インデックス型のバランスファンドとして多くの運用会社が設定し、コスト(信託報酬)的にも低水準のファンドが揃っている8資産均等型。
初めて投資を行う方からベテランまで、お勧めできるバランスファンドの一つです。
そんな8資産均等型バランスファンドを解説するとともに、各社のファンドを比較します。
[最終更新日:2019.10.10]最新の情報に更新。
消費税10%表記に変更。
*本記事は原則2019年9月末日時点の情報に基づき記載しております。
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8資産均等型とは? そのリスク・リターンは?
8資産均等型とは?
国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式、新興国債券、新興国株式、国内リート、先進国リートの8資産に均等に投資するバランスファンドです。
この1本だけで主な資産クラスの全てに分散投資できます。
8資産均等型のパフォーマンス(リターン・リスク) (世界経済インデックスファンドやセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドとも比較)
投資する上で、そのリスク・リターンを把握しておく事が重要です。
そこで、個々の資産クラスのインデックスファンド、及び人気の世界経済インデックスファンド、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド、さらに6資産均等型、4資産均等型とリスク・リターンを比較します。
尚、設定が最も古いeMAXIS バランス(8資産均等型)でさえ、設定日が2011/10/31と比較するには十分な期間が無いことから、個々のアセットクラスのインデックスファンド基準価額から8資産均等型となる合成データを作成し、これを8資産均等型の基準価額とします。(6資産、4資産均等型も同様)
*個々のインデックスファンドはSMTインデックスシリーズの基準価額を使用。勿論、SMTのコストが引かれた後の値となります。
*新興国債券はJPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス・エマージング・マーケッツ グローバル ダイバーシファイド、新興国株式はMSCIエマージングをインデックスとした合成データです。
比較したバランスファンドの資産配分
8資産均等型、6資産均等型、4資産均等型、さらに世界経済インデックスファンド、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの資産配分比率をまとめます。
8資産均等型のパフォーマンス(リターン・リスク)
直近10年のリターン・リスク
2019年9月末時点の直近10年間のリターン・リスクを下図にまとめます。
ここで取り上げたバランスファンドは株式・債券両方に分散投資するファンドですので、当然、リスクは債券・株式の中間の値をとります。
その中で、8資産均等型は6資産均等型に次いで概ね同じリスクでリターンが高い、すなわちシャープレシオ(投資効率)が高い成績を残しています。
時価総額でもGDP比率でもない、ただ均等に配分しただけの8資産均等型ですが、人気の世界経済インデックスファンドやセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドをも上回る成績を残しています。
5年間のリターンのバラツキ
上述の直近のリターンは、現在の基準価額に大きく左右され、十分な評価とは言えません。そこで、2009年1月から投資月を1カ月ずつずらしていった複数の5年間リターンの分布を見てみます。全部で69区間のデータとなりますが、その平均値、最大値、最小値をプロットします。(リターンは年率換算)
8資産均等型は、4資産均等型やセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドに対し(リスクの大きい)新興国株式やリートの配分比率が高いため若干分布は広がりますが、ここで比較したバランスファンドの中では、平均値で6資産均等型に次ぐ成績となっています。
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各社の8資産均等型バランスファンドの比較
多くの運用会社から8資産均等型のバランスファンドが運用・販売されていますが、それらの信託報酬、純資産総額、資金流出入額、騰落率(リターン)を比較します。
信託報酬、実質コスト、純資産総額の比較
現在、販売されている主な8資産均等型のバランスファンドを下表にまとめます。
*純資産総額は2019年9月末日時点。信託報酬等は税込み(10%)。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して消費税率10%に換算した概算値。
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額 (億円) |
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) | 0.1540% (0.221%) | 2017/5/9 | 333.8 |
たわらノーロード バランス(8資産均等型) | 0.1540% (0.238%) | 2017/7/28 | 47.2 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産均等型) | 0.1749% (0.336%) | 2018/2/13 | 2.2 |
iFree 8資産バランス | 0.2420% (0.350%) | 2016/9/8 | 161.5 |
つみたて8資産均等バランス | 0.2420% (0.309%) | 2017/8/16 | 125.8 |
eMAXIS バランス(8資産均等型) | 0.550% (0.617%) | 2011/10/31 | 303.7 |
SMT 8資産インデックスバランス・オープン | 0.550% (0.609%) | 2017/8/25 | 0.3 |
*信託財産留保額 eMAXISバランス 0.15%、SMT 8資産インデックスバランス・オープン 0.10%。これ以外のファンドは無。
信託報酬最安値はeMAXIS Slimとたわらノーロード。実質コストでも、この2本が1,2位となっています。
そして3位は僅差で<購入・換金手数料なし>ニッセイ、ただし、<購入・換金手数料なし>ニッセイは実質コストが高くなっている事に注意して下さい(新興国株式部分のコストが高くなっているためと推測)。
純資産総額はeMAXIS Slimが親分的存在であるeMAIXSを抜いて1位。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ、SMTの2本は殆ど純資産がありません。
資金流出入額 [8資産均等型人気ランキング]
直近3カ月(2019年7~9月)の月次資金流出入額合計(*)、及び2019年の累計(1~9月の9ヶ月合計)を見てみます。
直近3カ月の資金流出入額の大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事は、それだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなく、ファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
直近3カ月(2019年7~9月) | 2019年累計 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
1 | eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) | 49.2 | 1 | 124.3 |
2 | つみたて8資産均等バランス | 26.7 | 2 | 70.5 |
3 | iFree 8資産バランス | 16.3 | 3 | 41.4 |
4 | たわらノーロード バランス(8資産均等型) | 10.4 | 4 | 27.0 |
5 | eMAXIS バランス(8資産均等型) | 4.5 | 5 | 7.3 |
6 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産均等型) | 0.0 | 6 | 0.7 |
7 | SMT 8資産インデックスバランス・オープン | 0.0 | 7 | 0.1 |
直近3カ月、2019年累計とも同じ順位になっています。
そして圧倒的に資金流入が多いのがeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)。毎月10億以上の資金を集めている事になります。
2位は同じ三菱UFJ国際投信が運用するつみたて8資産均等バランス、
3位がiFree 8資産バランス
となっています。
尚、4位になったたわらノーロード バランス(8資産均等型)は2019.10.1に信託報酬を大幅に引下げ、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)と同率首位になりましたので、今後、資金流入が増えていく可能性があります。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ、SMTの2本は殆ど資金流入がありません。
各8資産均等型のベンチマーク
同じ8資産均等型といっても、各ファンドで新興国部分のベンチマークが異なります。
eMAXIS eMAXIS Slim つみたて SMT | iFree | たわらノーロード <購入・換金手数料なし>ニッセイ | |
国内債券 | NOMURA BPI総合 | ||
国内株式 | TOPIX | ||
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス | ||
先進国株式 | MSCI Kokusai | ||
新興国債券 | JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド | JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(*1,2) | |
新興国株式 | MSCIエマージング | FTSE RAFIエマージング(*2) | MSCIエマージング |
国内REIT | 東証REIT指数 | ||
先進国REIT | S&P先進国REIT指数(除く日本) |
(*1)<購入・換金手数料なし>ニッセイは(除くB格以下)
(*2)たわらノーロードはベンチマーク自体は(除くB格)ではありませんが、「S&PもしくはMoody'sの外貨建て長期格付けがBB-格もしくはBa3格以上」との記載があり、事実上(除くB格以下)になっていると思われます。ただ、後述するように実際の騰落率はニッセイと大きく異なる事があります。
(*3)iFreeの新興国株式はFTSE、先進国はMSCIと指数ベンダーが異なり、結果的にiFree 8資産には韓国株式が含まれません。(韓国はFTSEでは先進国、MSCIでは新興国と分類している為)
たわらノーロードと<購入・換金手数料なし>ニッセイは新興国債券部分、iFreeは新興国株式部分が異なります。
新興国債券の2種類のベンチマークについては下記記事を参照して下さい。
iFreeの新興国株式に採用されているFTSE RAFIエマージングインデックスについては下記記事を参照して下さい。
8資産均等型 各ファンドのパフォーマンス比較
各ファンドの騰落率(リターン)を比較します。
また、個別のインデックスファンドを組み合わせて8資産均等型となるような合成データを作成し、これと比較する事でベンチマークとの乖離を見てみます。(あくまで個別のインデックスファンドに対する乖離と言う事になります)
個別のインデックスファンドから計算した合成データ
下記4種類の合成データを計算します。
合成データ | 使用したインデックスファンド |
SMT合成 | SMTインデックス・シリーズの各ファンド |
eMAXIS合成 | eMAXISシリーズの各ファンド |
eMAXIS合成(*1) (債券DIAM) | eMAXISシリーズの各ファンド、但し、新興国債券はDIAM新興国債券インデックスファンドを使用。 |
eMAXIS合成(*2) (株式iFree) | eMAXISシリーズの各ファンド、但し、新興国株式はiFree新興国株式インデックスを使用。 |
(*1)たわら8資産の新興国債券部分と同じマザーファンドで運用するDIAM新興国債券インデックスファンド<為替ヘッジなし>の基準価額を使用。たわら8資産、及び<購入・換金手数料なし>ニッセイと比較。
(*2)iFree8資産の新興国株式部分と同じマザーファンドで運用するiFree新興国株式インデックスの基準価額を使用。iFree8資産と比較。
1年騰落率
各ファンドの実質コストに対し1年騰落率をプロットします。
[注意]eMAXIS系+SMTのグループ、iFree、たわら、<購入・換金手数料なし>ニッセイのグループで騰落率が異なりますが、これは上述のようにベンチマークが異なるからです。この短期間のデータを持って、各ベンチマークの優劣をつけられるものではありません。
ただ、同じ8資産均等型といっても、たった1/8の新興国債券・株式部分のベンチマークが異なるだけで、リターンが大きく変わる可能性があるという事だけは認識しておく必要があります。
eMAXIS Slim + eMAXIS +つみたて8資産(三菱UFJ国際投信)、SMT 8資産
ベンチマークが同じ三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim、eMAXIS、つみたて、そしてSMTの4本を比較します。
各ファンドとも概ねコストに応じた騰落率を示しています。
そしてeMAXISシリーズ、SMTシリーズの個々のインデクックスファンドを組み合わせた合成データの騰落率とも同一直線上にのっています。
各ファンド、ベンチマークとの乖離がない安定した運用になっていると言って良いでしょう。
そして、最も騰落率が高いのが、信託報酬・実質コスト最安値のeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)。
たわらノーロードバランス(8資産均等型)、<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産均等型)
たわらノーロードと<購入・換金手数料なし>ニッセイは新興国債券部分のベンチマークにJPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラスを使用しています。米ドル建ての新興国債券です。
(上記、eMAXIS系、SMTは現地通貨建て)
たわらノーロードとeMAXISの各ファンドに新興国債券部分を同じベンチマークのDIAM新興国債券と組み合わせた合成データは同じ直線上にのっており、概ねベンチマーク通りの運用になっていると思われます。
尚、今回は<購入・換金手数料なし>ニッセイの騰落率も概ね同等になっていますが、評価期間によっては異なる事もあり、新興国債券部分の運用が多少異なる可能性があります(B格以下の除外に関して運用が異なるのでしょう)。
iFree 8資産バランス
iFreeは新興国株式部分のベンチマークが異なります。
eMAXISの各ファンドに新興国株式部分を同じベンチマークのiFree 新興国株式を組み合わせた合成データと同一直線状にあり、概ねベンチマーク通りの運用になっていると思われます。
(新興国株式部分はiFreeだけのデータですので、ここでの乖離は分かりませんが)
まとめ
以上、人気の8資産均等型バランスファンドについて、そのリターン・リスク、各ファンドの純資産総額・ベンチマーク・資金流出入額、及び騰落率等をまとめました。
単純に均等に配分しただけですが、過去においては人気の世界経済インデックスファンドやセゾン・バンガード・グローバルファンドを上回るリターンを出しています。
そして、人気=資金流入額トップはeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)、信託報酬最安値だけに圧倒的な強さです。
各ファンドの騰落率は、個別のファンドの組合せと概ね同等となっており、その運用に大きな問題はありません。
尚、新興国債券・株式のベンチマークがそれぞれ異なるたわらノーロードバランス(8資産均等型)、<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産均等型)、iFree 8資産バランスは、今回の評価だけで優劣をつける事は出来ませんが、ベンチマークが違うという事を認識し、かつ、その特性を十分理解した上で購入される事をお勧めします。
8資産均等型のおすすめファンドは?
お勧めは信託報酬で圧倒的に他社を凌駕し、資金流入額も大きいeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)。
同じ三菱UFJ国際投信が運用するeMAXIS(Slimが付かない方)やつみたて8資産を選択する理由はありません。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はコスト的にも有利なだけに、均等配分がお好みではない方でも、8資産均等型を購入し、さらに好みのアセットクラスのファンドを個別に追加する方法もあります。
参考記事eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)、お得なバランスファンド中心のアセットアロケーション。マネックス証券iDeCoでもお勧め。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は下記の金融機関で購入出来ます。
販売会社 SBI証券、楽天証券 、マネックス証券、auカブコム証券、SMBC日興証券(ダイレクトコース)、松井証券、岡三オンライン証券、GMOクリック証券
等
楽天証券なら楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです(上限5万円/月)。さらに、そのポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト楽天カード
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)でeMAXIS SlimSlimバランス(8資産均等型)を取扱っているのは、マネックス証券 iDeCo 、 松井証券 iDeCo
、それにSBI証券 iDeCo(セレクトプラン)
のみとなります。
6資産均等型・4資産均等型については下記記事をご覧ください。
他のバランスファンドの一覧は下記を参照して下さい。
個々のアセットクラスのインデックスファンドの最新情報・運用結果は下記記事を参照して下さい。