1本のファンドで国内外の債券、株式、リートに分散投資できるインデックス型のバランスファンド、iFree 8資産バランスについて解説します。
1本のファンドで複数の資産クラス(例えば、国内株式・債券、先進国株式・債券など)に投資するファンドをバランスファンドと言います。個々の資産クラスのファンドを組合わせるよりコスト的には割高になる場合が多いですが、バランスファンドなら面倒なリバランスも不要で、ほったらかし投資が簡単に実践できます。
[最終更新日:2020.2.11]初版
本記事は原則2020.1末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
iFree 8資産バランスの基本情報
iFreeシリーズは、大和投資信託が運用するインデックスファンド・シリーズです。「低水準の運用管理費用」と「豊富な商品ラインアップ」をコンセプトに、「投資(investment)、もっと自由(Free)に」の思いを込めてネーミングしたとの事。 (iFree公式サイトより抜粋・編集して引用)
今回解説するのは、国内・先進国・新興国の債券・株式・リートに均等に投資(新興国リートを除く)するiFree 8資産バランス。
先ず、iFree 8資産バランスの基本情報をまとめます。
運用会社 | 大和証券投資信託委託株式会社 |
設定日 | 2016年9月8日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 合成ベンチマーク(後述) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.2420% |
実質コスト | 0.331% |
純資産総額 | 200.44億円(2020.2.10時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | --- 円 |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
投資対象
国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式、新興国債券、新興国株式、国内リート、先進国リートの8資産に均等に投資します。
ベンチマーク
各投資対象はインデックス運用を行い、ベンチマークは下表のようになります。
資産クラス | ベンチマーク |
国内債券 | NOMURA BPI総合 |
国内株式 | TOPIX |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
先進国株式 | MSCI Kokusai |
新興国債券 | JPモルガンGMI-EMグローバル・ダイバーシファイド |
新興国株式 | FTSE RAFI エマージング インデックス |
国内REIT | 東証REIT指数(配当込) |
先進国REIT | S&P先進国REIT指数(除く日本) |
新興国株式以外は、それぞれの資産クラスで一般的なベンチマークです。
また、各マザーファンドはiFreeの個々のファンドと同じです。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
新興国株式のベンチマーク ~FTSE RAFI エマージング インデックス~
8資産均等型は多くの運用会社から運用・販売されていますが、iFree 8資産バランスの特徴は、新興国株式のベンチマークがFTSE RAFI エマージング インデックスである事。
多くの新興国株式インデックスファンド、8資産均等型バランスファンドがベンチマークとしているMSCIエマージング・マーケット・インデックスとは異なります。
指数会社の違い
指数提供会社(ベンダー)がMSCIとFTSEで異なります。
指数ベンダーにより先進国・新興国の定義が異なり、主な違いは韓国の取り扱い。
FTSEは韓国を先進国、MSCIは新興国と分類しています。よって、iFree 8資産バランスの新興国株式には韓国を含みません。
尚、iFree 8資産バランスの先進国株式はMSCIなので、ここにも韓国が含まれず、結局、iFree 8資産バランスには先進国、新興国ともに韓国株式が含まれない事になります。
スマートベータ型指数
時価総額比率だけでなく、ファンダメンタル指標を加えて銘柄の選定を行う等、若干アクティブな要素を加えた指数になります。
FTSE RAFI エマージング インデックスの詳細は、同じく本指数をベンチマークとしているiFree 新興国株式インデックスの下記記事を参照して下さい。
投資国(通貨)
投資資産の組入上位9通貨は下図のようになります。これが、概ね、投資国比率と思って良いでしょう。
*但し中国株式の一部が米ドルに含まれています。
画像引用:iFree 8資産バランス 月次レポート(2020/1)
手数料(信託報酬、実質コストなど)
iFree 8資産バランスの信託報酬は0.2420%(税込)。
実質コストは0.331%(税込)。
若干、信託報酬以外のコストが高くなっています。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
バランスファンドとしてのお得度
バランスファンドは、その投資配分と同じになるよう個別のファンドを組合わせた場合に対しコストが割高になるのが一般的です。
そこで、iFree 8資産バランスと、現時点で最も低コストの単体インデックスファンドを組み合わせた場合の信託報酬とを比較します。
資産クラス | 資産配分 | 信託報酬最安値 |
国内債券 | 12.5% | 0.1320% (eMAXIS Slim) |
国内株式 | 12.5% | 0.1540% (eMAXIS Slim) |
先進国債券 | 12.5% | 0.1540% (eMAXIS Slim) |
先進国株式 | 12.5% | 0.10230% (eMAXIS Slim) |
新興国債券 | 12.5% | 0.2420% (iFree) |
新興国株式 | 12.5% | 0.3740% (iFree) |
国内リート | 12.5% | 0.1870% (eMAXIS Slim) |
先進国リート | 12.5% | 0.2200% (eMAXIS Slim) |
組合わせた場合の信託報酬 | 0.196% |
*新興国株式は同じベンチマークのiFree新興国株式を使用。
個々のインデックスファンドを組み合わせて8資産均等型にした場合、その信託報酬は0.196%。
一方、iFree 8資産バランスの信託報酬は0.2420%ですので、組み合わせた場合より0.046%高くなります。
他社 8資産均等型インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
8資産均等型は多くの運用会社から運用、販売されています。そこで他社の8資産均等型と信託報酬・実質コストを比較します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.1540% | 0.220% |
1 | たわらノーロード バランス(8資産均等型) | 0.1540% | 0.249% |
3 | <購入・換金手数料なし>ニッセイインデックスバランスファンド(8資産均等型) | 0.1749% | 0.265% |
4 | iFree 8資産バランス | 0.2420% | 0.331% |
4 | (三菱UFJ)つみたて8資産均等バランス | 0.2420% | 0.310% |
6 | eMAXIS バランス(8資産均等型) | 0.5500% | 0.607% |
6 | SMT 8資産インデックスバランス・オープン | 0.5500% | 0.611% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
*信託財産留保額 eMAXISバランス 0.15%、SMT 8資産インデックスバランス・オープン 0.10%。これ以外のファンドは無。
*たわらノーロード、<購入・換金手数料なし>ニッセイは新興国債券が、iFreeは新興国株式のベンチマークが異なります。
信託報酬はiFree 8資産バランスがつみたて8資産均等バランスと並び同率で4位。
信託報酬最安値のeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)、たわらノーロードバランス(8資産均等型)とは0.088%の差があります。
信託報酬の変更履歴
iFree 8資産バランスは1回だけ信託報酬引下げの実績があります。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2016/9/8 | 0.2484% | 新規設定 |
2017/10/2 | 0.2376% | eMAXIS Slim、たわらノーロードに対抗 |
2019/10/1 | 0.2420% | 消費税増税(8%-->10%) |
設定時は未だ8資産均等型にeMAXIS(Slimがつかない)しかなく、信託報酬最安値でした。
その後誕生した低コストのeMAXIS Slimやたわらノーロードに対抗すべく、iFreeも2017年10月に引き下げたのですが、信託報酬引下げはこの一度だけ。
現時点では、その後も引下げを行ったeMAXIS Slimやたわらノーロードとの差が広がっています。
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iFree 8資産バランスの運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からiFree 8資産バランスの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
2017年からは毎月2~7億の資金流入があります。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)には大きく水をあけられていますが、そこそこ売れていると言って良いでしょう。
純資産総額は現時点(2020.2.10)で200億。設定が古い事もあり、8資産均等型の中では比較的大きな純資産となっています。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
ただし、複数の資産に投資するバランスファンドの場合、その評価は簡単ではありません。
さらに、iFreeの場合、他の8資産均等型と新興国株式のベンチマークが異なる為、単純には比較出来ません。
そこで、eMAXISの個別のインデックスファンド、及び新興国株式部分だけiFree新興国株式を利用して8資産均等にした合成データと比較します。
*図中 eMAXIS合成(株式iFree)としてプロット。
下図は、2020年1月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そして点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
*多くのファンドがコスト起因以外でのベンチマークとの乖離はないだろうという前提で評価。
先ず、たわらノーロード、<購入・換金手数料なし>ニッセイ、そしてeMAXIS Slimなどの方が騰落率が高くなっていますが、これは新興国債券・株式のベンチマークが異なる為です。
ただ、わずか1年間の結果だけでベンチマークの優劣をつけられるものではありませんので、今後、どちらの騰落率が高くなるかは分かりません。
さて、今回検証するiFree 8資産バランス、個別インデックスファンドの組合せ「eMAXIS合成(株式iFree)」と同一直線上にのっています。
これから、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離は殆ど無いと推測されます。(eMAXISの各ファンド、iFree新興国株式の乖離がないとの前提)
*2点だけですが、傾きがインデックス騰落率で決まる直線で、単に2点を結んだだけの線ではありません。
まとめ
iFree 8資産バランスは、8資産に均等に投資するファンドですが、他社の8資産均等型とは新興国株式のベンチマークが異なるという特徴があります。
そして韓国株式が先進国・新興国ともに含まれません
信託報酬は最安値のeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)等と比較すると若干高めではありますが、
韓国株式を除外した8資産、さらに、新興国株式としてFTSE RAFI エマージング インデックスに投資したい方には選択肢の一つとなるファンドです。
販売会社
iFree 8資産バランスは多くの証券会社、銀行等で購入出来ます。
ただ、下記のネット証券であれば、iFree 8資産バランスだけでなくeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)も取り扱っています。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト楽天証券、楽天カード
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでも購入可能、但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。
他の8資産均等型との比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
主なバランスファンドの一覧は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。