1本のファンドで日本を含む全世界の株式に投資するインデックスファンド、たわらノーロード 全世界株式について解説します。
[最終更新日:2020.12.18]全て最新情報に更新。
*本記事は原則2020.11末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
たわらノーロード 全世界株式の基本情報
たわらノーロードシリーズは、アセットマネジメントOneが運用するインデックスファンド・シリーズです。親しみのある、分かりやすい、コツコツと蓄えるといったコンセプトから「豊か、蓄える」というイメージがある穀物を包み保存する"たわら"とネーミングしたとの事。 (アセットマネジメントOne公式サイトより抜粋・編集して引用)
今回解説するのは1本のファンドで日本を含む全世界の株式に投資するたわらノーロード 全世界株式。
先ず、たわらノーロード 全世界株式の基本情報をまとめます。
運用会社 | アセットマネジメントOne |
設定日 | 2019年7月22日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI All Country World Index(配当込み・グロス) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.1320% |
実質コスト | 0.240%(*) |
純資産総額 | 3.9億円(2020.11.30時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | [先進国株式]3,704億円(2020.2.17時点) [新興国株式]412億円(2020.4.20時点) [日本株式] 3.5億円(2020.10.12時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.03% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
(*)実質コストは2020.10.12決算より
投資対象
ベンチマークはMSCI All Country World Index [ACWI][配当込み・グロス]で日本を含む先進国、新興国の株式に投資します。
MSCI ACWIは全世界49カ国(先進国23カ国+新興国26)の大型株、中型株、2,800以上の銘柄から構成される時価総額加重平均型の指数です。
グロスとは配当に対する源泉徴収税を考慮しない指数ですので、通常はファンド騰落率がベンチマークより配当課税(+コスト)分下方乖離します。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
マザーファンド
たわらノーロード 全世界株式は、ファミリーファンド方式で下記マザーファンドに投資します。
外国株式パッシブ・ファンド・マザーファンド、エマージング株式パッシブ・マザーファンドは、それぞれたわらノーロード先進国株式、たわらノーロード新興国株式と同じマザーファンドで既に大きな純資産を有します。
一方、MSCIジャパン・インデックス・マザーファンドは、本ファンドと同時に新規設定されたもので純資産も大きくはありません。
投資地域・国別比率
本ファンドのベンチマークであるMSCI ACWIは国内株式、先進国株式、新興国株式を概ね下記の比率で投資します。(国別比率は2020.8時点)
構成国1位はアメリカで59%、全体の半分以上を占めます。2位が日本で7%。
尚、MSCI ACWIは時価総額加重平均型指数ですので、その時点の時価総額で国内、先進国、新興国比率が変化します。例えば、他の先進国株式に対し国内の株価が低迷すれば国内株式の比率が小さくなります。
詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
投資銘柄
たわらノーロード 全世界株式は2,856銘柄(2020.11末)に投資しています。
尚、ベンチマークは2,990銘柄(2020.11末)ですので、ベンチマークを構成する殆どの銘柄を保有し、全世界の投資可能な株式の概ね85%をカバーする事になります。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
たわらノーロード 全世界株式の信託報酬は0.1320%(税込)。
後述するように最安値ではありませんが、十分低い信託報酬です。
実質コストは2期目決算(2020.10.12)で0.240%。初回決算の0.315%(3カ月分の決算を年率に換算した概算値)に対し大幅に下がりました。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
他社 全世界株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
MSCI ACWIをベンチマークとする他社のインデックスファンド、及びベンチマークは異なりますが(日本を含む)全世界の株式に投資するインデックスファンドと比較してみます。
さらに、eMAXIS Slimシリーズの個別のファンド(TOPIX、先進国株式、新興国株式)を7%:81%:12%の比率で組み合わせた場合も参考までに記載します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
*ファンド名下の[]内はベンチマーク。[FTSE]はFTSE Global All Cap Index、[MSCI]はMSCI All Country World Indexの略。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | SBI・全世界株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.1102% | 0.133% |
2 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) [MSCI] | 0.1144% | 0.205% |
- | 個別ファンドの組合せ | 0.1161% | --- |
3 | たわらノーロード 全世界株式 [MSCI] | 0.1320% | 0.240% |
4 | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.2120% | 0.261% |
5 | つみたて全世界株式 [MSCI] | 0.2200% | 0.315% |
6 | ステート・ストリート 全世界株式インデックス [MSCI] | 0.5280% | 0.617% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して消費税8%から10%に換算した概算値です。
(日本を含む)MSCI ACWIをベンチマークとするファンドは本ファンド、及びeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)、つみたて全世界株式、ステート・ストリート(SSGA)全世界株式インデックス・ファンドの4本しかなく、たわらノーロード 全世界株式の信託報酬は2位。
最安値のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とは0.02%程差があります。
信託報酬の変更履歴
たわらノーロード 全世界株式は設定から1年強という事もあり、未だ信託報酬引下げの実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2019/7/22 | 0.1296% | 新規設定(eMAXIS Slimよりも低コスト) |
2019/10/1 | 0.1320% | 消費税増税(8%-->10%) |
??? | ???% |
設定時はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)より低い信託報酬で注目を集めました。ただ、その後、eMAXIS Slimが2019.8.9に同率に引下げ、さらに2019.11.12にも再度引下げを実施した為、現在では0.02%の差がついています。
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たわらノーロード 全世界株式の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からたわらノーロード 全世界株式の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
設定直後の2019.8は1億近い資金流入があったのですが、それ以降は殆ど資金流入がありません。純資産総額も4億弱に留まっています。
現時点では販売会社も限られており、先行するeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の牙城を崩すのは厳しそうです。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
1年騰落率
下図は2020年11月末日時点の実質コストに対する1年騰落率をプロットしたものです。
ベンチマークが同じeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と[ステートストリート/SSGA]全世界株式インデックス・ファンドもプロットしてあります。
(同種のファンドが3本しかなく正確なところは分かりませんが)
たわらノーロード 全世界株式は、(コスト要因以外での)ベンチマークとのマイナス乖離が生じていると推測します。
これは、2020年1-3月に生じた新興国株式部分のマイナス乖離に起因するものと思われます。
6カ月騰落率
次に、2020年11月末日時点の実質コスト(/2)に対する6カ月騰落率を見てみます。
*つみたて全世界株式もプロットしてあります。
6カ月騰落率では、たわらノーロード 全世界株式は、そのコストに応じた騰落率になっています。
即ち、前述の直近1年で見られていたベンチマークとの乖離も最近は解消されているという事です。
まとめ
たわらノーロード 全世界株式はMSCI ACWIをベンチマークとするインデックスファンドの中で最安値ではないものの十分低い信託報酬、そして時価総額比で全世界の株式に投資できる便利なファンドです。
2期目決算を迎え実質コストも下がり、また当初見られていたベンチマークとの乖離も殆どなくなってきているようです。
懸念としては資金流入、純資産総額ともに小さい事。
今後、どれだけ資金流入・純資産を増やすことが出来るかがキーポイント。
願わくば信託報酬で先行するeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)に追従してくれると良いのですが・・・
(今なら販売会社もネット証券に限られており引下げしやすいと思うのですが)
販売会社
たわらノーロード 全世界株式は下記の金融機関で購入出来ます。
たわらノーロード・シリーズは多くの銀行・信用金庫等で販売しているのですが、全世界株式だけは未だ主にネット証券での取扱いに限られています。
*尚、下記販売会社では、より低コストのeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)も取り扱っています。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト楽天証券、楽天カード
SMBC日興証券(ダイレクトコース)
大手店頭証券で唯一eMAXIS Slimシリーズを取扱い(ダイレクトコースのみ)。
国内株式を定額(100円~)、買付手数料無料(100万円以下)で買付・積立出来、さらにdポイントも使えるキンカブ・日興フロッギーも魅力の証券会社。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイトSMBC日興証券
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでも購入可能、但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。(上記金融機関でもつみたてNISAを取扱っていない場合があります)
ライバルとなるファンド
たわらノーロード 全世界株式 *本記事
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド)
他の全世界株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。