1本のファンドで国内外の債券、株式、リートに分散投資できるインデックス型のバランスファンド、つみたて8資産均等バランスについて解説します。
1本のファンドで複数の資産クラス(例えば、国内株式・債券、先進国株式・債券など)に投資するファンドをバランスファンドと言います。個々の資産クラスのファンドを組合わせるよりコスト的には割高になる場合が多いですが、バランスファンドなら面倒なリバランスも不要で、ほったらかし投資が簡単に実践できます。
[最終更新日:2020.9.11]実質コストを最新の値に更新(2020.6決算)。
純資産総額、個別ファンドの組合せ信託報酬を最新の値に更新。
[2020.2.11]初版
本記事は原則2020.1末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
つみたて8資産均等バランスの基本情報
つみたて8資産均等バランスは三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンド「つみたてんとうシリーズ」の一つです。eMAXISやeMAXIS Slimシリーズとは基本的に同じマザーファンドで運用する姉妹ファンド。eMAXIS Slimが原則ネット証券・銀行専用商品なのに対し、つみたてんとうシリーズは、「つみたてNISA」を主なターゲットとし、最寄りの金融機関で相談できるファンドとして2017年8月に設定されました。現在7本のファンドから構成されています。コスト(信託報酬)はeMAXISよりは低く、eMAXIS Slimよりは高くなっています。
参考記事三菱UFJ国際投信 インデックスファンド「つみたてんとうシリーズ」運用開始。
今回解説するのは、国内・先進国・新興国の債券・株式・リートに均等に投資(新興国リートを除く)するつみたて8資産均等バランス。
先ず、つみたて8資産均等バランスの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
設定日 | 2017年8月16日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 合成ベンチマーク(後述) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.2420% |
実質コスト | 0.310% |
純資産総額 | 266.17億円(2020.9.10時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | --- 円 |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
投資対象
国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式、新興国債券、新興国株式、国内リート、先進国リートの8資産に均等に投資します。
ベンチマーク
各投資対象はインデックス運用を行い、ベンチマークは下表のようになります。
資産クラス | ベンチマーク |
国内債券 | NOMURA BPI総合 |
国内株式 | TOPIX[配当込] |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
先進国株式 | MSCI Kokusai[配当込] |
新興国債券 | JPモルガンGMI-EMグローバル・ダイバーシファイド |
新興国株式 | MSCIエマージング・マーケット・インデックス[配当込] |
国内REIT | 東証REIT指数(配当込) |
先進国REIT | S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込) |
いずれも、それぞれの資産クラスで一般的なベンチマークです。
また、各マザーファンドはつみたてんとうシリーズ、eMAXIS Slim、eMAXISシリーズの個々のファンドと同じで巨額の純資産を持っています。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
投資国(通貨)
投資資産の組入上位5通貨は下図のようになります。これが、概ね、投資国比率と思って良いでしょう。
*中国の一部が米ドルに含まれています。
画像引用:つみたて8資産均等バランス 月報(2019/12)
手数料(信託報酬、実質コストなど)
つみたて8資産均等バランスの信託報酬は0.2420%(税込)。
実質コストは0.310%(税込)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
十分低い信託報酬ですが、後述するように最安値ではありません。
バランスファンドとしてのお得度
バランスファンドは、その投資配分と同じになるよう個別のファンドを組合わせた場合に対しコストが割高になるのが一般的です。
そこで、つみたて8資産均等バランスと、現時点で最も低コストの単体インデックスファンドを組み合わせた場合の信託報酬とを比較します。
資産クラス | 資産配分 | 信託報酬最安値 |
国内債券 | 12.5% | 0.1320% (eMAXIS Slim) |
国内株式 | 12.5% | 0.1540% (eMAXIS Slim) |
先進国債券 | 12.5% | 0.1540% (eMAXIS Slim) |
先進国株式 | 12.5% | 0.10230% (ニッセイ) |
新興国債券 | 12.5% | 0.2420% (iFree) |
新興国株式 | 12.5% | 0.1870% (eMAXIS Slim) |
国内リート | 12.5% | 0.1870% (eMAXIS Slim) |
先進国リート | 12.5% | 0.2200% (eMAXIS Slim) |
組合わせた場合の信託報酬 | 0.172% |
個々のインデックスファンドを組み合わせて8資産均等型にした場合、その信託報酬は0.172%。
一方、つみたて8資産均等バランスの信託報酬は0.2420%ですので、組み合わせた場合より0.07%高くなります。
他社 8資産均等型インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
8資産均等型は多くの運用会社から運用、販売されています。そこで他社の8資産均等型と信託報酬・実質コストを比較します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.1540% | 0.220% |
1 | たわらノーロード バランス(8資産均等型) | 0.1540% | 0.249% |
3 | <購入・換金手数料なし>ニッセイインデックスバランスファンド(8資産均等型) | 0.1749% | 0.265% |
4 | iFree 8資産バランス | 0.2420% | 0.331% |
4 | (三菱UFJ)つみたて8資産均等バランス | 0.2420% | 0.310% |
6 | eMAXIS バランス(8資産均等型) | 0.5500% | 0.607% |
6 | SMT 8資産インデックスバランス・オープン | 0.5500% | 0.611% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
*信託財産留保額 eMAXISバランス 0.15%、SMT 8資産インデックスバランス・オープン 0.10%。これ以外のファンドは無。
*たわらノーロード、<購入・換金手数料なし>ニッセイは新興国債券が、iFreeは新興国株式のベンチマークが異なります。
つみたて8資産均等バランスの信託報酬は最安値のeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)やたわらノーロードバランスと比較すると0.088%高くなっています。
信託報酬の変更履歴
つみたて8資産均等バランスは未だ信託報酬引下げの実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/8/16 | 0.2376% | 新規設定 |
2019/10/1 | 0.2420% | 消費税増税(8%-->10%) |
設定当初は姉妹ファンドのeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)と同じ信託報酬でしたが、その後、eMAXIS Slimが複数回の信託報酬引下げを行っている為、現在では前述のように差が広がっています。
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つみたて8資産均等バランスの運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からつみたて8資産均等バランスの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
つみたてNISAが始まった2018年より徐々に資金流入を伸ばし、今では毎月10億近く購入されています。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)には及びませんが、十分売れている、人気のファンドです。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
ただし、複数の資産に投資するバランスファンドの場合、その評価は簡単ではありません。
幸い、8資産均等型には、複数の運用会社から同じタイプのファンドが販売されていますので、これらのファンドとの比較、さらに、個別のインデックスファンドの基準価額から8資産均等型になるよう合成データを作成し、これと比較する事でベンチマークとの乖離を評価します。
下図は、2020年1月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
*多くのファンドがコスト起因以外でのベンチマークとの乖離はないだろうという前提で評価。
先ず、たわらノーロード、<購入・換金手数料なし>ニッセイ、そしてiFreeの騰落率が高くなっていますが、これは新興国債券・株式のベンチマークが異なる為です。
(尚、わずか1年間の結果だけでベンチマークの優劣をつけられるものでもありません。)
この3本を除いて比較すると、つみたて8資産均等バランスは、より信託報酬の低いeMAXIS Slimには負けるものの、eMAXIS(Slimがつかない)などよりは高い騰落率を示しています。
また、図中、[eMAXIS合成]、[SMT合成]というプロットは、eMAXIS、SMTシリーズの個々のインデックスファンドを組み合わせた合成データですが、これらを含めて同一線上に乗っている事から、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離は殆ど無いと推測されます。
まとめ
つみたて8資産均等バランスは、
- そこそこ低い信託報酬
- 資金流入も順調
- 運用(ベンチマークとの乖離)も問題ない
- 大きなマザーファンド純資産総額
と、8資産に均等に投資するバランスファンドとして優れたファンドの一つです。
ただ、より信託報酬の低い姉妹ファンドのeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)とは基本的に同じものです。
異なるのは信託報酬と販売会社。
つみたて8資産均等バランスは、多くの銀行、労働金庫などで購入できますが、信託報酬の低いeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はネット証券を中心とした一部の金融機関に限られます。
ネット証券に抵抗がないならば、つみたて8資産均等バランスより低コストのeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)を強くお勧めします。
販売会社
つみたて8資産均等バランスは多くの地方銀行、証券会社、労働金庫などで購入出来ます。
また、下記のネット証券であれば、つみたて8資産均等バランスだけでなく、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)も取り扱っています。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト楽天証券、楽天カード
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでも購入可能、但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。(上記金融機関でもつみたてNISAを取扱っていない場合があります)
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の詳細は下記記事を参照して下さい。
他の8資産均等型との比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
主なバランスファンドの一覧は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。