4年弱ですので、先ずは2022年8月末時点の3.5年間のリスク・リターンを確認します。
レバレッジ無のQQQ(円換算)とiFreeNEXT NASDAQ100インデックス、(この期間ではドル/円により大きく異なります)
レバレッジ2倍のQLD(ドル)、QQQ x2[Sim](ドル)、そしてiFreeレバレッジ NASDAQ100、
レバレッジ3倍のTQQQ(ドル)、QQQ x3[Sim](ドル)
は、それぞれ概ね一致します。
リターン(年率)はレバレッジ無が25%、2倍レバレッジが25~30%、3倍レバレッジが25~32%と、レバレッジ倍率が高くなってもリターンはそう変わらず、この期間では後述する減価の影響を強く受けていると推測されます。
そして、重要なリスク、当然、レバレッジ倍率に概ね比例して大きくなります。レバレッジ2倍のiFreeレバレッジ NASDAQ100のリスクは45%です。
*リスクが若干レバレッジ倍率の比例からずれているのは、リスクを月次データより計算している為。
直近10年のリスク-リターン特性
3.5年では評価期間として短すぎますので、もっと長期のデータという事で、国内インデックスファンドのデータはありませんが、米国ETFのデータから2022年8月末時点の10年間のリスク・リターンを見てみます。
レバレッジ2倍でリスク35%です。
過去の大きなリターンだけに着目するのではなく、このような大きなリスクを負う事を十分理解し、これを許容できる方のみ投資するようにして下さい。
NASDAQ100レバレッジの減価・逓減
レバレッジ型ファンドは、単調に基準価額が上昇する相場ではレバレッジ倍率以上のリターンを得る事が出来ますが(増価)、一方で、基準価額が下落、あるいは上昇、下落を繰り返すような相場では次第に基準価額が低下していく現象が見られます(減価)。
レバレッジの減価の詳細は下記「グローバル3倍3分法ファンド」で詳しく解説していますので参考にして下さい。
実際にNASDAQ100で、この減価の影響がどのように効いているか見てみます。
QQQの騰落率の2倍と、QQQから作成した2倍レバレッジの騰落率とを比較する事で評価します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
(1)2倍レバレッジ (QQQから作成,Sim) | -41.4% | 28.0% | 27.5% | 31.4% |
(2)QQQ騰落率 | 0.4% | 28.5% | 22.0% | 23.9% |
(1)/(2) | -117 | 1.0 | 1.3 | 1.3 |
1年騰落率ではQQQはかろうじてプラスを維持していますが、2倍レバレッジは大きなマイナスとなっています。
QQQが大きなプラスとなった3年~10年騰落率においても、2倍レバレッジはQQQの1.0~1.3倍に留まっており、これが減価の影響です。
このように、レバレッジ無しの元指数が大きくプラスの期間でも、レバレッジ倍率ほどリターンは上がらない場合があるという事を認識しておく必要があります。
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レバナス iFreeレバレッジ NASDAQ100 / 楽天レバレッジ NASDAQ-100 / auAMレバレッジNASDAQ100の人気・運用状況の比較
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額からNASDAQ100レバレッジ型ファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
最も売れているのが早くに設定されたiFreeレバレッジ NASDAQ100。
2020年以降、急激に資金流入が増え、安定はしていませんが月によっては100億を超える月もあります。レバレッジ無のiFreeNEXT NASDAQ100インデックスよりも売れている人気のファンドです。
純資産総額も1,475億円(2022.8末時点)と大きくなっています。
ただ2022年に入り軟調な相場の影響か、徐々に資金流入が減っています。
2021年11月に設定された楽天レバレッジNASDAQ-100、設定当初は100億近く集めた月もありましたが、iFreeレバレッジ NASDAQ100には及びません。本ファンドも徐々に減少傾向にあります。純資産総額は250億円(2022.8末時点)。
そして、2022年7月末に設定されたauAM レバレッジNASDAQ100、設定されたばかり、さらに販売会社がauカブコム証券1社という事もあり、まだ2億程度の資金流入に留まっています。
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運用状況は?
QQQのデータから作成した2倍レバレッジの騰落率を基準とし、これと各ファンドの騰落率を比較する事で評価します。
また、同時にQLDの騰落率もプロットします。
3年騰落率
唯一、長期の運用実績があるiFreeレバレッジ NASDAQ100の直近3年間の騰落率を見てみます。
下図は実質コスト(ETFは経費率)に対する2022年8月末時点の3年騰落率をプロットしたものです。
図中、点線はQQQx2[Sim]を基準に、コストと騰落率の関係を表しています。
図中グレーの点線に対して、iFreeレバレッジ NASDAQ100の騰落率は3年で-0.97%pt(年率換算)、コスト成分以外の乖離が見られます。
これは、例えば、運用報告書にあらわれないコスト(先物取引の金利負担、為替ヘッジコスト等)、先物と指数の連動性などに起因すると推測します。
*大和AMのiFreeレバレッジ NASDAQ100 特別レポート(2022.9.5)によると2022.8末時点の1年の為替ヘッジコストは0.29%程度
ただ、コストが命とも言って良いインデックスファンドと違い、このような乖離をレバレッジファンドでどこまで気にするかは???ですが。。。
6カ月騰落率
設定から10カ月強の楽天レバレッジNASDAQ-100を評価する為、6カ月騰落率を見てみます。
下図は実質コスト(ETFは経費率、楽天レバレッジは実質コストが未だ不明の為信託報酬)に対する2022年8月末時点の6カ月騰落率をプロットしたものです。
QQQx2[Sim]を基準とした図中グレーの点線からは両ファンドとも下方に位置しますが、楽天レバレッジNASDAQ-100の騰落率はiFreeレバレッジ NASDAQ100より低くなっています。
現時点では、楽天レバレッジNASDAQ-100の交付目論見書上での信託報酬の低さは騰落率に反映されていないように見えます。
1カ月騰落率
設定されたばかりのauAM レバレッジNASDAQ100を評価する為、1カ月騰落率を見てみます。
下図は実質コスト(ETFは経費率、auAM/楽天レバレッジは実質コストが未だ不明の為信託報酬)に対する2022年8月末時点の1カ月騰落率をプロットしたものです。
auAM レバレッジNASDAQ100の騰落率はiFreeレバレッジ NASDAQ100と概ね同等。楽天レバレッジNASDAQ-100より高くなっています。
とはいっても僅か1カ月のデータ、ファンドの優劣を評価するのに十分な期間とは言えません。
今回のデータはあくまで参考程度に留めておいてください。
(暫くしたら本記事・データもアップデートします)
レバナスの分配金
iFreeレバレッジ NASDAQ100は分配金を出した実績はありません。
また、楽天レバレッジNASDAQ-100、auAM レバレッジNASDAQ100も設定されたばかりですので分配金実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ ~おすすめのレバナス・ファンドは~
NASDAQ100の日々の値動きの2倍となるよう運用するレバレッジ型ファンド、通称、レバナスは、堅調な相場では大きなリターンが期待できるファンドです。
一方で、非常に大きなリスクを負う事になりますので、このリスクに耐えうる範囲で投資する事をお勧めします。
また、レバレッジ型ファンドは軟調な相場、ボックス相場では大きく減価する特性がある事にも注意して下さい。
以上を理解した上で、レバナスに投資する方に、本サイト管理人が現時点でおすすめするレバナス・ファンドは、
iFreeレバレッジ NASDAQ100
3本の中で唯一長期の運用実績、資金流入・純資産総額の大きさ、さらに、運用会社(大和アセット)が積極的に各種情報、レポートを発信している点も評価できます。
一方、iFreeより信託報酬の低い楽天レバレッジNASDAQ-100、auAM レバレッジNASDAQ100は、詳細な比較・評価を行うのに十分な運用実績がなく、今後に期待のファンドという事で!
販売会社
iFreeレバレッジ NASDAQ100は下記の金融機関で購入出来ます。
尚、楽天レバレッジNASDAQ-100は楽天証券のみ、auAM レバレッジNASDAQ100はauカブコム証券のみでの販売です(2022.8末時点)。
また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
公式サイトマネックス証券
また投資信託保有でTポイント、Pontaポイント、dポイントがもらえます。さらにT/Pontaポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト SBI証券
*三井住友カード(NL)なら年会費永年無料、三井住友カード ゴールド(NL)は1年間だけでも年間100万円以上利用(一部取引は集計対象外 ※対象取引や算定期間等の実際の適用条件などの詳細は、三井住友カードのホームページを必ずご確認ください。)すれば翌年以降は利用額によらず年会費永年無料。
公式サイト三井住友カード(NL)
公式サイト三井住友カード ゴールド(NL)
Pontaポイントで投資信託の購入も可能。
また、auじぶん銀行との連携(auマネーコネクト)でauじぶん銀行普通預金金利0.1%、au Payアプリ等の連携で最大0.20%になるのも魅力。
公式サイトauカブコム証券
また、楽天キャッシュ決済でも投資信託積立が出来ます。楽天カードから楽天キャッシュへチャージすると0.5%のポイント還元。
楽天カード決済で5万円、楽天キャシュ決済で5万円、あわせて月10万円まで利用可能。
さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト楽天証券
公式サイト楽天カード
尚、NASDAQ100はつみたてNISAの指定インデックスではなく、さらにレバレッジ型のファンドの為、つみたてNISAでは購入できません。
レバレッジ無のNASDAQ100インデックスファンド、及び東証上場ETF、さらに米国ETF QQQとの比較は下記記事を参照して下さい。