1本のファンドで国内外の債券、株式、リートに分散投資できるインデックス型のバランスファンド、野村6資産均等バランスについて解説します。
1本のファンドで複数の資産クラス(例えば、国内株式・債券、先進国株式・債券など)に投資するファンドをバランスファンドと言います。個々の資産クラスのファンドを組合わせるよりコスト的には割高になる場合が多いですが、バランスファンドなら面倒なリバランスも不要で、ほったらかし投資が簡単に実践できます。
[最終更新日:2024.3.5]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024.2末日時点の情報に基づいて記載しています。
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見出し
野村6資産均等バランスの基本情報
野村つみたてシリーズは野村アセットマネジメントが運用するインデックスファンドで、「つみたてNISA」向けファンドとして2017年9~10月に設定されました。現在、野村つみたて日本株投信(日経225)、野村つみたて外国株投信(MSCI ACWI(除く日本))、野村6資産均等バランスの3本がラインアップされています。野村インデックスファンド[愛称:Funds-i]と同じマザーファンドで運用。「つみたてNISA(現:NISA[つみたて投資枠])」向けですが、後述するように一部ネット証券では「つみたてNISA(現:NISA[つみたて投資枠])」以外でも購入できます。
今回解説するのは、国内・先進国の債券・株式・リートの6資産に均等に投資する野村6資産均等バランス。
先ず、野村6資産均等バランスの基本情報をまとめます。
運用会社 | 野村アセットマネジメント |
設定日 | 2017年9月19日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 合成ベンチマーク(後述) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.2420% |
実質コスト | 0.257%(*1) |
純資産総額 | 744.2億円(2024.2.29時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | --- |
分配金実績 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象商品 |
NISA(成長投資枠) | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.03% |
松井証券ポイント還元年率 | 0.10% |
(*1)実質コストは2023.7決算より
(*2)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
投資対象
国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式、国内リート、先進国リートの6資産に均等に投資します。
ベンチマーク
各投資対象はインデックス運用を行い、ベンチマークは下表のようになります。
資産クラス | ベンチマーク |
国内債券 | NOMURA BPI総合 |
国内株式 | TOPIX |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
先進国株式 | MSCI Kokusai |
国内リート | 東証REIT指数[配当込] |
先進国リート | S&P先進国リートインデックス(除く日本)[配当込] |
いずれも、それぞれの資産クラスで一般的なベンチマークです。
また、各マザーファンドは野村インデックスファンド【Funds-i】シリーズの個々のファンドと同じです。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
野村6資産均等バランスの信託報酬は0.2420%(税込)。
実質コストは0.257%(税込,2023.7決算)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
バランスファンドとしてのお得度 ~個々のファンドの組合せと比較~
バランスファンドは、その投資配分と同じになるよう個別のファンドを組合わせた場合に対し、コストが割高になるのが一般的です。
そこで、野村6資産均等バランスと、現時点で最も低コストの単体インデックスファンド(*)を組み合わせた場合の信託報酬とを比較します。
(*)主要ネット証券で取扱いがあり、かつ実績のあるファンド(信託報酬以外のコストに大きな問題がないなど)の中で最安値
資産クラス | 資産配分 | 信託報酬最安値 |
国内債券 | 1/6 | 0.1320% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
国内株式 | 1/6 | 0.1430% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
先進国債券 | 1/6 | 0.1540% (eMAXIS Slim 、ニッセイ) |
先進国株式 | 1/6 | 0.09889% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
国内リート | 1/6 | 0.1870% (eMAXIS Slim 、Smart-i) |
先進国リート | 1/6 | 0.2200% (eMAXIS Slim 、Smart-i) |
組合わせた場合の信託報酬 | 0.156% |
個々のインデックスファンドを組み合わせて6資産均等型にした場合、その信託報酬は0.156%。
一方、野村6資産均等バランスの信託報酬は0.2420%で、バランスファンドとしては比較的低コストの部類ですが、個別ファンドを組み合わせた場合より0.086%ポイント割高になります。
他社 6資産均等型インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
6資産均等型は野村6資産均等バランスの他、ニッセイアセットマネジメントからも運用、販売されています。これら6資産均等型の信託報酬・実質コストを比較します。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ インデックスバランスファンド (6資産均等型) | 0.1749% | 0.218% |
野村6資産 均等バランス | 0.2420% | 0.257% |
(注)6資産に均等に配分するインデックス型のバランスファンドとして野村AMの「世界6資産分散ファンド」もありますが、本ファンドはリートがなく、その分新興国債券・株式を加えた6資産と資産配分が異なりますので、本記事では比較の対象外とします。
2本しかありませんが、信託報酬は<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(6資産均等型)が低く、野村6資産均等バランスに対し信託報酬で0.07%ptもの差をつけています。ただ、実質コストでは、その差が若干縮まります。
信託報酬の変更履歴
野村6資産均等バランスはまだ信託報酬引下げの実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/9/19 | 0.2376% | 新規設定 |
2019/10/1 | 0.2420% | 消費税増税(8%-->10%) |
設定時は信託報酬最安値でしたが、その後すぐに<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(6資産均等型)が税抜きで0.001%低く新規設定されました。さらに、その後、<購入・換金手数料なし>ニッセイが信託報酬引下げを行った為、前述のように差が広がりました。
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野村6資産均等バランスの運用状況(評価・人気)
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額から野村6資産均等バランスの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
徐々に資金流入は増えており、2021年以降は毎月10億円前後の安定した資金流入が続いています。この種のファンドとしては十分売れていると言って良いでしょう。(後述しますが購入方法が積立限定というのも安定している理由の一つでしょう)
尚、新NISAが始まった2024年には1月 27億、2月 22億と多くの資金を集めています。
純資産総額は744億円(2024.2.29時点)、設定から6年半としてはまずまずの資産額。同時期に設定され、より信託報酬が低い<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(6資産均等型)が22億程度ですので、これと比べると十分大きな純資産です。
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
ただし、複数の資産に投資するバランスファンドの場合、その評価は簡単ではありません。
そこで、同じ6資産均等型の<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(6資産均等型)との比較、さらにSMT、eMAXIS、Funds-iの個別のインデックスファンドの基準価額から6資産均等型になるよう合成データを作成し、これと比較する事でベンチマークとの乖離を評価します。
下図は2024年2月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
*[eMAXIS合成]、[SMT合成]、[Funds-i合成]というプロットが、eMAXIS、SMT、Funds-iシリーズの個々のインデックスファンドを組み合わせた合成データです。
個別ファンドの組合せを結んだ線に対し、野村6資産均等バランスは僅かにマイナス側に位置しています。これは、ベンチマークに対しコスト要因以外での乖離が生じた為と思われます。
個別ファンドは、ベンチマークに対し大きな乖離はないと思われますので、野村6資産均等バランスは、各資産の比率の僅かな違いやリバランスのタイミング等によってベンチマークとの乖離が生じているのだと推測します。
ただ、<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(6資産均等型)は、本ファンド以上にマイナス乖離しており、騰落率では野村6資産均等バランスが勝っています。
尚、この2ファンドの乖離、評価する期間によっても異なり、2020年のように野村6資産均等バランスが大きくマイナス乖離した年もあります。
参考までに2024.2末時点の3年騰落率のデータも示します。
直近3年でも<購入・換金手数料なし>ニッセイより野村6資産均等バランスの騰落率が高くなっていますが、その差は小さくなっています。
野村6資産均等バランスの分配金
野村6資産均等バランスは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますので、将来の分配金有無はわかりません。
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まとめ
野村6資産均等バランスは国内債券・株式・リート、先進国債券・株式・リートに均等に投資するバランスファンドで、新興国が不要な方にとって選択肢の一つとなるファンドです。
信託報酬は最安値ではないものの比較的低く、また概ね毎月10億前後の安定した資金流入があります。
ベンチマークとの連動性は、過去には大きなマイナス乖離を起した事もありますが、今期の直近1年、3年騰落率の評価では、その乖離幅が小さくなっており、コストで勝る<購入・換金手数料なし>ニッセイよりも高い騰落率になっています。
販売会社
野村6資産均等バランスは下記の金融機関で購入出来ます。
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さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
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またMATSUI Bank(住信SBIネット銀行マツイ支店)の口座開設すれば普通預金金利 年0.31%になるのも魅力。
公式サイト松井証券
勿論、NISA(つみたて投資枠)対象のファンドです。(成長投資枠でも購入出来ます。金融機関によってはつみたて投資枠専用としている場合もあります)
*尚、多くの証券会社が積立専用のみでスポット購入は出来ません。
他の6資産均等型との比較、さらに8資産均等型、4資産均等型を含めた最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。