米国株式、NASDAQ(ナスダック)上場銘柄のうち時価総額上位100(除く金融)から構成されるNASDAQ100指数に対し、日々の基準価額の動きが2倍程度となるように運用するレバレッジ型ファンドについて解説、評価します。
NASDAQ100のレバレッジ型ファンドは下記の4本が運用、販売されています。
いずれも2倍のレバレッジをかけます。
- iFreeレバレッジ NASDAQ100
- 楽天レバレッジNASDAQ-100 (愛称:レバナス)
- auAMレバレッジ NASDAQ100
- NZAM・レバレッジ米国株式2倍ブル(NASDAQ100)
この4本の比較も行います。
尚、NASDAQ100レバレッジ型ファンドの事をネット、SNS等では「レバナス」と呼ぶ事もあります。
*ただ正式にレバナスという言葉をファンド名称・愛称に使用しているのは楽天レバレッジのみです。
[最終更新日:2023.9.11]最新の情報に更新。
*本記事は原則2023.8末日時点の情報に基づき記載しています。
見出し
レバレッジ型 NASDAQ100ファンド(iFreeレバレッジ / 楽天レバレッジ/auAMレバレッジ/NZAMレバレッジ)の基本情報
先ず、レバレッジ型 NASDAQ100ファンド、
- iFreeレバレッジ NASDAQ100
- 楽天レバレッジNASDAQ-100 (愛称:レバナス)
- auAMレバレッジ NASDAQ100
- NZAM・レバレッジ米国株式2倍ブル(NASDAQ100)
の基本情報をまとめます。
尚、iFreeシリーズにはレバレッジをかけないインデックスファンド、iFreeNEXT NASDAQ100インデックスもありますが、これについては下記記事を参照して下さい。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
iFreeレバレッジ NASDAQ100 | 楽天レバレッジ NASDAQ-100 | auAMレバレッジ NASDAQ100 | NZAM・ レバレッジ 米国株式2倍ブル (NASDAQ100) | |
運用会社 | 大和アセット マネジメント | 楽天投信 投資顧問 | auアセット マネジメント | 農林中金 全共連 アセット マネジメント |
設定日 | 2018年10月19日 | 2021年11月17日 | 2022年7月28日 | 2023年3月28日 |
運用形態 | 2倍レバレッジ型ファンド | |||
投資形態 | ファミリーファンド | --- | ファミリーファンド | --- |
為替ヘッジ | 有 | |||
ベンチマーク | 無 | |||
参考指数 | NASDAQ100(米ドルベース) | |||
購入時手数料 | 上限2.2% | 上限3.3% | 上限2.2% | 上限2.2% |
*主要ネット証券は無料 | ||||
信託財産留保額 | 無 | |||
信託報酬(税込) | 0.99% | 0.77% | 0.4334% | 0.88% |
実質コスト | 1.072%(*1) | 0.884%(*1) | 決算前 | 決算前 |
純資産総額 (2023.8.31時点) | 2,351億円 | 435億円 | 106億円 | 5億円 |
分配金実績 | 無 | |||
つみたてNISA | 対象外 | |||
SBI証券ポイント 還元年率 | 0.10%(*2) | 取扱無 | 0.10%(*3) | 0.10%(*3) |
楽天証券ポイント 還元年率 | ---%(*4) | ---%(*4) | ---%(*4) | ---%(*4) |
マネックス証券 ポイント還元年率 | 0.080% | 0.080% | 0.080% | 0.080% |
(*1)実質コストは2022.10.18決算より。
(*2)実質コストは2022.10.17決算より335日分を年率に換算
(*3)対象投資信託1,000万円以上保有で0.20%
(*4)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
投資対象・レバレッジ手法
NASDAQ100に対し2倍のレバレッジをかけて投資します。
尚、レバレッジ運用には、
株価指数先物を用いてレバレッジ運用を行う手法と、連動債券を用いて行う手法があります。
大和アセットマネジメント iFreeレバレッジNASDAQ100 ファンドの運用手法に関するご説明より引用
各ファンドの運用方法は下表のようになります(比率は2023.7末時点)。
株式指数先物 (E-mini Nasdaq-100) | 連動債券 (HARP ナスダック100 先物2倍レバッレッジ リンク債) | |
iFreeレバレッジ NASDAQ100 | 200.1% | --- |
楽天レバレッジNASDAQ-100 | 74.4% | 62.2% (x2) |
auAMレバレッジ NASDAQ100 | 200.6%(*) | --- |
NZAM・レバレッジ米国株式 | 199.6%(*) | --- |
(*)auAM、NZAMの先物の具体的な商品名の記載無。E-mini Nasdaq-100と管理人は推測。
iFreeレバレッジ NASDAQ100、auAM レバレッジNASDAQ100、NZAM・レバレッジ米国株式2倍ブル(NASDAQ100)
iFreeレバレッジ NASDAQ100、auAM レバレッジNASDAQ100、NZAM・レバレッジ米国株式2倍ブル(NASDAQ100)は株式先物指数(おそらくE-mini Nasdaq-100)のみでレバレッジをかけます。
楽天レバレッジNASDAQ-100
楽天レバレッジNASDAQ-100は、株式先物指数(E-mini Nasdaq-100)とHarp Issuer plcが発行する円建債券の両方に投資し、その配分比率は流動性を考慮し決定とあります。
2022年1月~2022年10月までの間で最も円建債券比率が高かった時(2022.3)で、円建債券 82.6% : 先物 38.1%となっています。
円建債券の場合、その信託報酬、経費率などのコストが別途かかる可能性がありますが、交付目論見書、月報、運用報告書等には記載がありません。
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為替へッジ
4ファンドとも為替ヘッジを行います。
iFreeレバレッジ NASDAQ100のレポートによると、本ファンドは先物に投資しますので、為替リスクは主に証拠金の部分にかかりますが(余剰金を米国債に投資した場合はこの米国債部分も)、この証拠金(純資産の30~40%程度)、及び米国債部分に為替ヘッジを行います。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
各ファンドの信託報酬・実質コストを下表にまとめます。
但し、現時点で実質コストが判明しているのはiFreeレバレッジ NASDAQ100、楽天レバレッジNASDAQ-100の2本のみです。
*信託報酬・実質コストとも税込み表記
信託報酬 | 実質コスト | |
iFreeレバレッジ NASDAQ100 | 0.99% | 1.072% |
楽天レバレッジNASDAQ-100 | 0.77% | 0.884% |
auAMレバレッジ NASDAQ100 | 0.4334% | (決算前) |
NZAM・レバレッジ米国株式 | 0.88% | (決算前) |
最も信託報酬が低いのがauAM レバレッジNASDAQ100の0.4334%。
そして、楽天レバレッジNASDAQ-100 0.77%、
NZAM・レバレッジ米国株式2倍ブル(NASDAQ100) 0.88%、
iFreeレバレッジ NASDAQ100 0.99%と続きます。
ただ、楽天レバレッジNASDAQ-100は前述のように円建債券に多くを投資している為、この経費が別途上乗せされる可能性があります。
購入時手数料は目論見書上は最大2.2~3.3%かかりますが、主要ネット証券なら4本とも無料で購入できます。
信託財産留保額は4本ともありません。
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【レバナス】レバレッジ NASDAQ100のリスク、リターン特性、レバレッジの減価(逓減)
米国ETF QQQ/QLD/TQQQ
本章ではNASDAQ100連動型ETF、及びレバレッジ型ETFのデータを参考として用います。
Ticker | ETF | レバレッジ | 経費率 |
QQQ | Invesco QQQ Trust Series1 | 無 | 0.20% |
QLD | ProShares ULTRA QQQ | x2 | 0.95% |
TQQQ | ProShares ULTRAPRO QQQ | x3 | 0.86% |
*各ETFの騰落率は分配金10%課税後再投資した場合の終値での騰落率。(終値は米国Yahoo Finance、分配金は各運用会社サイトより引用)
*一部データは三菱UFJ銀行公表のTTMより円に換算
また、QQQの日次データから2倍、3倍のレバレッジ相当の基準価額を作成したデータも用います(QQQ x2 or 3 [Sim]と表記)。
レバレッジ NASDAQ100のリスク、リターン
レバレッジをかける事で大きなリターンを得る事が出来る可能性もありますが、同時に大きなリスクをも負う事になります。
そこでレバレッジをかけたNASDAQ100のリスク・リターン特性を調べます。
直近4年半のリスク-リターン特性
国内インデックスファンドで最も運用実績の長いiFreeレバレッジ NASDAQ100ですら設定から未だ5年弱ですので、先ずは2023年8月末時点の4.5年間のリスク・リターンを確認します。
レバレッジ無のQQQ(円換算)とiFreeNEXT NASDAQ100インデックス、(この期間ではドル/円により大きく異なります)
レバレッジ2倍のQLD(ドル)、QQQ x2[Sim](ドル)、そしてiFreeレバレッジ NASDAQ100、
レバレッジ3倍のTQQQ(ドル)、QQQ x3[Sim](ドル)
は、それぞれ概ね一致します。
リターン(年率)はレバレッジ無が20%、2倍レバレッジが28~33%、3倍レバレッジが31~38%と、レバレッジ倍率が高くなってもリターンは倍率程変わらず、この期間では後述する減価の影響を強く受けていると推測されます。
そして、重要なリスク、当然、レバレッジ倍率に概ね比例して大きくなります。レバレッジ2倍のiFreeレバレッジ NASDAQ100のリスクは43%です。
*リスクが若干レバレッジ倍率の比例からずれているのは、リスクを月次データより計算している為。
直近10年のリスク-リターン特性
4.5年では評価期間として短すぎますので、もっと長期のデータという事で、国内インデックスファンドのデータはありませんが、米国ETFのデータから2023年8月末時点の10年間のリスク・リターンを見てみます。
レバレッジ2倍でリスク36%です。
過去の大きなリターンだけに着目するのではなく、このような大きなリスクを負う事を十分理解し、これを許容できる方のみ投資するようにして下さい。
NASDAQ100レバレッジの減価・逓減
レバレッジ型ファンドは、単調に基準価額が上昇する相場ではレバレッジ倍率以上のリターンを得る事が出来ますが(増価)、一方で、基準価額が下落、あるいは上昇、下落を繰り返すような相場では次第に基準価額が低下していく現象が見られます(減価)。
レバレッジの減価の詳細は下記「グローバル3倍3分法ファンド」で詳しく解説していますので参考にして下さい。
実際にNASDAQ100で、この減価の影響がどのように効いているか見てみます。
QQQの騰落率の2倍と、QQQから作成した2倍レバレッジの騰落率とを比較する事で評価します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
(1)2倍レバレッジ (QQQから作成,Sim) | 49.7% | 12.6% | 25.2% | 33.7% |
(2)QQQ騰落率 | 26.0% | 9.4% | 15.8% | 18.3% |
(1)/(2) | 1.9 | 1.3 | 1.6 | 1.8 |
QQQが大きなプラスとなった1年~10年騰落率においても、2倍レバレッジはQQQの1.3~1.9倍に留まっており、これが減価の影響です。
このように、レバレッジ無しの元指数が大きくプラスの期間でも、レバレッジ倍率ほどリターンは上がらない場合があるという事を認識しておく必要があります。
今後、株価の下落やボックス相場が続くような事があれば、さらに減価していく事も考えられますので注意して下さい。
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レバナス iFreeレバレッジ NASDAQ100 / 楽天レバレッジ NASDAQ-100 / auAMレバレッジNASDAQ100の人気・運用状況の比較
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額からNASDAQ100レバレッジ型ファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
最も売れているのが早くに設定されたiFreeレバレッジ NASDAQ100。
2020年以降、急激に資金流入が増え、安定はしていませんが月によっては100億を超える月もあります。レバレッジ無のiFreeNEXT NASDAQ100インデックスよりも売れている人気のファンドです。
純資産総額も2,351億円(2023.8末時点)と大きくなっています。
ただ2022年に入り軟調な相場の影響か徐々に資金流入が減っており、2023年は資金流出の月も多くあります。
2021年11月に設定された楽天レバレッジNASDAQ-100、設定当初は100億近く集めた月もありましたが、iFreeレバレッジ NASDAQ100には及びません。本ファンドも徐々に減少傾向にあります。純資産総額は435億円(2023.8末時点)。
そして、2022年7月末に設定されたauAM レバレッジNASDAQ100、2023年3月末に設定されたNZAM・レバレッジ米国株式2倍ブル(NASDAQ100)、資金流入ではあるもののauAMが1~16億(/月)、NZAMは1億以下(/月)に留まっています。
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運用状況は?
実質コストに対する2023.8末時点の1年騰落率を見てみます。
QLD騰落率との比較
米国ETF QLDと騰落率を比較します。
例えば、iFreeレバレッジ NASDAQ100の1年間騰落率は、QLDに対してコストを合わせたときに-7.87%ポイントも下回っています。
QLDに対して、為替ヘッジコストなどがかかりますが、それにしては大きすぎる差、しかもiFreeだけでなく、auAMや楽天レベレッジも同様です。
うーん、原因はわかりません。
*大和AMのiFreeレバレッジ NASDAQ100 特別レポート(2023.9.7)によると2023.8末時点の1年の為替ヘッジコストは1.59%
iFreeレバレッジ、auAMレバレッジ、楽天レバレッジNASDAQ100の騰落率比較
*NZAMレバレッジは設定から1年経っていない為データはありません。
下図は実質コストに対する2023年8月末時点の1年騰落率をプロットしたものです。
*auAMは未だ実質コストがわかりませんので信託報酬でプロット
3本のファンドだけしかない事もあって、騰落率のコスト依存性はあまり明確ではありませんが、直近1年ではauAM レバレッジNASDAQ100の騰落率が最も高くなっています。
レバナスの分配金
iFreeレバレッジ NASDAQ100、楽天レバレッジNASDAQ-100、auAM レバレッジNASDAQ100、NZAM・レバレッジ米国株式2倍ブル(NASDAQ100)、4本とも分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ ~おすすめのレバナス・ファンドは~
NASDAQ100の日々の値動きの2倍となるよう運用するレバレッジ型ファンド、通称、レバナスは、堅調な相場では大きなリターンが期待できるファンドです。
一方で、非常に大きなリスクを負う事になりますので、このリスクに耐えうる範囲で投資する事をお勧めします。
また、レバレッジ型ファンドは軟調な相場、ボックス相場では大きく減価する特性がある事にも注意して下さい。
以上を理解した上で、レバナスに投資する方に、本サイト管理人が現時点でおすすめするレバナス・ファンドは、
実績を重視するなら
iFreeレバレッジ NASDAQ100
4本の中で唯一長期の運用実績、資金流入・純資産総額の大きさ、さらに、運用会社(大和アセット)が積極的に各種情報、レポートを発信している点も評価できます。
一方、未だ1年程度の実績しかないものの信託報酬の低さが魅力で、1年騰落率で最も高かった
auAM レバレッジNASDAQ100
今後に期待できるファンドかと。
販売会社
ここで紹介した4本のファンドは下記の金融機関で購入出来ます。
*楽天レバレッジNASDAQ-100はSBI証券では取り扱っていません。
(dカードGOLDでNISA口座なら月10万円までクレカ積立還元率1.1%)
*dカード、マネックスカードとも通常ショッピング時は1.0%。
また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
公式サイトマネックス証券
また投資信託保有でVポイント、Pontaポイント、dポイントがもらえます。さらにV/Pontaポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト SBI証券
Pontaポイントで投資信託の購入も可能。
また、auじぶん銀行との連携(auマネーコネクト)でauじぶん銀行普通預金金利0.1%、au Payアプリ等の連携で最大0.20%になるのも魅力。
公式サイトauカブコム証券
また、楽天キャッシュ決済でも投資信託積立が出来ます。0.5%のポイント還元。
楽天カード決済で10万円、楽天キャシュ決済で5万円、あわせて月15万円まで利用可能。
さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト楽天証券
公式サイト楽天カード
尚、NASDAQ100はつみたてNISAの指定インデックスではなく、さらにレバレッジ型のファンドの為、つみたてNISAでは購入できません。
レバレッジ無のNASDAQ100インデックスファンド、及び東証上場ETF、さらに米国ETF QQQとの比較は下記記事を参照して下さい。