米国の株式に投資し、S&P500配当貴族指数との連動を目指すインデックスファンド、SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン、野村インデックスファンド・米国株式配当貴族、米国株式配当貴族(年4回決算型)の3本について解説します。
[最終更新日:2020.5.14]全て最新情報に更新。
本記事は原則2020年4月末日の情報に基づき記載しています。
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見出し
S&P500 配当貴族指数とは?
S&P500配当貴族指数とは、S&P Dow Jones Indices LLCが公表する指数で、S&P500指数構成銘柄のうち、25年以上連続して増配している銘柄を対象とし、均等加重時価総額に基づいて算出。
年次見直し時における構成銘柄数は最低40銘柄で、25年以上増配銘柄が40に満たない場合は、20年以上連続増配している銘柄を配当利回りの高いものから順に40銘柄になるまで追加。
(SMT米国株配当貴族インデックス・オープン交付目論見書より一部抜粋・編集して引用)
詳細は下記記事をご覧ください。
SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン、野村インデックスファンド・米国株式配当貴族【Funds-i】、米国株式配当貴族(年4回決算型)の基本情報
S&P500 配当貴族指数に連動するインデックスファンドの基本情報
S&P500 配当貴族指数との連動を目指すインデックスファンドとして代表的なファンドは今回解説する、
- SMT米国株配当貴族インデックス・オープン
*以下、SMTと略して表記する場合があります。 - 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 【愛称:Funds-i フォーカス米国株式配当貴族】
*以下、Funds-iと略して表記する場合があります。 - 米国株式配当貴族(年4回決算型)
*以下、野村米国と略して表記する場合があります。
の3本。
*Funds-iには為替ヘッジ型もありますが、ここで紹介する3本は全て為替ヘッジ無です。
先ず、各ファンドの基本情報をまとめます。
SMT米国株配当貴族 インデックス・オープン | 野村インデックスファンド ・米国株式配当貴族 Funds-i | 米国株式配当貴族 (年4回決算型) | |
運用会社 | 三井住友トラストAM | 野村アセットマネジメント | |
設定日 | 2016年8月30日 | 2017年1月10日 | 2018年11月14日 |
信託期間 | 無期限 | 無期限 | 2028年10月23日 |
運用形態 | インデックスファンド | ||
投資形態 | ファミリーファンド | ||
ベンチマーク | S&P500配当貴族指数 (配当込み・ネット) | S&P500配当貴族指数 (配当込み・グロス) | |
購入時手数料 | 上限3.3% (主要ネット証券は無料) | 上限2.2% (主要ネット証券は無料) | |
信託財産留保額 | 無 | 0.1% | 0.1% |
信託報酬(税込) | 0.605% | 0.550% | 0.550% |
実質コスト | 0.712% | 0.663% | 0.615% |
純資産総額 | 10.69億円 (2020.5.13時点) | 80.2億円 (2020.5.13時点) | 136.4億円 (2020.5.13時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 29.67億円 (2019.5.10時点) | 132.3億円 (2019.4.22時点) | |
分配金実績 | 無 | 無 | 年4回 |
つみたてNISA | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.10% (対象投資信託1,000万円以上保有で0.20%) | ||
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
投資対象
ベンチマークはS&P500配当貴族指数で米国の株式に投資します。
各ファンドとも配当込み指数ですが、SMTが配当課税後のネットなのに対し、野村アセットマネジメントの2本は配当課税を考慮しないグロスです。
尚、ネットでもベンチマークと実際のファンドに適用される外国源泉税率は異なります。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
投資銘柄
指数の構成銘柄数は66(2020.4末時点)、均等加重型指数ですので、各銘柄1.5%前後になります。
SMT 米国株配当貴族インデックス・オープンの組入上位10銘柄は下表。(均等加重なので順位はあまり関係有りませんが)
*1位のPROSHARESは指数との連動を目指すETFです。
画像引用:SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン 月次レポート(2020/3)
上位10銘柄(ETFを除く実質9銘柄)は25年以上連続増配した企業が占めています。
ただ、あくまで連続増配に注目している指数であって、配当利回りが高いとは限りません。上表の中でも1%台と平凡な利回りの銘柄も多くあります(詳細は後述)。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
S&P500配当貴族指数との連動を目指すインデックスファンドでは、
- 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 【愛称:Funds-i フォーカス米国株式配当貴族】
- 米国株式配当貴族(年4回決算型)
が信託報酬 0.55%(税込)で並び、
- SMT米国株配当貴族インデックス・オープン
は0.605%(税込)と若干高くなっています。
実質コストは米国株式配当貴族(年4回決算型)が0.615%と最も低くなっています。
*本ファンドは未だ1年分の決算結果がなく、約11か月分から1年に換算した概算値です。
購入時手数料は最大2.2~3.3%ですが、主要ネット証券では無料で購入できます。
信託財産留保額はSMTは無し、野村の2本は0.1%かかります。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
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S&P500 配当貴族指数(S&P500 DIVIDEND ARISTOCRATS) のパフォーマンス(S&P500との比較)
指数のパフォーマンスをS&P500と比較します。
下表は2020年4月末日時点の年率トータルリターン・リスク(米ドルベース)です。
*シャープレシオは無リスク資産のリターン0で計算
S&P500配当貴族指数 | S&P500 | |
年率リターン | 11.87% | 11.69% |
年率リスク | 12.83% | 13.82% |
シャープレシオ | 0.93 | 0.85 |
S&P500配当貴族指数 | S&P500 | |
年率リターン | 7.76% | 9.12% |
年率リスク | 14.05% | 14.70% |
シャープレシオ | 0.55 | 0.62 |
データ引用元:S&P Dow Jones Indices各指数のFact Sheetより
トータルリターンで見ると、10年ではS&P500配当貴族指数がS&P500に若干勝っているものの、5年では逆転しており、一概にどちらのパフォーマンスが良いと言えるものではありません。
ただ、リスクは10年、5年ともS&P500配当貴族指数の方が小さくなっています。
配当・分配金利回り
配当に注目した指数ですので、その配当利回りを他の指数と比較します。
尚、配当利回りは、各指数との連動を目指す米国ETFの分配金利回りで比較します。
米国株式インデックス | ETF (Ticker) | 分配金 利回り |
S&P500配当貴族指数 | NOBL | 2.41% |
S&P500 | VOO | 1.98% |
S&P500 High Dividend Index | SPYD | 6.47% |
FTSE High Dividend Yield Index | VYM | 3.52% |
Morningstar Dividend Yield Focus Index | HDV | 4.03% |
S&P500配当貴族指数の分配金利回りは、S&P500より若干高いものの、他の高配当指数・ETFよりは低くなっています。
繰り返しになりますが、S&P500配当貴族指数は、配当利回りではなく連続増配に注目した指数であって、必ずしも配当利回りが高いとは限りませんので注意してください。
SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン、野村インデックスファンド・米国株式配当貴族【Funds-i】、米国株式配当貴族の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からS&P500配当貴族指数との連動を目指すインデックスファンド 3本の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
最も売れているのは米国株式配当貴族(年4回決算型)。
特に株価が急落した2020年2月、3月に15~25億/月と非常に多くの資金流入がありました。
2位、3位は微妙で、
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 【Funds-i】は、多くの資金流入の月がある一方、資金流出の月もあります。
SMT米国株配当貴族インデックス・オープンは、毎月少額の資金流出入に留まっています。
純資産総額は、2020年4月末時点で、
- 米国株式配当貴族(年4回決算型) 142.4億
- Funds-i 83.2億
- SMT 11.1億
と設定が最も新しい米国株式配当貴族(年4回決算型)がトップとなっています。
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は2020年4月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
本来なら、コストに対する騰落率はインデックス騰落率から決まる傾き、切片の直線上になければなりませんが、上図ではあまり綺麗な相関を示していません。
野村米国株式とFunds-iは同じマザーファンドで運用する姉妹ファンドですので、事実上SMTと野村AMの2本のみのデータ、どちらかがコスト要因以外でのベンチマークとの乖離を起こしていると推測されます。(どちらかまでは分かりませんが。)
ただ、一応、コストで勝る野村の2本が騰落率でも高くなっています。
まとめ
S&P500配当貴族指数との連動を目指すインデックスファンド3本を比較しました。
先ず、S&P500配当貴族指数は、米国株式の代表的指数S&P500に比べて、トータルリターンで必ずしも優れている訳ではありません。
また、あくまで連続増配銘柄に注目した指数であり、配当利回りが高いという事でもありません。
その上でS&P500配当貴族指数連動型インデックスファンドに投資する場合、
最も人気があるのは米国株式配当貴族(年4回決算型)。
但し、本ファンドは名前の通り基本的に年4回分配金を出します。
資産形成期、特に長期に保有する場合、分配金は不利になる事を承知の上なら良いのですが・・・
また、米国株式配当貴族(年4回決算型)は信託期間が2028年までとなっている点にも注意が必要です。
本サイトでは基本的に分配金を出さないファンドを推奨しており、そうすると、
- 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 【愛称:Funds-i フォーカス米国株式配当貴族】
- SMT米国株配当貴族インデックス・オープン
の選択。(勿論、この2本も将来分配金を出さないという保証はありませんが)
信託報酬の低さ、純資産総額の大きさで選べばFunds-iとなります。
*Funds-iは信託財産留保額がかかります。
販売会社
ここで取り上げた3本のファンドを全て取り扱っているのは下記2社のネット証券です。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
公式サイト楽天証券、楽天カード
尚、本指数に連動するインデックスファンドはつみたてNISAの対象外です。非課税口座で投資したい方は一般NISAを選択して下さい。
米国株式に投資するインデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。