日本を除く先進国の株式に投資するインデックスファンド、つみたて先進国株式について解説します。
尚、つみたてんとうシリーズには為替ヘッジを行う「つみたて先進国株式(為替ヘッジあり)」もありますが、ここで取り上げるのは為替ヘッジ無の方です。
[最終更新日:2020.12.5]全て最新情報に更新。
本記事は基本的に2020年11月末日時点の情報に基づき記載しています。
スポンサーリンク
見出し
つみたて先進国株式の基本情報
つみたて先進国株式は三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンド「つみたてんとうシリーズ」の一つです。eMAXISやeMAXIS Slimシリーズとは、基本的に同じマザーファンドで運用する姉妹ファンド。eMAXIS Slimが原則ネット証券・銀行専用商品なのに対し、つみたてんとうシリーズは、「つみたてNISA」を主なターゲットとし、最寄りの金融機関で相談できるファンドとして2017年8月に設定されました。現在7本のファンドから構成されています。コスト(信託報酬)はeMAXISよりは低く、eMAXIS Slimよりは高くなっています。
参考記事三菱UFJ国際投信 インデックスファンド「つみたてんとうシリーズ」運用開始。
今回解説するのは、先進国の株式に投資するつみたて先進国株式。
先ず、つみたて先進国株式の基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
設定日 | 2017年8月16日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI KOKUSAI(配当込み・ネット) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.2200% |
実質コスト | 0.290%(*) |
純資産総額 | 210.9億円(2020.11.30時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 4,498億円(2020.5.12時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
(*)実質コストは2020.6.25決算より
投資対象
ベンチマークはMSCI KOKUSAI(コクサイ)[配当込み・ネット]で日本を除く先進国の株式に投資します。
*2019.7.1よりベンチマークが除く配当から、配当込み、配当課税を考慮するネットに変更となりました。
(注)ネットでも日本に対して適切な税率が考慮されているという保証はありません。
参考記事三菱UFJ国際投信 eMAXIS Slimなどのベンチマークを配当込指数に変更。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
マザーファンド
つみたて先進国株式はファミリーファンド方式でマザーファンドを介して先進国株式に投資します。
画像引用:つみたて先進国株式交付目論見書
マザーファンドは「外国株式インデックスマザーファンド」、これはeMAXIS Slim先進国株式インデックスやeMAXIS 先進国株式インデックスと同じです。
即ち、つみたて先進国株式とeMAXIS Slim、eMAXISの運用自体は同じ姉妹ファンド、異なるのは(基本的には)ファンド名称、そしてコストだけという事です。
投資国
投資する国、比率は下図のようになります。
画像引用:つみたて先進国株式 マンスリーレポート(2020/11)
先進国といっても米国が約69%を占めます。
詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
投資銘柄
投資している銘柄は下表のようになります。(組入上位10銘柄)
画像引用:つみたて先進国株式 マンスリーレポート(2020/11)
組入銘柄数は1,286。このファンド1本で日本を除く先進国1,286社の株式を所有しているという事です。
上位10銘柄全てを米国が占めており、アップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、アルファベット(Googleの持ち株会社)など日本でも良く知られた企業が上位になっています。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
つみたて先進国株式の信託報酬は0.220%(税込)。
実質コストは0.290%(税込)。
*2020.6の決算での値。前期の0.295%から若干下がりました。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
他社 先進国株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
他社の低コスト・先進国株式インデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
尚、SBI・先進国株式インデックス・ファンドだけはベンチマークが異なりFTSE ディベロップド・オールキャップ・インデックス、他は全てMSCI KOKUSAIをベンチマークとするファンドです。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
*野村スリーゼロ先進国株式投信は野村證券・つみたてNISA限定商品ですので参考ファンド扱いとしています。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
-- | 野村スリーゼロ先進国株式投信 | 0% (2030年まで) | (決算前) |
-- | SBI・先進国株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.1022% | 0.135% |
1 | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.1023% | 0.175% |
1 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックス | 0.1023% | 0.154% |
3 | たわらノーロード先進国株式 | 0.10989% | 0.153% |
4 | iFree外国株式インデックス | 0.2090% | 0.255% |
4 | i-SMTグローバル株式インデックス | 0.2090% | 0.251% |
6 | (三菱UFJ)つみたて先進国株式 | 0.2200% | 0.290% |
6 | Smart-i先進国株式インデックス | 0.2200% | 0.336% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
MSCI KOKUSAIをベンチマークとするファンドではつみたて先進国株式は信託報酬、実質コストともに6位。
信託報酬最安値のeMAXIS Slim先進国株式インデックス、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスに比べ0.12%高くなっています。
勿論、上表では低コストのファンドのみリストアップしていますので、全体から見るとつみたて先進国株式も十分低コストの部類です。
信託報酬の変更履歴
つみたて先進国株式は、2017年8月に設定された後、まだ信託報酬引下げの実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/8/16 | 0.2160% | 新規設定。設定時はeMAXIS Slimと同じで最低水準。 |
2019/10/1 | 0.2200% | 消費税増税(8%-->10%) |
??? | ???% |
設定当初はeMAXIS Slimと同じ信託報酬で、他社を含めて最低水準のレベルでした。しかし、その後、eMAXIS Slimや<購入・換金手数料なし>ニッセイが大幅かつ複数回の引下げを行い、今では大きな差がついてしまいました。
スポンサーリンク
つみたて先進国株式の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からつみたて先進国株式の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
「つみたてNISA」が開始された2018年から売れ始め、2019年は毎月3~6億円、2020年は10億前後の資金流入と比較的売れているファンドです。
ただ、先進国株式インデックスファンドの中で最も人気のあるeMAXIS Slim 先進国株式インデックスや<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスに比べると見劣りします。
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
*ベンチマークは同じMSCI KOKUSAIでも配当込・除くなどファンドにより異なりますが、実際の運用は両者で変わらない事から、配当込で配当課税を適切に考慮したインデックスを、ここではベンチマークと定義します。
下図は2020年11月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
*多くのファンドがコスト起因以外でのベンチマークとの乖離はないだろうという前提で評価。
つみたて先進国株式は、eMAXIS Slim等と同じ巨大なマザーファンドで運用している事もあり、ベンチマークとの乖離がない安定した運用で、そのコストに応じた騰落率となっています。
但し、より信託報酬の低いeMAXIS Slim、ニッセイ、たわらには騰落率で負けます。
まとめ
つみたて先進国株式は、比較的低コスト、そして安定した運用と、先進国株式に投資するファンドとして間違った選択ではありません。
ただ、より低コストのeMAXIS Slim 先進国株式インデックスで運用すれば、さらに高いリターンを得ることが出来ます。(株価低迷時でも損失が小さくなる)
つみたて先進国株式と姉妹ファンドとも言えるeMAXIS Slim 先進国株式インデックスは中身は基本的に同じもの、値段(コスト=信託報酬)と販売会社が違うだけです。
もし、つみたて先進国株式だけしか取扱っていない金融機関(多くは銀行や店頭証券)で取引されているのであれば、eMAXIS Slim 先進国株式インデックス等の超低コストファンドを扱っているネット証券に変更されては如何でしょう。
つみたてNISAの口座も毎年変更する事が出来ます。
販売会社
つみたて先進国株式は、
販売会社 SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券
等の主要ネット証券、さらに多くの銀行、店頭証券で購入出来ます。
一方、上記ネット証券であればeMAXIS Slim 先進国株式インデックスも取扱っています。
どちらを選択すべきかは言うまでもないでしょう。
また、ネット証券には抵抗があるという方は、こちらもネット取引とはなりますが、SMBC日興証券(ダイレクトコース)でもeMAXIS Slim 先進国株式インデックスを取扱っています(つみたてNISAは無し)。
楽天証券なら楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです(上限5万円/月)。さらに、そのポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト楽天カード
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)ではauカブコム証券で取扱っています。
ライバルとなるファンド
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
つみたて先進国株式 (本記事)
他の先進国株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。