米国株式の代表的指数、S&P500との連動を目指す東証上場の国内ETF NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】について解説します。
尚、類似のETFとして為替ヘッジを行うNEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジあり)連動型上場投信【2634】がありますが、ここで解説するのは為替ヘッジなしの方です。
[最終更新日:2024.8.14]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024.7末時点の情報に基づき記載しています。
見出し
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の基本情報
先ず、NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の基本情報をまとめます。
運用会社 | 野村アセットマネジメント |
設定日 | 2021年3月29日 |
上場日 | 2021年3月31日 |
銘柄コード | 2633 |
運用形態 | インデックス型 |
ベンチマーク | S&P500 |
信託報酬(税込) | 0.066%(*1) |
実質コスト | 0.147%(*2) |
純資産総額 | 125.5億円(2024.7.31時点) |
決算日(分配金) | 年2回(3月, 9月) |
売買単位 | 10口単位(*3) |
マーケットメイク制度 | 対象 |
iNAV | 対象 |
外国税額控除(二重課税調整) | 対象 |
NISA(つみたて投資枠) | --- |
NISA(成長投資枠) | 対象 |
売買手数料無料の証券会社 *キャッシュバックを含む | SBI証券 |
(*1)当初0.099%、2022.12.20までの期間限定で0.077%となっていましたが、これが恒久化され、さらに2023.11.30に0.066%に引き下げられました。
(*2)(信託報酬引下げ前の)2023.9の半年間の決算より信託報酬以外のコストを計算し、それを引下げ後の信託報酬に足した値。
(*3)2023.12.8に1:10に分割されました。売買単位に変更はありません。
2021年3月末に設定・上場された比較的新しいETFです。
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投資対象
ベンチマークはS&P500で米国株式に投資します。
S&P500は米国の大型株 約500銘柄から構成された時価総額加重平均型の指数で、米国株式の約80%をカバーします。米国株式を代表する指数と言っても良いでしょう。
投資銘柄
2024.7末時点の組入上位10銘柄です。
画像引用:NF・米国株S&P500ヘッジ無ETF 月次レポート 2024.7
基本的には米国を代表する企業が上位を占めています。
設定当初はS&P500との連動を目指す米国籍ETF Vanguard VOOが上位に入っていましたが、現在(2024.7)では85位、0.24%のみです。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の信託報酬は0.066%(税込)。
実質コストは2023.9の半年分の決算結果から0.147%。
*実質コストは決算短信の営業費用合計と受託者報酬+委託者報酬との比から算出
*信託報酬引下げ前の決算結果より信託報酬以外のコストを計算し、それを信託報酬引下げ後の値に足した値。
信託報酬以外のコスト、0.081%と設定当初よりは大幅に下がりましたが、未だ若干高いように感じます。
一般に、信託報酬以外に指数商標使用料 0.04%、上場料 0.00825%、追加上場料 0.00825%(純資産の増加額に対して)などがかかりますが、それだけでは説明できないコストです。
信託報酬の変更履歴
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の信託報酬引き下げ履歴です。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2021/3/29 | 0.099% [期間限定] 0.077% | 新規設定 2022.12.20までの期間限定で0.077% *当初2022.3.20までだったのを2022.12.20までに延長 |
2022/10/28 | 0.077% | 期間限定だった0.077%を恒久化。 |
2023/11/30 | 0.066% | 引下げ時は単独最安値。 |
国内上場 S&P500連動型ETF 信託報酬比較
東証に上場するS&P500連動型ETFを信託報酬が低い順に下表にまとめます。
ETF 【コード】 | 運用会社 | 信託報酬(*1) |
iシェアーズS&P500米国株ETF 【1655】 | ブラック ロック | 0.066% |
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信 【2633】 | 野村 AM | 0.066% |
MAXIS米国株式(S&P500)上場投信 【2558】 | 三菱UFJ AM | 0.077% |
iFreeETF S&P500(為替ヘッジなし) 【2247】 | 大和 AM | 0.077% |
上場インデックスファンド米国株式(S&P500) 【1547】 | 日興 AM | 0.1650% (*2) |
<参考>(*3) SPDR S&P500ETF 【1557】 | SSGA | 0.0945% |
<非上場> eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 三菱UFJ 国際 | 0.09372% |
(*1)信託報酬は、含まれる費用の範囲がETF、非上場のインデックスファンドで異なります。
ETFでは、信託報酬以外に上場費用、指数使用料などがかかります。
(*2)FOF。ETFの信託報酬0.066%に投資先ファンドの信託報酬0.099%を加えた値。
(*3)SPDR 1557は米国籍ETF
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の信託報酬はiシェアーズS&P500 米国株ETF【1655】と並び同率最安値。
マーケットメイク制度
東京証券取引所では2018年7月2日よりマーケットメイク制度を導入しました。
指定を受けたマーケットメイカーは、気配提示義務を履行することで、インセンティブ(報酬)を得ることができます。マーケットメイカーが気配提示義務を履行することによって、対象のETFに対して、需給動向を踏まえた公正な価格で、十分な量の気配が提示されることになり、投資家の皆様が売買をしたいタイミングで、より良い価格で売買する環境を提供できるようになります。
~東京証券取引所サイトより引用~
マーケットメイク制度の導入で流動性が上がり、より適正な価格で売買できるようになると期待できます。
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】はマーケットメイク制度の対象銘柄です。
外国税額控除(二重課税調整措置)
本ETFは2020年より始まった外国税額控除(二重課税調整制度)の対象です。
国内籍ETFに外国税額控除が与える影響については下記記事をご覧ください。
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NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の運用状況
市場価格と基準価額の乖離
ETFには実際に市場で売買する時の価格=市場価格、一般の投資信託同様、純資産総額を口数で割った真の価格=基準価額の二つの価格が存在します。
勿論、この二つの価格は同じである事が望ましいのですが実際には差=乖離が生じます。
この乖離はWEALTH ADVISORのサイトで調べる事が出来ます。(終値と基準価額の乖離)
2023年9月~2024年7月の11カ月の平均値(各月の乖離率の絶対値の平均)を他社のS&P500連動型ETFと比較します。
ETF | 乖離率 |
NEXT FUNDS S&P500 指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】 | 0.842% [0.071%](*) |
iシェアーズS&P500米国株ETF【1655】 | 0.064% |
MAXIS米国株式(S&P500)上場投信【2558】 | 0.072% |
iFreeETF S&P500(為替ヘッジなし)【2247】 | 0.059% |
上場インデックスファンド米国株式(S&P500)【1547】 | 0.103% |
データ引用:WEALTH ADVISOR
(*)[]内は2023.12を除いた値。
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の乖離率は非常に高くなっています。これは、2023.12に-8.55%と非常に大きな乖離を起した為です。2023.12は分割があった月ですが、これが影響している???
そこで、[]内に2023.12を除いた平均値も示します。これだと、0.071%とまずまずの値です。
平均売買代金、平均売買高
2024年8月13日時点の直近90日の平均売買代金、平均売買高は、
平均売買代金:27,578万円
平均売買高 : 717,182口
スプレッド(2024.7.31時点) 0.20%
これを他社のS&P500連動型ETFと比較します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
ETF *()内は信託報酬 | 平均売買代金 (万円) | 平均売買高 (口) | スプレッド 2024.7.31 (終値) 2024.8.13 |
NEXT FUNDS S&P500指数 (為替ヘッジなし) 連動型上場投信【2633】 (0.066%) | 27,578 | 717,182 | 0.20% (365.8) |
iシェアーズS&P500 米国株 ETF【1655】 (0.066%) | 148,726 | 2,452,458 | 0.05% (569.3) |
MAXIS米国株式(S&P500) 上場投信【2558】 (0.077%) | 119,254 | 49,365 | 0.05% (22,740) |
iFreeETF S&P500 (為替ヘッジなし)【2247】 (0.077%) | 20,398 | 13,346 | 0.25% (14,875) |
上場インデックスファンド 米国株式(S&P500) 【1547】 (0.1650%) | 48,774 | 53,596 | 0.11% (8,650) |
データ引用 : 東証マネ部
*iFreeETF 2247は2023.5.10に設定されたばかりの新しいETFです。
*2558だけ基準価額が極端に高い為、口数が少なく見えています。
金額ベースで見て、NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の売買高は(設定されて間もないiFreeETFを除く)他社ETFの1/5~1/2程度と未だ大きくありません。
設定されて未だ3年強ですので今後増えていくと期待!
純資産総額
125.5億円 (2024.7.31時点)
設定されて3年4カ月ですので、まだまだこれからです。
基準価額とベンチマークとの乖離
ETFでは先に示した市場価額と基準価額の乖離の他に、(非上場の)インデックスファンド同様、基準価額とベンチマークとの乖離も生じます。
そこで、NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の基準価額騰落率を、S&P500をベンチマークとする他社ETF、及び(非上場の)インデックスファンドと比較してみます。
下図は2024.7末日時点の1年騰落率を、実質コストに対してプロットしたものです。
*基準価額は分配金非課税再投資時
*○がETF、◇が(非上場)インデックスファンド
*米国ETF Vanguard VOOのデータもプロットします。VOOは分配金10%課税後再投資した場合の終値での円換算騰落率。(終値は米国Yahoo Finance、分配金は米国Vanguard社サイトより引用)
*多くのファンドがコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がないという前提で評価。
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】の騰落率は、多くのETF、ファンドを結んだ図中点線より僅かですが下側にあり、コスト要因以外でのマイナス乖離、あるいは、計算した実質コストよりもっと上がっている可能性があります。
そして、同じ信託報酬のiシェアーズや信託報酬の高いMAXISに騰落率で負けています。
*信託報酬を0.077%から0.066%に引き下げたのが2023.11.30、上記1年の評価期間の内、引下げ後が半分強の期間しかありません。今後は僅かながら低いコスト、そして他のETFに対して高い騰落率が期待できます。
(iShares1655も同様に引下げ後の期間が半分程度)
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まとめ
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2633】は、S&P500をベンチマークとし、超低コストで米国株式に投資できる東証上場ETFです。
そして、iシェアーズS&P500 米国株ETF【1655】等と並び最低水準の信託報酬。
未だ設定・上場から3年強で純資産総額、売買高もそう大きくなく、若干実質コストが高い可能性もありますが、今後に期待できるETFと言って良いでしょう。
*株式同様、その時の市場価格で売買したい、定期的に分配金が欲しい、分配金に対する外国税額控除に魅力を感じる方にはETFもお勧め出来ます。
販売会社
東証に上場するETFですので、証券会社を通して売買する事になります。
売買単位は10口単位で4,000円弱(2024.8時点)と最も少額で投資出来るETFです。
尚、通常、国内株式と同様の売買手数料がかかりますが、SBI証券では本ETFを取引手数料無料の対象銘柄としています。
*SBI証券、楽天証券は、それぞれ2023.9.30、2023.10.1より約定金額によらず国内株式売買手数料が無料(一部条件、コースの選択有)となりますので、本ETF以外でも無料で取引できます。
S&P500との連動を目指す国内ETFの比較は下記ページをご覧ください。