米国株式、NASDAQ(ナスダック)上場銘柄のうち時価総額上位100(除く金融)から構成されるNASDAQ100指数に対し、日々の基準価額の動きが2倍程度となるように運用するレバレッジ型ファンド、iFreeレバレッジ NASDAQ100について解説します。
[最終更新日:2021.10.21]初版。
*本記事は原則2021.9末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
iFreeレバレッジ NASDAQ100の基本情報
大和アセットマネジメントには、多くのファンドをラインアップするiFreeシリーズがありますが、iFreeシリーズがシンプルなインデックスファンドなのに対し、iFreeレバレッジシリーズは「ファンドごとに世界の有望企業を厳選し、パッケージングした企業"群"」にレバレッジをかけて投資します。 (iFree公式サイトより抜粋・編集して引用)
今回解説するのは、米国株式 NASDAQ100に2倍のレバレッジをかけて運用するiFreeレバレッジ NASDAQ100。
レバレッジをかけないインデックスファンド、iFreeNEXT NASDAQ100インデックスについては下記記事を参照して下さい。
先ず、iFreeレバレッジ NASDAQ100の基本情報をまとめます。
運用会社 | 大和アセットマネジメント |
設定日 | 2018年10月19日 |
運用形態 | レバレッジ型ファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 無 |
参考指数 | NASDAQ100(米ドルベース) |
購入時手数料 | 販売会社が定める率 上限2.2% *主要ネット証券は無料 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.99% |
実質コスト | 1.169%(*1) |
純資産総額 | 1,140億円(2021.9.30時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象外 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.10% (対象投資信託1,000万円以上保有で0.20%) |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.080% |
(*1)実質コストは2020.10.19決算より。
(*2)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更。
投資対象
NASDAQ100に対し2倍のレバレッジをかけて投資します。
実際の運用は、主に株価指数先物(NASDAQ 100 E-MINI)に200%投資します。
為替へッジ
本ファンドは為替ヘッジを行います。
先物に投資しますので、為替リスクは主に証拠金の部分にかかりますが、この証拠金(純資産の30~40%程度)にも為替ヘッジを行います。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
iFreeレバレッジ NASDAQ100の信託報酬は0.990%(税込)。
実質コストは1.169%。
購入時手数料は最大2.2%かかりますが、主要ネット証券なら無料で購入できます。
信託財産留保額はありません。
信託報酬の変更履歴
iFreeレバレッジ NASDAQ100は、未だ信託報酬を引下げた実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2018/10/19 | 0.990% | 新規設定。 |
??? | ??? |
楽天投信がiFreeより低いコストで「楽天レバレッジNASDAQ-100(愛称:レバナス)」を新規に設定してきただけに、是非、対抗した引下げを期待したいところです。
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レバレッジ NASDAQ100のリスク、リターン特性、レバレッジの減価(逓減)
米国ETF QQQ/QLD/TQQQ
本章ではNASDAQ100連動型ETF、及びレバレッジ型ETFのデータを参考として用います。
Ticker | ETF | レバレッジ | 経費率 |
QQQ | Invesco QQQ Trust Series1 | 無 | 0.20% |
QLD | ProShares ULTRA QQQ | x2 | 0.95% |
TQQQ | ProShares ULTRAPRO QQQ | x3 | 0.95% |
*各ETFの騰落率は分配金10%課税後再投資した場合の終値での騰落率。(終値は米国Yahoo Finance、分配金は各運用会社サイトより引用)
*一部データは三菱UFJ銀行公表のTTMより円に換算
また、QQQの日次データから2倍、3倍のレバレッジ相当の基準価額を作成したデータも用います(QQQ x2 or 3 [Sim]と表記)。
レバレッジ NASDAQ100のリスク、リターン
レバレッジをかける事で大きなリターンを得る事が出来る可能性もありますが、同時に大きなリスクをも負う事になります。
そこでレバレッジをかけたNASDAQ100のリスク・リターン特性を調べます。
直近2年半のリスク-リターン特性
iFreeレバレッジ NASDAQ100は設定から未だ3年弱ですので、先ずは2021年9月末時点の2.5年間のリスク・リターンを確認します。
レバレッジ無のQQQ(円換算)とiFreeNEXT NASDAQ100インデックス、(この期間ではドル/円の違いも小さい)
レバレッジ2倍のQLD(ドル)、QQQ x2[Sim](ドル)、そしてiFreeレバレッジ NASDAQ100、
レバレッジ3倍のTQQQ(ドル)、QQQ x3[Sim](ドル)
は、それぞれ概ね一致します。
リターン(年率)はレバレッジ無が30%強、2倍レバレッジが60%強、3倍レバレッジが80~90%と、概ねレバレッジ倍率に応じたリターンになっており、この期間では後述する減価の影響を殆ど受けていません。
そして、重要なリスク、当然、レバレッジ倍率に比例して大きくなります。レバレッジ2倍のiFreeレバレッジ NASDAQ100のリスクは40%です。
*リスクが若干レバレッジ倍率の比例からずれているのは、リスクを月次データより計算している為。
直近10年のリスク-リターン特性
2.5年では評価期間として短すぎますので、もっと長期のデータという事で、iFreeレバレッジ NASDAQ100のデータはありませんが、米国ETFのデータから2021年9月末時点の10年間のリスク・リターンを見てみます。
レバレッジ2倍でリスク33%です。
過去の大きなリターンだけに着目するのではなく、このような大きなリスクを負う事を十分理解し、これを許容できる方のみ投資するようにして下さい。
NASDAQ100レバレッジの減価・逓減
レバレッジ型ファンドは、単調に基準価額が上昇する相場ではレバレッジ倍率以上のリターンを得る事が出来ますが、一方で、基準価額が上昇、下落を繰り返すような相場では次第に基準価額が低下していく現象が見られます。
レバレッジの減価の詳細は下記「グローバル3倍3分法ファンド」で詳しく解説していますので参考にして下さい。
実際にNASDAQ100で、この減価の影響がどのように効いているか見てみます。
QQQの騰落率の2倍と、QQQから作成した2倍レバレッジの騰落率とを比較する事で評価します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧下さい]
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
(1)2倍レバレッジ (QQQから作成,Sim) | 64.6% | 46.5% | 50.6% | 43.2% |
(2)QQQ騰落率 x2 | 61.6% | 50.8% | 51.7% | 44.0% |
(1)-(2) | +3.0pt | -4.3pt | -1.1pt | -0.8pt |
1年だけはプラスですが、3年以上はマイナスとなっています。
マイナスとは、その期間中の騰落率がレバレッジ無の2倍より小さいという事で、これが減価の影響という事になります。
ただ、(3年を除いて)そう大きなマイナス値ではありません。この期間、NASDAQ100は大きく上昇しており、減価の影響を上昇分の複利効果が打ち消した結果と言えるでしょう。
勿論、今後、ボックス相場が続くような事があれば、徐々に減価していく事も考えられますので、注意して下さい。
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iFreeレバレッジ NASDAQ100の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からiFreeレバレッジ NASDAQ100の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
2019年までは殆ど売れていませんでしたが、2020年に入り急激に資金流入が増え、安定はしていませんが月によっては100億を超える月もあります。
レバレッジ無のiFreeNEXT NASDAQ100インデックスよりも売れています。
十分売れている、人気のあるファンドと言って良いでしょう。
運用状況は?
QQQのデータから作成した2倍レバレッジの騰落率を基準とし、これとiFreeレバレッジ NASDAQ100の騰落率の差を見てみます。
下図は実質コスト(ETFは経費率)に対する2021年9月末時点の2年騰落率をプロットしたものです。
図中、点線はQQQx2[Sim]を基準に、コストと騰落率の関係を表しています。
図中グレーの点線に対して、iFreeレバレッジ NASDAQ100の騰落率は2年で-0.70%pt、コスト成分以外の乖離が見られます。
これは、例えば、運用報告書にあらわれないコスト(為替ヘッジコスト等)、先物と指数の連動性などに起因すると推測します。
*大和AMのレポート(2021.9.6)によると2021.8末時点の1年の為替ヘッジコストは0.24%程度
尚、図示しませんが1年騰落率だと、この乖離が-2.72%ptともっと大きくなります。
ただ、インデックスファンドと違い、このような乖離をレバレッジファンドで気にする必要があるかは???ですが。。。
iFreeレバレッジ NASDAQ100の分配金
iFreeレバレッジ NASDAQ100は分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ
iFreeレバレッジ NASDAQ100は、NASDAQ100の日々の値動きの2倍となるよう運用するレバレッジ型のファンドです。
大きなリターンを望む方に大変人気のあるファンドです。
ただ、同時に大きなリスクをも負う事になりますので、これを十分理解した上で投資する事をおすすめします。
尚、同種のファンドとしては、楽天レバレッジNASDAQ-100(愛称:レバナス)が信託報酬0.77%で、2021年11月17日に設定されますが、実績で選べば、iFreeレバレッジ NASDAQ100という選択になるでしょう。
販売会社
iFreeレバレッジ NASDAQ100は下記の金融機関で購入出来ます。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイント/Pontaポイント/dポイントがもらえます。さらにT or Pontaポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
三井住友カードで投信積立が出来ます。還元率0.5%(ゴールド、プラチナカードはさらに還元率アップ)。
*三井住友カード(NL)なら年会費永年無料。
公式サイト SBI証券、三井住友カード(NL)
楽天証券
楽天ポイントで投資信託を購入出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があります。
公式サイト楽天証券、楽天カード
マネックス証券
マネックスカード(クレジットカード)で投信積立が出来ます。投信積立での還元率1.1%。マネックスカードの発行はマネックス証券口座が必要。
公式サイトマネックス証券
参考記事マネックスカード(クレジットカード)での投信積立決済サービス
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
公式サイト松井証券
尚、NASDAQ100はつみたてNISAの指定インデックスではなく、さらにレバレッジ型のファンドの為、つみたてNISAでは購入できません。
レバレッジ無のNASDAQ100インデックスファンド、及び東証上場ETF、さらに米国ETF QQQとの比較は下記記事を参照して下さい。