米国ETF VWOを介して新興国の株式に投資するインデックスファンド、楽天・新興国株式インデックス・ファンド[愛称:楽天・VWO]、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドについて解説・比較します。
[最終更新日:2024.10.18]全て最新情報に更新。
本記事は原則2024年9月末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
楽天・新興国株式インデックス・ファンド[楽天・VWO] / SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドの基本情報
本記事で解説、比較するのは新興国の株式に投資する楽天・新興国株式インデックス・ファンド[愛称:楽天・VWO]、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドの2本。
楽天・新興国株式インデックス・ファンド[愛称:楽天・VWO]は楽天インデックス・シリーズ(旧:楽天・バンガード・ファンド)、
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドはSBI・Vシリーズ
の一つで、共に米国バンガード社のETF VWO[FTSE Emerging Markets ETF]を介して新興国株式に投資するファンドです。
SBIアセットマネジメントには、新興国株式に投資するインデックスファンドとして、本記事で解説するSBI・V・新興国株式インデックス・ファンド(SBI・Vシリーズ)、そしてSBI・新興国株式インデックス・ファンド(雪だるまシリーズ)の2本がラインアップされています。名称が似ていますが、ベンチマーク、投資先ETF、信託報酬等が異なりますので間違えないよう注意して下さい。
先ず、両ファンドの基本情報をまとめます。
楽天・新興国株式インデックス・ファンド | SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド | |
運用会社 | 楽天投信投資顧問 | SBIアセットマネジメント |
設定日 | 2017年11月17日 | 2023年6月8日 |
運用形態 | インデックスファンド | |
投資形態 | ファミリーファンド *マザーファンドがETFに投資するので事実上FOF。 | |
ベンチマーク | FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス | |
(配当込み・ネット) | (配当込み) | |
購入時手数料 | 無 | |
信託財産留保額 | 無 | |
信託報酬(税込) | 0.2120% (投資先ETF経費率 0.08%含む) | 0.1438% (投資先ETF経費率 0.08%含む) |
実質コスト | 0.258%(*1) | 0.301%(*2) |
純資産総額 (2024.9.30時点) | 43.2億円 | 11.2億円 |
(マザーファンド) 純資産総額 | 43.6億円 (2024.7.16時点) | 9.5億円 (2024.6.10時点) |
分配金実績 | 無 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象外 | |
NISA(成長投資枠) | 対象 | |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.050% | 0.022% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*3) | (取扱無) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.03% | (取扱無) |
松井証券ポイント還元年率 | 0.05% | 0.022% |
(*1)楽天の実質コストは2024.7決算より。
(*2)SBIの実質コストは2024.6決算より。
(*3)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
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投資対象
ベンチマークはFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスで新興国の大・中・小型株に投資します。
多くの新興国株式インデックスファンドがベンチマークとしているMSCI エマージング・マーケット・インデックスとは異なりますので注意して下さい。(違いについては後述)
楽天・新興国株式インデックス・ファンドは配当込み・ネット。
ネットとは配当に対する源泉徴収税を考慮した指数の事です。(その源泉徴収税率が日本に対して適切なものなのかは定かではありません)
但し、投資先ETFの分配金に対する米国課税は考慮されていません。
(注)配当込・ネットは楽天投信投資顧問に確認しましたが公表された情報ではない為、その真偽を保証するものではありません。
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドは配当込みと推測されますが、グロス・ネットどちらかは分かりません。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
投資先ETF
両ファンドともファミリーファンドとなっていますが、下図のようにマザーファンドが米国Vanguard(バンガード)社のETFに投資する実質的なFOFです。
楽天・新興国株式インデックス・ファンド
画像引用:楽天・新興国株式インデックス・ファンド交付目論見書
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド
画像引用:SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド交付目論見書
VWO
投資対象のETFはバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ【VWO】。
ETF | 投資対象 | ベンチマーク | 経費率 |
Vabguard FTSE Emerging Markets ETF【VWO】 | 新興国株式 | FTSE Emerging Markets All Cap China A Inclusion Index | 0.08% |
ベンチマーク ~FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスとMSCI エマージング・マーケット・インデックスとの違い~
本ファンドがベンチマークとしているFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスを、FTSEエマージング・インデックス、及び多くの新興国株式インデックスファンドのベンチマークとなっているMSCI エマージング・マーケット・インデックスと比較しつつ解説します。
インデックス | FTSE Emerging Markets All Cap China A Inclusion Index | FTSE Emerging Index | MSCI Emerging Markets Index |
ベンダー | FTSE | FTSE | MSCI |
投資国 | 23カ国 | 23カ国 | 24カ国 |
タイプ | 時価総額加重 | 時価総額加重 | 時価総額加重 |
投資対象 時価総額 | 大・中・小型 | 大・中型 | 大・中型 |
投資銘柄数 | 4,730 | 2,226 | 1,277 |
主な インデックス ファンド | 楽天・新興国株式 SBI・V・新興国株式 | SBI・新興国株式 インデックス (雪だるま) | eMAXIS Slim 新興国株式 |
主な 米国ETF | Vabguard FTSE Emerging Markets ETF【VWO】 | Schwab Emerging Markets Equity ETF【SCHE】 | iShares MSCI Emerging Markets ETF【EEM】 |
データ引用元:各インデックスのFACTSHEET
全て時価総額加重型の指数ですが、楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドがベンチマークとしているFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスは大型・中型に加え小型株をも含みます。
その為、保有銘柄数が4,730と他のインデックスの2~4倍多くなっています。
FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスは韓国を含みません。これはFTSEが韓国を先進国と分類している為で、ここがMSCI エマージング・マーケット・インデックスとの大きな違いです。
また、同じFTSEが提供し、大・中型株を対象とするFTSEエマージング・インデックスとは概ね同じ国別配分比率となっています。
*中国A株 : 人民元建てで中国国内投資家専用だったものが一部海外機関投資家にも開放
投資国、及び各国の配分比率の詳細は下記ページをご覧下さい。
投資銘柄
楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドが投資するバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ【VWO】は5,923(2024.9末時点)の銘柄を保有しています。
組入上位10銘柄は下表。10位中5銘柄を中国企業が占めています。
銘柄 | 国・地域 | 比率 | |
1 | Taiwan Semiconductor Manufacturing Co Ltd | 台湾 | 7.73% |
2 | Tencent Holdings Ltd | 中国 | 3.68% |
3 | Alibaba Group Holding Ltd | 中国 | 2.41% |
4 | Meituan | 中国 | 1.28% |
5 | Reliance Industries Ltd | インド | 1.25% |
6 | HDFC Bank Ltd | インド | 1.24% |
7 | PDD HOLDINGS INC | 中国 (米国ADR) | 1.02% |
8 | Infosys Ltd | インド | 0.84% |
9 | Hon Hai Precision Industry Co Ltd | 台湾 | 0.75% |
10 | China Construction Bank Corp | 中国 | 0.74% |
データ引用:米国バンガード社公式サイト
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
楽天・新興国株式インデックス・ファンド
楽天・新興国株式インデックス・ファンドの信託報酬は0.1320%、
これに投資先ETF経費率0.08%を加えた実質的な信託報酬は0.2120%。
FOFでは、ファンドの信託報酬、ETF経費率の両方がかかりますので若干高くなりますが、それでも多くの新興国株式インデックスファンドよりは十分低コストです。
実質コストは7期目決算で0.258%。
信託報酬以外のコストが1期目 0.338%、2期目 0.198%、3期目0.126%、4期目0.081%、5期目0.069%、6期目0.053%、そして7期目0.046%と毎回下がってきてはいますが、楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・VTI)は信託報酬以外のコストが0.021%ですので、これに比べると未だ十分とは言えません。
*信託報酬以外のコストは1~3期目を含め全て消費税10%に換算して記載。
楽天・全世界株式(VT)、楽天・全米株式(VTI)は4期目決算ごろから十分許容できる範囲まで下がってきましたが、楽天・新興国株式インデックス・ファンドはあまり純資産が増えていない事もあり、このような結果になったのでしょう。
(新興国株式では全般的に信託報酬以外のコストが高くなる傾向にありますが、楽天・新興国株式のような事実上のFOFでは、新興国特有のコストは投資先ETFの経費率に含まれますので、本来ならもっと信託報酬以外のコストが低く出来るものと推測します。)
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドの信託報酬は0.0638%、
これに投資先ETF経費率0.08%を加えた実質的な信託報酬は0.1438%。
楽天・新興国株式インデックス・ファンドに比べて0.068ポイントも低くなっています。
実質コストは初回決算で0.301%。
他のSBI・Vシリーズは信託報酬以外のコストを十分抑えていますが、本ファンドは初回決算という事もあり、信託報酬以外のコストが0.157%と高く、実質コストでは楽天・新興国株式インデックス・ファンドに負けています。
2期目以降の決算でどこまで下がるかに注目しましょう。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
他社 類似ファンド(新興国株式インデックスファンド)との信託報酬・実質コスト比較
他社の(低コスト)新興国株式インデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
尚、下表中、楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・新興国株式インデックス・ファンド(雪だるま)、及びiFree新興国株式インデックス以外のファンドはMSCI エマージング・マーケット・インデックスをベンチマークとするインデックスファンドです。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
*[]内は各ファンドのベンチマーク
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド [FTSEエマージング・オールキャップ] | 0.1438% | 0.301% |
2 | eMAXIS Slim 新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.1518% | 0.347% |
3 | SBI・新興国株式インデックス・ファンド [FTSEエマージング] | 0.1760% | 0.189% |
4 | たわらノーロード新興国株式 [MSCI EM] | 0.1859% | 0.522% |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.1859% | 0.475% |
4 | はじめてのNISA新興国株式 [MSCI EM] | 0.1859% | 0.310% |
7 | My SMT 新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.1870% | 0.433% |
8 | 楽天・新興国株式インデックス・ファンド [FTSEエマージング・オールキャップ] | 0.2120% | 0.258% |
9 | インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式 [MSCI EM] | 0.2750% | 0.537% |
10 | (三菱UFJ)つみたて新興国株式 [MSCI EM] | 0.3740% | 0.559% |
10 | 三井住友・DC新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.3740% | 0.616% |
10 | Smart-i新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.3740% | 0.628% |
10 | iFree 新興国株式インデックス [FTSE RAFIエマージング] | 0.3740% | 0.853% |
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドは、他のベンチマークも含めて信託報酬最安値です。
*eMAXIS Slimとは税抜きでは同率。
一方の楽天・新興国株式インデックス・ファンドはSBI・V・新興国株式インデックス・ファンドより0.068ポイント高く、ここで取り上げた低コストファンドの中で8位。
ただ、実質コストではSBI・新興国株式(雪だるま)に次いで2位。
*このように実質コスト(信託報酬以外のコスト)が低くなるのが(特に新興国株式に投資する)FoFのメリットですが、一方で後述する3重課税の問題があります。
*eMAXIS Slim新興国株式など、直接新興国の株式に投資するファンドの実質コストがある程度高いのはやむを得ません。
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FOFによる三重課税の問題
楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドは米国ETFを介して新興国各国の株式に投資しますが、投資先の株式から配当が出た場合、
- 現地国(新興国)で源泉徴収
- ETFが分配金を出すとき米国で10%の源泉徴収
- 楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドが分配金を出さないとすると、売却時に譲渡益として国内課税。
このように現地国、米国、日本の3カ国で税金が徴収される事になります。
国内から直接投資する、例えばeMAXIS Slim新興国株式インデックスのような場合、2の米国課税が不要ですので、この分楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドは不利となります。
現地国の源泉徴収税率が10%と仮定すると、FOFは現地国、米国で19%、eMAXIS Slimは現地国のみで10%、その差9%、仮に配当利回りが2%だとすると2%x9%=0.18% FOFが不利になるという事です。言い換えると信託報酬・実質コストがFOFでは0.18%上乗せされると考えても良いでしょう。
特に信託報酬で負けている楽天・新興国株式インデックス・ファンド、さらに0.18%が上乗せされるとコスト的にはかなり厳しくなります。
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドも2期目以降実質コストが下がらないと同じです。
米国ETFの3重課税の詳細は下記記事をご覧ください。
信託報酬の変更履歴
楽天・新興国株式インデックス・ファンド
楽天・新興国株式インデックス・ファンドは設定後、3回信託報酬を引下げだ実績があります。ただし、これは投資先ETFの経費率引き下げによるものです。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/11/17 | 0.2696% | 新規設定 |
2019/2/26 | 0.2496% | 投資先ETF VWOの経費率引下げ |
2019/10/1 | 0.2520% | 消費税増税(8%-->10%) |
2020/2/27 | 0.2320% | 投資先ETF VWOの経費率引下げ |
2022/2/25 | 0.2120% | 投資先ETF VWOの経費率引下げ |
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドに大きく負けているだけに、信託報酬そのものの引下げを期待したいところです。
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドは未だ設定されて1年強という事もあり、信託報酬を引下げだ実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2023/6/8 | 0.1438% | 新規設定 |
??? | ??? |
(ETF経費率を含まない)ファンドそのものの信託報酬は0.0638%と既に十分低いだけに、あまり大きな引下げは期待できないかもしれません。
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楽天・新興国株式インデックス・ファンド[楽天・VWO] / SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドの運用状況
資金流出入額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額から楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
同時にSBI・新興国株式インデックス・ファンド(雪だるま)もプロットします。
この中で最も売れているのがSBI・新興国株式インデックス・ファンド(雪だるま)。
楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドともに概ね月1億以下とあまり売れていません。
因みに、新興国株式インデックスファンドで最も売れているeMAXIS Slim新興国株式インデックスは毎月20億前後ですので全く勝負になりませんし、
楽天・新興国株式インデックス・ファンド / SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドの運用状況は?
新興国株式インデックスのベンチマークによる違い
楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドがベンチマークとしているFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス、多くの新興国株式インデックスファンドがベンチマークとしているMSCI エマージング・マーケット・インデックス等とのパフォーマンスの比較は下記ページをご覧下さい。
楽天・新興国株式インデックス・ファンド / SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドのベンチマークとの乖離
インデックスファンドではベンチマークとの乖離がファンド評価の重要な要素です。
MSCI Emerging Markets index連動型インデックスファンドの場合、同じベンチマークの他のファンドと比較する事で、コスト起因、運用の問題などに切り分ける事が出来ますが、楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドの場合、同じベンチマークのファンドが2本しかありません。
そこで、投資先である米国バンガード社ETF VWOのデータを用いてベンチマークとの乖離を調査します。
米国ETF Vanguard VWOの騰落率は、分配金に10%課税後再投資したネット(VWOネットと表記)。
*VWOの騰落率は終値の円換算騰落率。(終値は米国Yahoo/Google Finance、分配金は米国Vanguard社サイト、為替レートは三菱UFJ銀行公表のTTMより引用)
両ファンドともVWOの分配金に10%米国で源泉徴収された後に再投資しますので、VWOネットと比較する事になります、
1年騰落率
先ずは2024.9末日時点の1年騰落率。
VWOを基準として、これからコストと騰落率の関係を示したのが図中グレーの点線。
(*)単に2点を結んだ直線ではなく、騰落率=(1 + r) x s + rで決まる直線です。
r : コスト0の時の騰落率、s : ファンドの実質コスト
本評価方法の詳細は下記記事をご覧下さい。
楽天・新興国株式インデックス・ファンドの騰落率は概ねVWOで決まる直線上にあります(厳密には-0.08%ポイント)。
一方のSBI・V・新興国株式インデックス・ファンド、VWOから決まる直線に対して0.39%ポイントマイナス側にあります。これは、コスト要因以外でVWOに対してマイナス側に乖離している事を意味します。
即ち、この直近1年間でみれば、楽天・新興国株式インデックス・ファンドの方がよりVWOに近い運用になっていたという事です。
*VWOもベンチマークに対して乖離している可能性もありますので、あくまで、この値はVWOに対する乖離という事です。
3年騰落率
次に2024.9末日時点の3年騰落率。
*騰落率は年率です。
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドは設定から未だ1年強ですので、楽天・新興国株式インデックス・ファンドのみのデータです。
3年騰落率だと(VWOに対して)年率0.18%の乖離、ちょっと大きくなっています。
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まとめ
以上、FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスをベンチマークとし新興国株式に投資する楽天・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドの解説・比較でした。
両ファンドともバンガード社ETF VWOに投資する事実上のFoF。
あまり売れているとは言えませんが、
小型株をも含む新興国株式に投資したい方、
ベンチマークとしてFTSEがお好みの方、
そしてバンガード社ETF VWOに投資したい方にとって、
選択肢の一つとなるファンドです。
未だ運用実績は短いものの、信託報酬の低さに魅力を感じ、今後実質コストも下がると考える方はSBI・V・新興国株式インデックス・ファンド、
長期の運用実績を重視する方は楽天・新興国株式インデックス・ファンドという選択になるかと。
販売会社
楽天・新興国株式インデックス・ファンドは下記の金融機関で購入出来ます。
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンドは2024.10時点でSBI証券、松井証券のみの取扱いです。
(dカードGOLDでNISA口座なら月10万円までクレカ積立還元率1.1%)
*dカード、マネックスカードとも通常ショッピング時は1.0%。
また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
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Pontaポイントで投資信託の購入も可能。
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公式サイトauカブコム証券
また、楽天キャッシュ決済でも投資信託積立が出来ます。0.5%のポイント還元。
楽天カード決済で10万円、楽天キャシュ決済で5万円、あわせて月15万円まで利用可能。
さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト楽天証券
公式サイト楽天カード
本ファンドはNISA(つみたて投資枠)対象外です。NISAで投資する方は成長投資枠を利用する事になります。
また個人型確定拠出年金(iDeCo)で取扱っている主要ネット証券はありません。
ライバルとなるファンド
SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド *本記事
楽天・新興国株式インデックス・ファンド(楽天・VWO) *本記事
他の新興国株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。