ファンド比較、運用状況、決算

【米国株式S&P500 ETF(国内籍)】東証上場S&P500連動型ETF比較・評価。実質コスト、乖離、インデックスファンドとの比較も。

投稿日:2020年3月14日 更新日:

資産形成期におけるインデックス投資、長期積立投資において、一般の投資信託(*)(インデックスファンド)の低コスト化が進んだ今、(分配金、及びその課税を考慮すると)必ずしも有利と言えなくなってきたETFですが、それでもまだ魅力的な商品である事には変わり有りません。

(*)ここではETFに対して非上場の投資信託を「一般の投資信託」、あるいは「インデックスファンド」と便宜上呼びます。

さらに2020年から外国に投資する国内籍ETFに外国税額控除(二重課税調整措置)が適用され、外国株式に投資するETFは大きな恩恵を受ける事が出来ます。
(全てのETFが対象になる訳ではありません。外国税額控除の詳細は後述)

そこで、本記事では米国株式(S&P500)との連動を目指すETFを、そのコスト(実質コスト)、流動性、乖離などの点から比較します。

*調査・比較対象は外国ETFではなく、国内籍、東証に上場しているETFです。

[最終更新日:2020.3.14]初版。
本記事は原則2020年3月末日時点の情報に基づき記載しています。

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米国株式(S&P500)との連動を目指すETF(東証上場国内籍)の基本情報

現在、東証に上場しているS&P500との連動を目指すETFは3本あります(為替ヘッジ有を除く)

その基本情報を下表にまとめます。(信託報酬は税込み)

尚、下表にはSPDR 1577も記載していますが、米国籍ETFで円ベースでの各種情報が入手できなかった為、本記事での比較対象からは除外します。

*参考までに非上場の投資信託で(概ね)信託報酬最安値のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)も記載します。

[スマホの方は横にスクロールしてご覧ください]

ETF 【コード】運用会社
信託報酬(*1)売買単位分配金外国税額
控除
MAXIS米国株式
(S&P500)
上場投信
【2558】
三菱UFJ
国際
0.0858%1年2回
6月
12月
対象
上場インデックス
ファンド
米国株式
(S&P500)
【1547】
日興
AM
0.1650%
(*2)
10年1回
1月
---
iシェアーズ
S&P500
米国株
ETF
【1655】
ブラック
ロック
0.1650%
(*3)
1年2回
2月
8月
対象
<参考>
SPDR
S&P500
ETF
【1577】
SSGA0.0945%1年4回
3,6,
9,12月
 
<非上場>
eMAXIS Slim
米国株式(S&P500)
三菱UFJ
国際
0.0968%100円--- 

(*1)信託報酬は、含まれる費用の範囲がETF、非上場のインデックスファンドで異なります。
ETFでは、信託報酬以外に上場費用、指数使用料などがかかります。
(*2)FOF。ETFの信託報酬0.066%に投資先ファンドの信託報酬0.099%を加えた値。
(*3)FOF。ETFの信託報酬に投資先ETF(IVV)経費率0.04%を加えた値。

MAXIS米国株式をMAXIS【2558】
上場インデックスファンド米国株式(S&P500)を日興【1547】
iシェアーズ S&P500米国株ETFをiShares【1655】

と省略して表記する場合があります。

 

信託報酬

信託報酬は0.0858%~0.1650%

現時点(2020.3)(非上場の)インデックスファンドの信託報酬最安値は0.0968%ですので、信託報酬だけで見ればあまり魅力はありません。

ただ、ETFの中で最も低いMAXIS【2558】の0.0858%は、インデックスファンドよりも低コストです(信託報酬の定義が異なりますが)

 

売買単位

積立投資や分配金再投資を考えると売買単位にも注目です。

MAXIS【2558】iShares【1655】は1口、日興【1547】 は10口。

現時点(2020.3.13)の価格(市場価格、終値)

MAXIS【2558】 7,670円

日興【1547】2,883円

iShares【1655】 1,901円

ですので、

iShares【1655】は2,000円前後、

MAXIS【2558】は8,000円前後、

日興【1547】は約30,000円前後で取引できます。

少額で取引したい方にはiShares【1655】が便利です。

 

分配金支払頻度

分配金の支払いは日興【1547】は年1回、MAXIS【2558】iShares【1655】が年2回。

これはお好みで選べば良いでしょう。

配当金が定期的に欲しい方は3本を組合わせると年5回受け取ることが出来ます。

 

外国税額控除 ~二重課税調整~

2020年から外国に投資する国内籍ETFに外国税額控除(二重課税調整措置)が適用され、外国株式に投資するETFは大きな恩恵を受ける事が出来ます。

但し、全てのETFが対象となるわけではなく、日本取引所グループのサイトによると、

S&P500連動型のETFでは、MAXIS【2558】iShares【1655】が対象予定、

日興【1547】は含まれていません。

尚、外国税額控除(二重課税調整措置)の詳細、及びそれがETFに及ぼすインパクトについては下記記事を参照して下さい。

 

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S&P500連動型 国内ETFの流動性、基準価額、市場価格の乖離。

売買したい時に適正な価格で取引出来るかがETFの重要なポイント。

 

純資産総額、出来高

純資産総額の大きさ、日々の売買代金(出来高)が流動性の一つの目安となります。

また純資産総額が大きければ繰上償還のリスクも減ります。

*純資産総額は2020年3月13日時点(日興は3/12)、
売買代金は2020年3月13日時点の直近90日間平均(MAXISは約2カ月の平均)。

[スマホの方は横にスクロールしてご覧ください]

ETF設定日純資産総額
(億円)
売買代金
(百万円)
[売買口数]
マーケット
メイク制度
MAXIS米国株式
(S&P500)
上場投信
【2558】
2020/1/816.165.5
[6,976口]
上場インデックス
ファンド
米国株式
(S&P500)
【1547】
2010/10/22137.6260.6
[5,117口]
iシェアーズ
S&P500
米国株
ETF
【1655】
2017/9/2760.8212.1
[91,367口]

売買代金データ引用:日本取引所グループ

純資産総額が最も大きいのは設定が早い日興【1547】、売買代金でもトップです。

口数であれば基準価額が低いiShares【1655】が大きくなっています。

MAXIS【2558】の純資産総額が小さいのは2020年1月に設定されたばかりなので致し方ないでしょう。

 

マーケットメイク制度

東京証券取引所では2018年7月2日よりマーケットメイク制度を導入しました。

指定を受けたマーケットメイカーは、気配提示義務を履行することで、インセンティブ(報酬)を得ることができます。マーケットメイカーが気配提示義務を履行することによって、対象のETFに対して、需給動向を踏まえた公正な価格で、十分な量の気配が提示されることになり、投資家の皆様が売買をしたいタイミングで、より良い価格で売買する環境を提供できるようになります。

~東京証券取引所サイトより引用~

マーケットメイク制度の導入で流動性が上がり、より適正な価格で売買できるようになると期待できます。

S&P500連動型のETFは3本ともマーケットメイク制度の対象となっています。

 

取引時間中の推定価値 [インディカティブNAV]

基準価額は市場が閉まった後、1日1回公表されます。

一方、一般の投資信託と異なり市場で取引されるETFは、それを組成する株式の値動きとともに取引時間中も刻々とその価値が変化します。

取引時間中の推定された基準価額をインディカティブNAV(iNAV)といいます。

ETFを売買する際、その時の市場価格がiNAVよりも高ければ割高、逆であれば割安という事になります。特に流動性の低いETFを売買する時はiNAVを参考にすると良いでしょう。

iNAV東京証券取引所のサイトで見ることができます。

但し、S&P500連動型ETFでiNAV配信対象となっている銘柄はiShares【1655】のみです。

 

市場価格と基準価額の乖離

ETFには実際に市場で売買する時の価格=市場価格、一般の投資信託同様、純資産総額を口数で割った真の価格=基準価額の二つの価格が存在します。

勿論、この二つの価格は同じである事が望ましいのですが実際には差=乖離が生じます。

この乖離はモーニングスターのサイトで調べる事が出来ます。(終値と基準価額の乖離)

下表は2019年4月~2020年2月の各月の乖離率(単純平均)の平均値をまとめたものです。(各月の乖離率の絶対値の平均)

*MAXIS【2558】は1月、2月の2カ月間平均。

ETF乖離率
(2019.4~2020.2平均)
MAXIS米国株式
(S&P500)上場投信
【2558】
0.59%
上場インデックスファンド
米国株式(S&P500)
【1547】
0.09%
iシェアーズ
S&P500米国株ETF
【1655】
0.05%

データ引用:モーニングスター

乖離が最も小さいのがiShares【1655】の0.05%。

日興【1547】も0.09%ですので十分小さい値です。

マーケットメイク制度がうまく機能した結果と推測します。

一方、MAXIS【2558】は0.59%と大きくなっています。未だ設定されたばかりですので、今後これが収まっていくかに注目です。

 

S&P500連動型 国内ETFの実質コスト

信託報酬の低さがETFの魅力の一つですが(だった?)、一般の投資信託同様、信託報酬以外のコストがかかります。信託報酬と、それ以外のコストの総和を実質コストと定義し、各ETFの実質コストを比較してみます。

*実質コストは森村ヒロさんのこちらの記事を参考に計算しました。
*決算短信の損益計算書に記載されている営業費用に投資先ファンドの信託報酬を足した値を実質コストと定義。
尚、年2回決算のETFは直近2回分の決算(1年分)を、年1回決算のETFは直近の決算短信(1年分)から計算。

ETF信託報酬実質コスト信託報酬以外のコスト
MAXIS米国株式
(S&P500)
上場投信
【2558】
0.0858%---%
(*1)
---%
上場インデックス
ファンド
米国株式
(S&P500)
【1547】
0.1650%0.233%
(*2)
0.068%
iシェアーズ
S&P500
米国株
ETF
【1655】
0.1650%0.248%
(*2)
0.083%
eMAXIS Slim
米国株式(S&P500)
0.0968%0.180%0.083%

(*1)MAXIS【2558】は設定されたばかりで未だ実質コストは分かりません。
(*2,3)日興【1547】iShares【1655】はファンド・オブ・ファンズで、決算から計算した値に投資先ファンドの信託報酬を加えた値を実質コストと定義。

実質コストで見ると、信託報酬は同一ながら日興【1547】が、iShares【1655】より0.015%ptほど低くなります。

S&P500連動型ETF 基準価額のベンチマークとの乖離、インデックスファンドとのリターン比較。

実際の基準価額から過去のリターン、及び基準価額とベンチマークとの乖離を調べます。

基準価額は分配金再投資時の価額で分配金課税は考慮していません。即ちNISA等の非課税口座で分配金を全額再投資したという前提でのリターンになります。

 

1年リターンで見るETF、インデックスファンドの比較

2020年2月末日時点の1年間のリターンを見てみます。

実質コストに対して1年騰落率をプロットします。

図中ETFが非上場のインデックスファンドです。

グレーの点線が、傾き=-(1+ベンチマークの年率リターン)、切片=ベンチマークの年率リターンです。ベンチマークとの乖離がなければこの点線上に乗る筈です。
*配当込みで投資国での源泉徴収税率を適切に考慮したベンチマークの正確な値は分かりませんので管理人の主観で決めています。

*基準価額は各運用会社、または投資信託協会のサイトより引用。

東証上場S&P500連動型ETF

日興【1547】iShares【1655】は多くのインデックスファンドと概ね同一直線上にのっており、(コスト要因以外での)ベンチマークとの乖離がないと推測できます。

ただ、厳密にはeMAXIS SlimやiFreeなどの非上場インデックスファンドに騰落率で負けており、若干の乖離の可能性は否定できません。

 

尚、設定されたばかりのMAXIS【2558】については下記記事を参照して下さい。

 

リターン(騰落率)は分配金非課税での再投資の結果です。

前章の騰落率は、あくまで分配金を非課税で再投資した場合の結果である事に注意してください。

NISAなどの非課税口座を除き、実際は分配金が出ると、それに20.315%課税され、課税後の配当金を再投資しますので上記リターンより低くなります(外国税額控除を考慮しない場合)

ETFは保有する株式から配当が出ると、それを分配金として必ず出さなければなりません。一方、(非上場の)インデックスファンドの多くが分配金を出さず、配当を非課税のままファンド内部で自動的に再投資してくれます。資産形成期においては分配金無し、配当に対する課税を繰延される無分配インデックスファンドの方が一般的には有利となります。

 

ETFの貸株

ETFの魅力の一つに貸株があります。

*貸株とは保有する株式(ETF含む)を証券会社に貸し出す事で金利を受け取るものです。貸株では貸出先の信用リスクを負う事になります。

現時点(2020.3.13)時点でのSBI証券楽天証券における貸株金利は下表の通り。

貸株金利(年率) 2020.3.13時点
ETFSBI証券楽天証券
MAXIS米国株式
(S&P500)上場投信
【2558】
0.10%0.20%
上場インデックス
ファンド米国株式
(S&P500)
【1547】
0.10%0.20%
iシェアーズ
S&P500米国株ETF
【1655】
0.10%0.10%

特に、楽天証券MAXIS【2558】日興【1547】の金利が高くなっています。

信託報酬・実質コストでインデックスファンドに対するETFの優位性が失われつつありますが、貸株を利用する事で、コスト的には有利にもなりえます。

 

まとめ & おすすめのETFは?

以上、米国株式(S&P500)との連動を目指す国内籍 東証上場 ETF 3本について、基本情報、信託報酬、実質コスト、乖離、実際の騰落率等を比較してきました。

大まかに各ETFの特徴をまとめると、

MAXIS 米国株式(S&P500) 上場投信【2558】

信託報酬の低さが魅力。

マーケットメイク制度、外国税額控除も対象です。

難点は、まだ設定されたばかりで実績がなく、出来高、乖離とも他の2本に負ける事。

本ETFの詳細は下記記事もご覧ください。

 

上場インデックスファンド米国株式(S&P500)【1547】

MAXIS【2558】の登場で、信託報酬は相対的に高めとなってしまいましたが実績は十分。

以前は先物運用が主体でベンチマークと基準価額の乖離が大きいとの印象がありましたが、2018年7月末より現物運用主体に変更し、乖離も小さくなってきました。

また、つみたてNISAで購入出来るのも特徴です(大和証券のみ)

難点は売買単位が大きい事、そして現時点で外国税額控除の対象となっていない点。

 

iシェアーズ S&P500 米国株ETF【1655】

最も少額で取引できるのが特徴。

投資先ETFが巨額の純資産を有する米国IVVという点も安心。

難点は実質コストが若干高く、騰落率でも日興【1547】に負けている事。

 

ETFを売買手数料無料で購入出来る証券会社

勿論、ETFに投資する場合は、株式売買手数料の安い(無料)証券会社を選択する事は言うまでもありません。

 

楽天証券の手数料0円ETF

MAXIS【2558】

日興【1547】

iShares【1655】

の3本が売買手数料無料で取引出来ます。

さらに1日の約定金額合計50万円までの株式売買手数料が無料です(いちにち定額コース)

公式サイト 楽天証券

 

SBI証券の取引手数料無料ETF

SBI証券

MAXIS【2558】

日興【1547】

iShares【1655】

の3本が売買手数料無料で取引出来ます。

さらに1日の約定金額合計50万円までの株式売買手数料が無料となります(アクティブプラン)

公式サイト SBI証券

 

以上、外国税額控除で大きな恩恵を受けるであろう米国株式(S&P500)に投資する国内籍ETFの比較でした。
*全ての銘柄に外国税額控除が適用になる訳ではありません。

 

他の指数との連動を目指す国内(東証上場)ETFについては下記ページをご覧ください。

国内株式(TOPIX)

国内株式(日経平均株価) 

国内株式高配当ETF 

国内リート

先進国株式(MSCI KOKUSAI)

米国株式(S&P500) *本記事

 

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