1本のファンドで国内外の債券、株式に分散投資できるインデックス型のバランスファンド、つみたて4資産均等バランスについて解説します。
1本のファンドで複数の資産クラス(例えば、国内株式・債券、先進国株式・債券など)に投資するファンドをバランスファンドと言います。個々の資産クラスのファンドを組合わせるよりコスト的には割高になる場合が多いですが、バランスファンドなら面倒なリバランスも不要で、ほったらかし投資が簡単に実践できます。
[最終更新日:2024.3.5]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024.2末日時点の情報に基づいて記載しています。
見出し
つみたて4資産均等バランスの基本情報
つみたて4資産均等バランスは三菱UFJアセットマネジメントが運用するインデックスファンド「つみたてんとうシリーズ」の一つです。eMAXISやeMAXIS Slimシリーズとは、基本的に同じマザーファンドで運用する姉妹ファンド。eMAXIS Slimが原則ネット証券・銀行専用商品なのに対し、つみたてんとうシリーズは、「つみたてNISA(現:NISA[つみたて投資枠])」を主なターゲットとし、最寄りの金融機関で相談できるファンドとして2017年8月に設定されました。現在9本のファンドから構成されています。コスト(信託報酬)はeMAXISよりは低く、eMAXIS Slimよりは高くなっています。(ただし、4資産均等型はeMAXIS Slimにはラインアップされていません。)
本記事で解説するのは、国内・先進国の債券・株式の4資産に均等に投資するつみたて4資産均等バランス。
先ず、つみたて4資産均等バランスの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2017年8月16日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 合成ベンチマーク(後述) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.2420% |
実質コスト | 0.258%(*1) |
純資産総額 | 229.5億円(2024.2.29時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | --- 円 |
分配金実績 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象商品 |
NISA(成長投資枠) | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.03% |
松井証券ポイント還元年率 | 0.10% |
(*1)実質コストは2023.6決算より
(*2)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
投資対象
国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式の4資産に均等に投資します。
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ベンチマーク
各投資対象はインデックス運用を行い、ベンチマークは下表のようになります。
資産クラス | ベンチマーク |
国内債券 | NOMURA BPI総合 |
国内株式 | TOPIX[配当込] |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
先進国株式 | MSCI Kokusai[配当込] |
*2019.7.1よりベンチマークが配当込みとなりました。
いずれも、それぞれの資産クラスで一般的なベンチマークです。
また、各マザーファンドはeMAXIS、eMAXIS Slimシリーズの個々のファンドと同じです。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
つみたて4資産均等バランスの信託報酬は0.2420%(税込)。
実質コストは0.258%(税込, 2023.6決算より)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
バランスファンドとしてのお得度 ~個々のファンドの組合せと比較~
バランスファンドは、その投資配分と同じになるよう個別のファンドを組合わせた場合に対し、コストが割高になるのが一般的です。
そこで、つみたて4資産均等バランスと、現時点で最も低コストの単体インデックスファンド(*)を組み合わせた場合の信託報酬とを比較します。
(*)主要ネット証券で取扱いがあり、かつ実績のあるファンド(信託報酬以外のコストに大きな問題がないなど)の中で最安値
資産クラス | 資産配分 | 信託報酬最安値 |
国内債券 | 25% | 0.1320% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
国内株式 | 25% | 0.1430% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
先進国債券 | 25% | 0.1540% (eMAXIS Slim 、ニッセイ) |
先進国株式 | 25% | 0.09889% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
組合わせた場合の信託報酬 | 0.132% |
個々のインデックスファンドを組み合わせて4資産均等型にした場合、その信託報酬は0.132%。
一方、つみたて4資産均等バランスの信託報酬は0.2420%ですので、(信託報酬最低水準のファンドを)組み合わせた場合より0.11%ポイント割高になります。
尚、つみたてんとうシリーズでラインアップされているつみたて国内株式(TOPIX)、つみたて先進国株式、そして債券部分は上表の最安値のファンドを組み合わせた場合は0.176%、これでもつみたて4資産均等バランスの方が0.07%ポイント高くなります。
現時点でバランスファンドの信託報酬は(資産配分を無視すると)最安値は0.1430%(*)、つみたて4資産均等バランスのコストが割高であることは否めません。
(*)SBI・iシェアーズ・米国バランス(2資産均等型)、Tracersグローバル3分法を除く
ただ、それでも十分低コストの部類である事には変わりありませんが。
他社 4資産均等型インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
4資産均等型はつみたて4資産均等バランスの他、同じ三菱UFJアセットマネジメントからeMAXISバランス(4資産均等型)、 そして<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)の3本が運用、販売されています。これら4資産均等型の信託報酬・実質コストを比較します。
(販売会社が限定されますがJP4資産均等バランスもあり)
ファンド | 信託報酬 | 実質コス | |
---|---|---|---|
1 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型) | 0.1540% | 0.171% |
2 | (三菱UFJ)つみたて4資産均等バランス | 0.2420% | 0.258% |
3 | eMAXIS バランス(4資産均等型) | 0.5500% | 0.566% |
信託報酬は<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)が最安値、つみたて4資産均等バランスは0.088%ポイント高くなっています。ただ、eMAXIS バランスよりは十分低コストです。
信託報酬の変更履歴
つみたて4資産均等バランスは、2017年8月に設定された後、まだ信託報酬引下げの実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/8/16 | 0.2376% | 新規設定 |
2019/10/1 | 0.2420% | 消費税増税(8%-->10%) |
??? | ??? |
設定当初は最低水準でしたが、その後2017.11に<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)が信託報酬引下げを行い、現在では上述のように差が広がっています。
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つみたて4資産均等バランスの運用状況(評価・人気)
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からつみたて4資産均等バランスの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
つみたてNISAが始まった2018年1月より資金流入額は増加傾向にあり、2021年以降は概ね2~6億円(/月)で安定しています。
それに伴い純資産総額も着実に増えてきています。
ただ、ライバルの<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)の資金流入額よりは少なくなっています(2021~23年実績)。
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
ただし、複数の資産に投資するバランスファンドの場合、その評価は簡単ではありません。
そこで、同じ4資産均等型の<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)、eMAXIS バランス(4資産均等型)との比較、さらに個別のインデックスファンドの基準価額から4資産均等型になるよう合成データを作成し、これと比較する事でベンチマークとの乖離を評価します。
下図は、2024年2月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
*つみたて4資産均等バランスは「三菱つみたて」と表記しています。
[ニッセイ合成]、[eMAXIS合成]、[SMT合成]というプロットが、<購入・換金手数料なし>ニッセイ、eMAXIS、SMTシリーズの個々のインデックスファンドを組み合わせた合成データです。
つみたて4資産均等バランス、eMAXIS バランス(4資産均等型)、及び個別のインデックスファンドの組合せ3本は概ね同一線上にのっています。
これは、つみたて4資産均等バランスがコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない運用になっている事を意味します。
信託報酬は<購入・換金手数料なし>ニッセイより高いつみたて4資産均等バランスですが、この1年では、騰落率でニッセイより高くなっています(ニッセイがマイナス乖離を起した為)。
次に2024年2月末日時点の実質コストに対する3年騰落率(年率)です。
直近3年でもつみたて4資産均等バランスはコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がなくニッセイより高い騰落率です。
ただ、2020年にはつみたて4資産均等バランスも個別ファンド組合せに対してマイナス乖離を起した事があり、その時の1年騰落率ではニッセイより低い騰落率になりました。
つみたて4資産均等バランスの分配金
つみたて4資産均等バランスは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、本ファンドは「信託財産の成長を優先とし、原則として分配を抑制する」方針です。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ
つみたて4資産均等バランスは、伝統的4資産と言われる国内債券・株式、先進国債券・株式に均等に投資するバランスファンドで、新興国やリートが不要な方にとって選択肢の一つとなるファンドです。
信託報酬は最安値ではないものの比較的低く、資金流入も安定しています。
懸念は、他のバランスファンドが信託報酬を引き下げていく中、まだ信託報酬引下げの実績がない事。
尚、同じ三菱UFJアセットマネジメントが運用するeMAXIS バランス(4資産均等型)なら、つみたて4資産均等バランスの方を強くお勧めします。
ライバルの<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)と比較した上で購入するファンドを決定してください。
販売会社
つみたて4資産均等バランスは下記の金融機関で購入出来ます。
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*dカード、マネックスカードとも通常ショッピング時は1.0%。
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勿論、NISA(つみたて投資枠)対象のファンドです。(成長投資枠でも購入出来ます。金融機関によってはつみたて投資枠専用としている場合もあります)
他の4資産均等型との比較、さらに8資産均等型、6資産均等型を含めた最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。