米国株式、NASDAQ(ナスダック)上場銘柄のうち時価総額上位100(除く金融)から構成されるNASDAQ100指数との連動を目指すインデックスファンド、国内籍(東証上場)ETF、米国ETFを様々な観点から比較します。
*尚、本記事でのインデックスファンド、あるいはファンドとは便宜上、非上場の投資信託を意味します。
[最終更新日:2023.3.15]<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100新規設定を追記。
[2023.1.11]全て最新の情報に更新。
本記事は一部を除き2022.12末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
- 1 NASDAQ100指数とは? (米国株式)
- 2 NASDAQ100に投資するインデックスファンド(投資信託)、ETF
- 3 インデックスファンド(投資信託) ~ iFreeNEXT / eMAXIS / NZAM / PayPay投信 / 日興インデックスファンドNASDAQ100~
- 4 NASDAQ100連動型 国内・東証上場ETF ~ NEXT FUNDS【1545】/ 上場インデックスファンド米国株式【2568】/ MAXIS【2631】/iFree ETF【2840】~
- 5 NASDAQ100インデックスファンド・国内ETFのリターン比較、ベンチマークとの乖離
- 6 米国ETF Invesco QQQ Trust ~国内ETF、インデックスファンドどちらが得か~
- 7 まとめ ~NASDAQ100 インデックスファンド(投資信託)・国内/米国ETFのおすすめ~
NASDAQ100指数とは? (米国株式)
NASDAQ100は、米国 NASDAQ市場に上場する銘柄のうち、金融業を除き時価総額の大きい約100銘柄から構成される時価総額加重平均型の指数です。
*以下、構成銘柄はInvesco QQQより引用(2023.1.9時点)。
セクター(業種)比率
NASDAQ100のセクター比率です。
1位のInformation Technologyが49%、
Communication Servicesと合わせて66%、所謂ハイテク企業が多くを占めるのがNASDAQ100の大きな特徴です。
構成銘柄 上位10位
NASDAQ100の上位10銘柄は下表のようになります。(2023.1.9時点)
銘柄 [Ticker] | 構成比 | 業種 | |
1 | Microsoft Corp [MSFT] | 11.7% | Information Technology |
2 | Apple Inc [AAPL] | 11.6% | Information Technology |
3 | Amazon.com Inc [AMZN] | 6.2% | Consumer Discretionary |
4 | Alphabet Inc [GOOG] | 3.8% | Communication Services |
5 | Alphabet Inc [GOOGL] | 3.7% | Communication Services |
6 | NVIDIA Corp [NVDA] | 3.5% | Information Technology |
7 | Tesla Inc. [TSLA] | 2.6% | Consumer Discretionary |
8 | Meta Platforms Inc (Facebook) [META] | 2.6% | Communication Services |
9 | PepsiCo Inc [PEP] | 2.2% | Consumer Staples |
10 | Broadcom Inc [AVGO] | 2.1% | Information Technology |
*4,5位のAlphabet Inc.はGoogleの持ち株会社です。
所謂「GAFAM」銘柄が上位を占めており、この5銘柄だけで40%をも占めます。
NASDAQ100の過去のパフォーマンス ~S&P500との比較~
NASDAQ100の過去のパフォーマンスを米国を代表する株式指数 S&P500と比較します。
2022.12末日時点の10年の米ドルベースのパフォーマンスです。全て年率で表記してあります。
*リターンは分配金再投資時のトータルリターン(分配金非課税・グロス)、シャープレシオ(S/R)は無リスク資産の利回り0として計算しています。
年率 リターン | 年率 リスク | S/R | |
NASDAQ100 | 16.20% | 17.56% | 0.92 |
S&P500 | 12.56% | 14.77% | 0.85 |
*S&P500はS&P Dow Jones Indices公式サイト(Fact sheet)、NASDAQ100はInvesco ETF QQQの値(Morningstarサイト記載のNAV値)から引用。
NASDAQ100、2022年は大きく下落したものの、10年で見るとS&P500を年率で約4ポイント上回るリターンを出し、リスクは若干高くなるものの、シャープレシオでも勝る良好な成績を収めています。
S&P500など他の米国株式指数の詳細は下記ページをご覧ください。
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NASDAQ100に投資するインデックスファンド(投資信託)、ETF
NASDAQ100との連動を目指すインデックスファンド、ETFを下表にまとめます。
*信託報酬は税込み表記
*為替ヘッジ有は除く
ファンド/ETF | 信託報酬 | 実質コスト |
(非上場)インデックスファンド | ||
PayPay投信 NASDAQ100インデックス | 0.418% | 2.036% |
eMAXIS NASDAQ100インデックス | 0.440% | 0.504% |
NZAM・ベータNASDAQ100インデックス | 0.440% | 0.859% |
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式) | 0.484% | 0.584% |
iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | 0.495% | 0.519% (~0.529%) (*1) |
(国内)東証上場ETF | ||
NEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信【1545】 | 0.220% (*2) | 0.326% (*2) |
MAXIS ナスダック100上場投信【2631】 | 0.220% | 0.316% |
iFreeETF NASDAQ100(為替ヘッジなし)【2840】(*3) | 0.220% | 0.309% |
上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)為替ヘッジなし【2568】 | 0.275% | 0.335% |
米国ETF | ||
Invesco QQQ Trust【QQQ】 | 0.20% |
(*1)iFreeNEXTは資産の一部をInvesco QQQに投資しており、その経費率(0.20%)も投資家が負担する事になります(運用報告書記載の実質コストにQQQ経費率が上乗せされる)。設定当初は100% QQQに投資していましたが(実質コストが0.20%上乗せ)、最近ではQQQ比率5%以下まで小さくなっており、ほぼ運用報告書通りの実質コストになっています。
尚、以下の解析にはQQQに5%投資していると仮定して実質コスト 0.519% + 0.20%*5% = 0.529%を用います。
(*2)NEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信【1545】は2021年10月27日より信託報酬が0.495%から0.22%に引下げられました。
*上表中の実質コストは信託報酬引下げ後の値
(*3)iFreeETF NASDAQ100(為替ヘッジなし)【2840】は2022年2月2日に上場された新しいETFです。
*同時に為替ヘッジあり【2841】、インバース【2842】も上場しました。
注意非上場のファンドと東証上場ETFの信託報酬は、それに含まれる費用が異なる為、単純に比較する事は出来ません。例えば指数ライセンス料は、非上場ファンドは信託報酬に含まれるのに対し、ETFでは含まれません。またETFには上場費用も必要です。両者は後述する実質コストで比較する必要があります。
NASDAQ100に投資したい方は、この10本の中から選択する事になります(為替ヘッジ有、レバレッジ型を除く)。
NASDAQ100レバレッジ型ファンドについては下記ページをご覧下さい。
以下、各ファンド・ETFについて詳細を比較します。
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インデックスファンド(投資信託) ~ iFreeNEXT / eMAXIS / NZAM / PayPay投信 / 日興インデックスファンドNASDAQ100~
NASDAQ100との連動を目指す(非上場の)インデックスファンドとして、
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
- NZAM・ベータ NASDAQ100
- インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)
- eMAXIS NASDAQ100インデックス
- PayPay投信NASDAQ100インデックス
の5本があります。
*その他、iFree レバレッジ NASDAQ100等もありますが、レバレッジ型ファンドの為ここでは割愛します。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ NASDAQ100インデックスファンドが2023年3月31日に信託報酬0.2035%で新規設定されます。
NASDAQ100連動型インデックスファンドの信託報酬・実質コスト・純資産総額・設定日
この5本のインデックスファンドの設定日、信託報酬、実質コスト、純資産総額をまとめます。
尚、ファンド名の下に設定日を記載しています。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド [設定日] | 信託報酬 [実質コスト] | 純資産総額 (億円) [2022.12末時点] | |
---|---|---|---|
1 | <購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックス [2023.3.31] | 0.2035% [---%] | --- |
2 | PayPay投信NASDAQ100インデックス [2021.6.29] | 0.4180% [2.036%] | 10.2 |
3 | eMAXIS NASDAQ100インデックス [2021.1.29] | 0.4400% [0.504%] | 480.4 |
3 | NZAM・ベータNASDAQ100 [2020.3.12] | 0.4400% [0.859%] | 16.6 |
5 | インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式) [2020.8.31] | 0.4840% [0.584%] | 504.6 |
6 | iFreeNEXT NASDAQ100インデックス [2018.8.31] | 0.4950% [0.519%] | 468.2 |
最も手軽にNASDAQ100に投資できるのがインデックスファンド。
リアルタイムの売買は出来ませんが、多くの証券会社(ネット証券)で100円から投資可能です。
信託報酬は2021.6.29に設定されたPayPay投信NASDAQ100インデックスが最安値。ただ、まだ運用実績が殆どなく、初回決算での実質コストは2.036%と非常に高くなっています。
これに続くのがeMAXIS NASDAQ100インデックス、NZAM・ベータ NASDAQ100、eMAXISは2021.1.29設定で約2年、NZAMは設定から3年弱、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)も2020.8.31設定と比較的新しいファンドです。
NZAM・ベータ NASDAQ100は2期目決算の結果が出ましたが、実質コスト0.859%と初回決算の1.671%よりは下がりましたが、まだまだ託報酬以外のコストが高くなっています。また、純資産も17億円しかありません。
純資産総額トップのインデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)は2期目決算で実質コスト 0.584%。1期目の0.654%からは下がりましたが、未だ実質コストではiFreeに負けています。
唯一4年以上の運用実績があるのがiFreeNEXT NASDAQ100インデックス。純資産総額も2位とインデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)に次ぐ大きさ。また信託報酬は最下位ですが、実質コストではeMAXISに次いで2位に上がります。
一般的に、設定当初は実質コストが上がったりベンチマークとの乖離が生じる事が多くありますので(詳細は後述)、実績を重視するならiFreeNEXT NASDAQ100インデックスという事になるでしょう。
iFreeNEXT/NZAM・ベータ/インデックスファンドNASDAQ100/eMAXIS/PayPay投信の人気・評判比較 ~資金流出入額~
月次資金流出入額、純資産総額からiFreeNEXT NASDAQ100インデックス、NZAM・ベータ NASDAQ100、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)、eMAXIS NASDAQ100インデックス、PayPay投信NASDAQ100インデックスの売れ行き・人気を比較します。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
先ずは運用実績が最も長いiFreeNEXT NASDAQ100インデックス、2019年は毎月1億以下でしたが2020年以降資金流入が急増しています(上図は2021年以降をプロット)。最近は多少減少気味ですが、それでも多くの月で数億レベルの資金流入があります。
勿論、S&P500との連動を目指すeMAXIS Slim米国株式(S&P500)等と比較すると大きな額ではありませんが・・・
そして、iFreeNEXT NASDAQ100インデックスを急速に追い上げているのがインデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)、eMAXIS NASDAQ100インデックスの2本。直近では、この2本がiFreeより売れる月が多くなっています。特に2022年はインデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の資金流入が多くなっています。
NZAM・ベータ NASDAQ100やPayPay投信は未だ少額の資金流入に留まっています。
iFreeNEXT NASDAQ100インデックスの詳細は下記ページをご覧ください。
eMAXIS NASDAQ100インデックスの詳細は下記ページをご覧ください。
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の詳細は下記ページをご覧ください。
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NASDAQ100連動型 国内・東証上場ETF ~ NEXT FUNDS【1545】/ 上場インデックスファンド米国株式【2568】/ MAXIS【2631】/iFree ETF【2840】~
東証上場ETFでNASDAQ100に投資できるETFとして、
野村アセットマネジメントが運用するNEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信【1545】
日興アセットマネジメントが運用する上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)為替ヘッジなし【2568】
三菱UFJ国際投信が運用するMAXISナスダック100上場投信【2631】
そして、大和アセットマネジメントが運用し2022年2月に上場したばかりのiFreeETF NASDAQ100(為替ヘッジなし)【2840】
があります。
*日興には「上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)為替ヘッジあり【2569】」、三菱UFJ国際投信には「MAXISナスダック100上場投信(為替ヘッジあり)【2632】」、大和には「iFreeETF NASDAQ100(為替ヘッジあり)【2841】」、野村には「NEXT FUNDS NAASDAQ-100(為替ヘッジあり)連動型上場投信【2845】」もありますが、ここでは為替ヘッジなしの【1545】【2568】【2631】【2840】のみ取り上げます。
東証上場ETFですので、円のままリアルタイムに投資する事が出来ます。
NASDAQ100連動型東証上場ETFの基本情報・比較
各ETFの各種情報を下表にまとめます。
*以下、NEXT FUNDS【1545】、上場インデックスファンド【2568】、MAXIS【2631】、iFreeETF【2840】と略して表記する場合があります。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
NEXT FUNDS NASDAQ-100 連動型上場投信 【1545】 | 上場インデックス ファンド 米国株式 (NASDAQ100) 【2568】 | MAXIS ナスダック100 上場投信 【2631】 | iFreeETF NASDAQ100 【2840】 | |
運用会社 | 野村アセット マネジメント | 日興アセット マネジメント | 三菱UFJ 国際投信 | 大和アセット マネジメント |
上場日 | 2010年 8月16日 | 2020年 9月24日 | 2021年 2月25日 | 2022年 2月2日 |
銘柄コード | 1545 | 2568 | 2631 | 2840 |
ベンチマーク | NASDAQ100 | |||
信託報酬(税込) | 0.220% | 0.275% | 0.220% | 0.220% |
実質コスト | 0.326% | 0.335% | 0.316% | 0.309% |
純資産総額 (2022.12.30時点) | 466.8億円 | 57.1億円 | 152.2億円 | 38.0億円 |
決算日(分配金) | 年1回 (8/10) | 年2回 (1/8, 7/8) | 年2回 (6/8, 12/8) | 年2回 (3/10, 9/10) |
売買単位 | 1口単位 約1.5万円 (2023.1時点) | 10口単位 約2.5万円 (2023.1時点) | 1口単位 約1.1万円 (2023.1時点) | 1口単位 約1.4万円 (2023.1時点) |
マーケット メイク制度 | 対象 | 対象 | 対象 | 対象 |
iNAV | なし | あり | なし | あり |
外国税額控除 (二重課税調整) | 対象 | 対象 | 対象 | 対象 |
売買手数料無料 の証券会社 | SBI証券、 楽天証券、 auカブコム証券 | 楽天証券 | SBI証券、 楽天証券 | 無 |
信託報酬は2021.10.27より引き下げられたNEXT FUNDS【1545】、及びMAXIS【2631】、さらに2022.2に上場したiFreeETF【2840】が同率で0.220%。実質コストも(非上場の)インデックスファンドより十分低くなっています。
NEXT FUNDS【1545】は10年以上の長い運用実績を誇ります。一方、MAXIS【2631】は2021.2に設定された新しいETFです。
iFreeETF【2840】は未だ上場したばかりです。
2020年に上場した上場インデックスファンド【2568】も比較的低コストですが、これも未だ十分な実績がありません。
また、NEXT FUNDS【1545】、MAXIS【2631】はSBI証券、楽天証券等で、上場インデックスファンド【2568】は楽天証券で売買手数料無料で取引出来ます。
尚、ここで取り上げた4本のETFとも2020年から適用された外国税額控除(二重課税調整措置)の対象ファンドで、税制上、有利になる場合があります。
詳細は下記ページをご覧ください。
市場価格と基準価額の乖離、流動性など
*売買代金・売買高は2023年1月10日時点の直近90日間平均、スプレッドは2022.11末時点(データ引用:東証マネ部)。
*乖離率は直近1年(2022年1月~2022年12月/iFreeETFは2022.2より)の絶対値の平均(データ引用:モーニングスター)
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
NEXT FUNDS NASDAQ-100 連動型上場投信 【1545】 | 上場インデックス ファンド 米国株式 (NASDAQ100) 【2568】 | MAXIS ナスダック100 上場投信 【2631】 | iFreeETF NASDAQ100 【2840】 | |
平均売買代金 (直近90日) | 116,902万円 | 19,349万円 | 39,511万円 | 28,690万円 |
平均売買高 (直近90日) | 71,823口 | 71,815口 | 34,508口 | 19,294口 |
スプレッド | 0.05% | 0.05% | 0.06% | 0.05% |
市場価格・基準価額 乖離率(直近1年) | 0.142% | 0.130% | 0.133% | 0.133% |
売買代金が大きいのはNEXT FUNDS【1545】、外国株式に投資する国内ETFとしては十分大きい部類に入ります。
上場インデックスファンド【2568】、MAXIS【2631】も上場から2年程にしては大きい売買高ですが、NEXT FUNDS【1545】に比べると金額で1/6~1/3程度。
市場価格と基準価額の乖離は全てのETFが同程度で0.1%を超えています。ボラティリティの大きい相場で乖離も大きくなったと推測。
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NASDAQ100インデックスファンド・国内ETFのリターン比較、ベンチマークとの乖離
非上場のインデックスファンド、及び東証上場のETFについて、その騰落率のベンチマークとの乖離を見てみます。
*ETFでは、前章で示した市場価格と基準価額との乖離の他、基準価額とベンチマークとの乖離があります。本章で比較するのは後者の乖離です。また、ETFの基準価額は分配金を非課税で再投資したトータルリターン(グロス)値を用います。
本章では各ファンド・ETFの騰落率と実質コストの関係を見ていきますが、これは、理想的には配当課税を適切に考慮したインデックス(指数)騰落率(これを「真のインデックス」と定義)から決まる傾き、切片の直線になります。ただ、外国株式の場合、「真のインデックス」騰落率がわかりませんので、管理人の主観で図中グレーの点線を引いています。
(注)本評価では、多くのファンドがベンチマークとの乖離がないであろうとの仮定・前提のもと、この「多くのファンド」から外れた騰落率を示すものを「乖離」と判定します。評価方法やインデックスの詳細については下記記事をご覧ください。
米国ETF Invesco QQQのデータもプロットします。
*QQQは分配金10%課税後再投資した場合の終値での円換算騰落率。(終値は米国Yahoo Finance、分配金は米国Invesco社サイトより引用)
*評価期間中に信託報酬の変更があったファンド・ETFは、その期間に応じて按分した期中平均実質コストを用います。(期中平均コストは基準価額の変動を考慮せず)
*非上場のインデックスファンドを○、ETFを△でプロット
*iFreeETF【2840】は6カ月のデータのみ
*インデックスファンドNASDAQ100は日興アメリカと記載
1年騰落率
2022年12月末時点の1年騰落率と実質コストの関係です。
上図、グレーの点線が、傾き=-(1+ベンチマークの年率リターン)、切片=ベンチマークの年率リターンです。ベンチマークとの乖離がなければこの点線上に乗る筈です。そしてピンクの星印が「真のインデックス」騰落率です。
*あくまで管理人の主観で引いた線ですが、切片、傾きに前述の制限がついた直線です。
実質コストが非常に高かったPayPay、コストから推測される騰落率よりは高くなっていますので、直近の実質コストは下がっている可能性もあります。それでも、評価したファンド・ETFの中で最も低い騰落率です。
その他のファンドは良く分かりませんので、実質コストの高いPayPayを除外してグラフのスケールを変えたのが下図。
QQQを含め、(NZAMを除く)3本のインデックスファンド、3本のETFとも概ね同一直線上にのっています。これは、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない事を意味します。
*ETF3本のコスト依存は若干不明確ですが。。。
騰落率トップは勿論、コストで勝るQQQ。
そして、国内ファンド・ETFでは、信託報酬・実質コストで勝るETF3本の騰落膣が高く、その中でもNEXT FUNDS【1545】が高くなっています(若干上方乖離の可能性もあり)。
(非上場の)インデックスファンドでは、順当に実質コスト最安値のeMAXIS NASDAQ100インデックスの騰落率が高くなっています。iFreeNEXT NASDAQ100インデックスがこれに僅差で続きます。
NZAMは上方乖離しているか、あるいは直近の実質コストがもっと下がってきた可能性があります。
6カ月騰落率
2022年12月末時点の6カ月騰落率と実質コスト(/2)の関係です。
運用実績が1年に満たないiFreeETF【2840】を含め全ファンド・ETFのデータがそろっています(実質コストが高いPayPayは除外してプロット)。
6カ月でも大きな傾向は1年と変わりません。PayPay、NZAM・ベータを除くファンド・ETFがコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない運用になっています。
*1年同様ETFのコスト依存性が若干不明確。
iFreeETF【2840】も概ね問題ない運用になっており、(QQQを除き)騰落率トップです。
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米国ETF Invesco QQQ Trust ~国内ETF、インデックスファンドどちらが得か~
信託報酬/経費率だけで考えたら米国 ETF Invesco QQQに直接投資するのが最も低コストです。
2023.1時点で市場価格は270ドル前後ですので3~4万円程度で投資できます。
具体的にQQQへの直接投資が、国内インデックスファンド、国内ETFに対して、どれだけお得になるかを年利回りで比較してみます。
*前章で示したQQQの騰落率は分配金の米国課税以外の手数料・税金を考慮していませんのでご注意下さい。
QQQへの直接投資と国内インデックスファンド、ETFとの比較
計算条件
- 100万円を一括投資し、10年、または20年後に売却、それまでの年率換算利回りで評価。
(売却時の譲渡益課税後から利回り計算) - トータルリターン(年率) 5%、うち配当利回り0.5%。
*NASDAQ100は一般的に配当利回りが低いので0.5%と仮定。 - 国内インデックスファンドは分配金を出さない。
- 国内ETFは外国税額を全額控除出来るとする(NISAを除く)。
- QQQの分配金は便宜上年1回とし、課税後の分配金は全額再投資する。
- QQQで外国税額控除を行う場合、米国課税の半分が還付されるとして、計算上は米国課税を5%とする。
- QQQの買付・売却手数料は0.495%。NISAでは売却時のみ考慮。
手数料上限は22ドル=>為替135円で2,970円
但し、分配金再投資時の買付手数料は考慮せず。 - ドル購入時の為替手数料は考慮せず。
計算結果
10年後、20年後での売却後の利回りを下表にまとめます。
国内インデックスファンド、国内ETFは、それぞれの中で実質コストが最も低いeMAXIS NASDAQ100インデックス、iFreeETF NASDAQ100(為替ヘッジなし)【2840】を用います。
*スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい。
国内 インデックス ファンド | 国内ETF | 米国ETF | ||
eMAXIS NASDAQ100 インデックス | iFreeETF NASDAQ100 【2840】 | QQQ | ||
実質コスト | 0.504% | 0.309% | 0.20% | |
外国税額控除 | --- | 有 [NISAは無] | 非適用 | 半分還付 |
配当 外国税率 | 10% | 0% [NISA 10%] | 10% | 5% |
配当 国内税率 | ---% | 20.315% [NISA 0%] | 20.315% [NISA 0%] | 20.315% |
課税口座 | ||||
10年利回り (年率) | 3.67% | 3.87% | 3.87% | 3.89% |
20年利回り (年率) | 3.79% | 3.98% | 4.02% | 4.04% |
非課税口座(NISA) | ||||
10年利回り (年率) | 4.45% | 4.64% | 4.73% | --- |
20年利回り (年率) | 4.45% | 4.64% | 4.74% | --- |
最も利回りが高いのが米国ETF QQQ。
次に国内ETF。米国ETF QQQとの差はそう大きくありません。
一方、(非上場の)国内インデックスファンドは、ETF(国内&QQQ)とのコスト差が大きく、リターンは若干劣ります。
*海外ETFで懸念される三重課税は、QQQのように米国株式だけに投資する場合は問題となりません。
まとめ ~NASDAQ100 インデックスファンド(投資信託)・国内/米国ETFのおすすめ~
以上、米国のハイテク企業を中心としたNASDAQ100に投資する米国ETF、国内インデックスファンド・ETFを比較しました。
コストを重視する方は、(非上場の)インデックスファンドより、東証上場ETFや米国ETF Invesco QQQ Trustに投資する方が有利になります。
しかし、資産形成期においては、分配金を出すETFは分配金再投資の手間がかかり、また、相場によっては必ずしも有利になるとは限りません。
*NASDAQ100のように分配金利回りが小さいとETFの優位性が高くなります。
本記事のETF/インデックスファンド比較ではトータルリターン年率5%(内、配当利回り0.5%)一定で計算、比較してありますが、実際は株価・基準価額が単調に上昇していくわけではありません。株価・基準価額の変動により今回の結果よりETF(国内・米国とも)が不利になる可能性があります。詳細は下記記事を参照して下さい。下記記事は基本的に国内株式を対象とした検証結果ですが、分配金再投資という点では同様に考えられます。
多少コストは高くなりますが、もっとも手軽に100円から投資できる(非上場の)インデックスファンドも有力な選択肢である事には変わりません。
米国株式取引を主に行っている方はInvesco QQQ Trust、
円でリアルタイムで取引出来、コスト的にも有利になりつつある東証上場ETF、
もっと手軽に投資したい方は(非上場の)インデックスファンドと、
それぞれの投資スタンスに応じて選択すれば良いでしょう。
QQQを除き、本サイトが(管理人の主観を込めて)お勧めするファンド・ETFは、
実績を重視するなら、
NEXT FUNDS NASDAQ-100連動型上場投信【1545】(2021.10.27からの信託報酬引下げでコスト的にも有利になりました)
iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
まだ実績は少ないものの今後に期待するETF・ファンドとして、上記2本と概ね同等、もしくは低いコストの
MAXIS ナスダック100上場投信【2631】、iFreeETF NASDAQ100(為替ヘッジなし)【2840】
eMAXIS NASDAQ100インデックス
コスト差がそう大きくないだけに、それぞれのお好みで選択すれば良いでしょう。
SBI証券
米国ETFなら住信SBIネット銀行との組み合わせで為替手数料が安いSBI証券がおすすめ。
投資信託も、投資信託保有で毎月Tポイント/Pontaポイント/dポイントがもらえ、さらにT or Pontaポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
さらに三井住友カードで投信積立が出来ます。ポイント付与率0.5%(ゴールド、プラチナカードはさらに付与率アップ)。
*三井住友カード(NL)なら年会費永年無料。
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楽天証券
楽天ポイントで投資信託を購入出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)や楽天キャッシュで投資信託を積立購入する事が出来ます。勿論ポイント還元があります。
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マネックス証券
マネックスカード(クレジットカード)で投信積立が出来ます。投信積立での還元率1.1%。マネックスカードの発行はマネックス証券口座が必要。
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マネックス証券 iDeCo
個人型確定拠出年金(iDeCo)でNASDAQ100に投資するなら主要ネット証券で唯一「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」をラインアップしているマネックス証券。
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