国内株式の高配当銘柄に着目した株価指数、日経平均高配当株50指数を日経平均株価との比較を含めて解説します。
また、日経平均高配当株50指数との連動を目指す国内上場ETF NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】についても評価します。
[最終更新日:2022.5.24]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2022.4末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
日経平均高配当株50指数とは?
日経平均株価構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成される、配当利回りウェート方式の株価指数です。
公式サイト(引用元)「日経平均高配当株50指数」算出要領
*日経高配当株50指数、日経平均株価の指数に関する著作権ならびに「日経」および「指数」の表示に対する知的財産権、その他一切の権利はすべて日本経済新聞社に帰属しています。
*日経平均高配当株50指数、及びその他指数に関する情報は日経平均プロフィルより入手した値を元に管理人が加工して記載。
構成銘柄
2022.4末時点の構成上位15銘柄は下表のようになります。
同時に各銘柄の予想配当利回り、さらに、その銘柄の日経平均株価での順位、比率も示します。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧ください]
銘柄 | 比率 | 予想配当 利回り | 日経平均株価 での順位・比率 | ||
順位 | 比率 | ||||
1 | 日本郵船 | 4.87% | 12.68% | 125 | 0.12% |
2 | INPEX | 4.69% | 3.52% | 157 | 0.08% |
3 | 三菱商事 | 4.34% | 3.24% | 49 | 0.57% |
4 | 東京海上HD | 3.70% | 3.49% | 55 | 0.46% |
5 | ソフトバンク | 3.54% | 5.68% | 90 | 0.20% |
6 | 三菱UFJ FG | 3.48% | 3.71% | 141 | 0.10% |
7 | 日本たばこ産業 | 3.38% | 6.75% | 73 | 0.29% |
8 | 三井住友 FG | 3.26% | 5.36% | 183 | 0.05% |
9 | 住友商事 | 3.25% | 5.34% | 78 | 0.27% |
10 | 日本電信電話 | 3.24% | 2.99% | 89 | 0.20% |
11 | 武田薬品工業 | 3.23% | 4.78% | 53 | 0.49% |
12 | 三井物産 | 3.19% | 3.33% | 58 | 0.41% |
13 | MS&AD インシュアランス グループHD | 2.92% | 4.25% | 105 | 0.15% |
14 | りそなHD | 2.86% | 3.72% | 220 | 0.01% |
15 | みずほ FG | 2.78% | 5.07% | 212 | 0.02% |
尚、日経平均高配当株50指数を構成する全銘柄でも、日経平均株価で占める割合は11%程度に留まります。
配当利回り
日経平均高配当株50指数の配当利回りを日経平均株価と比較したのが下図。
日経高配当株50指数は高配当銘柄を抽出した指数だけあって配当利回り概ね4~5%、
日経平均株価と比較すると1.5~3.5%ポイント高くなっています。
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日経平均高配当株50指数のパフォーマンス評価 ~日経平均株価とのトータルリターン比較~
いくら配当利回りが高くても、株価が下落していっては意味がありません。そこで重要になるのが、配当収益(インカムゲイン)に株価・基準価額変動による収益(キャピタルゲイン)を加えたトータルリターン。
以下、日経高配当株50指数のパフォーマンスを日経平均株価と比較する形で評価していきますが、日経平均高配当株50指数、日経平均株価(日経平均トータルリターン・インデックス)とも全て配当込み指数(配当非課税再投資)を使用します。
*日経平均株価はETF NEXT FUNDS 1321の分配金非課税再投資時の基準価額を使用。
即ち日経平均株価には、ETFのコスト 0.25%程度が差し引かれている事に注意して下さい。
基準価額のチャート
2001年12月を10,000とした基準価額(指数)のチャートです。
この期間のチャートを見ると、日経平均高配当株50指数が日経平均株価を大きく上回っています。
一方で、この良好なパフォーマンスは2002~2008年、及び2021年以降の限定された期間に起因しているようにも見えます。
以下、詳細に比較していきます。
過去20年のリターン・リスク
日経平均高配当株50指数と日経平均株価のリターン、リスク、シャープレシオを、過去20年間で評価します。
*シャープレシオは無リスク資産のリターンを0として算出。
日経平均高配当株50指数 | 日経平均株価 | |
年率リターン | 10.12% | 5.84% |
年率リスク | 17.76% | 18.52% |
シャープレシオ | 0.57 | 0.32 |
2022年4月末時点の20年間のパフォーマンスでは、日経平均高配当株50指数がリターンで日経平均株価を大きく上回っています。リスクも若干小さく、シャープレシオでも圧勝です。
この20年を前半/後半、それぞれ10年の二つの期間に分けて評価してみます。
2002年4月~2012年4月の前半10年
日経平均高配当株50指数 | 日経平均株価 | |
年率リターン | 7.64% | -0.67% |
年率リスク | 18.09% | 19.78% |
シャープレシオ | 0.42 | --- |
概ね2000年代の10年では日経平均高配当株50指数の圧勝です。マイナスとなった日経平均に対し、日経平均高配当株50指数は+8%近い高いリターンを出しています。
2012年4月~2022年4月の後半10年
日経平均高配当株50指数 | 日経平均株価 | |
年率リターン | 12.65% | 12.76% |
年率リスク | 17.47% | 17.07% |
シャープレシオ | 0.72 | 0.75 |
一方、2012年以降現時点までのパフォーマンスでは、逆に日経平均株価の方が若干ですが上回っています。
結局、直近約20年間で、日経平均株価を大きくアウトパフォームした日経平均高配当株50指数ですが、これは2000年代の好調なパフォーマンスによるもので、2010年代には日経平均株価に負けています。
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5年間の運用成績(2002年1月~2022年4月)
前述までの評価・比較は、ある特定期間の騰落率に大きく左右される事もあり、指数/インデックスの評価として十分とは言えません。
そこで、2002年1月から5年間、さらに2002年2月から5年間・・・2017年4月から5年間と、起点(投資月)を1カ月ずつずらして、それぞれの5年間のリターン、リスクを計算します。全部で184個(区間)のデータとなります。
この複数の5年間の年率リターンの平均、最大値、最小値をプロットしたのが下図。
平均値、最大値ともに上回る日経平均高配当株50指数ですが、最大値と最小値の差が非常に大きく、これは前述の2000年代、2010年代のパフォーマンスの大きな違いを反映していると思われます。
次に、投資開始月に対する5年間のリターン(年率)をプロットします。
2000年代前半の日経平均高配当株50指数のリターンが圧倒的に高くなっています。
また、近年の成績(~リターン評価期間の最後が2021~2022年)でも日経平均高配当株50指数が勝っています。
ただ、この期間以外は概ね同等、この184区間の5年リターンで日経平均高配当株50指数は91勝93敗。ほぼ日経平均株価と互角といって良いでしょう。
年間騰落率の比較
2002~2022年の各年の年間騰落率を比較します。
*2022年は4月まで。
騰落率が高い方 |
年 | 日経高配当株50 | 日経平均株価 | 差[%pt] (高配当株 - 日経平均) |
2022年 (~4月) | 11.6% | -5.7% | 17.3% |
2021年 | 28.2% | 6.4% | 21.8% |
2020年 | -9.7% | 18.0% | -27.7% |
2019年 | 10.5% | 20.5% | -9.9% |
2018年 | -17.1% | -10.5% | -6.6% |
2017年 | 22.1% | 21.0% | 1.1% |
2016年 | 10.7% | 2.2% | 8.6% |
2015年 | 16.7% | 10.7% | 6.0% |
2014年 | 7.5% | 8.7% | -1.2% |
2013年 | 46.6% | 59.0% | -12.4% |
2012年 | 19.6% | 25.3% | -5.8% |
2011年 | -14.1% | -15.8% | 1.7% |
2010年 | 4.9% | -1.4% | 6.2% |
2009年 | 0.7% | 20.6% | -19.9% |
2008年 | -33.3% | -41.0% | 7.7% |
2007年 | -1.9% | -10.2% | 8.4% |
2006年 | 14.3% | 7.8% | 6.5% |
2005年 | 60.1% | 41.3% | 18.7% |
2004年 | 24.2% | 8.4% | 15.9% |
2003年 | 61.6% | 25.2% | 36.4% |
2002年 | -2.9% | -18.1% | 15.2% |
この20年間で日経平均高配当株50指数が14勝7敗と大きく勝ち越していますが、これは前述のように2000年代の好調なパフォーマンスの寄与が大きく、2009年以降はほぼ互角といったところです。
年間騰落率の差の日経平均株価に対する依存性
この年間騰落率の差を日経平均株価の騰落率に対してプロットしてみます。
日経平均株価が上昇した年は日経平均株価がより有利に、逆に下落した時は日経高配当株50が有利となる傾向があるように見えます。(そう強い相関ではありませんが)
日経平均株価との相関係数
2001年12月から2022年4月までの月次騰落率から計算した相関係数は0.886。
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NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】の評価
日経平均高配当株50指数に投資するには、本指数との連動を目指す東証上場のETF、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】を売買する事になります。
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】の基本情報
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】の基本情報を下表にまとめます。
運用会社 | 野村アセットマネジメント |
設定日 | 2017年2月10日 |
銘柄コード | 1489 |
運用形態 | インデックス型 |
ベンチマーク | 日経平均高配当株50指数 |
信託報酬(税込) | 0.308% |
実質コスト | 0.372%(*) |
純資産総額 | 361.7億円(2022.4.28時点) |
決算日(分配金) | 年4回(1,4,7,10月の8日) |
売買単位 | 1口単位 |
最小売買価格 | 40,250円(2022.5.23終値) |
分配金利回り | 4.32%(2022.5.23時点) |
マーケットメイク制度 | 対象 |
iNAV | 対象 |
売買手数料無料の証券会社 | SBI証券、楽天証券、auカブコム証券 |
(*)実質コストは2021.4~2022.4決算より算出。
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】の信託報酬・実質コスト
信託報酬は0.308%(税込)。
ETFの場合、信託報酬以外にも指数商標使用料(0.055%)、上場費用(0.00825%)等のコストが別途かかり、これら費用の合計(決算の営業費用合計)を実質コストと定義し、
実質コスト 0.372%(税込)。
となります。
TOPIXや日経平均株価連動型のETFに比較すると若干コストは高くなります。
市場価格と基準価額との乖離
ETFには実際に市場で売買する時の価格=市場価格、一般の投資信託同様、純資産総額を口数で割った真の価格=基準価額の二つの価格が存在します。
勿論、この二つの価格は同じである方が望ましいのですが実際には差=乖離が生じます。
この乖離はモーニングスターのサイトで調べる事が出来ます。(終値と基準価額の乖離)
下表は、2021年5月から2022年4月までの各月の市場価格と基準価額の乖離率をまとめたものです。
年月 | 乖離(単純平均) |
2022年4月 | 0.11% |
2022年3月 | 0.05% |
2022年2月 | 0.00% |
2022年1月 | 0.07% |
2021年12月 | 0.10% |
2021年11月 | 0.19% |
2021年10月 | 0.51% |
2021年9月 | 0.27% |
2021年8月 | 0.07% |
2021年7月 | 0.05% |
2021年6月 | 0.10% |
2021年5月 | 0.03% |
データ引用) モーニングスター
この1年の各月の乖離率の絶対値を平均すると0.13%、また2021年9月、10月のように0.2%を超える月もあります。
日経平均株価やTOPIX連動型ETFで優秀なETFであれば0.05%以内に入っていますので、これらに比べると本ETFの乖離は大きくなっています。
基準価額とベンチマークの乖離
次は基準価額とベンチマークとの乖離です。
*前章の市場価格と基準価額の乖離とは異なりますので注意して下さい。
騰落率とコストの関係から基準価額とベンチマークの乖離を評価します。
騰落率とコストの関係は、国内株式の場合、インデックス(指数)騰落率(配当込、配当課税無)から決まる傾き、切片の直線になります。
下図は1年、3年の実質コストと騰落率の関係をプロットしたものですが、図中、茶色の横線は配当込指数値、グレーの点線が傾き-(1+インデックス騰落率)、切片(コストが0の時)がインデックス騰落率(=配当込指数)となる直線です。
1年騰落率では図中グレーの点線上にのっており、これはコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない運用になっている事を意味します。
3年騰落率(年率)では僅かながらマイナス側の乖離が見られますが、0.05%ポイント程度と大きな値ではありません。
平均売買代金、平均売買高
2022年5月23日時点の直近90日の平均売買代金、平均売買高は、
平均売買代金:13,447万円
平均売買高 : 3,380口
データ引用 : 東証マネ部
TOPIXや日経平均株価連動型で人気のあるETFに比べると見劣りしますが、高配当株系のETFでは比較的売れている方です。
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いくらで買える、どこで買える、積立できる?
いくらから投資できる?
売買単位は1口ですが、市場価額が40,250円(2022.5.23終値)ですので、4万円程度の資金が必要となります。
どこで買える ~売買手数料無料の証券会社~
ETFですので、銀行ではなく証券会社で取引する事になります。
通常、ETFは株式同様、売買手数料がかかりますが、
SBI証券、楽天証券、auカブコム証券では本ETFを売買手数料無料としています。
*無料になるのは一部の対象銘柄だけですが、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】はその対象となっています。
公式サイトSBI証券
公式サイト楽天証券
公式サイトauカブコム証券
以上、国内の高配当銘柄に注目した日経平均高配当株50指数の解説、そして本指数との連動を目指して運用するETF、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信【1489】の評価でした。
他の国内株式高配当銘柄に投資するETFについては下記ページをご覧ください。