1本のファンドで日本を含む全世界の株式に投資するインデックスファンド、はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) について解説します。
[最終更新日:2023.9.4]最新の情報に更新。
本記事は原則2023.8末日時点の情報に基づき記載しています。
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はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) の基本情報
本記事で解説するのは1本のファンドで日本を含む全世界の株式に投資するはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)。
愛称はFunds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー)。
2023年7月10日設定と未だ運用を開始したばかりの新しいファンドです。
先ず、はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)の基本情報をまとめます。
運用会社 | 野村アセットマネジメント |
設定日 | 2023年7月10日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI All Country World Index(配当込み) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.05775% |
実質コスト | 決算前 |
純資産総額 | 5.6億円(2023.8.31時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | [先進国株式]14,906億円(2023.3.31時点) [新興国株式]899億円(2023.5.10時点) [日本株式] ?億円(xxx時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.0175% |
楽天証券ポイント還元年率 | 取扱い無 |
マネックス証券ポイント還元年率 | 対象外 |
投資対象
ベンチマークはMSCI All Country World Index [ACWI][配当込み]で日本を含む先進国、新興国の株式に投資します。
MSCI ACWIは全世界47カ国・地域(先進国23カ国+新興国24カ国)の大型株、中型株、約2,900の銘柄から構成される時価総額加重平均型の指数です。これだけで全世界株式の時価総額の約85%をカバーします。
尚、配当込み指数には配当に対する源泉徴収税を考慮したネットと、税引前のグロスの2種類ありますが、どちらを採用しているかは未だ分かりません。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
マザーファンド
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)は、ファミリーファンド方式で下記マザーファンドに投資します。
画像引用:はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)交付目論見書
外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド、新興国株式マザーファンドは同社のFunds-iシリーズなどでも使われている長い運用実績のある既存のマザーファンドで、外国株式が14,906億円(2023.3.31時点)、新興国株式が899億円(2023.5.10時点)と十分な純資産を保有しています。
一方、MSCIジャパンマザーファンドは、本ファンドと同時に新規設定されたものです。新規マザーファンドという事で、運用当初はベンチマークとの乖離、コストの増大などが懸念されますが、本ファンド全体で見た時、日本株式は5%程度ですので、そう大きな影響はないと推測します。
投資国比率
(ベンチマークの)投資国比率は下図のようになります(2023.3末時点)。
トップはアメリカで61%、全体の半分以上を占めます。そして日本 5%、イギリス 4%と続きます。
詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)の最大の魅力は何と言っても圧倒的な信託報酬の低さ。
全世界株式インデックスファンドだけでなく、ファンド全体としても最低水準の0.05775%(税込)です。
まだ設定されたばかりですので実質コストはわかりません。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
信託報酬に含まれる費用の範囲はeMAXIS Slim全世界株式(オルカン)等と同じか?
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)と同じくMSCI ACWIに連動するインデックスファンドで、かつ同一信託報酬のTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)が2023.4末に設定されましたが、Tracersの場合、信託報酬に指数の標章使用料等が含まれていない事が話題になりました。
*Tracersは、後に諸費用の上限を0.1%から0.03%に引き下げる事を発表し、(指数使用料等を含めた)信託報酬は最大で0.08775%になると思われます。
しかし、はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)の場合、交付目論見書、請求目論見書を見る限り、特に指数標章使用料等の記載はなく、従来のファンドと同様、信託報酬に含まれていると推測します。
他社 全世界株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
MSCI ACWIをベンチマークとする他社のインデックスファンド、及びベンチマークは異なりますが(日本を含む)全世界の株式に時価総額比率で投資するインデックスファンドと比較してみます。
さらに、eMAXIS Slimシリーズの個別のファンド(TOPIX、先進国株式、新興国株式)を6%:83%:11%の比率で組み合わせた場合も参考までに記載します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
*ファンド名下の[]内はベンチマーク。[FTSE]はFTSE Global All Cap Index、[MSCI]はMSCI All Country World Indexの略。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) [MSCI] | 0.05775% | 0.111% |
1 | はじめてのNISA・全世界株式インデックス [MSCI] | 0.05775% | --- |
1' | Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式) [MSCI] | 0.05775% (上限0.08775%) | |
4 | PayPay投資信託インデックス世界株式 [FTSE] | 0.0983% | --- |
個別ファンドの組合せ | 0.1074% | ||
5 | SBI・全世界株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.1102% | 0.123% |
6 | たわらノーロード 全世界株式 [MSCI] | 0.1133% | 0.232% |
7 | Smart-i Select 全世界株式 [MSCI] | 0.1144% | 0.219% |
8 | SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.1338% | 0.163% |
9 | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.195% | 0.220% |
10 | つみたて全世界株式 [MSCI] | 0.2200% | 0.276% |
11 | ステート・ストリート 全世界株式インデックス [MSCI] | 0.5280% | 0.595% |
勿論、はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)は、ベンチマークが異なるファンドを含めても圧倒的な低さで最安値。
ただ、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)も対抗する引下げを2023.9.8から実施する事を発表した為、引下げ後は、この2本+Tracersの3本が同率となります。
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はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) の運用状況
運用状況といっても、設定から僅か1カ月強ですので、あくまで参考データとして見て下さい。
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
日次資金流出入額からはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)の売れ行き・人気を見てみます。
(*)資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は毎日10億以上の資金流入があり(上図にもプロットしていません)、これには当然敵いませんが、直近ではTracersを上回る流入額になっています。
当初販売を開始したのが野村證券(つみたてNISA専用)のみでしたが、SBI証券、auカブコム証券、マネックス証券と取扱い会社が増えてきたこともあり、今後増えていく可能性も十分あるでしょう。
一方で、eMAXIS Slim(オルカン)が対抗する引下げを発表しただけに、これが本ファンドの資金流入へどの程度の影響を与えるかが懸念されます。
運用状況は? トレカン/オルカンに勝てるか?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は2023年8月末日時点の1カ月騰落率をベンチマークが同じ複数のファンドでプロットしたものです。
*といってもはじめてのNISA、Tracersだけは未だ実質コストが分かりませんので、はじめてのNISAは信託報酬、Tracersは信託報酬+諸費用上限(0.03%)でプロットしてあります。
そして、配当課税を適切に考慮した真のベンチマークから決まるコストと騰落率の関係が図中グレーの点線です(多くのファンドがコスト要因以外での乖離がないであろうとの仮定の下、管理人の主観で決めた値)。
このグレーの点線上にあればコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がないと推測できます。
あるいは、実質コストを推測する事も出来ます。
1カ月と短期の比較という事もあって正確な判断は出来ませんが、それでも、はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)は、Tracersには負けるものの多くのファンドより高い騰落率を示しており、設定されたばかりですが、先ずは運用に大きな問題はないと言って良いでしょう。
*Smart-iの騰落率が高くなっていますが、恐らくプラス解離かと。
*もう少し長期間のデータが出たところで実質コストを推定します。
日次騰落率のeMAXIS Slimとの比較
日次騰落率をeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と比較します。
下図は日々の騰落率のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の差をプロットしたものです。
*同時にたわらノーロード全世界株式、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)もプロットしてあります。
*縦軸は%ポイント
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)の日次騰落率はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と比較して概ね0.01%ポイント以内。
設定当初は大きく乖離するファンドが多いのですが、本ファンドは設定から1カ月強で大きな乖離が見られた日は殆どありません(+-0.01%を超えた日が5日、最大でも0.022%)。
以上、運用結果の評価ですが、僅か1カ月、ファンドの優劣をつけるのは早計です。繰り返しになりますが、あくまで参考として見て下さい。
今後も継続して評価、本記事をアップデートしていきます。
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) の分配金
当然、はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)は未だ分配金を出した実績はありません。
今後も出さないと予測しますが・・・
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)は、MSCI ACWIをベンチマークとし驚異的に低い信託報酬で設定されたばかりの新しいファンドです。
しかも、信託報酬に含まれる費用の範囲もeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)等と同じと思われます。
設定当初はベンチマークと大きく乖離する事が多いのですが、本ファンドは設定後1カ月強の騰落率では特に問題はみられず、順調な出だしと言って良いでしょう。
今後、信託報酬以外のコストがどの程度になるか、実質コストでeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)に勝る事ができるかに注目。
いずれにせよ2024年から始まる新NISAの投資先として、有力な選択肢の一つとなるファンドになると期待しています。
販売会社
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)は現時点で野村證券の他、SBI証券、auカブコム証券、マネックス証券だけの取扱いです。
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勿論、つみたてNISA対象のファンドです。
ライバルとなるファンド
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) (本記事)
Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)
他の全世界株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。