フィデリティ投信が運用し、20年以上の運用実績を誇るフィデリティ・日本成長株・ファンド、国内株式に投資するアクティブファンドで、SBI証券(オリジナルプラン)、楽天証券、イオン銀行の個人型確定拠出年金(iDeCo)にも採用されているファンドです。
そのフィデリティ・日本成長株・ファンドのパフォーマンスを、国内株式の代表的指数で本ファンドのベンチマークとなっているTOPIXとの比較も含めて評価します。
[最終更新日:2020.12.25]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2020年11月末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
フィデリティ・日本成長株・ファンドの基本情報・概要
先ず、フィデリティ・日本成長株・ファンドの基本情報をまとめます。
運用会社 | フィデリティ投信 |
設定日 | 1998年4月1日 |
信託期間 | 無期限 |
運用形態 | アクティブファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | TOPIX(配当込) |
参考指数 | --- |
購入時手数料 | 上限3.30%(販売会社が独自に設定) *主要ネット証券は無料(ノーロード) |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 1.683% |
実質コスト | 1.731%(2019.12.2決算時点) |
純資産総額 | 4449.9億円(2020.11.30時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象外 |
個人型確定拠出年金(iDeCo) | SBI証券(オリジナルプラン)、楽天証券、イオン銀行等 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.10% (対象投資信託1,000万円以上保有で0.20%) |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
松井証券現金還元(年率) | 0.40% |
フィデリティ・日本成長株・ファンドは、設定が1998年と古く、純資産総額も約4,450億円と非常に大きなファンドです。
信託報酬はアクティブファンドだけあって、1.683%と決して低くは無いですが、購入時手数料は主要ネット証券ではかかりません(ノーロード)。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの運用方針
高い成長が期待できる日本企業を発掘し投資するファンドです。
ポイント 1
日本企業の成長力に注目し、広く日本市場全体に投資機会を求めるファンドです。 将来の企業価値を徹底的に調査・分析して高成長が期待できる企業を選別、割安な株価水準で投資します。
ポイント 2
全世界にまたがる調査網を活用、世界的視野でのボトム・アップ・アプローチで 運用にのぞみます。 充実した運用・調査体制を最大限に活用し、多角的な視点から銘柄を発掘します。日本の株式の代表的な株価指数であるTOPIX(配当金込)をベンチマーク(運用目標)とし、長期的にベ ンチマークを上回る運用成果をあげることを目標とします。
フィデリティ・日本成長株・ファンド 交付目論見書より抜粋して引用。
ベンチマークはTOPIX(配当込)、それを長期的に上回る運用成果をあげる事を目標と、ベンチマークが明確に定義されている点は高評価。
投資対象
2020年10月末時点の銘柄総数は256銘柄、組入上位10銘柄は下記のようになります。
画像引用:フィデリティ・日本成長株・ファンド 月次運用レポート(2020/12)
256銘柄と国内株式アクティブファンドとしては比較的多くの銘柄に投資しています。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの運用状況・パフォーマンス (TOPIXと比較)
*以下、年率リターン・リスクは月次データ(終値)より計算。またシャープレシオは、無リスク資産の収益率0としています。
*基準価額は、各運用会社のサイトまたは投資信託協会より入手。分配金がある場合は、分配金再投資の価額に独自に変換。
*TOPIXは野村 NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信【1306】のデータ使用。
基準価額のチャート
フィデリティ・日本成長株・ファンドの設定日は1998年4月1日ですが、比較対象とするTOPIX(ETF:1306)の設定日に合わせ2001年7月11日を基準(10,000)として規格化した基準価額のチャートを示します。
チャートを見る限り、フィデリティ・日本成長株・ファンドは、ベンチマークのTOPIXと概ね同じような動きを示しています。
ただ、2020年のコロナショック後の回復はTOPIXを大きくアウトパフォームしている事がチャートからも読み取れます。
以下、運用成績を詳細に分析していきます。
設定来の運用実績(リターン・リスク)
設定日からは3年以上遅れますがTOPIX[1306]に合わせ2001.10~2020.11の19年のリターン・リスクを見てみます。
フィデリティ日本成長株 | TOPIX | |
年率リターン | 5.37% | 4.50% |
年率リスク | 19.24% | 17.37% |
シャープレシオ | 0.28 | 0.26 |
*一般的にシャープレシオが大きいほど投資効率が良いとされています。
フィデリティ・日本成長株・ファンドはTOPIXにリターンで約0.9%pt勝り、リスクは大きくなっていますが、シャープレシオでも勝っています。
(ただ、これは2019~2020年の好調なパフォーマンスが上表の期間でのリターンに大きく寄与しています。2018年末の17年間リターンではTOPIXに負けています。)
5年間の運用成績(2001年7月~2020年11月)
上述の現時点までの運用成績は、ある特定期間のみの騰落率に大きく左右される事もあり、ファンドの比較・評価として十分とは言えません。
そこで、2001年7月から5年間、さらに2001年8月から5年間・・・2015年11月から5年間と、起点(投資月)を1カ月ずつずらして、それぞれの5年間のリターン、リスクを計算します。全部で173個(区間)のデータとなります。
この複数の5年間のリターンの平均、最大値、最小値をプロットしたのが下図。
フィデリティ・日本成長株・ファンドは平均値、最大値でTOPIXと同等、最小値だけが若干勝っています。
下表に5年間のリターン、リスクの平均値をまとめます。(ここでのリターン、リスク、シャープレシオは173区間の平均値を示したもので、厳密な意味でのリスクやシャープレシオとは異なります。)
フィデリティ日本成長株 | TOPIX | |
年率リターン | 4.69% | 4.67% |
年率リスク | 18.91% | 17.52% |
シャープレシオ | 0.25 | 0.27 |
リターンはTOPIXと同等ですが、リスクが若干大きい為、シャープレシオではTOPIXに負けています。
尚、この173区間の5年間でフィデリティ・日本成長株・ファンドはTOPIXに対し86勝87敗とほぼイーブンです。
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1年間騰落率 年別比較
アクティブファンドの評価としてもう一つ重要な要素は、常にインデックスに対して勝ち続ける事が出来るかという点です。
そこで1年騰落率(リターン)を年別に比較してみます。
*2020年は11月末まで。
騰落率が高い方 |
年 | フィデリティ日本成長株 | TOPIX | 差 |
2020年 | 17.5% | 4.2% | 13.3% |
2019年 | 28.8% | 18.0% | 10.8% |
2018年 | -24.1% | -16.1% | -8.0% |
2017年 | 30.7% | 22.1% | 8.6% |
2016年 | -0.7% | 0.2% | -0.9% |
2015年 | 11.7% | 11.9% | -0.2% |
2014年 | 7.7% | 10.1% | -2.4% |
2013年 | 55.4% | 54.1% | 1.3% |
2012年 | 18.7% | 20.6% | -1.9% |
2011年 | -18.1% | -17.0% | -1.1% |
2010年 | 0.6% | 0.9% | -0.3% |
2009年 | 18.3% | 7.4% | 10.9% |
2008年 | -44.9% | -40.5% | -4.4% |
2007年 | -8.9% | -11.1% | 2.2% |
2006年 | -3.1% | 2.9% | -6.1% |
2005年 | 43.3% | 45.2% | -1.9% |
2004年 | 7.0% | 11.1% | -4.1% |
2003年 | 41.5% | 24.8% | 16.7% |
2002年 | -19.0% | -17.6% | -1.4% |
2002年~2020年の19年間でフィデリティ・日本成長株・ファンドはTOPIXに7勝12敗と負け越しています。
但し、2019年、2020年(11月まで)は、TOPIXを大きくアウトパフォームする良好な成績を残しています。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの人気 (資金流出入額)
月次資金流出入額、純資産総額からフィデリティ・日本成長株・ファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
直近10年では、資金の出入りが激しく、巨額の資金流出がある月も多くあります。10年間の累積で見ても資金流出の方が多くなっています。
純資産総額も若干増えてはいるものの、その伸びは鈍化しています。
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まとめ
以上、フィデリティ・日本成長株・ファンドとTOPIXのパフォーマンスを比較してきましたが、概ねTOPIXと同等の成績。少なくともTOPIXを大きく上回るまでには至っていません。
また、直近10年では資金流出が多くなっています。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの信託報酬は1.683%です。今回比較の対象としたTOPIX連動型上場投信(1306)は信託報酬0.121%(2020.9.30からは0.0968%以内)で、信託報酬の差だけで1.6%近くあります。
即ち、コスト要因だけで既にこれだけのハンデを背負っている訳で、運用自体は悪くないのですが、そのコストの高さが足かせとなってベンチマークを上回る事が出来ないと言っても良いでしょう。
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由の一つとして、そのコストの高さがあげられますが、まさに、本ファンドの結果は、それを証明するような形になっています。
フィデリティ・日本成長株・ファンドは信託報酬を1%以内に引き下げられたら魅力的なファンドになるのですが・・・
尚、2019年、2020年に限れば、TOPIXを大きく上回る成績を残しています。このパフォーマンスを今後も維持できるかに注目です。
販売会社
フィデリティ・日本成長株・ファンドは下記ネット証券等で、購入時手数料無料で購入できます。
ポイント・現金還元という点では、信託報酬(販売会社取り分)の0.3%(税抜)を超える分を還元する松井証券が有利です。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
公式サイト楽天証券、楽天カード
SMBC日興証券(ダイレクトコース)
国内株式を定額(100円~)、買付手数料無料(100万円以下)で買付・積立出来、さらにdポイントも使えるキンカブ・日興フロッギーも魅力の証券会社。
公式サイトSMBC日興証券
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでのリバランス積立は非対応)
また信託報酬に応じた現金還元もあり、信託報酬販売会社取り分が高いファンドだと最も有利になります。
公式サイト松井証券
また個人型確定拠出年金(iDeCo)ではSBI証券(オリジナルプラン)、楽天証券、イオン銀行等で購入出来ます。
本サイトが注目している他の国内株式に投資するアクティブファンドは下記記事にまとめてあります。