日本を除く先進国の株式に投資するインデックスファンド、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドについて解説します。
[最終更新日:2021.2.2]2021.1決算結果を反映。
[2021.1.4]純資産総額、「最新の騰落率」を2020.12末時点の情報に更新。
[2020.12.15]全て最新情報に更新。
本記事は原則2020.11末日時点の情報に基づき記載しています。
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<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの基本情報
購入・換金手数料なしシリーズは、「徹底した低コスト」、「シンプルで分かりやすい」、「組合わせ方は自由」の三つを特徴・コンセプトとしたニッセイアセットマネジメントが運用するインデックスファンド・シリーズで、インデックスファンド低コスト化の先駆け的存在です。
今回解説するのは、先進国の株式に投資する<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド。
先ず、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの基本情報をまとめます。
運用会社 | ニッセイアセットマネジメント |
設定日 | 2013年12月10日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI KOKUSAI(配当込・ネット) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.1023% |
実質コスト | 0.154%(*) |
純資産総額 | 2,297.8億円(2021.1.29時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 3,009.2億円(2020.11.20時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.03% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
(*)実質コストは2020.11.20決算より
投資対象
ベンチマークはMSCI KOKUSAI(コクサイ)[配当込み・ネット]で、日本を除く先進国の株式に投資します。
ネットとは配当金に対する源泉徴収税を考慮した指数です。
実際の運用では、ファンドが所有する株式から配当が出て、それに各投資国で源泉徴収された後の配当金がファンドの資産となりますので、基本的には配当込・ネットが最も現実に即したベンチマークになります。但し、MSCIが出すネット指数が、日本に対する税率を正確に反映しているとは限りません。詳細は下記記事をご覧ください。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
投資国
投資する国、比率は下図のようになります。
画像引用:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式 月次レポート(2020/11)
先進国といっても米国1国だけで約72%を占めます。
詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
投資銘柄
投資している銘柄は下表のようになります。(組入上位10銘柄)
画像引用:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式 月次レポート(2020/11)
上位10銘柄全てを米国が占めており、アップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、アルファベット(Googleの持ち株会社)など日本でも良く知られた企業が上位になっています。最近話題のテスラも7位に入っています。
手数料(信託報酬、実質コストなど)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、過去の実績では毎年その信託報酬を引下げています。
現時点の信託報酬は0.1023%(税込)。
実質コストは0.154%(税込, 2020.11.20決算時)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
他社 先進国株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
他社の低コスト・先進国株式インデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
尚、SBI・先進国株式インデックス・ファンドだけはベンチマークが異なりFTSE ディベロップド・オールキャップ・インデックス、他は全てMSCI KOKUSAIをベンチマークとするファンドです。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
*野村スリーゼロ先進国株式投信は野村證券・つみたてNISA限定商品ですので参考ファンド扱いとしています。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
-- | 野村スリーゼロ先進国株式投信 | 0% (2030年まで) | 0.039% |
-- | SBI・先進国株式インデックス・ファンド [FTSE] | 0.1022% | 0.135% |
1 | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.1023% | 0.175% |
1 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックス | 0.1023% | 0.154% |
3 | たわらノーロード先進国株式 | 0.10989% | 0.153% |
4 | iFree外国株式インデックス | 0.2090% | 0.246% |
4 | i-SMTグローバル株式インデックス | 0.2090% | 0.251% |
6 | (三菱UFJ)つみたて先進国株式 | 0.2200% | 0.290% |
6 | Smart-i先進国株式インデックス | 0.2200% | 0.336% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
MSCI KOKUSAIをベンチマークとするファンドでは、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスと並び同率で<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスが信託報酬最安値。
実質コストではたわらノーロード先進国株式に次いで僅差の2位。(実質コストは毎年変動します。)
信託報酬の変更履歴
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、基本的には毎年の決算期に信託報酬引下げを行ってきましたが、2018年以降、決算期にかかわらずライバルであるeMAXIS Slimに対抗する引き下げを行っています。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2013/12/10 | 0.4212% | 新規設定 |
2015/11/21 | 0.2592% | |
2016/11/22 | 0.2160% | iFreeに対抗 |
2017/11/21 | 0.20412% | eMAXIS Slim、iFreeに対抗 |
2018/8/21 | 0.11772% | eMAXIS Slimに対抗 |
2019/6/27 | 0.107892% | eMAXIS Slimに対抗 |
2019/10/1 | 0.10989% | 消費税増税(8%-->10%) |
2020/2/21 | 0.10230% | eMAXIS Slimを抜いて単独一位に。 |
2018/1/30に大幅な信託報酬引下げを行ったeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと一時期は大きな差をつけられましたが、異例ともいえる(期中の)2018年8月の引下げでeMAXIS Slim 先進国株式インデックスにならび、その後2019年6月にも両社引下げを行いました。
2019/10/1にはたわらノーロード先進国株式が信託報酬引下げを行い、一時この3本が同率で並んでいましたが、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式、そしてeMAXIS Slimが再度の引下げ、現時点で2本が同率最安値となっています。
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<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額から<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
2015年中頃より現在に至るまで毎月10~50億円程度の大きな資金流入があり、純資産総額は2,000億円を突破、低コスト・先進国株式インデックスファンドの中では最も大きな純資産総額です。
ただ、最近、ちょっとその人気に陰りが出てきたのか、ライバルのeMAXIS Slim 先進国株式に資金流入額で大きな差をつけられるようになりました。
また、月によっては大きな資金流出があり、その影響で例えば2020.11のように資金流出入額が約1億と極端に小さくなることがあります。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
*ベンチマークは同じMSCI KOKUSAIでも配当込・除くなどファンドにより異なりますが、実際の運用は両者で変わらない事から、配当込で配当課税を適切に考慮したインデックスを、ここではベンチマークと定義します。
下図は、2020年11月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
*多くのファンドがコスト起因以外でのベンチマークとの乖離はないだろうという前提で評価。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、この1年間騰落率ではベンチマークとの大きな乖離ありません。そして騰落率もeMAXIS Slim、たわらノーロードと概ね同じ高い値となっています。
但し、厳密には2020年6月に若干のプラス乖離を起こしており(管理人の推測で公式な情報ではありません)、その結果、上図騰落率がeMAXIS Slimなどより高くなっています。
さらに、過去には2018年2月(この時は数回のプラス・マイナス乖離で最終的にはプラマイゼロに近くなった)、2016年11月とニッセイAMが公式に発表した分でも2回の大きな乖離が発生しています。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの分配金
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
最新の騰落率[利回り](eMAXIS Slim先進国株式インデックスなどと比較) ~2021年1月末日時点~
最新の騰落率をライバルファンドとともにまとめます。
*3年、5年騰落率は年率表記。
[表をクリックすると拡大します]
*1月の結果ですので年初来と1カ月騰落率は同じです。
概ねeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと同等、もしくは若干上回る騰落率を示しています。
但し、1年で<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの騰落率が高いのは、前述のように2020.6.1に若干のプラス乖離を起こした事にも起因しています。
*プラス側と言えどもベンチマークから乖離が生じる事は良い事ではありません。
まとめ
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは先進国株式ファンドとしてeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと人気を二分するファンドです。
一時期は信託報酬でeMAXIS Slim 先進国株式インデックスに大きな差をつけられましたが、2018年8月以降は概ね同一水準となり、たわらノーロード先進国株式を加えた3本が激しい競争を繰り広げています。
懸念点は運用の安定性に若干の不安がある事(大きな乖離は2018年2月以前の話で、それ以降は概ね問題ありません)。
販売会社
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは下記の金融機関で購入出来ます。
*主にネット証券、ネット取引での取扱いとなります。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト楽天証券、楽天カード
SMBC日興証券(ダイレクトコース)
大手店頭証券で唯一超低コストファンドを取扱い(ダイレクトコースのみ)。
国内株式を定額(100円~)、買付手数料無料(100万円以下)で買付・積立出来、さらにdポイントも使えるキンカブ・日興フロッギーも魅力の証券会社。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイトSMBC日興証券
松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
(つみたてNISAでも購入可能、但しリバランス積立はつみたてNISAでは非対応)
公式サイト松井証券
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。(上記金融機関でもつみたてNISAを取扱っていない場合があります)
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)で取扱っているのはSBI証券 iDeCo(セレクトプラン)です。
ライバルとなるファンド
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド (本記事)
他の先進国株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。