*地図上緑色の国が概ねMSCI EMの投資国です。
資産形成期におけるインデックス投資、長期積立投資において、一般の投資信託(*)(インデックスファンド)の低コスト化が進んだ今、(分配金、及びその課税を考慮すると)必ずしも有利と言えなくなってきたETFですが、それでもまだ魅力的な商品である事には変わり有りません。
(*)ここではETFに対して非上場の投資信託を「一般の投資信託」、あるいは「インデックスファンド」と便宜上呼びます。
さらに2020年から外国に投資する国内籍ETFに外国税額控除(二重課税調整措置)が適用され、外国株式に投資するETFは大きな恩恵を受ける事が出来ます。
(全てのETFが対象になる訳ではありません。)
そこで、本記事では新興国株式(MSCI エマージング・マーケット・インデックス / MSCI Emerging Markets Index、及びMSCI Emerging Markets IMI)との連動を目指すETFを、そのコスト(実質コスト)、流動性、乖離などの点から比較します。
*調査対象は外国ETFではなく、国内籍、東証に上場しているETFです。
MSCI EMって何? 新興国ってどこの国?っていう方は下記の記事をご覧ください。(上記地図上の緑色の国が投資対象国です)
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして新興国、新興国ってどこの国?
[最終更新日:2024.8.27]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024年7月末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
- 1 MSCI Emerging Markets Index / MSCI Emerging Markets IMI とは、その違いは?
- 2 MSCI Emerging Markets Index / MSCI Emerging Markets IMI との連動を目指す新興国株式ETF(東証上場国内籍)の基本情報
- 3 新興国株式(MSCI EM/IMI)連動型ETFの流動性、基準価額、市場価格の乖離。
- 4 新興国株式(MSCI EM/IMI)連動型ETFの実質コスト
- 5 新興国株式(MSCI EM/IMI)連動型ETF 基準価額のベンチマークとの乖離、インデックスファンドとのリターン比較。
- 6 ETFの貸株
- 7 まとめ & おすすめのETFは?
MSCI Emerging Markets Index / MSCI Emerging Markets IMI とは、その違いは?
先ず、MSCI Emerging Markets Index、及びMSCI Emerging Markets IMIの違いについてまとめます。
何れもMSCI社が算出する指数で、投資国は同じですが、MSCI Emerging Markets Indexが大型・中型株から構成されるのに対し、MSCI Emerging Markets IMIは小型株をも含みます。
*IMIとはInvestable Markets Indexの略です。
二つのインデックスの違いを過去のパフォーマンスを含めて下表にまとめます。
MSCI Emerging Markets Index | MSCI Emerging Markets IMI | |
投資国 | 24カ国(地域) | |
投資対象 | 大型・中型株 | 大型・中型・小型株 |
構成銘柄数 | 1,328 | 3,359 |
浮動株調整時価総額 に対するカバー率 | 85% | 99% |
直近10年のパフォーマンス(ドル・ベース/ネット) | ||
年率リターン | 2.63% | 2.93% |
年率リスク | 17.17% | 16.99% |
シャープレシオ | 0.15 | 0.17 |
*シャープレシオは無リスク資産のリターンを0として計算。
大型・中型株だけのMSCI Emerging Markets Indexでも投資可能な市場の約85%をカバーしますので、小型株の有無で両者のパフォーマンスはそう大きくは変わりません。ただ、厳密には直近10年でMSCI Emerging Markets IMIが若干上回っています。
尚、(非上場の)新興国株式インデックスファンドの多くがベンチマークをMSCI Emerging Markets Indexとしています。
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MSCI Emerging Markets Index / MSCI Emerging Markets IMI との連動を目指す新興国株式ETF(東証上場国内籍)の基本情報
現在、東証に上場しているMSCI Emerging Market Index、及びMSCI Emerging Markets IMIとの連動を目指すETFは3本あります。
NEXT FUNDS 新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2520】
野村アセットマネジメントが運用し、MSCI Emerging Market IndexをベンチマークとするETF。
ファミリーファンド方式で運用し、マザーファンドは野村インデックスファンド・新興国株式(Funds-i)等と同じです。
上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)【1681】
日興アセットマネジメントが運用し、MSCI Emerging Market IndexをベンチマークとするETF。
FoF方式で投資対象の「インデックスファンド新興国株式(適格機関投資家向け)」の信託報酬0.099%(税込)が加わります。
尚、「インデックスファンド新興国株式(適格機関投資家向け)」のマザーファンドはインデックスファンド海外新興国(エマージング)株式等と同じです。
iシェアーズ・コアMSCI新興国株ETF【1658】
本ETFだけが、MSCI Emerging Markets IMIをベンチマークとするETFです。
ブラックロックが運用し、米国ETF iShares Core MSCI Emerging Markets ETF【IEMG】(経費率0.09%)に投資します。
各ETFの基本情報のまとめ
3本のETFの基本情報を下表にまとめます。(信託報酬は税込み)
*参考までに非上場の投資信託で信託報酬最安値のeMAXIS Slim新興国株式インデックスも記載します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧ください]
ETF 【コード】 | ベンチマーク | 信託報酬 | 売買単位 | 分配金 | 外国税額控除 |
NEXT FUNDS 新興国株式・ MSCIエマージング・ マーケット・ インデックス (為替ヘッジなし) 連動型上場投信 【2520】 | MSCI Emerging Markets Index | 0.2090% | 10 | 年2回 3月 9月 | 対象 |
上場インデックス ファンド 海外新興国株式 (MSCIエマージング) 【1681】 | MSCI Emerging Markets Index | 0.2640% (*1) | 10 | 年1回 1月 | --- |
iシェアーズ・コア MSCI新興国株 ETF 【1658】 | MSCI Emerging Markets IMI | 0.2530% (*2) | 1 | 年2回 2月 8月 | 対象 |
eMAXIS Slim 新興国株式 | MSCI Emerging Markets Index | 0.1518% | 100円 | --- | --- |
(*1)FOF。ETFの信託報酬0.165%に投資先ファンドの信託報酬0.099%を加えた値。
(*2)FOF。ETFの信託報酬は0.253%(税込)ですが、交付目論見書上では、これに投資先ETF経費率を加えた実質的な信託報酬でも0.253%となっています。本記事では、目論見書通り実質的な信託報酬を0.253%として記載します。即ち、投資先ETF経費率を除いた信託報酬は0.163%という事になります。
運用会社(委託会社)の信託報酬取り分から投資先ETF経費率を負担していると推測。実際、決算の受託者・委託者報酬額比率から見て委託会社取り分比率が目論見書より低くなっています。
NEXT FUNDS新興国株式をNEXT FUNDS【2520】、上場インデックスファンド海外新興国株式を日興【1681】、iシェアーズ・コアMSCI新興国株をiShares【1658】と省略して表記する場合があります。
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信託報酬
信託報酬は0.2090%~0.253%。
現時点(2024.8)で(非上場の)MSCI EM連動型インデックスファンドの信託報酬最安値は0.1518%ですので、ETF最安値のNEXT FUNDS【2520】でも0.06pt高く、信託報酬で見ればあまり魅力はありません。
売買単位
積立投資や分配金再投資を考えると売買単位にも注目です。
iShares【1658】は1口、その他のETF2本は10口。
現時点(2024.8.26終値)の市場価格は、
NEXT FUNDS【2520】 1,413円
日興【1681】 2,040円
iShares【1658】 2,678円
ですので、
iShares【1658】は約2,700円、
NEXT FUNDS【2520】は約1.4万円、
日興【1681】は約2万円程度で取引できます。
分配金支払頻度
分配金の支払いは日興【1681】は年1回、NEXT FUNDS【2520】、iShares【1658】が年2回。
これはお好みで選べば良いでしょう。
配当金が定期的に欲しい方は3本を組合わせると年5回受け取ることが出来ます。
外国税額控除 ~二重課税調整~
2020年から外国に投資する国内籍ETFに外国税額控除(二重課税調整措置)が適用され、外国株式に投資するETFは大きな恩恵を受ける事が出来るようになりました。
但し、全てのETFが対象となるわけではなく、日本取引所グループのサイトによると、
MSCI EM(IMI含む)連動型のETFでは、NEXT FUNDS【2520】、iShares【1658】が対象、
日興【1681】は含まれていません。
尚、外国税額控除(二重課税調整措置)の詳細、及びそれがETFに及ぼすインパクトについては下記記事を参照して下さい。
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新興国株式(MSCI EM/IMI)連動型ETFの流動性、基準価額、市場価格の乖離。
売買したい時に適正な価格で取引出来るかがETFの重要なポイント。
純資産総額、出来高
純資産総額の大きさ、日々の売買代金(出来高)が流動性の一つの目安となります。
また純資産総額が大きければ繰上償還のリスクも減ります。
*純資産総額は2024年7月末日時点、売買代金は2024年8月26日時点の直近90日間平均。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧ください]
ETF | 設定日 | 純資産総額 (億円) | 売買代金 (万円) [売買口数] | マーケット メイク制度 |
NEXT FUNDS 新興国株式・ MSCIエマージング・ マーケット・ インデックス (為替ヘッジなし) 連動型上場投信 【2520】 | 2018/7/6 | 25.7 | 613 [4,209口] | ○ |
上場インデックス ファンド 海外新興国株式 (MSCIエマージング) 【1681】 | 2010/1/22 | 81.1 | 1,538 [7,154口] | ○ |
iシェアーズ・コア MSCI新興国株 ETF 【1658】 | 2017/9/27 | 88.8 | 1,259 [4,454口] | ○ |
売買代金データ引用:日本取引所グループ
純資産総額トップはiShares【1658】、設定が早い日興【1681】を上回りました。
信託報酬最安値のNEXT FUNDS【2520】は設定から5年半程度しか経っていない事もあり、純資産総額は上記2本の1/3程度。
売買代金、口数は3本のETFとも大きくはありません。
マーケットメイク制度
東京証券取引所では2018年7月2日よりマーケットメイク制度を導入しました。
指定を受けたマーケットメイカーは、気配提示義務を履行することで、インセンティブ(報酬)を得ることができます。マーケットメイカーが気配提示義務を履行することによって、対象のETFに対して、需給動向を踏まえた公正な価格で、十分な量の気配が提示されることになり、投資家の皆様が売買をしたいタイミングで、より良い価格で売買する環境を提供できるようになります。
~東京証券取引所サイトより引用~
マーケットメイク制度の導入で流動性が上がり、より適正な価格で売買できるようになると期待できます。
MSCI EM(IMI含む)連動型ETFは3本ともマーケットメイク制度の対象となっています。
取引時間中の推定価値 [インディカティブNAV]
基準価額は市場が閉まった後、1日1回公表されます。
一方、一般の投資信託と異なり市場で取引されるETFは、それを組成する株式の値動きとともに取引時間中も刻々とその価値が変化します。
取引時間中の推定された基準価額をインディカティブNAV(iNAV)といいます。
ETFを売買する際、その時の市場価格がiNAVよりも高ければ割高、逆であれば割安という事になります。特に流動性の低いETFを売買する時はiNAVを参考にすると良いでしょう。
iNAVは東京証券取引所のサイトで見ることができます。
但し、MSCI EM(IMI含む)連動型ETFでは、日興【1681】のみがiNAV配信の対象です。
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市場価格と基準価額の乖離
ETFには実際に市場で売買する時の価格=市場価格、一般の投資信託同様、純資産総額を口数で割った真の価格=基準価額の二つの価格が存在します。
勿論、この二つの価格は同じである事が望ましいのですが実際には差=乖離が生じます。
この乖離はWEALTH ADVISORのサイトで調べる事が出来ます。(終値と基準価額の乖離)
下表は2023年9月~2024年7月の各月の乖離率(単純平均)の平均値をまとめたものです。(乖離率の絶対値の平均)
ETF | 乖離率 (2023.9~2024.7平均) |
NEXT FUNDS 新興国株式・ MSCIエマージング・ マーケット・インデックス (為替ヘッジなし) 連動型上場投信 【2520】 | 0.36% |
上場インデックスファンド 海外新興国株式 (MSCIエマージング) 【1681】 | 0.60% |
iシェアーズ・コア MSCI新興国株ETF 【1658】 | 0.29% |
データ引用:WEALTH ADVISOR
3本とも0.2%を超えており、決して小さいとは言えません。
特に日興【1681】の乖離が大きくなっています。
新興国株式(MSCI EM/IMI)連動型ETFの実質コスト
信託報酬の低さがETFの魅力の一つですが(だった?)、一般の投資信託同様、信託報酬以外のコストがかかります。信託報酬と、それ以外のコストの総和を実質コストと定義し、各ETFの実質コストを比較してみます。
*実質コストは森村ヒロさんのこちらの記事を参考に計算しました。
*決算短信の損益計算書に記載されている営業費用を実質コストとしています。尚、年2回決算のETFは直近2回分の決算(1年分)を、年1回決算のETFは直近の決算短信(1年分)から計算しています。
ETF | 信託報酬 | 実質コスト | 信託報酬以外のコスト |
NEXT FUNDS 新興国株式・ MSCIエマージング・ マーケット・ インデックス (為替ヘッジなし) 連動型上場投信 【2520】 | 0.2090% | 0.265% | 0.056% |
上場インデックス ファンド 海外新興国株式 (MSCIエマージング) 【1681】 | 0.2640% | 0.321% (*1) | 0.057% |
iシェアーズ・コア MSCI新興国株 ETF 【1658】 | 0.2530% | 0.283% (*1,2) | 0.030% |
eMAXIS Slim 新興国株式 | 0.1518% | 0.347% | 0.195% |
(*1,2)日興【1681】、iShares【1658】はファンド・オブ・ファンズで、決算から計算した値に投資先ファンドの信託報酬を加えた値を実質コストと定義。
(*2)iShares【1658】は信託報酬に投資先ETF経費率を含むため受託者報酬のみで計算。実質コストにも誤差が生じる可能性がある事をご承知おきください。
実質コストで見てもNEXT FUNDS【2520】が最安値。
尚、信託報酬で見れば(非上場)インデックスファンドが有利でしたが、実質コストでは3本ともeMAXIS Slim新興国株式より低く、最安値のNEXT FUNDS【2520】では0.08pt低くなっています。
ETFの信託報酬には指数の商標使用料が含まれておらず、さらに上場費用などもかかりますので、一般的に(非上場の)インデックスファンドより信託報酬以外のコストが高くなる傾向がありますが、新興国株式の場合、それ以上にインデックスファンドの信託報酬以外のコストが高く、ETFの方が寧ろ低コストになるという結果です。
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新興国株式(MSCI EM/IMI)連動型ETF 基準価額のベンチマークとの乖離、インデックスファンドとのリターン比較。
実際の基準価額から過去のリターン、及び基準価額とベンチマークとの乖離を調べます。
基準価額は分配金再投資時の価額で分配金課税は考慮していません。即ちNISA等の非課税口座で分配金を全額再投資したという前提でのリターンになります。
1年リターンで見るETF、インデックスファンドの比較
実質コストに対して1年騰落率をプロットします。
図中○はETF、◇が非上場のインデックスファンドです。
グレーの点線が、傾き=-(1+ベンチマークの年率リターン)、切片=ベンチマークの年率リターンです。ベンチマークとの乖離がなければこの点線上に乗る筈です。
*配当込みで投資国での源泉徴収税率を適切に考慮したベンチマークの正確な値は分かりませんので、多くのファンドがコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がないであろうとの仮定のもと管理人の主観で決めています。
*図中ピンクの星印が管理人が推定した税率を適切に考慮したベンチマーク値。
*基準価額は各運用会社、または投資信託協会のサイトより引用。
*ベンチマーク値はMSCI社サイトより。三菱UFJ銀行公表の為替レート(TTM)で管理人が独自に円換算。
2023年2月末日時点の1年騰落率です。
MSCI Emerging Markets Index ~NEXT FUNDS 【2520】, 日興【1681】~
先ずはMSCI Emerging Market Indexとの連動を目指すNEXT FUNDS【2520】、日興【1681】について調査。
実質コスト最安値のNEXT FUNDS【2520】の基準価額騰落率は概ね図中グレーの点線上にのっており、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない運用になっていると思われます。そして、その低いコストに応じて、eMAXIS Slim新興国株式よりも高い騰落率を示しています。
日興【1681】は若干マイナス側に乖離しており、eMAXIS Slimに騰落率で僅かに負けています。
次に及びMSCI Emerging Markets IMIとの連動を目指すiShares【1658】。
iShares【1658】の投資先米国ETF IEMGもプロットします。
*IEMGは分配金10%課税後再投資した場合の終値での円換算騰落率。(終値は米国Yahoo Finance、分配金は米国BlackRock社サイトより引用)
*グロスは配当課税を考慮しない指数、ネットは考慮した指数です。ただ、ネットでも、その税率が日本に対して適切とは限りません。
各国の配当源泉徴収税率を適切に考慮した真のベンチマークは、経験上、MSCI公表ベンチマークのグロス、ネットの中間に位置する可能性が高いと思われます。
この推測した真のベンチマーク、及びコストと騰落率の関係(グリーンの点線)から、iShares【1658】は(コスト要因を除いても)2.5%程度マナイス側に乖離していると思われます。
その為、この1年間では指数(ベンチマーク)の騰落率はIMIの方が高かったにもかかわらず、iShares【1658】の騰落率はNEXT FUNDS【2520】、日興【1681】に負けています。
尚、IEMGとiShares【1658】は同一直線上にのっており、この乖離の原因はIEMGにあると思われます。小型株をも含む新興国株式という事で運用が難しいのでしょう。
(注)本章での乖離はベンチマークと基準価額との乖離。上述の基準価額と市場価格との乖離と混同しないよう注意して下さい。
リターン(騰落率)は分配金非課税での再投資の結果です。
前章の騰落率で見ると、NEXT FUNDS【2520】はeMAXIS Slim等の超低コストインデックスファンドより高いリターンとなっています。しかし、これは全て分配金を非課税で再投資した場合の結果である事に注意してください。
NISAなどの非課税口座を除き、実際は分配金が出ると、それに20.315%課税され、課税後の配当金を再投資しますので上記リターンより低くなります。
ETFは保有する株式から配当が出ると、それを分配金として必ず出さなければなりません。一方、(非上場の)インデックスファンドの多くが分配金を出さず、配当を非課税のままファンド内部で自動的に再投資してくれます。資産形成期においては分配金無し、配当に対する課税を繰延される無分配インデックスファンドの方が一般的には有利となります。
*無分配の非上場インデックスファンドでも最終的には譲渡益として課税されますので、あくまで課税の繰り延べです。
ETFの貸株
ETFの魅力の一つに貸株があります。
*貸株とは保有する株式(ETF含む)を証券会社に貸し出す事で金利を受け取るものです。貸株では貸出先の信用リスクを負う事になります。
適用金利(年) 0.10%
となっています。
ただ、一時的に金利が上昇する場合もありますので、最新の金利は公式サイトでご確認下さい。
信託報酬でインデックスファンドに見劣りするようになったETFですが、貸株により、その差を埋める事が出来ます。
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まとめ & おすすめのETFは?
以上、新興国株式(MSCI EM/IMI)との連動を目指す国内籍 東証上場 ETF3本について、基本情報、信託報酬、実質コスト、乖離、実際の騰落率等を比較してきました。
大まかに各ETFの特徴をまとめると、
NEXT FUNDS 新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2520】
信託報酬最安値で、実質コストではeMAXIS Slim新興国株式よりも低く、それに応じた高い騰落率が魅力。
ただ、難点は未だ純資産総額、出来高が小さい事。
上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)【1681】
最も長い運用実績を誇るETF。
ただ、外国税額控除(二重課税調整措置)の対象でないのが残念。
iシェアーズ・コアMSCI新興国株ETF【1658】
MSCI Emerging Markets IMIをベンチマークとし、新興国の小型株をも含めて投資できる唯一のETF。
少額から投資できるのも魅力。
ただ、今回の評価ではベンチマークと基準価額の乖離が発生してると思われます。
本サイトが選ぶおすすめの新興国株式連動型ETF
(注)「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なETFの選択はご自身の判断で行ってください。
新興国株式を対象とする国内籍ETFは3本と本数も少なく、かつ純資産や出来高の小ささ、さらに市場価格と基準価額との乖離の大きさ等を考慮すると、現時点でのおすすめのETFは無し、保留とします。
期待するETFとしては、将来、純資産総額や出来高が大きくなれば、
信託報酬、実質コスト最安値で外国税額控除適用の
NEXT FUNDS 新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2520】
新興国株式連動型ETFが無料で買える/ 積立できる証券会社
勿論、ETFに投資する場合は、株式売買手数料の安い(無料)証券会社を選択する事は言うまでもありません。
SBI証券、楽天証券は、それぞれ2023.9.30、2023.10.1より約定金額によらず国内株式売買手数料が無料(一部条件、コースの選択有)となりましたので、ここで取り上げたETFも全て売買手数料無料で取引できます。
また、auカブコム証券では1日の約定金額100万円までの株式売買手数料が無料です。
さらに、SBI証券、auカブコム証券では下記ETFを売買手数料無料としています。
*SBI証券は国内株式売買手数料無料の対象外の方でも下記ETFであれば無料で取引できます。
*楽天証券の手数料0円ETF(現物取引)サービスは上記国内株式売買手数料無料化実施に伴い2023.12末で終了しました。
ETF | SBI証券 | auカブコム 証券 |
NEXT FUNDS新興国株式・ MSCIエマージング・ マーケット・インデックス (為替ヘッジなし) 連動型上場投信【2520】 | 無料 | 無料 |
上場インデックスファンド 海外新興国株式 (MSCIエマージング) 【1681】 | --- | --- |
iシェアーズ・コア MSCI新興国株ETF 【1658】 | 無料 | 無料 |
公式サイトSBI証券
公式サイト楽天証券
公式サイトauカブコム証券
以上、外国税額控除で大きな恩恵を受けるであろう新興国株式に投資する国内籍ETFの比較でした。
*全ての銘柄に外国税額控除が適用になる訳ではありません。
他の指数との連動を目指す国内(東証上場)ETFについては下記ページをご覧ください。
新興国株式(MSCI EM/IMI) *本記事