純資産総額 2,500億円突破(2024.2)
*上の地図は概ね投資国を表していますが、現在、ロシアは投資国から除外されています。
1本のファンドで国内外の債券、株式、リートに分散投資できるインデックス型のバランスファンド、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)について解説します。
1本のファンドで複数の資産クラス(例えば、国内株式・債券、先進国株式・債券など)に投資するファンドをバランスファンドと言います。個々の資産クラスのファンドを組合わせるよりコスト的には割高になる場合が多いですが、バランスファンドなら面倒なリバランスも不要で、ほったらかし投資が簡単に実践できます。
[最終更新日:2024.4.15]全て最新情報に更新。
本記事は原則2024.3末日時点の情報に基づき記載しています。
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eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の基本情報
eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」をコンセプトとした三菱UFJアセットマネジメントが運用するインデックスファンドで、「他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準を目指し続ける」と公表しています。実際、設定から既に数回の信託報酬引下げを行い、最低水準、もしくはそれに近い座を維持しています。
今回解説するのは、国内・先進国・新興国の債券・株式・リートに均等に投資(新興国リートを除く)するeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)。
先ず、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2017年5月9日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 合成ベンチマーク(後述) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.1430%以内 |
実質コスト | 0.195%(*1) |
純資産総額 | 2,638億円(2024.3.29時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | --- 円 |
分配金実績 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象商品 |
NISA(成長投資枠) | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.03% |
松井証券ポイント還元年率 | 0.055% |
(*1)実質コストは2023.4.25決算の値に2023.5.11の信託報酬引下げ分を引いた値。
(*2)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
投資対象
国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式、新興国債券、新興国株式、国内リート、先進国リートの8資産に均等に投資します。
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ベンチマーク
各投資対象はインデックス運用を行い、ベンチマークは下表のようになります。
資産クラス | ベンチマーク |
国内債券 | NOMURA BPI総合 |
国内株式 | TOPIX[配当込] |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
先進国株式 | MSCI Kokusai[配当込] |
新興国債券 | JPモルガンGMI-EMグローバル・ダイバーシファイド |
新興国株式 | MSCIエマージング・マーケット・インデックス[配当込] |
国内REIT | 東証REIT指数(配当込) |
先進国REIT | S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込) |
いずれも、それぞれの資産クラスで一般的なベンチマークです。
また、各マザーファンドはeMAXIS SlimやeMAXISの個々のファンドと同じで巨額の純資産を持っています。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
投資国(通貨)
投資資産の組入上位10通貨は下図のようになります。これが、概ね、投資国比率と思って良いでしょう。
*中国などの一部が米ドルに含まれています。
画像引用:eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 月報(2024/03)
手数料(信託報酬、実質コストなど)
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の最大の魅力は、何と言っても信託報酬の低さ。
8資産均等型バランスファンドでは最低水準の0.1430%(税込)。
実質コストは0.195%(税込、2023.4決算値に2023.5の信託報酬引下げ分を引いた値)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
受益者還元型信託報酬
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、下表のように純資産総額に応じて信託報酬率が変わる受益者還元型信託報酬を採用しています。
純資産総額 | 信託報酬(税込) |
2,500億円未満の部分 | 0.1430% |
2,500億円以上5,000億円未満の部分 | 0.14289% |
5,000億円以上の部分 | 0.14278% |
設定から7年弱の2024.2に純資産総額2,500億円を超え、既に受益者還元型信託報酬が適用されています。
純資産総額に対する信託報酬を下図に示します。
2024.3末日時点の純資産総額2,638億円に対する信託報酬は0.14299%、僅かですが低くなっています。
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バランスファンドとしてのお得度 ~個々のファンドの組合せより低コスト~
バランスファンドは、その投資配分と同じになるよう個別のファンドを組合わせた場合に対しコストが割高になるのが一般的です。
そこで、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)と、現時点で最も低コストの単体インデックスファンドを組み合わせた場合の信託報酬とを比較します。
資産クラス | 資産配分 | 信託報酬最安値 |
国内債券 | 12.5% | 0.1320% (eMAXIS Slim) |
国内株式 | 12.5% | 0.1430% (eMAXIS Slim) |
先進国債券 | 12.5% | 0.1540% (eMAXIS Slim) |
先進国株式 | 12.5% | 0.09889% (eMAXIS Slim、たわら) |
新興国債券 | 12.5% | 0.2420% (iFree) |
新興国株式 | 12.5% | 0.1518% (eMAXIS Slim) |
国内リート | 12.5% | 0.1870% (eMAXIS Slim) |
先進国リート | 12.5% | 0.2200% (eMAXIS Slim) |
組合わせた場合の信託報酬 | 0.166% |
個々のインデックスファンドを組み合わせて8資産均等型にした場合、その信託報酬は0.166%。
一方、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の信託報酬は0.1430%ですので、組み合わせた場合より低いコストとなります。
コスト的には最もお得度の高いバランスファンドになります。
他社 8資産均等型インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
8資産均等型は多くの運用会社から運用、販売されています。そこで他社の8資産均等型と信託報酬・実質コストを比較します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.1430% | 0.194% |
1 | たわらノーロード バランス(8資産均等型) | 0.1430% | 0.207% |
3 | <購入・換金手数料なし>ニッセイインデックスバランスファンド(8資産均等型) | 0.1749% | 0.246% |
4 | iFree 8資産バランス | 0.2420% | 0.306% |
4 | (三菱UFJ)つみたて8資産均等バランス | 0.2420% | 0.291% |
6 | eMAXIS バランス(8資産均等型) | 0.5500% | 0.603% |
6 | SMT 8資産インデックスバランス・オープン | 0.5500% | 0.614% |
*信託財産留保額 eMAXISバランス 0.15%、SMT 8資産インデックスバランス・オープン 0.10%。これ以外のファンドは無。
*たわらノーロード、<購入・換金手数料なし>ニッセイは新興国債券が、iFreeは新興国株式のベンチマークが異なります。
信託報酬はeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)がたわらノーロードバランスと並び同率で最安値、実質コストでは単独で最安値です。
信託報酬の変更履歴
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は業界最低水準の運用コストを目指し続けるというコンセプト通り、既に設定から複数回の信託報酬引下げを行っています。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/5/9 | 0.2376% | 新規設定 |
2017/11/10 | 0.2268% | たわらノーロード新規設定、iFreeの引下げに対抗 |
2018/2/27 | 0.22572% | <購入・換金手数料なし>ニッセイの新規設定に対抗 |
2018/4/11 | 0.1728% | Smart-i 8資産バランスに対抗 |
2018/7/25 | 0.17172% | <購入・換金手数料なし>ニッセイの引下げに対抗 |
2019/5/14 | 0.1512% | 野村AM マイバランス30/50/70(確定拠出年金向け)、マイバランスDC30/50/70に対抗 |
2019/10/1 | 0.1540% | 消費税増税(8%-->10%) |
2023/5/11 | 0.1430% | たわらノーロードの引下げに対抗 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイなどの8資産均等型に対抗するのみでなく、2018.4には8資産に投資するものの均等配分ではないSmart-i 8資産バランスにも対抗する措置を取りました。
さらに2019.5の引下げは(新興国やREITを除く)4資産だけに投資するマイバランスに対抗したものです。つまり、均等配分や8資産には拘らず、株式、債券などに投資するバランスファンドであれば類似ファンドとみなし、それらを含めて信託報酬最低水準を目指すと推測されます。(勿論、保証の限りではありませんが)
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eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
2017年5月の設定以来、概ね10億前後の安定した資金流入が続いていましたが、2019年後半からはさらに増加傾向にあり、最近では20~50億/月と巨額の資金流入があります。
NISA(つみたて投資枠)[旧つみたてNISA]対象のバランスファンドの中でも売れている・人気のあるファンドです。
純資産総額も順調に増えていき、2024.3末時点で2,638億円です。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じたリターンになる筈です。
ただし、複数の資産に投資するバランスファンドの場合、その評価は簡単ではありません。
幸い、8資産均等型には、複数の運用会社から同じタイプのファンドが販売されていますので、これらのファンドとの比較、さらに、個別のインデックスファンドの基準価額から8資産均等型になるよう合成データを作成し、これと比較する事でベンチマークとの乖離を評価します。
下図は、実質コストに対する2024年3月末日時点の直近3年間のリターンを複数のファンドでプロットしたものです。(リターンは年率換算値)
*3年間の間に信託報酬の改定があったファンドは、その期間に応じて平均した値を使用。
グラフの左側(コストが低い)、上側(リターンが高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
*多くのファンドがコスト起因以外でのベンチマークとの乖離はないだろうという前提のもと、グレーの点線は管理人の主観で引いたものです。
先ず、たわらノーロード、<購入・換金手数料なし>ニッセイ、そしてiFreeは新興国債券・株式のベンチマークが異なりますので、あくまで参考値として見て下さい。
(尚、わずか3年間の結果だけでベンチマークの優劣をつけられるものでもありません。)
この3本を除いて比較すると、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は最もコストが低く、そして、その低いコストに応じた高いリターンになっている事がわかります(SMTを除く)。
また、図中、[eMAXIS合成]、[SMT合成]というプロットは、eMAXIS、SMTシリーズの個々のインデックスファンドを組み合わせた合成データですが、これらより若干騰落率が低くなっています。各アセットクラスの構成比率、リバランスのタイミング等の微妙な違いに起因するものと推測。
ただ、その差は小さく、概ねベンチマーク通りの運用になっていると言って良いでしょう。
*厳密には、今回の評価期間ではコストの高いSMTの騰落率が高くなっています。2024.3末時点ではSMTの外国株式・国内比率が高くなっており、こういった構成比率の違いに起因する可能性があります。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の分配金
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、本ファンドは「信託財産の成長を優先とし、原則として分配を抑制する」方針です。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
新規口座開設者限定のスタートアップ円定期預金、3カ月 年1.2%(税引前)、1年 年0.65%(税引前)と好金利。
さらに新規口座開設で1,500円、各種条件を満たすと最大31,000円がもらえます(要エントリー)。
東京スター銀行 新規口座開設優遇プラン スターワン円定期預金
インターネット限定新規口座開設者優遇プラン スターワン円定期預金、1年 年0.55%(税引前)と好金利。
公式サイト東京スター銀行
まとめ
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はインデックスファンド選択の重要な要素である、
- 低い信託報酬、実質コスト。他社が引下げを行っても、それに追従する事。
- ベンチマークとの乖離がない安定した運用
- 順調な資金流入。
- 大きなファンド純資産総額、マザーファンド純資産総額。
全てを満たしていると言って良いでしょう。
さらに、個々のファンドを組み合わせるより低い信託報酬で圧倒的な低コストを特徴とするバランスファンドです。
8資産均等型バランスファンドの中では、最もお勧めできるファンドと言ってよいでしょう。
この低コストを活かして、8資産均等という資産配分がお好みでない方も、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)を核として、これにお好みの資産クラスのインデックスファンドを組み合わせるといった使い方も出来ます。
尚、三菱UFJアセットマネジメントが運用するeMAXIS バランス(8資産均等型)(Slimがつかない)、つみたて8資産均等バランス(つみたてんとうシリーズ)は、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)と同じマザーファンドで運用する姉妹ファンドですので、この中では、コストが圧倒的に低いeMAXIS Slimを強くお勧めします。
販売会社
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は下記の金融機関で購入出来ます。
*eMAXIS Slimシリーズはどこでも購入できるわけではありません。低い信託報酬(販売会社の利益が少ない)、かつ機動的な信託報酬引下げに合意できる金融機関のみが取り扱うという事でしょう。
(dカードGOLDでNISA口座なら月10万円までクレカ積立還元率1.1%)
*dカード、マネックスカードとも通常ショッピング時は1.0%。
また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
公式サイトマネックス証券
また投資信託保有でVポイント、Pontaポイント、dポイントがもらえます。さらにV/Pontaポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト SBI証券
Pontaポイントで投資信託の購入も可能。
また、auじぶん銀行との連携(auマネーコネクト)でauじぶん銀行普通預金金利0.21%、au Payアプリ等の連携で最大0.31%になるのも魅力。
公式サイトauカブコム証券
また、楽天キャッシュ決済でも投資信託積立が出来ます。0.5%のポイント還元。
楽天カード決済で10万円、楽天キャシュ決済で5万円、あわせて月15万円まで利用可能。
さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト楽天証券
公式サイト楽天カード
またMATSUI Bank(住信SBIネット銀行マツイ支店)の口座開設すれば普通預金金利 年0.31%になるのも魅力。
公式サイト松井証券
勿論、NISA(つみたて投資枠)対象のファンドです。(成長投資枠でも購入出来ます。金融機関によってはつみたて投資枠専用としている場合もあります)
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)で取扱っているのは、
などです。
他の8資産均等型との比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
主なバランスファンドの一覧は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slimシリーズの他のファンドの評価・解説は下記記事をご覧ください。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) *本記事