先進国リートに投資し、S&P先進国REITインデックス(除く日本)との連動を目指すインデックスファンド、eMAXIS Slim先進国リートインデックスについて解説します。
[最終更新日:2020.7.24]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2020.6末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
eMAXIS Slim 先進国リートインデックスの基本情報
eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」をコンセプトとした三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンドで、「他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準を目指し続ける」と公表しています。実際、設定から既に数回の信託報酬引下げを行い、常に最低水準の座を維持しています。
今回解説するのは国内リートに投資するeMAXIS Slim 先進国リートインデックス。2019年10月31日に設定された比較的新しいファンドです。
先ずeMAXIS Slim 先進国リートインデックスの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
設定日 | 2019年10月31日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込み) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.2200% |
実質コスト | 0.340% |
純資産総額 | 22.69億円(2020.7.22時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 302.17億円(2020.1.6時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | --- |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | 0.048% |
投資対象
ベンチマークはS&P先進国REIT指数[配当込み、除く日本]で先進国の不動産投資信託証券に投資します。
*S&P先進国REIT指数[除く日本]は日本を除く16カ国から構成される先進国リートの時価総額加重型指数です。米国比率が73%とかなり高くなっています。
マザーファンド
eMAXIS Slim先進国リートインデックスは、ファミリーファンド方式で、下記マザーファンドに投資します。
画像引用:eMAXIS Slim先進国リートインデックス交付目論見書
MUAM G-REITマザーファンドはeMAXIS先進国リートインデックス(Slimがつかない)と同じマザーファンドで、約300億円の純資産を保有しています。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
eMAXIS Slim先進国リートインデックスの最大の魅力は何と言っても信託報酬の低さ。
先進国リートインデックスファンドとしては最低水準の0.2200%(税込)。
実質コストは初回決算で0.340%(約半年分の決算結果を1年に換算した概算値です)。既存のマザーファンドで運用するだけに、信託報酬以外のコストも問題ありません。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
受益者還元型信託報酬
eMAXIS Slim先進国リートインデックスは、下表のように純資産総額に応じて信託報酬率が変わる受益者還元型信託報酬を採用しています。
純資産総額 | 信託報酬(税込) |
500億円未満の部分 | 0.2200% |
500億円以上1,000億円未満の部分 | 0.21945% |
1,000億円以上の部分 | 0.2189% |
純資産総額が500億円(または1,000億円)を超えると、超えた部分についてより低い信託報酬が適用されるという事です。
ただ、先進国リートクラスは、そう大きな資金流入があるアセットクラスではありませんので、純資産総額500億円到達はまだまだ先の事になるでしょう。
他社先進国リートインデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
S&P先進国REIT指数をベンチマークとする他社の低コスト・インデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim 先進国リートインデックス | 0.2200% | 0340% |
1 | Smart-i 先進国リートインデックス | 0.2200% | 0.497% |
3 | たわらノーロード先進国リート | 0.2970% | 0.453% |
3 | 三井住友・DC外国リートインデックス | 0.2970% | 0.536% |
(注) | <購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックス | 0.2970% | 0.400% |
5 | iFree 外国REITインデックス | 0.3410% | 0.411% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値。
(注)<購入・換金手数料なし>ニッセイ・グローバルリートインデックスはベンチマークが先進国だけでなく新興国をも含むS&Pグローバルリートインデックス。
先進国リート・インデックスファンドの中ではSmart-i 先進国リートインデックスとならび信託報酬最安値、3位のたわらノーロード先進国リートなどに0.08%の差をつけています。
Smart-i 先進国リートインデックスは信託報酬以外のコストが高く、実質コストで見るとeMAXIS Slimが単独最安値です。
信託報酬の変更履歴
eMAXIS Slim先進国リートインデックスは未だ設定されたばかりで信託報酬引下げの実績はありません。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2019/10/31 | 0.2200% | 新規設定 |
??? | ??? | ??? |
もし他社がeMAXIS Slim以下の信託報酬になったとしても、そのコンセプト通りであればeMAXIS Slimも追従して引き下げると予測されます。
eMAXIS Slim先進国リートインデックスの運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からeMAXIS Slim先進国リートインデックスの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値。
先進国リートは、そう大きな資金流入を見込めるアセットクラスではありませんが、それでもeMAXIS Slim先進国リートインデックスは、ここ数カ月3~4億円/月の安定した資金流入があります。まずまずの人気と言って良いでしょう。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は2020年6月末日時点の実質コストに対する6カ月騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
グレーの点線は、コストが0の時ベンチマーク騰落率と一致し、ベンチマーク騰落率から決まる傾きの直線です。(外国税引き後の正確なベンチマーク騰落率は分かりませんので管理人の主観で線を引いています)
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
ただ、騰落率とコストの関係が二つのグループに分かれているような結果に見える為、グレーの点線も2本引いてあります。
もともと先進国リートはコストと騰落率の相関が弱い事が多く、上図でも騰落率とコストの関係が二つのグループに分かれているように見えます。どちらが、よりベンチマークに近い運用になっているかは判断できませんが、上方の点線が正しいと仮定すると、eMAXIS Slim先進国リートインデックスは、ベンチマークとのコスト要因以外の乖離がない安定した運用になっていると言えます。
そして、ここで比較したファンドの中で最も高い騰落率となっています。
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まとめ
eMAXIS Slim先進国リートインデックスは、eMAXIS Slimシリーズの中では同時期に新規設定されたeMAXIS Slim国内リートとともに最も新しいファンドです。
先進国リートクラスとしては大きく、かつ安定した資金流入があり、早くも人気を集めています。
運用(ベンチマークとの乖離)という点では、先進国リートでは騰落率のコスト依存性が悪く、正確な判断は出来ませんが、概ね乖離のない運用になっていると推測されます。そして、その低いコストに応じた高い騰落率になっています。
今まで、国内リート同様、先進国リートクラスには突出したファンドがなかっただけに、同率ながら信託報酬最安値で登場したeMAXIS Slim先進国リートインデックスは有力な選択肢の一つとなるでしょう。
販売会社
eMAXIS Slim先進国リートインデックスは下記の金融機関で購入出来ます。
*主にネット証券、ネット取引での取扱いとなります。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
公式サイト楽天証券、楽天カード
SMBC日興証券(ダイレクトコース)
大手店頭証券で唯一eMAXIS Slimシリーズを取扱い(ダイレクトコースのみ)。
国内株式を定額(100円~)、買付手数料無料(100万円以下)で買付・積立出来、さらにdポイントも使えるキンカブ・日興フロッギーも魅力の証券会社。
公式サイトSMBC日興証券
松井証券
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尚、先進国リート・インデックスファンドはつみたてNISAで購入する事は出来ません。
つみたてNISAで先進国リートに投資したい方は、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)などのバランスファンドを購入する事になります。
ライバルとなるファンド
eMAXIS Slim先進国リートインデックス (本記事)
他の先進国リートインデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slimシリーズの他のファンドの評価・解説は下記記事をご覧ください。
eMAXIS Slim先進国リートインデックス *本記事