日本を除く先進国、新興国、両方の株式に投資するインデックスファンド、三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドについて解説します。
[最終更新日:2020.12.19]初版。
本記事は原則2020.11末日時点の情報に基づき記載しています。
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三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドの基本情報
三井住友・DCシリーズは三井住友DSアセットマネジメントが運用する投資信託です。当初、その名の通り確定拠出年金専用ファンドでしたが、一部のファンドが一般販売されるようになりました。また、「つみたてNISA」開始にともない一部ファンドの名称が「DCつみたてNISA」に変更されました。
今回解説するのは1本のファンドで先進国・新興国両方の株式に投資する三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド。(旧名称:三井住友・DC全海外株式インデックスファンド)
先ず、三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三井住友DSアセットマネジメント |
設定日 | 2011年4月18日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI All Country World Index(除く日本)(配当込み・グロス) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.275% |
実質コスト | 0.404%(*) |
純資産総額 | 386.9億円(2020.11.30時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | [先進国株式]2,324億円(2019.12.2時点) [新興国株式]83.8億円(2019.12.2時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
(*)実質コストは2019.12.2決算より
投資対象
ベンチマークはMSCI All Country World Index [ACWI](除く日本)[配当込み・グロス]で、日本を除く先進国、新興国の株式に投資します。
グロスとは配当金に対する源泉徴収税を考慮しない指数です。
実際の運用では、ファンドが所有する株式から配当が出て、それに各投資国で源泉徴収された後の配当金がファンドの資産となりますので、通常はベンチマーク(配当込・グロス)よりファンドの騰落率が、配当の源泉徴収税(+コスト)分だけ低くなります。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
投資国
投資する国、比率は下図のようになります。(2020.8時点)
先進国株式、新興国株式の比率は時価総額比で決まり、現時点で先進国87%、新興国13%程度です。
米国が1位で63%、以下、中国、イギリスと続きます。
(注)2020.11時点では先進国86%、新興国13.6%となっています。
詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
投資銘柄
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド1本で先進国株式 1,286、新興国株式 840、合計2,126もの銘柄に投資しています。
先進国株式、新興国株式の組入上位10銘柄は下表のようになります。
先進国株式部分
全て米国企業が占めています。
新興国株式
画像引用:三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド マンスリーレポート(2020/11)
新興国株式は4銘柄を中国(ケイマン諸島籍)が占めています。
*アメリカが2銘柄入っていますが、ロシア、サウジアラビア株式に投資する米国籍ETFです。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドの信託報酬は0.2750%(税込)。
実質コストは2019.12決算で0.404%、若干、信託報酬以外のコストが高くなっています。新興国株式部分のコストが高くなっていると思われます。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して消費税8%から10%に換算した概算値です。
他社 全世界株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
MSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとする他社のインデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
さらに、eMAXIS Slimシリーズの個別のファンド(先進国株式、新興国株式)を87%:13%の比率で組み合わせた場合も参考までに記載します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
個別ファンドの組合せ | 0.1133% | ||
1 | eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) [MSCI ACWI 除く日本] | 0.1144% | 0.209% |
2 | 野村つみたて外国株投信 [MSCI ACWI 除く日本] | 0.2090% | 0.248% |
3 | 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株 [MSCI ACWI 除く日本] | 0.2750% | 0.404% |
4 | eMAXIS全世界株式インデックス [MSCI ACWI 除く日本] | 0.6600% | 0.742% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して消費税8%から10%に換算した概算値です。
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドの信託報酬は、MSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとする全世界株式インデックスファンドの中では3位、最安値のeMAXIS Slim全世界株式(除く日本)との差は0.16%。
信託報酬の変更履歴
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドは、少なくとも一般販売されてから信託報酬を引下げた実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2011/4/18 | ???% | 新規設定 *新規設定から一般販売開始までの信託報酬を管理人は把握していません。 |
2015/9/18 | 0.2700% | 一般販売開始 |
2019/10/1 | 0.2750% | 消費税増税(8%-->10%) |
??? | ???% | ??? |
DC専用ファンドだったものが一般販売されるようになった2015年9月には超・低コストで日本を除く全世界株式に投資できるファンドとして多くの注目を集めました。しかし、その後、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)が登場、さらにeMAXIS Slimが複数回の信託報酬引下げを行った為、現時点では両者の差が広がっています。
eMAXIS Slimにも対抗できるよう引き下げを期待したいところですが・・・
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドの運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額から三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
2020年は毎月10億前後と多くの資金を集め、また相場によらず比較的資金流入額が安定しています。
ただ、資金流入が月の特定の日(12~16日)に集中しており、一般販売されたとはいえ、未だ確定拠出年金での購入が多くを占めているようです。資金流入が安定しているのもそのせいでしょう。
純資産総額は387億円(2020.11末時点)、同じベンチマークのファンドの中でトップです。(eMAXIS Slimに間もなく抜かれそうですが)
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は、2020年11月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
*ベンチマークは同じMSCI ACWI(除く日本)でも配当込・除くなどファンドにより異なりますが、「配当込で配当課税を適切に考慮したインデックス」をここでは真のベンチマークと定義し、そして真のベンチマークで決まる傾き、切片の直線を図中グレーの点線で示しています。(多くのファンドがコスト要因以外での乖離はないであろうとの前提で管理人の主観で引いた直線)
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドは(コスト要因以外での)ベンチマークに対する乖離がない安定した運用になっていることがわかります。
以前(~2019年)はマイナス側に乖離する事が多かったのですが、最近はこの問題も解消されてきているようです。
*2017年頃までは新興国株式をほぼ100%先物で運用していましたが、その後、徐々に先物比率を下げ、2020.11時点では30%になっています。これが運用が安定してきた理由と推測します。
ただ、コストで勝るeMAXIS Slim全世界株式(除く日本)等とは騰落率でも負けています。
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドの分配金
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、本ファンドは「複利効果による信託財産の成長を優先するため、分配を極力抑制します」という方針です。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドはMSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとし、日本を除く全世界の株式に1本で投資できる便利なファンドです。
そして、純資産総額も大きく、確定拠出年金を中心に比較的売れているファンドです。また、以前は懸念されていたベンチマークとの乖離も解消されてきています。
ただ、最近のインデックスファンドの低コスト化の流れの中で、信託報酬の引下げを行っておらず、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)等に比べると割高感が否めません。是非、引下げを期待したいところです。
販売会社
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドは下記の金融機関で購入出来ます。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト楽天証券、楽天カード
SMBC日興証券(ダイレクトコース)
大手店頭証券で唯一eMAXIS Slimシリーズを取扱い(ダイレクトコースのみ)。
国内株式を定額(100円~)、買付手数料無料(100万円以下)で買付・積立出来、さらにdポイントも使えるキンカブ・日興フロッギーも魅力の証券会社。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイトSMBC日興証券
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでも購入可能、但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。(上記金融機関でもつみたてNISAを取扱っていない場合があります)
個人型確定拠出年金(iDeCo)では三井住友銀行(標準コース)等が取り扱っています。
ライバルとなるファンド
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド (本記事)
eMAXIS 全世界株式インデックス
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド)
他の全世界株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。