日本を除く先進国、新興国、両方の株式に投資するインデックスファンド、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)について解説します。
[最終更新日:2019.12.5]eMAXIS Slim先進国株式の信託報酬引下げに伴い個別ファンド組合せの信託報酬を変更。
[2019.10.16]2019.11.12からの信託報酬引下げを反映。
消費税10%表記に変更。
[2019.9.2]SBI証券 投信マイレージ ポイント還元率 0.05% -->0.03%に変更。
[2019.8.5]2019年7月末日時点の情報に更新。
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見出し
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の基本情報
eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」をコンセプトとした三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンドで、「他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準を目指し続ける」と公表しています。実際、設定から既に数回の信託報酬引下げを行い、常に最低水準の座を維持しています。
今回解説するのは1本のファンドで先進国・新興国両方の株式に投資するeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)。
先ず、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
設定日 | 2018年3月19日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI All Country World Index(除く日本)(配当込み・ネット) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.1144% |
実質コスト | 0.209% |
純資産総額 | 71.4億円(2019.7.31時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | [先進国株式]3,372億円(2018.5.14時点) [新興国株式]716億円(2018.5.14時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.03% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
投資対象
ベンチマークはMSCI All Country World Index [ACWI](除く日本)[配当込み・ネット]で、日本を除く先進国、新興国の株式に投資します。
2019年7月1日よりベンチマークが「除く配当」から「配当込み」に変更となりました。
ネットとは配当に対する源泉徴収税を考慮した指数です。ただ、その税率が日本に対して適切に考慮されているかは定かではありません。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[配当込]の2種類ありますが、[除く配当]だからといって(過去において)運用成績が劣るという事はありません。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク、配当込、配当除くで実際の運用成績は異なるか?
投資国
投資する国、比率は下図のようになります。
画像引用:eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) マンスリーレポート(2019/6)
先進国株式、新興国株式の比率は時価総額比で決まり、現時点で先進国87%、新興国13%程度です。
先進国株式の中では米国が約57%を占めます。
新興国株式ではケイマン諸島が1位となっていますが、これは事実上、中国企業です。
詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
投資銘柄
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)1本で先進国株式 1,332、新興国株式 1,164、合計2,496もの銘柄に投資しています。
先進国株式、新興国株式の組入上位5銘柄は下表のようになります。
画像引用:eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) マンスリーレポート(2019/6)
先進国株式は全て米国、新興国株式は上位2銘柄を中国が占めています。
ただ組入比率トップのマイクロソフトでさえ2.2%ですので、広く分散されている事が分かります。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の最大の魅力は何と言っても信託報酬の低さ。
全世界株式インデックスファンドとしては最低水準の0.1144%(税込)。
実質コストは初回決算で0.209%、マザーファンドが既存のもので巨額の純資産を有するだけに初回決算から問題のないレベルです。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して消費税8%から10%に換算した概算値です。
受益者還元型信託報酬
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は下表のように純資産総額に応じて信託報酬率が変わる受益者還元型信託報酬を採用しています。
純資産総額 | 信託報酬(税込) |
500億円未満の部分 | 0.1144% |
500億円以上1,000億円未満の部分 | 0.11385% |
1,000億円以上の部分 | 0.1133% |
500億円以上の部分に対する信託報酬がさらに低くなりますが、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の純資産総額は設定から1年4カ月で70億余り。500億円以上に達するにはまだまだ時間がかかりそうです。
尚、eMAXIS Slim先進国株式インデックスは既に純資産総額500億円を突破し、受益者還元型信託報酬が適用されています。
他社 全世界株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
MSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとする他社のインデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
さらに、eMAXIS Slimシリーズの個別のファンド(先進国株式、新興国株式)を87.5%:12.5%の比率で組み合わせた場合も参考までに記載します。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) [MSCI ACWI 除く日本] | 0.1144% | 0.209% |
- | 個別ファンドの組合せ | 0.1189% | --- |
2 | 野村つみたて外国株投信 [MSCI ACWI 除く日本] | 0.2090% | 0.250% |
3 | 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株 [MSCI ACWI 除く日本] | 0.2750% | 0.418% |
4 | eMAXIS全世界株式インデックス [MSCI ACWI 除く日本] | 0.6600% | 0.748% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して消費税8%から10%に換算した概算値です。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の信託報酬は、MSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとする全世界株式インデックスファンドの中では最安値、2位の野村つみたて外国株投信に0.09%もの差をつけています。
また、他のベンチマークを含めた全世界株式インデックスファンドの中でも最低水準の信託報酬です。
個別のインデックスファンドとの組合せと、どちらがお得か?
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の信託報酬は0.1144%(税込)。
一方、eMAXIS Slim先進国株式、新興国株式を組み合わせた場合の信託報酬は、先進国株式:新興国株式の配分比率を87.5%:12.5%とすると0.1189%、個別ファンドの組み合わせより若干ですが低くなります。
信託報酬の変更履歴
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は設定から2回、信託報酬引下げの実績があります。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2018/3/19 | 0.15336% | 新規設定(SBI・全世界株式に対抗した設定) |
2019/8/9 | 0.1296% | たわらノーロード全世界株式に対抗 |
2019/10/1 | 0.1320% | 消費税増税(8%-->10%) |
2019/11/12 | 0.1144% | SBI・全世界株式に対抗 |
新規設定時の信託報酬はSBI・全世界株式インデックス・ファンドに対抗したものです。(税抜きでの信託報酬が同じ)
その後、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と同じベンチマークのたわらノーロード全世界株式が低い信託報酬で新規設定、さらにSBI・全世界株式インデックス・ファンドの信託報酬引下げ、いずれもeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)とはベンチマークが異なりますが、他のeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー、3地域均等型)同様、これらに対抗して2回信託報酬の引下げを行いました。
このように細かいベンチマークの差異によらず、概ね同じ地域の同じ資産クラスに投資するファンドであれば「類似ファンド」とみなし、これに対抗して引き下げてくれるところがeMAXIS Slimシリーズの魅力でもあります。(勿論、保証は出来ませんが)
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
2018年3月設定と未だ新しいファンドですが、設定以降3~6億/月程度の安定した資金流入があり、純資産総額も順調に伸びています。
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は、2019年7月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
*ベンチマークは同じMSCI ACWI(除く日本)でも配当込・除くなどファンドにより異なりますが、「配当込で配当課税を適切に考慮したインデックス」をここでは真のベンチマークと定義し、そして真のベンチマークで決まる傾き、切片の直線を図中グレーの点線で示しています。(多くのファンドがコスト要因以外での乖離はないであろうとの前提で管理人の主観で引いた直線)
*個別のインデックスファンドを先進国:新興国=87%:13%で組み合わせた場合もプロットしてあります。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は(コスト要因以外での)ベンチマークに対する乖離がない安定した運用になっていることがわかります。そして、その低いコストに応じた高い騰落率となっています。
*上図では野村つみたて外国株投信との差が小さいですが、2019.8.9、2019.11.12の2回の信託報酬引下げで今後はその差がもっと大きくなる事でしょう。
まとめ
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)はMSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとするインデックスファンドの中では最も信託報酬が低く、さらに他のベンチマークを含めた全世界株式インデックスファンドの中でも最低水準の信託報酬です。
未だ新しいファンドではありますが、設定以降3~6億(/月)程度の安定した資金流入があり、その運用も既に安定しています。
国内株式を含みませんが、国内には投資しないという方、あるいは国内は別のファンドや個別銘柄で投資するという方にとって、低コストで先進国株式、新興国株式両方に1本で投資できる本ファンドは有力な選択肢の一つとなる事でしょう。
一方で、日本を含めて全世界の株式に投資したい方にはeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)をお勧めします。
尚、同じMSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとし、同じ三菱UFJ国際投信が運用するeMAXIS 全世界株式インデックス(Slimがつかない)は、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)と同じマザーファンドで運用する兄弟ファンドですので、コストが圧倒的に低いeMAXIS Slimを強くお勧めします。
購入先
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は下記の金融機関で購入出来ます。
販売会社SBI証券、楽天証券 、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券、SMBC日興証券(ダイレクトコース)、岡三オンライン証券、岩井コスモ証券(ネット専用)、フィデリティ証券、ほくほくIT証券、三菱UFJ国際投信ダイレクト(matttoco)、三菱UFJ銀行(インターネットバンキング専用)
現時点(2019.8)で上記金融機関以外では購入出来ません。低い信託報酬(販売会社の利益が少ない)、かつ機動的な信託報酬の引下げに合意できる金融機関のみが取扱うという事でしょう。
楽天証券なら楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです(上限5万円/月)。さらに、そのポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト楽天カード
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。(上記金融機関でもつみたてNISAを取扱っていない場合があります)
ライバルとなるファンド
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) *本記事
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド)
他の全世界株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slimシリーズの他のファンドの評価・解説は下記記事をご覧ください。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) *本記事