先進国債券に投資し、FTSE世界国債インデックス(除く日本)との連動を目指すインデックスファンド、eMAXIS Slim 先進国債券インデックスについて解説します。
[最終更新日:2024.7.23]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024.6末日時点の情報に基づき記載しています。
見出し
eMAXIS Slim 先進国債券インデックスの基本情報
eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」をコンセプトとした三菱UFJアセットマネジメントが運用するインデックスファンドで、「他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準を目指し続ける」と公表しています。実際、設定から既に数回の信託報酬引下げを行い、概ね最低水準の座を維持しています。
今回解説するのは先進国債券に投資するeMAXIS Slim 先進国債券インデックス。
先ずeMAXIS Slim 先進国債券インデックスの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2017年2月27日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | FTSE世界国債インデックス(除く日本) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.1540%以下 |
実質コスト | 0.169%(*1) |
純資産総額 | 1,454億円(2024.6.28時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 4,389億円(2023.5.12時点) |
分配金実績 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | --- |
NISA(成長投資枠) | 対象 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.03% |
松井証券ポイント還元年率 | 0.06% |
(*1)2024.4.25決算時点
(*2)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
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投資対象
ベンチマークはFTSE世界国債インデックス(除く日本)で先進国の債券に投資します。
*FTSE世界国債インデックス(除く日本)は日本を除く24カ国(2024.11組入のポルトガルを含む)から構成される先進国債券の時価総額加重型指数です。
マザーファンド
eMAXIS Slim 先進国債券インデックスは、ファミリーファンド方式で、下記マザーファンドに投資します。
画像引用:eMAXIS Slim先進国債券インデックス交付目論見書
外国債券インデックスマザーファンドはeMAXIS先進国債券インデックス(Slimがつかない)と同じマザーファンドで、約4,389億円(2023.5時点)と巨額の純資産を保有しています。
投資国
上位10カ国、及び5通貨は下記のようになります。
画像引用:eMAXIS Slim先進国債券インデックス月報(2024.06)
米国(米ドル)がほぼ半分、2位の中国が10%、ユーロが1/3弱を占めます。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
eMAXIS Slim先進国債券インデックスの最大の魅力は何と言っても信託報酬の低さ。
(実績のある)先進国債券インデックスファンドとしては最低水準の0.1540%以下(税込)。
実質コストは0.169%(税込、2024.4決算より)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
受益者還元型信託報酬
eMAXIS Slim先進国債券インデックスは、下表のように純資産総額に応じて信託報酬率が変わる受益者還元型信託報酬を採用しています。
純資産総額 | 信託報酬(税込) |
500億円未満の部分 | 0.1540% |
500億円以上1,000億円未満の部分 | 0.1485% |
1,000億円以上の部分 | 0.1430% |
純資産総額が500億円(または1,000億円)を超えると、超えた部分についてより低い信託報酬が適用されるという事です。
eMAXIS Slim先進国債券インデックスの純資産総額は1,454億円(2024.6末時点)ですので、既に下図のように受益者還元型信託報酬が適用され、2024.6末時点の信託報酬は0.1487%になっています。
他社先進国債券インデックスファンド(為替ヘッジ無)との信託報酬・実質コスト比較
FTSE世界国債インデックス(除く日本)をベンチマークとする他社の低コスト・インデックスファンド(為替ヘッジ無)と信託報酬・実質コストを比較します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | ステート・ストリート・グローバル債券インデックス(隔月分配型) | 0.0638% | --- |
2 | eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | 0.1540% | 0.169% |
2 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックス | 0.1540% | 0.191% |
2 | My SMTグローバル債券インデックス | 0.1540% | 0.196% |
5 | たわらノーロード先進国債券 | 0.1870% | 0.205% |
5 | Smart-i先進国債券インデックス | 0.1870% | 0.227% |
7 | iFree外国債券インデックス | 0.1980% | 0.220% |
8 | 三井住友・DC外国債券インデックス | 0.2310% | 0.264% |
先進国債券インデックスファンドの信託報酬最安値は2024.1.11に設定されたばかりのステート・ストリート・グローバル債券インデックス・オープン(隔月分配型)。
ただ、未だ殆ど運用実績がなく、販売会社もauカブコム証券、松井証券に限られます(2024.7.23時点)。また、ファンド名称の通り隔月で分配金を出すと思われるファンドです。
十分な実績のあるファンドでは、eMAXIS Slim先進国債券インデックスが<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックス、My SMTグローバル債券インデックスと並び信託報酬最安値。
さらに、前述の受益者還元型信託報酬を考慮すると、eMAXIS Slim先進国債券インデックスは単独最安値、
また、実質コストでも単独最安値です。
信託報酬の変更履歴
eMAXIS Slim先進国債券インデックスは過去1度、信託報酬引下げの実績があります。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/2/27 | 0.1836% | 新規設定 設定時はニッセイと並び最安値。 |
2019/5/14 | 0.1512% | 野村外国債券(確定拠出年金向け)、野村DC外国債券に対抗 |
2019/10/1 | 0.1540% | 消費税増税(8%-->10%) |
??? | ??? | ??? |
もし他社がeMAXIS Slim以下の信託報酬(+その他のコストを含めた実質コスト)になったとしても、そのコンセプト通りであればeMAXIS Slimも追従して引き下げると予測されます。
当面はステート・ストリート・グローバル債券インデックス・オープン(隔月分配型)に対抗する引下げを行うか否かに注目です。
*先ずはステート・ストリートの初回決算が終わってコスト、そして騰落率が判明してからの判断になると管理人は勝手に推測していますが・・・
為替ヘッジ
先進国債券クラスでは、為替ヘッジを行うファンドも多く販売されていますが、
eMAXIS Slim先進国債券インデックスは為替ヘッジを行っていません。
先進国債券の為替ヘッジ有無の違いについては下記記事を参考にして下さい。
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eMAXIS Slim先進国債券インデックスの運用状況(評価・人気)
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からeMAXIS Slim先進国債券インデックスの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値。
先進国債券自体が、そう大きな資金流入がある資産クラスではありませんが、その中にあって、eMAXIS Slim先進国債券インデックスは、徐々に資金流入を増やし、2021年以降は約10~20億(/月)、そして新NISAが始まった2024年は50億(/月)以上の資金流入があります。先進国債券クラスとしては十分売れている、人気のあるファンドです。
純資産総額も徐々に増えてきており、2024.6末時点で1,454億円。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は2024年6月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
グレーの点線は、コストが0の時ベンチマーク騰落率と一致し、ベンチマーク騰落率から決まるコストと騰落率の関係を示す直線です。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
eMAXIS Slim先進国債券インデックスは、最もコストが低く、その低いコストに応じた高い騰落率となっています。勿論、騰落率でもトップです。
そしてベンチマークとの(コスト要因以外での)乖離も殆どないと推測されます。
eMAXIS Slim 先進国債券インデックスの分配金
eMAXIS Slim 先進国債券インデックスは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、本ファンドは「信託財産の成長を優先とし、原則として分配を抑制する」方針です。
勿論、保有する債券から出た利息はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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さらに新規口座開設で1,500円、各種条件を満たすと最大31,000円がもらえます(要エントリー)。
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インターネット限定新規口座開設者優遇プラン スターワン円定期預金、1年 年0.55%(税引前)と好金利。
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まとめ
eMAXIS Slim先進国債券インデックスは、(実績のある)先進国債券インデックスファンドの中で、信託報酬・実質コストともに最安値。
その低いコストに応じた高い騰落率、ベンチマークとの乖離がない安定した運用、
さらに、資金流入(人気)という点でも問題ありません。
先進国債券に投資しようと考えている方にとって、有力な選択肢となるファンドです。
販売会社
eMAXIS Slim先進国債券インデックスは下記の金融機関で購入出来ます。
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また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
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さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
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個人型確定拠出年金(iDeCo)で取扱っているのは、
尚、先進国債券インデックスファンドは、指定インデックスではない為、NISA(つみたて投資枠)では購入できませんが、NISA(成長投資枠)では購入する事が出来ます。
NISA(つみたて投資枠)で先進国債券に投資したい方はバランスファンドを購入する事になります。
ライバルとなるファンド
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス (本記事)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド
他の先進国債券インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slimシリーズの他のファンドの評価・解説は下記記事をご覧ください。
eMAXIS Slim先進国債券インデックス *本記事