1本のファンドで国内外の債券、株式、リートに分散投資できるインデックス型のバランスファンド、SBI資産設計オープン(資産成長型)(つみたてNISA対応型)【愛称:スゴ6】について解説します。
1本のファンドで複数の資産クラス(例えば、国内株式・債券、先進国株式・債券など)に投資するファンドをバランスファンドと言います。個々の資産クラスのファンドを組合わせるよりコスト的には割高になる場合が多いですが、バランスファンドなら面倒なリバランスも不要で、ほったらかし投資が簡単に実践できます。
[最終更新日: 2024.8.22]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024.7末日時点の情報に基づいて記載しています。
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見出し
SBI資産設計オープン(資産成長型) /(つみたてNISA対応型) 【愛称:スゴ6】
国内・先進国の債券・株式・リートの6資産に投資するSBI資産設計オープンには下記3本のファンドがラインアップされています。
- SBI資産設計オープン(資産成長型)
- SBI資産設計オープン(分配型)
- SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)
基本的な運用方針などは全て同じですので、ここでは(分配型)を除く2本について解説します。
先ず、SBI資産設計オープンの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三井住友トラスト・アセットマネジメント |
設定日 | (資産成長型)2008年1月9日 (つみたてNISA対応型)2017年12月19日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 無 |
参考指数 | 合成指数 |
購入時手数料 | 無(ノーロード) |
信託財産留保額 | (資産成長型) 0.15% (つみたてNISA対応型) 0.10% |
信託報酬(税込) | (資産成長型) 0.748% (つみたてNISA対応型) 0.550% |
実質コスト(*) | (資産成長型) 0.772% (つみたてNISA対応型) 0.574% |
純資産総額 *2024.7.31時点 | (資産成長型) 430.1億円 (つみたてNISA対応型) 4.6憶円 |
(マザーファンド) 純資産総額 | --- |
分配金実績 | (資産成長型)2013,2014年にあるが、その後は無。 (つみたてNISA対応型) 無 |
NISA(つみたて投資枠) | (つみたてNISA対応型のみ)対象 |
NISA(成長投資枠) | (2ファンドとも)対象 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.10% (対象投資信託1,000万円以上保有で0.20%) |
楽天証券ポイント還元年率 | 取扱無 |
マネックス証券ポイント還元年率 | 取扱無 |
松井証券ポイント還元年率 | 取扱無 |
(*)実質コスト:資産成長型は2023.11決算、つみたてNISA対応型は2023.9決算より
SBI資産設計オープン(資産成長型) /(つみたてNISA対応型)の違い
2008年から運用を開始した資産成長型に対し、
つみたてNISA対応型は、その名のとおり2018年から始まった「つみたてNISA」(2024年からの新NISA「つみたて投資枠」)に対応する商品として2017年から運用を開始しました。
両者は信託報酬こそ違いますが、事実上中身は同じものです。
*後述する信託財産留保額も異なります。
投資対象
国内債券、国内株式、国内リート、先進国債券、先進国株式、先進国リートの6資産に投資し、
株式、債券が40%ずつ、REITだけが20%と少なくなっています。
*新興国には投資しません。
*為替ヘッジは行いません。
同じように国内・先進国の債券・株式・REITに投資するファンドとして、この6資産の配分比率を同じ(1/6)とした6資産均等型があります。
6資産均等型の詳細は下記記事をご覧ください。
ベンチマーク
各投資対象はインデックス運用を行い、ベンチマークは下表のようになります。
資産クラス | ベンチマーク |
国内債券 | NOMURA BPI総合 |
国内株式 | TOPIX[配当込] |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
先進国株式 | MSCI Kokusai[配当込] |
国内リート | 東証REIT指数[配当込] |
先進国リート | S&P先進国リート指数(除く日本)[配当込] |
いずれも、それぞれの資産クラスで一般的なベンチマークです。
また、各マザーファンドはSMTインデックスシリーズの個々のファンドと同じで、既に巨額の純資産を有しています。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
SBI資産設計オープン(資産成長型)(つみたてNISA対応型)の信託報酬は、
資産成長型 : 0.7480%(税込)。
つみたてNISA対応型 : 0.5500%(税込)。
実質コストは、
資産成長型 : 0.772%(税込)。
つみたてNISA対応型 : 0.574%(税込)。
信託報酬以外のコストは両者殆ど同じです。
購入時手数料は無料、
信託財産留保額は資産成長型 0.15% / つみたてNISA対応型 0.10% です。
*信託財産留保額は売却時にかかる費用を自ら負担し、他のファンド保有者(受益者)に迷惑をかけない為の費用です。徴収された費用はファンドの資産となり、販売会社や運用会社の利益となるものではありません。(料率が適正かどうかは分かりませんが)。
バランスファンドとしてのお得度 ~個々のファンドの組合せと比較~
バランスファンドは、その投資配分と同じになるよう個別のファンドを組合わせた場合に対し、コストが割高になるのが一般的です。
そこで、SBI資産設計オープンと現時点で最も低コストの単体インデックスファンドを組み合わせた場合の信託報酬とを比較します。
個別組合せでの信託報酬 | 個別組合せとの差 | |
資産成長型 | 0.146% | 0.602% |
つみたてNISA対応型 | 0.404% |
個々のインデックスファンドを組み合わせてSBI資産設計オープンと同等の資産配分にした場合、その信託報酬は0.146%。
一方、SBI資産設計オープン(資産成長型)(つみたてNISA対応型)の信託報酬は0.7480% / 0.5500%で、個別ファンドを組み合わせた場合より0.4~0.6%ポイント高くなります。
勿論、個別ファンドの組合せだと自分でリバランス(*)を行う手間がかかりますので、その手間賃として、この差をどう考えるかは人それぞれでしょうが、ちょっと差が大きいように感じます。
(*)株式・債券比率、地域別比率を一定の比率に維持する為に、各資産クラスのファンドを売買する作業。
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SBI資産設計オープン(資産成長型) /(つみたてNISA対応型) 【愛称:スゴ6】のパフォーマンス(運用実績)
SBI資産設計オープンの過去の運用実績を見てみます。
尚、以下の評価では運用実績の長い「資産成長型」の基準価額を用います。
基準価額のデータ
SBI資産設計オープンの設定来の基準価額のデータです。
参考までに6資産均等型、セゾン・グローバルバランスファンドも記載します。
*6資産均等型はSMTインデックスシリーズの各アセットクラスの基準データから合成したデータを使用。
*セゾン・グローバルバランスファンド、6資産均等型とも起点をSBI資産設計の基準価額に合わせてプロット。
SBI資産設計オープンの基準価額は2008-2009年のリーマンショックで大きく落ち込むものの、その後は順調に回復してきています。
ただ6資産均等型には大きく負け、セゾン・グローバルバランスファンドとは概ね同等のように見えます。
以下、詳細に比較していきます。
リスク・リターン特性
2024.7末日時点の15年間のリスク・リターン特性(年率)です。
SBI資産設計オープン、6資産均等型、セゾン・グローバルバランスファンドに加え、8資産均等型、4資産均等型、世界経済インデックスファンド、そして個々のアセットクラスのインデックスファンドもプロットします。
リスクは小さくリターンは大きい方が望ましく、同じリスクに対してリターンが高い方が良いパフォーマンスという事です。
また、リターン(*)をリスクで割った値をシャープレシオと呼び、この数字が大きいほど運用効率が良いという事になります。
*厳密にはリターンから無リスク資産のリターンを引いた値ですが、ここでは無リスク資産のリターンを0と仮定。
債券・株式両方を含むバランスファンドは、当然、そのリターン、リスクとも株式、債券の概ね中間の値をとりますが、SBI資産設計オープン【スゴ6】、及びここで評価したバランスファンドとも、その中間付近に固まってプロットされています。
ただ、厳密に見ると、最もリスクに対してリターンが大きい、即ちシャープレシオが大きいのが6資産均等型。SBI資産設計オープン【スゴ6】と同じ6資産に投資しますが、REITの配分比率が高く、そのREITが直近15年で(スゴ6で配分比率の高い債券よりは)好調だった結果を反映したものです。
SBI資産設計オープン【スゴ6】も4資産均等型にはシャープレシオで負けますが、セゾン・グローバルバランスファンドと同等、8資産均等型、世界経済インデックスファンドよりは僅かながら勝っています。SBI資産設計オープン【スゴ6】は不振だった新興国を含まないからでしょう。
以上、SBI資産設計オープンのパフォーマンス評価でした。
(注)あくまで過去の成績であり、将来のパフォーマンスを保証するものではありません。
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SBI資産設計オープン(資産成長型) /(つみたてNISA対応型) 【愛称:スゴ6】の人気・評判
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からSBI資産設計オープンの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
SBI資産設計オープン(資産成長型)
2016年頃までは結構売れていましたが、2017年以降大きく減り、多くても月2億程度、資金流出の月も多々あります。特に2024年は大きな資金流出となっています。
*2017年頃からインデックスファンドの低コスト化が急激に進み、相対的に本ファンドのコストが割高になった影響と推測。
純資産総額は430億円(2024.7.31時点)、設定が古いという事もあり比較的大きな純資産です。ただ、その伸びは鈍化しています。
SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)
つみたてNISA対応型は、比較的安定した資金流入が続いているものの、その金額は1,000万円にも満たない月が殆どで売れているとは言えません。
純資産総額も設定から6年半経つも未だ5億に達していません。
「つみたてNISA」用として、わざわざ従来のファンド(資産成長型)とは別に設定したにも関わらず、その信託報酬は決して低いとは言えず、かつ販売会社もSBI証券 1社というのが人気のない理由でしょう。
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まとめ
SBI資産設計オープン(資産成長型)(つみたてNISA対応型)【愛称:スゴ6】は、(新興国を除く)国内外の債券・株式・リートに投資するバランスファンドです。
類似のファンドとしては6資産均等型がありますが、これよりもREITの配分比率を少なくしたのが特徴です。
過去の成績では、国内外ともREITが好調だった影響で6資産均等型の方が優れていましたが、6資産均等型のREIT資産配分比率が高すぎると感じる方にとっては、SBI資産設計オープンも候補の一つとなるファンドでしょう。
難点は信託報酬の高さと人気のなさ。
「つみたてNISA対応型」で下がったとはいえ、つみたてNISA(現 NISAつみたて投資枠)対象のバランスファンドでは0.2%以下のファンドが多く出てきており、割高感は否めません。
今後の信託報酬引下げに期待したいところです。
販売会社
SBI資産設計オープン(資産成長型)(つみたてNISA対応型)【愛称:スゴ6】はSBI証券のみの取り扱いとなります。
尚、(つみたてNISA対応型)も、NISA口座だけでなく特定口座で購入出来ます。
また投資信託保有でVポイント、Pontaポイント、dポイントがもらえます。さらにV/Pontaポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト SBI証券
主なバランスファンドの一覧は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。