1本のファンドで国内外の債券、株式に分散投資できるインデックス型のバランスファンド、つみたて4資産均等バランスについて解説します。
1本のファンドで複数の資産クラス(例えば、国内株式・債券、先進国株式・債券など)に投資するファンドをバランスファンドと言います。個々の資産クラスのファンドを組合わせるよりコスト的には割高になる場合が多いですが、バランスファンドなら面倒なリバランスも不要で、ほったらかし投資が簡単に実践できます。
[最終更新日:2021.1.21]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2020.12末日時点の情報に基づいて記載しています。
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つみたて4資産均等バランスの基本情報
つみたて4資産均等バランスは三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンド「つみたてんとうシリーズ」の一つです。eMAXISやeMAXIS Slimシリーズとは、基本的に同じマザーファンドで運用する姉妹ファンド。eMAXIS Slimが原則ネット証券・銀行専用商品なのに対し、つみたてんとうシリーズは、「つみたてNISA」を主なターゲットとし、最寄りの金融機関で相談できるファンドとして2017年8月に設定されました。現在9本のファンドから構成されています。コスト(信託報酬)はeMAXISよりは低く、eMAXIS Slimよりは高くなっています。(ただし、4資産均等型はeMAXIS Slimにはラインアップされていません。)
参考記事三菱UFJ国際投信 インデックスファンド「つみたてんとうシリーズ」運用開始。
今回解説するのは、国内・先進国の債券・株式の4資産に均等に投資するつみたて4資産均等バランス。
先ず、つみたて4資産均等バランスの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
設定日 | 2017年8月16日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 合成ベンチマーク(後述) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.2420% |
実質コスト | 0.266%(*) |
純資産総額 | 46.6億円(2020.12.30時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | --- 円 |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
(*)実質コストは2020.6.25決算より
投資対象
国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式の4資産に均等に投資します。
ベンチマーク
各投資対象はインデックス運用を行い、ベンチマークは下表のようになります。
資産クラス | ベンチマーク |
国内債券 | NOMURA BPI総合 |
国内株式 | TOPIX[配当込] |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
先進国株式 | MSCI Kokusai[配当込] |
*2019.7.1よりベンチマークが配当込みとなりました。
いずれも、それぞれの資産クラスで一般的なベンチマークです。
また、各マザーファンドはeMAXIS、eMAXIS Slimシリーズの個々のファンドと同じです。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
つみたて4資産均等バランスの信託報酬は0.2420%(税込)。
実質コストは0.266%(税込)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
バランスファンドとしてのお得度 ~個々のファンドの組合せと比較~
バランスファンドは、その投資配分と同じになるよう個別のファンドを組合わせた場合に対し、コストが割高になるのが一般的です。
そこで、つみたて4資産均等バランスと、現時点で最も低コストの単体インデックスファンドを組み合わせた場合の信託報酬とを比較します。
資産クラス | 資産配分 | 信託報酬最安値 |
国内債券 | 25% | 0.1320% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
国内株式 | 25% | 0.1540% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
先進国債券 | 25% | 0.1540% (eMAXIS Slim 、ニッセイ) |
先進国株式 | 25% | 0.1023% (eMAXIS Slim 、ニッセイなど) |
組合わせた場合の信託報酬 | 0.136% |
個々のインデックスファンドを組み合わせて4資産均等型にした場合、その信託報酬は0.136%。
一方、つみたて4資産均等バランスの信託報酬は0.2420%ですので、(信託報酬最低水準のファンドを)組み合わせた場合より0.106%割高になります。
尚、つみたてんとうシリーズでラインアップされているつみたて国内株式(TOPIX)、つみたて先進国株式、そして債券部分は上表の最安値のファンドを組み合わせた場合は0.176%、これでもつみたて4資産均等バランスの方が0.07%高くなります。
現時点で、バランスファンドの信託報酬は(資産配分を無視すると)最安値は0.1540%、つみたて4資産均等バランスのコストが割高であることは否めません。
ただ、それでも十分低コストの部類である事には変わりありませんが。
他社 4資産均等型インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
4資産均等型はつみたて4資産均等バランスの他、同じ三菱UFJ国際投信からeMAXISバランス(4資産均等型)、 そして<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)の3本が運用、販売されています。これら4資産均等型の信託報酬・実質コストを比較します。
(販売会社が限定されますがJP4資産均等バランスもあり)
ファンド | 信託報酬 | 実質コス | |
---|---|---|---|
1 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型) | 0.1540% | 0.177% |
2 | (三菱UFJ)つみたて4資産均等バランス | 0.2420% | 0.266% |
3 | eMAXIS バランス(4資産均等型) | 0.5500% | 0.575% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
信託報酬は<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)が最安値、つみたて4資産均等バランスは0.088%高くなっています。ただ、eMAXIS バランスよりは十分低コストです。
信託報酬の変更履歴
つみたて4資産均等バランスは、2017年8月に設定された後、まだ信託報酬引下げの実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/8/16 | 0.2376% | 新規設定 |
2019/10/1 | 0.2420% | 消費税増税(8%-->10%) |
??? | ??? |
設定当初は最低水準でしたが、その後2017.11に<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)が信託報酬引下げを行い、現在では上述のように差が広がっています。
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つみたて4資産均等バランスの運用状況(評価・人気)
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からつみたて4資産均等バランスの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
つみたてNISAが始まった2018年1月より資金流入額は増加傾向にあり、2019年以降は概ね1.5億円(/月)前後で安定しています。
それに伴い純資産総額も着実に増えてきています。
ただ、ライバルの<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)の資金流入額よりは若干少なくなっています(2020年実績)。
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
ただし、複数の資産に投資するバランスファンドの場合、その評価は簡単ではありません。
そこで、同じ4資産均等型の<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)、eMAXIS バランス(4資産均等型)との比較、さらに個別のインデックスファンドの基準価額から4資産均等型になるよう合成データを作成し、これと比較する事でベンチマークとの乖離を評価します。
下図は、2020年12月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
*つみたて4資産均等バランスは「三菱つみたて」と表記しています。
[ニッセイ合成]、[eMAXIS合成]、[SMT合成]というプロットが、<購入・換金手数料なし>ニッセイ、eMAXIS、SMTシリーズの個々のインデックスファンドを組み合わせた合成データです。
個別のインデックスファンドの組合せ3本、及び<購入・換金手数料なし>ニッセイは概ね同一線上にのっていますが、つみたて4資産均等バランス、及び同じ三菱UFJ国際投信が運用するeMAXISバランスは大きく下方に位置します。
これは、つみたて4資産均等バランスがマイナス側に乖離した事を意味します。
この影響もあり、騰落率は<購入・換金手数料なし>ニッセイより0.73%も低くなっています。
2019年の結果
参考までに2019年12月末日時点の1年騰落率も示します。
2019年は、つみたて4資産均等バランスは個別インデックスファンドの組合せと綺麗に同一直線上にのっており、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない安定した運用になっていました。
2020年の乖離は、ボラティリティが大きかった相場だったという事もあり、リバランスのタイミング等の微妙な違いが影響したものと推測します。
つみたて4資産均等バランスの分配金
つみたて4資産均等バランスは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、本ファンドは「信託財産の成長を優先とし、原則として分配を抑制する」方針です。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ
つみたて4資産均等バランスは、伝統的4資産と言われる国内債券・株式、先進国債券・株式に均等に投資するバランスファンドで、新興国やリートが不要な方にとって選択肢の一つとなるファンドです。
信託報酬は最安値ではないものの比較的低く、資金流入も安定しています。
懸念は、他のバランスファンドが信託報酬を引き下げていく中、まだ信託報酬引下げの実績がない事、そして2020年はベンチマークに対してマイナス乖離を起こした可能性がある事。
尚、同じ三菱UFJ国際投信が運用するeMAXIS バランス(4資産均等型)なら、つみたて4資産均等バランスの方を強くお勧めします。
ライバルの<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)と比較した上で購入するファンドを決定してください。
販売会社
つみたて4資産均等バランスは下記の金融機関で購入出来ます。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト楽天証券、楽天カード
SMBC日興証券(ダイレクトコース)
大手店頭証券で唯一低コストインデックスファンドの多くを取扱い(ダイレクトコースのみ)。
国内株式を定額(100円~)、買付手数料無料(100万円以下)で買付・積立出来、さらにdポイントも使えるキンカブ・日興フロッギーも魅力の証券会社。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイトSMBC日興証券
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでも購入可能、但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。(上記金融機関でもつみたてNISAを取扱っていない場合があります)
他の4資産均等型との比較、さらに8資産均等型、6資産均等型を含めた最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。