1本のファンドで日本を含む全世界の株式に投資するインデックスファンド、楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・オールカントリー) について解説します。
[最終更新日:2024.11.2]純資産総額、「最新の騰落率」を2024.10末時点の情報に更新。
[2024.10.8]全て最新の情報に更新。
本記事は(一部を除き)原則2024.9末日時点の情報に基づき記載しています。
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楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド の基本情報
本記事で解説するのは1本のファンドで日本を含む全世界の株式に投資する楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド。
愛称は楽天・プラス・オールカントリー。
楽天+(プラス)シリーズの一つで、2023年10月27日設定と未だ運用を開始したばかりの新しいファンドです。
*2024.10.17よりファンド名称が楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドから楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド。に変更になりました。
先ず、楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの基本情報をまとめます。
運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
設定日 | 2023年10月27日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI All Country World Index(配当込み・ネット) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.0561% |
実質コスト | 0.196%(*1) |
純資産総額 | 2,384億円(2024.10.31時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | [先進国株式]1,622億円(2024.7.16時点) [新興国株式]189億円(2024.7.16時点) [日本株式] 96.2億円(2024.7.16時点) |
分配金実績 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象商品 |
NISA(成長投資枠) | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 取扱い無 |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.017% |
マネックス証券ポイント還元年率 | 取扱い無 |
松井証券ポイント還元年率 | 取扱い無 |
(*1)実質コストは2024.7.16の第1期決算より。264日分の決算結果を年率に換算して記載
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投資対象
ベンチマークはMSCI All Country World Index [ACWI]で日本を含む先進国、新興国の株式に投資します。
MSCI ACWIは全世界47カ国・地域(先進国23カ国+新興国24カ国)の大型株、中型株、約2,800の銘柄から構成される時価総額加重平均型の指数です。これだけで全世界株式の時価総額の約85%をカバーします。
尚、指数には除く配当、配当込み、そして配当込み指数には配当に対する源泉徴収税を考慮したネットと、税引前のグロスの2種類ありますが、交付目論見書にはどれを採用しているのか明記されていません。但し、月次レポートのベンチマーク騰落率から判断するに配当込み・ネットのようです。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
マザーファンド
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、ファミリーファンド方式で下記マザーファンドに投資します。
画像引用:楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド交付目論見書
日本株式、先進国株式、エマージング(新興国)株式と地域別の3つのマザーファンドを介して全世界の株式に投資します。
尚、各マザーファンドは2023.9.26に設定されたものです。
*為替ヘッジは行いません。
*投資信託財産で保有する有価証券の貸付取引を行う場合があります。
投資国比率
(ベンチマークの)投資国比率は下図のようになります(2024.9末時点)。
トップはアメリカで63%、全体の半分以上を占めます。そして日本 5%、イギリス 3%と続きます。
詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの2024年8月の組入上位10銘柄
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの月次レポート2024.8の組入上位10銘柄です。
画像引用:楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド月次レポート2024.8
組入1位のiShare Core MSCI Emerging Markets ETF【IEMG】は新興国株式に投資する米国ETF(経費率0.09%)で、楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの新興国株式部分はほぼこのETFで構成されているようです。
勿論、ETFの経費率 0.09% x 7.3% = 0.007%程度の費用はファンドが負担する事になります。
またIEMGがベンチマークとしている指数(MSCI Emerging Markets IMI) は小型株をも含み、楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドのベンチマークとは異なります。この辺もベンチマークとの乖離の一因となる可能性もあります。
IEMGの構成比率は最近はほぼ一定、新興国株式部分を現物株式に移行していく様子は今のところうかがえません。
先進国は、(ETFを介する事無く)現物株式に投資しています。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの最大の魅力は何と言っても圧倒的な信託報酬の低さ。
全世界株式インデックスファンドだけでなく、ファンド全体としても最低水準の0.0561%(税込)です。
実質コストは0.196%(初回決算の1年未満の値を年率に換算)。
初回決算という事もあり信託報酬以外のコストが高くなっています。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド等の初回決算での実質コストの詳細は下記ページをご覧下さい。
他社 全世界株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
MSCI ACWIをベンチマークとする他社のインデックスファンド、及びベンチマークは異なりますが(日本を含む)全世界の株式に時価総額比率で投資するインデックスファンドと比較してみます。
さらに、eMAXIS Slimシリーズの個別のファンド(TOPIX、先進国株式、新興国株式)を6%:83%:11%の比率で組み合わせた場合も参考までに記載します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
*ファンド名下の[]内はベンチマーク。[FTSE]はFTSE Global All Cap Index、[MSCI]はMSCI All Country World Indexの略。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | 楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド [MSCI] | 0.05610% | 0.196% |
2 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) [MSCI] | 0.05775% | 0.113% |
2 | はじめてのNISA・全世界株式インデックス [MSCI] | 0.05775% | 0.082% |
2' | Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式) [MSCI] | 0.05775% (上限0.08775%) | 0.139% |
5 | ステート・ストリート全世界株式インデックス・オープン [MSCI] | 0.0748% | --- |
6 | PayPay投資信託インデックス世界株式 [FTSE] | 0.0910% | 1.422% |
7 | SBI・全世界株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.1022% | 0.112% |
個別ファンドの組合せ | 0.1074% | ||
8 | たわらノーロード 全世界株式 [MSCI] | 0.1133% | 0.187% |
9 | Smart-i Select 全世界株式 [MSCI] | 0.1144% | 0.181% |
10 | SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.1338% | 0.151% |
11 | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.192% | 0.214% |
12 | つみたて全世界株式 [MSCI] | 0.1980% | 0.261% |
13 | ステート・ストリート 全世界株式インデックス [MSCI] | 0.5280% | 0.597% |
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、ベンチマークが異なるファンドを含めても単独最安値。
ただ、2番手のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)等との差は0.0017ポイントと僅かです。
そして実質コストで見ると、eMAXIS Slimより0.083ポイント高くなります。
信託報酬の変更履歴
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは設定後すぐに信託報酬の引下げを行いました。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2023/10/27 | 0.05775% | 新規設定(eMAXIS Slimなどと同率) |
2023/12/1 | 0.0561% | 単独最安値 |
設定時はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)等と同率最安値でしたが、設定後僅か1カ月で信託報酬を引下げ単独最安値となりました。
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楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額から楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は2024年に入り毎月1,000億以上の資金流入があり(上図にもプロットしていません)、これには当然敵いませんが、Slim以外の全世界株式インデックスファンドよりは多くの資金を集め、販売会社が楽天証券1社にも関わらず早くも人気を集めています。
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運用状況は? eMAXIS Slimオルカンに勝てるか?
6カ月騰落率
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は2024年9月末日時点の6カ月騰落率をベンチマークが同じ複数のファンドでプロットしたものです。
そして、配当課税を適切に考慮した真のベンチマークから決まるコストと騰落率の関係が図中グレーの点線です(多くのファンドがコスト要因以外での乖離がないであろうとの仮定の下、管理人の主観で決めた値)。
このグレーの点線上にあればコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がないと推測できます。
6カ月と短期の比較という事もあって正確な判断は出来ませんが、それでも、楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、そのコストに応じた騰落率になっています。
ただ、実質コストが高い分、eMAXIS Slim等より騰落率が低くなっています。
日次騰落率のeMAXIS Slimとの比較
前述の6カ月騰落率では、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離は見られませんでしたが、さらに詳細に分析する為、日次騰落率をeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と比較します。
下図は日々の騰落率のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)との差をプロットしたものです。
*同時にたわらノーロード全世界株式、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)、はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)もプロットしてあります。
*縦軸は%ポイント
たわらノーロード、Tracers、はじめてのNISAが殆どeMAXIS Slimと同等の日次騰落率を示しているのに対し、楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドはeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と比較して最大+-0.25%ポイントの範囲内でばらついています。
設定されたばかりという事もあり、まだ安定していないようです。新興国株式のベンチマークの違いが影響しているのでしょうか???
勿論、設定当初は多くのファンドで乖離が見られる事がありますので、この短期間のデータだけで判断するのではなく、今後の騰落率に注目する必要があります。
今後も継続して評価、本記事をアップデートしていきます。
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最新の騰落率[利回り](eMAXIS Slimオルカン、Tracers、はじめてのNISA、たわらノーロードなどと比較) ~2024年10月末日時点~
*本章は原則毎月更新します。
最新の騰落率をライバルファンドとともにまとめます。
*3年・5年騰落率は年率表記。
[表をクリックすると拡大します]
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの騰落率は、ベンチマークが同じeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)等と比較し若干劣後しています。未だ実質コストが高く、さらに前章のように日次騰落率でみると未だ運用が不安定な印象を受けます。
尚、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、SBI・V・全世界株式インデックス・ファンドはベンチマークが異なりますので参考値として見て下さい。小型株を含むからと言って必ずしもリターンが勝るわけでもありませんし、将来どちらが勝つかは分かりません。
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド の分配金
当然、楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは未だ分配金を出した実績はありません。
今後も出さないと予測しますが・・・
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、MSCI ACWIをベンチマークとし全世界の株式に投資出来る信託報酬単独最安値の新しいファンドです。
現時点では楽天証券1社だけの販売ながら、早くも大きな人気を集めています(さすがにeMAXIS Slimオルカンには敵いませんが)。
まだ設定から1年弱という事もあり実質コストが高く、また日次騰落率ではベンチマークとの乖離が見られますが、今後の運用結果に期待しましょう。
*ベンチマークとの連動性の向上には新興国株式部分がキーになるように思えます。
いずれにせよ2024年から始まった新NISAの投資先として、有力な選択肢の一つとなるファンドになると期待しています。
販売会社
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは現時点で楽天証券のみの販売です。
勿論、NISA(つみたて投資枠)対象のファンドです。(成長投資枠でも購入出来ます)
ライバルとなるファンド
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド (本記事)
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)
Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)
他の全世界株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。