国内株式の高配当銘柄に着目した株価指数、日経平均高配当株50指数を日経平均株価、TOPIXとの比較を含めて解説します。
また、日経平均高配当株50指数との連動を目指すインデックスファンド Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)、東証上場ETF NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】、及び設定されて間もないですが上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】についても評価します。
[最終更新日:2025.11.18]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2025.10末日時点の情報に基づき記載しています。
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日経平均高配当株50指数とは?
日経平均株価構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成される、配当利回りウェート方式の株価指数です。
公式サイト(引用元)「日経平均高配当株50指数」算出要領
*日経平均高配当株50指数、日経平均株価の指数に関する著作権ならびに「日経」および「指数」の表示に対する知的財産権、その他一切の権利はすべて日本経済新聞社に帰属しています。
*日経平均高配当株50指数、及びその他指数に関する情報は日経平均プロフィルより入手した値を元に管理人が加工して記載。
構成銘柄
2025.10末時点の構成上位15銘柄は下表のようになります。
同時に各銘柄の予想配当利回り、さらに、その銘柄の日経平均株価での順位、比率も示します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧ください]
| 銘柄 | 比率 | 予想配当 利回り | 日経平均株価 での順位・比率 | ||
| 順位 | 比率 | ||||
| 1 | INPEX | 4.13% | 3.52% | 161 | 0.07% |
| 2 | 日本たばこ産業 | 4.07% | 4.36% | 57 | 0.34% |
| 3 | 川崎汽船 | 3.91% | 5.42% | 124 | 0.13% |
| 4 | 本田技研工業 | 3.89% | 4.49% | 29 | 0.60% |
| 5 | 三菱商事 | 3.64% | 2.96% | 24 | 0.72% |
| 6 | みずほFG | 3.59% | 2.82% | 197 | 0.03% |
| 7 | アステラス製薬 | 3.48% | 4.83% | 37 | 0.52% |
| 8 | 日本郵船 | 3.47% | 4.41% | 139 | 0.10% |
| 9 | 野村HD | 3.44% | 4.23% | 165 | 0.07% |
| 10 | 武田薬品工業 | 3.43% | 4.82% | 75 | 0.27% |
| 11 | 三井住友FG | 3.18% | 3.27% | 152 | 0.08% |
| 12 | 住友商事 | 2.82% | 3.12% | 70 | 0.29% |
| 13 | 日本製鉄 | 2.78% | 3.77% | 209 | 0.02% |
| 14 | マツダ | 2.71% | 5.13% | 217 | 0.01% |
| 15 | MS&AD インシュアランスG HD | 2.54% | 4.87% | 96 | 0.18% |
尚、日経平均高配当株50指数を構成する全銘柄でも、日経平均株価で占める割合は7%程度に留まります。
配当利回り
日経平均高配当株50指数の配当利回りを日経平均株価と比較したのが下図。
日経平均高配当株50指数は高配当銘柄を抽出した指数だけあって配当利回り概ね3~6%、
2%前後の日経平均株価と比較すると1.5~3.7%ポイント高くなっています。
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日経平均高配当株50指数のパフォーマンス評価 ~日経平均株価、TOPIXとのトータルリターン比較~
いくら配当利回りが高くても、株価が下落していっては意味がありません。そこで重要になるのが、配当収益(インカムゲイン)に株価・基準価額変動による収益(キャピタルゲイン)を加えたトータルリターン。
以下、日経平均高配当株50指数のパフォーマンスを日経平均株価、TOPIXと比較する形で評価していきますが、日経平均高配当株50指数、日経平均株価(日経平均トータルリターン・インデックス)、TOPIXとも全て配当込み(配当非課税再投資)の値を使用します。
*日経平均高配当株50指数は指数値。
*日経平均株価はトータルリターン・インデックスの長期のデータがない為、2014.1まではETF NEXT FUNDS 1321の分配金非課税再投資時の基準価額を使用。即ち2014.1までの日経平均株価には、ETFのコスト 0.25%程度が差し引かれている事に注意して下さい。2014.2以降は指数値を使用。
*TOPIXは全期間ETF NEXT FUNDS 1306の分配金非課税再投資時の基準価額を使用。信託報酬などのコストが控除された後の値です。
基準価額のチャート
2001年12月を10,000とした基準価額(指数)のチャートです。
この期間のチャートを見ると、日経平均高配当株50指数が日経平均株価、TOPIXを大きく上回っています。
一方で、この良好なパフォーマンスは2002~2008年、及び2021年以降の限定された期間に起因しているようにも見えます。
以下、詳細に比較していきます。
過去23年半のリターン・リスク
日経平均高配当株50指数と日経平均株価のリターン、リスク、シャープレシオを、過去23.5年間で評価します。
*上記チャートを見て分かるように、TOPIXは日経平均株価に劣後していますので、ここでは日経平均株価との比較のみとしTOPIXは省略。
*シャープレシオは無リスク資産のリターンを0として算出。
| 日経平均高配当株50指数 | 日経平均株価 | |
| 年率リターン | 12.44% | 8.38% |
| 年率リスク | 17.08% | 18.28% |
| シャープレシオ | 0.73 | 0.46 |
2025年10月末時点の23.5年間のパフォーマンスでは、日経平均高配当株50指数がリターンで日経平均株価を大きく上回っています。リスクも若干小さく、シャープレシオでも圧勝です。
この23.5年を前半/中盤/後半と三つの期間に分けて評価してみます。
2000年代 (2001年12月~2009年12月の前半8年)
| 日経平均高配当株50指数 | 日経平均株価 | |
| 年率リターン | 11.29% | 1.01% |
| 年率リスク | 18.65% | 19.94% |
| シャープレシオ | 0.61 | 0.05 |
2000年代の8年では日経平均高配当株50指数の圧勝です。日経平均に対し、日経平均高配当株50指数は+10%ポイント程の高いリターンを出しています。
2010年代(2009年12月~2019年12月の中盤10年)
| 日経平均高配当株50指数 | 日経平均株価 | |
| 年率リターン | 9.39% | 10.41% |
| 年率リスク | 16.60% | 17.27% |
| シャープレシオ | 0.57 | 0.60 |
一方、2010年代は逆に日経平均株価の方が僅かながら勝っています。
2020年代(2019年12月~2025年10月)の後半5年10カ月
| 日経平均高配当株50指数 | 日経平均株価 | |
| 年率リターン | 20.41% | 16.88% |
| 年率リスク | 15.34% | 17.41% |
| シャープレシオ | 1.33 | 0.97 |
未だ6年弱ですが、2020年代は再び日経平均高配当株50指数の圧勝です。
結局、直近約23.5年間で、日経平均株価を大きくアウトパフォームした日経平均高配当株50指数ですが、これは2000年代、及び2020年代の好調なパフォーマンスによるもので、2010年代には日経平均株価に負けています。
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5年間/10年間の運用成績(2002年1月~2025年10月) ~ローリングリターン~
前述までの評価・比較は、ある特定期間の騰落率に大きく左右される事もあり、指数/インデックスの評価として十分とは言えません。
そこで、2002年1月から5年間(または10年間)、さらに2002年2月から5年間(10年間)・・・2015年10月から5年間(10年間)・・・2020年10月から5年間と、起点(投資月)を1カ月ずつずらして、それぞれの5年間または10年間の年率リターン、リスクを計算します。5年間の場合全部で226個(区間)、10年では166個(区間)のデータとなります。
この複数の5年間/10年間の年率リターンの平均、最大値、最小値をプロットしたのが下図。
平均値、最大値ともに上回る日経平均高配当株50指数ですが、5年間では最大値と最小値の差が非常に大きく、これは前述の2000年代、2010年代、2020年代のパフォーマンスの大きな違いを反映していると思われます。
10年になると、逆に最大値・最小値の幅も少なく、全て日経平均株価、TOPIXを上回っています。
次に、投資期間10年の場合を例にとり、投資月に対する10年間のリターン(年率)をプロットします。
2000年代前半の日経平均高配当株50指数のリターンが圧倒的に高くなっています。また、近年の成績(~リターン評価期間の最後が2025年10月)でも日経平均高配当株50指数が勝っています。
一方で投資月が2000年代後半~2010年前半では日経平均高配当株50指数が負けています。
この166区間の10年リターンで日経平均高配当株50指数は、日経平均株価に対して109勝57敗、TOPIXに対して144勝22敗と大きく勝ち越し。
図示しませんが5年リターンでは226区間で日経平均株価に対して124勝102敗、TOPIXに対して182勝44敗と、TOPIXには大勝ですが、日経平均株価に対しては概ね互角の結果になっています。
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年間騰落率の比較
2002~2025年の各年の年間騰落率を比較します。
*2025年は10月末まで
| 騰落率 1位 |
| 騰落率 2位 |
| 騰落率 3位 |
[スマホの方は横にスクロールしてご覧ください]
| 年 | 日経高配当株50 | 日経平均株価 | TOPIX | |||
| 2025年 (10月まで) | 3 | 16.4% | 1 | 33.8% | 2 | 22.4% |
| 2024年 | 1 | 25.2% | 2 | 21.3% | 3 | 20.3% |
| 2023年 | 1 | 40.6% | 2 | 31.0% | 3 | 28.2% |
| 2022年 | 1 | 24.6% | 3 | -7.3% | 2 | -2.5% |
| 2021年 | 1 | 28.2% | 3 | 6.7% | 2 | 12.6% |
| 2020年 | 3 | -9.7% | 1 | 18.3% | 2 | 7.3% |
| 2019年 | 3 | 10.5% | 1 | 20.7% | 2 | 18.0% |
| 2018年 | 3 | -17.1% | 1 | -10.3% | 2 | -16.1% |
| 2017年 | 1 | 22.1% | 3 | 21.3% | 2 | 22.1% |
| 2016年 | 1 | 10.7% | 2 | 2.4% | 3 | 0.2% |
| 2015年 | 1 | 16.7% | 3 | 11.0% | 2 | 11.9% |
| 2014年 | 3 | 7.5% | 2 | 8.9% | 1 | 10.1% |
| 2013年 | 3 | 46.6% | 1 | 59.0% | 2 | 54.1% |
| 2012年 | 3 | 19.6% | 1 | 25.3% | 2 | 20.6% |
| 2011年 | 1 | -14.1% | 2 | -15.8% | 3 | -17.0% |
| 2010年 | 1 | 4.9% | 3 | -1.4% | 2 | 0.9% |
| 2009年 | 3 | 0.7% | 1 | 20.6% | 2 | 7.4% |
| 2008年 | 1 | -33.3% | 3 | -41.0% | 2 | -40.5% |
| 2007年 | 1 | -1.9% | 2 | -10.2% | 3 | -11.1% |
| 2006年 | 1 | 14.3% | 2 | 7.8% | 3 | 2.9% |
| 2005年 | 1 | 60.1% | 3 | 41.3% | 2 | 45.2% |
| 2004年 | 1 | 24.2% | 3 | 8.4% | 2 | 11.1% |
| 2003年 | 1 | 61.6% | 2 | 25.2% | 3 | 24.8% |
| 2002年 | 1 | -2.9% | 3 | -18.1% | 2 | -17.6% |
この24年間で日経平均高配当株50指数は、日経平均株価、TOPIXともに16勝8敗と大きく勝ち越していますが、これは前述のように2000年代、及び2021~2024年の好調なパフォーマンスの寄与が大きく、2009年以降2020年まではほぼ互角といったところです。
年間騰落率の差の日経平均株価に対する依存性
この年間騰落率の差を日経平均株価の騰落率に対してプロットしてみます。
日経平均株価が上昇した年は日経平均株価がより有利に、逆に下落した時は日経平均高配当株50が有利となる傾向があるように見えます。(そう強い相関ではありませんが)
日経平均株価、TOPIXとの相関係数
日経平均高配当株50と日経平均株価、TOPIXとの相関係数を求めます。
*相関係数は2001年12月から2025年10月までの月次騰落率から計算
| 日経平均高配当株50 | 日経平均株価 | TOPIX | |
| 日経平均高配当株50 | --- | --- | --- |
| 日経平均株価 | 0.848 | --- | --- |
| TOPIX | 0.919 | 0.958 | --- |
日経平均高配当株50と日経平均株価の相関係数が最も小さくなっています。
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日経平均高配当株50指数との連動を目指すインデックスファンド(投資信託)、ETF
日経平均高配当株50指数との連動を目指す(非上場)インデックスファンド、ETFは下記の4本しかありません。
*信託報酬は税込み表記
| ファンド/ETF [設定日] | 信託報酬 | 実質コスト |
| (非上場)インデックスファンド | ||
| Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型) [2024.1.31] | 0.10725% (*1) | 0.146% |
| インデックスファンド日経平均高配当株50(奇数月分配型) [2024.1.31] | 0.4785% (*1) | 0.587% |
| 東証上場ETF | ||
| 上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】 [2025.7.23] | 0.165% | 0.265% (*3) |
| NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】 [2017.2.10] | 0.308% | 0.377% (*2) |
(*1)多くの非上場インデックスファンドとは異なり指数標章使用料などが信託報酬に含まれていません。
(*2)直近1年分の決算の営業費用合計から算出。
(*3)初回決算の僅か70日程度の営業費用から算出。
(非上場)インデックスファンドはamovaアセットマネジメントが運用する2本がありますが、2本とも設定日が2024.1.31と設定されたばかりで、同じマザーファンドに投資する姉妹ファンド、信託報酬はTracersが圧倒的に低くなっていますので、インデックスファンド日経平均高配当株50を選択する理由はありません(本ファンドは2025.11.14時点で販売会社も未定)。
よって本記事ではインデックスファンドとして(基本的に)Tracers 日経平均高配当株50インデックスのみ取り上げます。
東証上場ETFには、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】があります。運用期間も9年弱と十分な実績があります。但し、信託報酬が若干割高となっています。
そして、2025.7.23に、これもamovaアセットマネジメントが上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】を新規設定しました。未だ運用実績は殆どありませんが、信託報酬はNEXT FUNDS【1489】より大幅に低くなっています。
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Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)の評価
(非上場の)投資信託・インデックスファンドで日経平均高配当株50指数に投資するには、Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)を購入する事になります。
Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)の基本情報
先ず、Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)の基本情報をまとめます。
| Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型) | |
| 運用会社 | amovaアセットマネジメント |
| 設定日 | 2024年1月31日 |
| 運用形態 | インデックスファンド |
| 投資形態 | ファミリーファンド |
| ベンチマーク | 日経平均高配当株50指数トータルリターン(配当込み) |
| 購入時手数料 | 無 |
| 信託財産留保額 | 無 |
| 信託報酬(税込) | 0.10725%(*1) |
| 実質コスト | 0.146%(*2) |
| 純資産総額 | 265.6億円(2025.10.31時点) |
| (マザーファンド) 純資産総額 | 113.6億円(2024.12.2時点) |
| 決算・分配金 | 年6回(奇数月) |
| NISA(つみたて投資枠) | --- |
| NISA(成長投資枠) | 対象商品 |
| SBI証券ポイント還元年率 | 0.040% |
| 楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*3) |
| マネックス証券ポイント還元年率 | 0.030% |
| 松井証券ポイント還元年率 | 0.040% |
(*1)信託報酬に指数標章使用料等が含まれていません。
(*2)2025.5.30時点の1年分の決算結果
(*3)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)の信託報酬は0.10725%(税込)。
信託報酬に指数標章使用料等が含まれていないもの十分低い信託報酬です。
実質コストは第3~8期決算(1年分)で0.146%、指数標章使用料等に加え設定されたばかりという事もあり、信託報酬以外のコストが国内株式としてはやや高く感じます。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からTracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
設定された直後の2024.2は21億円と多くの資金を集めました。その後は、2024.7、2025.4など一時的に増える事はありますが、概ね月5~10億程度。
純資産総額は設定から1年9カ月の2025.10末日時点で266億円。
国内株式で、かつTOPIX/日経平均株価ほどメジャーではない指数のファンドとしては十分売れている方かと思います。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は2025年10月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンド・ETFでプロットしたものです。
*Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)を「Tracers」、インデックスファンド日経平均高配当株50を「日興インデックス」、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】を「NEXT FUNDS1489」と表記。
騰落率とコストの関係は、理想的には配当込み(国内株式の場合配当非課税)インデックス(指数)騰落率から決まる傾き、切片の直線(図中グレーの点線)になります。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)は、図中グレーの点線よりプラス側に位置し、(直近1年においては)コスト要因以外でベンチマークに対して0.27%ポイント プラス側に乖離しているようです。
但し、NEXT FUNDS【1489】もTracersと同程度に乖離していますので、単純に運用の問題ではない可能性もあります。
Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)の分配金
決算は年6回、奇数月(1,3,5,7,9,11月)です。
基本的には決算日に分配金を出すタイプのファンドと思われます。
実際2024.9以降、隔月で100円分配金を出しています。
2025.10末時点の基準価額に対して、直近1年分の分配金利回りは4.83%になります。指数の利回りが3.96%(2025.10末時点)ですので、これを若干上回る分配金となっています。
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NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】、上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】の評価
日経平均高配当株50指数に投資するには、前述のインデックスファンドの他、東証上場ETF、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】、上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】を選択する事も出来ます。
こちらは十分な運用期間・実績があります。
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】、上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】の基本情報
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】、上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】の基本情報を下表にまとめます。
| NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】 | 上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】 | |
| 運用会社 | 野村アセットマネジメント | amovaアセットマネジメント |
| 設定日 | 2017年2月10日 | 2025年7月23日 |
| 銘柄コード | 1489 | 399A |
| 運用形態 | インデックス | |
| ベンチマーク | 日経平均高配当株50指数 (トータルリターン)(*3) | 日経平均高配当株50指数 |
| 信託報酬(税込) | 0.308% | 0.165% |
| 実質コスト | 0.377%(*1) | 0.265%(*4) |
| 純資産総額 (2025.10末時点) | 4,251億円 | 221億円 |
| 決算日(分配金) | 年4回(1,4,7,10月の8日) | 年2回(4,10月の4日) |
| 売買単位 | 1口単位 | 1口単位 |
| 最小売買価格 (2025.11.14時点) | 2,716円(*2) | 1,785円 |
| 分配金利回り (2025.10末時点) | 3.43% | 1.52% (1回分)(*6) |
| 平均売買代金(*5) | 117,994万円 | 10,373万円 |
| 平均売買高(*5) | 459,499口 | 61,330口 |
| マーケットメイク制度 | 対象 | 対象 |
| iNAV | 対象 | 対象 |
| 売買手数料無料の証券会社 | SBI証券、三菱UFJ eスマート証券 | --- |
(*1)実質コストは2025.4、2024.10決算の1年分より算出。
(*2)2024.1.19に1:30の分割を実施。
(*3)2024.12.25より配当込みのトータルリターンに変更
(*4)2025.10の初回決算73日分から算出
(*5)2025.11.14時点の直近90日(データ引用:東証マネ部)
(*6)上場インデックスファンドは年2回分配ですが、未だ1回しか分配金を出しておらず、分配金利回りが低く見えています。
実際の利回りは2倍程度になると推測。
信託報酬・実質コスト
*信託報酬、実質コストはいずれも税込み
信託報酬はNEXT FUNDS【1489】が0.308%に対し、上場インデックスファンド【399A】が0.165%と圧倒的に低くなっています。
ETFの場合、信託報酬以外にも指数商標使用料(NEXT FUNDSでは0.055%)、上場費用(0.00825%)等のコストが別途かかり、これら費用の合計(決算の営業費用合計)を実質コストと定義し、
実質コスト NEXT FUNDS【1489】0.377%、上場インデックスファンド【399A】0.265%と信託報酬より若干差が縮まるものの、依然、上場インデックスファンド【399A】の方が低くなっています。
*上場インデックスファンド【399A】は70日程度の初回決算結果から求めた値で誤差を含むと思われます。
市場価格と基準価額との乖離
ETFには実際に市場で売買する時の価格=市場価格、一般の投資信託同様、純資産総額を口数で割った真の価格=基準価額の二つの価格が存在します。
勿論、この二つの価格は同じである方が望ましいのですが実際には差=乖離が生じます。
この乖離、以前はWEALTH ADVISORのサイトで調べる事が出来ましたが(終値と基準価額の乖離)、現在はサイトから消えているようです。
NEXT FUNDS【1489】の過去のデータでは、日経平均株価やTOPIX連動型の優秀なETFに比べると乖離が若干大きくなっていました。
慎重を期す方は、売買の際、iNAV等で確認すると良いでしょう。
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基準価額とベンチマークの乖離
次は基準価額とベンチマークとの乖離です。
*前章の市場価格と基準価額の乖離とは異なりますので注意して下さい。
騰落率とコストの関係から基準価額とベンチマークの乖離を評価します。
騰落率とコストの関係は、国内株式の場合、インデックス(指数)騰落率(配当込、配当課税無)から決まる傾き、切片の直線になります。
下図は2025.10末時点の1年、3年の実質コストと騰落率(年率)の関係をプロットしたものですが、図中、茶色の横線は配当込指数値、グレーの点線が傾き-(1+インデックス騰落率)、切片(コストが0の時)がインデックス騰落率(=配当込指数)となる直線です。
*1年、3年騰落率はNEXT FUNDS【1489】のみの評価となります。
*1年騰落率は前章のTracersの評価で示したグラフと基本的には同じものです。
本来はグレーの点線上にあるべきですが、NEXT FUNDS【1489】の1年騰落率では0.28%ポイント、プラス側にあります。ただ、Tracersも同様であり、これが運用の問題かはわかりません。
3年になると、ほぼグレーの点線上にあり、コスト要因以外でのベンチマークと基準価額の乖離は殆ど無い事がわかります。
上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】の評価 ~3カ月騰落率~
設定から未だ3カ月強しか経っていない上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】を評価する為、3カ月騰落率も見てみます。
上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】はグレーの点線に最も近くなっています。
ただ、Tracers、NEXT FUNDS【1489】の1年騰落率で示したように、どちらが本来あるべき騰落率か判断がつかない為、ここでの評価は保留、もう少し運用期間が経ってから再評価します。
平均売買代金、平均売買高
平均売買代金、売買高は圧倒的にNEXT FUNDS【1489】が大きくなっています。
TOPIXや日経平均株価連動型で人気のあるETFに比べると見劣りしますが、高配当株系のETFでは売れている方です。
上場インデックスファンド【399A】は、未だ設定されたばかりという事もあり、今後の結果に注目です。
いくらで買える、最小売買価格
両ETFとも売買単位は1口ですので、NEXT FUNDS【1489】は2,700円程度、上場インデックスファンド【399A】は1,800円程度で売買できます(2025.11.14時点)。
NEXT FUNDS【1489】は2024年1月19日に受益権を1:30に分割した事で少額から売買できるようになりました。
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日経平均高配当株50指数 新NISA対応状況
2024年から始まった新NISA、つみたて投資枠と成長投資枠の二つの枠がありますが、
日経平均高配当株50指数はつみたて投資枠の指定インデックスではないため、つみたて投資枠では購入出来ません。
ただし、Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】、上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】、全て成長投資枠で購入する事が出来ます。
販売会社
インデックスファンド Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)はSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などで購入出来ます。勿論、購入時手数料はかかりません。
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】、上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】はETFですので、銀行ではなく証券会社で取引する事になります。
通常、ETFは株式同様、売買手数料がかかりますが、
SBI証券、三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)ではNEXT FUNDS【1489】を売買手数料無料としています。
*無料になるのは一部の対象銘柄だけですが、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】はその対象となっています。
尚、SBI証券、楽天証券は、それぞれ2023.9.30、2023.10.1より約定金額によらず国内株式売買手数料が無料(一部条件、コースの選択有)となりましたので、本ETF以外でも無料で取引できます。
公式サイトSBI証券
公式サイト楽天証券
公式サイト三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)
マネックス証券
dカードやマネックスカード(クレジットカード)で投資信託積立が出来ます。
投信積立でのポイント還元率は1.1%と主要ネット証券で最高水準(月5万円まで。5万円以上は還元率が下がります)。
*dカードGOLD / GOLD UでNISA口座なら月10万円までクレカ積立還元率1.1%
*通常ショッピング時の還元率は1.0%
また、投資信託保有でポイントも貯まります。(一部ファンドを除く)
以上、国内の高配当銘柄に注目した日経平均高配当株50指数の解説、そして本指数との連動を目指して運用するインデックスファンド Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)、及び東証上場ETF NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】、上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】の評価でした。
他の国内株式高配当銘柄に投資するETF・ファンドについては下記ページをご覧ください。
本ファンドと類似、ライバルとなるであろうファンド(ETF含む)。
*ファンド名をクリックすると解説記事にとびます。
| ファンド | 運用形態 | 信託報酬 |
| Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)(本記事) | インデックス | 0.10725% |
| NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】(本記事) | インデックス [ETF] | 0.308% |
| 上場インデックスファンド日経平均高配当株50【399A】(本記事) | インデックス [ETF] | 0.165% |
| 日経平均高配当利回り株ファンド | アクティブ | 0.693% |
| SBI日本高配当株式(分配)ファンド | アクティブ | 0.099% |
| 三井住友・配当フォーカスオープン | アクティブ | 0.924% |










