1本のファンドで国内外の債券、株式、リートに分散投資できるインデックス型のバランスファンド、たわらノーロード バランス(8資産均等型)について解説します。
1本のファンドで複数の資産クラス(例えば、国内株式・債券、先進国株式・債券など)に投資するファンドをバランスファンドと言います。個々の資産クラスのファンドを組合わせるよりコスト的には割高になる場合が多いですが、バランスファンドなら面倒なリバランスも不要で、ほったらかし投資が簡単に実践できます。
[最終更新日:2020.9.11]個別ファンドの組合せ信託報酬を最新の値に更新。
[2020.2.11]初版
本記事は原則2020.1末日時点の情報に基づき記載しています。
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たわらノーロード バランス(8資産均等型)の基本情報
たわらノーロードシリーズは、アセットマネジメントOneが運用するインデックスファンド・シリーズです。親しみのある、分かりやすい、コツコツと蓄えるといったコンセプトから、「豊か、蓄える」というイメージがある、穀物を包み保存する"たわら"とネーミングしたとの事。 (アセットマネジメントOne公式サイトより抜粋・編集して引用)
今回解説するのは、国内・先進国・新興国の債券・株式・リートに均等に投資(新興国リートを除く)するたわらノーロード バランス(8資産均等型)。
先ず、たわらノーロード バランス(8資産均等型)の基本情報をまとめます。
運用会社 | アセットマネジメントOne |
設定日 | 2017年7月28日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 合成ベンチマーク(後述) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.1540% |
実質コスト | 0.249% |
純資産総額 | 70.71億円(2020.2.10時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | --- 円 |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
投資対象
国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式、新興国債券、新興国株式、国内リート、先進国リートの8資産に均等に投資します。
ベンチマーク
各投資対象はインデックス運用を行い、ベンチマークは下表のようになります。
資産クラス | ベンチマーク |
国内債券 | NOMURA BPI総合 |
国内株式 | TOPIX[配当込] |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
先進国株式 | MSCI Kokusai[配当込] |
新興国債券 | JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス |
新興国株式 | MSCIエマージング・マーケット・インデックス[配当込] |
国内REIT | 東証REIT指数(配当込) |
先進国REIT | S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込) |
新興国債券以外は、それぞれの資産クラスで一般的なベンチマークです。
また、各マザーファンドはたわらノーロードの個々のファンドと同じで巨額の純資産を持っています。
新興国債券のベンチマーク ~JP・モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス~
8資産均等型は多くの運用会社から運用・販売されていますが、たわらノーロード バランス(8資産均等型)の特徴は、新興国債券のベンチマークがJP・モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラスである事。(以下、EMBI+と略して表記する場合があります)
*さらに、S&PもしくはMoody'sの外貨建て長期格付けがBB-格もしくはBa3格以上という制限がつきます。
JP・モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラスは米ドル建ての債券から構成されるインデックスです。
*EMBI+は為替ヘッジ有りの新興国債券インデックスファンドとして、eMAXISやSMTに用いられています。
同じ8資産均等型でも、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)やつみたて8資産バランス、iFree 8資産バランス、SMT 8資産インデックスバランス・オープンは、現地通貨建てのJPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド(以下、GBI-EMと略して表記する場合があります)をベンチマークとしています。
*<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産均等型)はたわらノーロードと同様、新興国債券のベンチマークがEMBI+(除くB格以下)です。但し、B格以下の除外がたわらノーロードと全く同じかは定かではありません。
二つのパフォーマンスを比較するために、各インデックスをベンチマークとする新興国債券インデックスファンド、
- DIAM新興国債券インデックスファンド<為替ヘッジなし>(ファンドラップ) 【EMBI+】
- eMAXIS先進国債券インデックス 【GBI-EM】
のリターン・リスクを見てみます。
*DIAM新興国債券の設定が2015/10と未だ新しく、僅か4年の比較である事をご承知おきください。
ファンド | ベンチマーク | リターン (年率) | リターン (年率) | シャープ レシオ |
DIAM 新興国債券 | EMBI+ | 3.69% | 6.54% | 0.56 |
eMAXIS 新興国債券 | GBI-EM | 3.80% | 9.96% | 0.38 |
リターンはGBI-EMの方が若干上回っていますが、特筆すべきはEMBI+のリスクの小ささ。
不安定な新興国通貨より米ドル建ての方がリスクは小さくなるという結果です。(ただ僅か4年のデータである事、また米ドル建でもドル・円の為替リスクはある事に注意)
新興国債券の二つのインデックスの違いの詳細は下記記事をご覧ください。
投資国(通貨)
投資資産の組入上位10通貨は下図のようになります。これが、概ね、投資国比率と思って良いでしょう。
但し、前述のように新興国債券(12.5%)が米ドル建てで、これがアメリカ・ドルに含まれていますので、米国比率は38.4%から12.5%を引いた26%程度と思われます。
*さらに中国株式の一部もアメリカドルに含まれています。
画像引用:たわらノーロードバランス(8資産均等型) 月次レポート(2019/12)
手数料(信託報酬、実質コストなど)
たわらノーロード バランス(8資産均等型)の最大の魅力は、何と言っても信託報酬の低さ。
8資産均等型バランスファンドでは最低水準の0.1540%(税込)。
実質コストは0.249%(税込)。
やや、信託報酬以外のコストが高めになっています。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
バランスファンドとしてのお得度 ~個々のファンドの組合せより低コスト~
バランスファンドは、その投資配分と同じになるよう個別のファンドを組合わせた場合に対しコストが割高になるのが一般的です。
そこで、たわらノーロード バランス(8資産均等型)と、現時点で最も低コストの単体インデックスファンドを組み合わせた場合の信託報酬とを比較します。
資産クラス | 資産配分 | 信託報酬最安値 |
国内債券 | 12.5% | 0.1320% (eMAXIS Slim) |
国内株式 | 12.5% | 0.1540% (eMAXIS Slim) |
先進国債券 | 12.5% | 0.1540% (eMAXIS Slim) |
先進国株式 | 12.5% | 0.1023% (ニッセイ) |
新興国債券 | 12.5% | 0.2420% (iFree) |
新興国株式 | 12.5% | 0.1870% (eMAXIS Slim) |
国内リート | 12.5% | 0.1870% (eMAXIS Slim) |
先進国リート | 12.5% | 0.2200% (eMAXIS Slim) |
組合わせた場合の信託報酬 | 0.172% |
*新興国債券はEMBI+をベンチマークとする一般販売されているファンドがない為、GBI-EMをベンチマークとするファンドで代用。
個々のインデックスファンドを組み合わせて8資産均等型にした場合、その信託報酬は0.172%。
一方、たわらノーロード バランス(8資産均等型)の信託報酬は0.1540%ですので、組み合わせた場合より低いコストとなります。
コスト的には最もお得度の高いバランスファンドになります。
他社 8資産均等型インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
8資産均等型は多くの運用会社から運用、販売されています。そこで他社の8資産均等型と信託報酬・実質コストを比較します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.1540% | 0.220% |
1 | たわらノーロード バランス(8資産均等型) | 0.1540% | 0.249% |
3 | <購入・換金手数料なし>ニッセイインデックスバランスファンド(8資産均等型) | 0.1749% | 0.265% |
4 | iFree 8資産バランス | 0.2420% | 0.331% |
4 | (三菱UFJ)つみたて8資産均等バランス | 0.2420% | 0.310% |
6 | eMAXIS バランス(8資産均等型) | 0.5500% | 0.607% |
6 | SMT 8資産インデックスバランス・オープン | 0.5500% | 0.611% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
*信託財産留保額 eMAXISバランス 0.15%、SMT 8資産インデックスバランス・オープン 0.10%。これ以外のファンドは無。
*たわらノーロード、<購入・換金手数料なし>ニッセイは新興国債券が、iFreeは新興国株式のベンチマークが異なります。
信託報酬はたわらノーロードバランスがeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)と並び同率で最安値。
但し、実質コストでは若干負けています。
信託報酬の変更履歴
たわらノーロード バランス(8資産均等型)は過去に1回、信託報酬を引下げた実績があります。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/7/28 | 0.2376% | 新規設定。 設定時はeMAXIS Slimとならび最安値 |
2019/10/1 | 0.154% | eMAXIS Slimに対抗。(消費税増税込み) |
設定時はeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)と並び同率最安値。
その後、eMAXIS Slimが複数回の引下げを実施した為、徐々に差が広がっていましたが、2019年10月に大幅な引き下げを実施し、再度同率最安値となりました。
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たわらノーロード バランス(8資産均等型)の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からたわらノーロード バランス(8資産均等型)の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
設定当初は殆ど売れていませんでしたが、徐々に資金流入が増えて、2019年には毎月2~5億程の資金流入がありました。
純資産総額も徐々に増え、現時点(2020.2.10)で71億。
さすがに8資産均等型で最も売れているeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)には大きく水をあけられていますが、バランスファンドとしては先ずますの資金流入でしょう。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
ただし、複数の資産に投資するバランスファンドの場合、その評価は簡単ではありません。
さらに、たわらノーロードの場合、他の8資産均等型と新興国債券のベンチマークが異なる為、単純に他社ファンドと比較する事も出来ません。
*<購入・換金手数料なし>ニッセイとは類似していますが全く同じという確証は無。
そこで、eMAXISの個別のインデックスファンド、及び新興国債券部分だけDIAM新興国債券を利用して8資産均等にした合成データと比較します。
*図中 eMAXIS合成(債券DIAM)としてプロット。
下図は、2020年1月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そして点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
*多くのファンドがコスト起因以外でのベンチマークとの乖離はないだろうという前提で評価。
先ず、たわらノーロードは<購入・換金手数料なし>ニッセイとともに、他の8資産均等型より騰落率が高くなっていますが、これは新興国債券のベンチマークが異なる為です。
*iFreeの騰落率が低いのは新興国株式のベンチマークが異なる為です。
ただ、わずか1年間の結果だけでベンチマークの優劣をつけられるものではありませんので、今後、どちらの騰落率が高くなるかは分かりません。
さて、今回検証するたわらノーロード バランス(8資産均等型)、個別インデックスファンドの組合せ「eMAXIS合成(債券DIAM)」と同一直線上にのっています。
これから、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離は殆ど無いと推測されます。
*2点だけですが、傾きがインデックス騰落率で決まる直線で、単に2点を結んだだけの線ではありません。
まとめ
たわらノーロード バランス(8資産均等型)は8資産に均等に投資するバランスファンドの中でeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)と並び信託報酬最安値。
人気・資金流入はeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)には大きく負けるものの、そこそこ人気があるファンドです。
また、他の多くの8資産均等型とは新興国債券が米ドル建てという点で違いがあり、
新興国債券での新興国通貨のリスクよりも、米ドル建てを好まれる方には有力な選択肢の一つとなるファンドです。
販売会社
たわらノーロード バランス(8資産均等型)は多くの証券会社、銀行、信用金庫等で購入出来ます。
ただ、下記のネット証券であれば、たわらノーロード バランス(8資産均等型)だけでなく、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)も取り扱っています。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト楽天証券、楽天カード
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでも購入可能、但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
iDeCoで取扱っているのは
イオン銀行のiDeCo
のみです。
他の8資産均等型との比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
主なバランスファンドの一覧は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。