東証REIT指数との連動を目指す国内リートインデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、運用成績(騰落率、ベンチマークとの乖離)を調査します。
[最終更新日:2024.7.16]全て最新の情報に更新。
*本記事は原則2024年6月末日時点の情報に基づき記載しています。
先ず、各ファンドの純資産総額、及び月次資金流出入額から人気のファンドを調べます。
さらに、各ファンドにより実質コスト(信託報酬+α)は異なりますが、それがちゃんとファンド騰落率に反映されているか、そしてベンチマークとの乖離を確認します。
*原則6カ月毎に更新します。
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見出し
比較した国内リート(J-REIT)インデックスファンド、その信託報酬・実質コスト・純資産総額
比較したファンド、及び、その信託報酬・実質コスト、設定日、2024年6月末日時点の純資産総額を下表にまとめます。(信託報酬の低い順に並べてあります)
*DC専用ファンド、ETFは参考値扱い。(表中グレーの行のファンド)
*信託報酬、実質コストは税込み表記。
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額(億円) |
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信[ETF:1343] | 0.1705% (0.202%) | 2008/9/17 | 4,630 |
iFreeETF 東証REIT指数[ETF:1488](*2) | 0.1705% (0.209%) | 2016/10/24 | 2,094 |
eMAXIS Slim国内リートインデックス | 0.1870% (0.191%) | 2019/10/31 | 190.3 |
Smart-i Jリートインデックス | 0.1870% (0.195%) | 2017/8/29 | 50.5 |
DCニッセイJ-REITインデックスファンドA(*1) | 0.1870% (0.192%) | 2016/10/21 | 58.0 |
NZAM・ベータ 日本REIT | 0.2640% (0.271%) | 2020/3/12 | 4.8 |
たわらノーロード国内リート | 0.2750% (0.278%) | 2015/12/18 | 137.1 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド | 0.2750% (0.276%) | 2013/6/28 | 162.7 |
三井住友・DC日本リートインデックスファンド | 0.2750% (0.318%) | 2016/9/23 | 70.7 |
My SMT J-REITインデックス | 0.2750% (0.290%) | 2022/3/29 | 24.0 |
iFree J-REITインデックス | 0.3190% (0.328%) | 2016/9/8 | 21.5 |
eMAXIS 国内リートインデックス | 0.4400% (0.444%) | 2009/10/28 | 145.1 |
野村インデックスファンド・J-REIT[Funds-i] | 0.4400% (0.445%) | 2010/11/26 | 70.4 |
SMT J-REITインデックス・オープン | 0.4400% (0.451%) | 2008/1/9 | 340.6 |
(*1)参考データとして比較するDCニッセイJ-REITインデックスファンドAは2023.5.13に信託報酬を0.275-->0.187%に引き下げました。マネックス証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)で取扱っています。
(*2)iFreeETF 東証REIT指数は2023.4.4にダイワ上場投信-東証REIT指数から名称変更しました。
信託報酬最安値はSmart-i JリートインデックスとeMAXIS Slim国内リートインデックス。3位以下を大きく引き離しての同率トップです。
Smart-i Jリートインデックスは初回決算では実質コストが0.358%(消費税8%)と信託報酬以外のコストが非常に高くなっていましたが、2期目決算で0.228%(以降消費税10%)、3期目決算で0.204%、4期目以降は実質コストとしても問題なくなりました。
一方、信託報酬同率首位のeMAXIS Slim国内リートインデックスは初回決算から実質コストは低く、0.191%とSmart-i より若干勝っています。
また、純資産総額も設定が2年遅れのeMAXIS SlimがSmart-i を既に追い越しています。
信託報酬3位は農林中金全共連アセットマネジメントのNZAM・ベータ 日本REIT。ただ、未だ殆ど売れていません。
純資産総額トップはSMT J-REITインデックス・オープン。設定から16年半の歴史あるファンドです。
最新の信託報酬・実質コスト等は下記記事を参照して下さい。
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資金流出入額 [国内リート(J-REIT)インデックスファンド 人気ランキング]
2024年上半期(1~6月)の概算の月次資金流出入額(*)6カ月合計、及び2023年合計を見てみます。
2024年上半期の資金流出入額が大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事は、それだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなく、ファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
2024年上半期(1~6月) | 2023年 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
1 | eMAXIS Slim国内リートインデックス | 41.6 | 1 | 35.8 |
2 | My SMT J-REITインデックス・オープン | 11.3 | 5 | 8.0 |
3 | 三井住友・DC日本リートインデックスファンド | 4.2 | 4 | 8.7 |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド | 3.4 | 8 | 3.0 |
5 | たわらノーロード国内リート | 3.4 | 3 | 10.0 |
6 | Smart-i Jリートインデックス | 3.0 | 6 | 6.3 |
7 | NZAM・ベータ 日本REIT | 0.8 | 7 | 3.0 |
8 | eMAXIS 国内リートインデックス | -0.1 | 10 | 0.0 |
9 | iFree J-REITインデックス | -0.9 | 9 | 2.3 |
10 | 野村インデックスファンド・J-REIT[Funds-i] | -4.0 | 11 | -5.7 |
11 | SMT J-REITインデックス・オープン | -15.1 | 2 | 16.8 |
参考 | DCニッセイJ-REITインデックスファンドA | 3.7 | 参考 | 2.0 |
2024年上半期の1位は、順当に信託報酬・実質コスト最安値のeMAXIS Slim国内リートインデックス。2023年も1位です。
2位がMy SMT。2023年の5位からアップです。
3位が三井住友・DC日本リートインデックスファンド。
信託報酬でeMAXIS Slimと並び同率最安値のSmart-i Jリートインデックスは6位(2024年上半期、2023年とも)とふるいません。
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リターンの比較。実質コスト(信託報酬+α)が騰落率に反映されているか? ベンチマークとの乖離は?
2024年6月末時点の各ファンドの騰落率を見てみます。
*騰落率は各ファンドの基準価額から管理人が独自に計算した結果です。
*騰落率は全て分配金再投資時(分配金課税無)の基準価額より計算。
*実質コストに対する騰落率を見ていきますが、期中に信託報酬の変更があったファンドは、その期間に応じて按分した実質コストを用います。
騰落率とコストの関係は、理想的には配当課税を適切に考慮したインデックス(指数)騰落率(これを「真のインデックス」と定義)から決まる傾き、切片の直線になります。国内リートの場合、配当が出ると、それに課税される事無くファンドの資産に入りますので、配当込指数が「真のインデックス騰落率」となります。
図中、茶色の横線は配当込指数の値です。そして、グレーの点線が傾きが-(1+インデックス騰落率)、切片(コストが0の時)がインデックス騰落率(=配当込指数)の直線です。
*配当込み指数値は日本取引所グループ・サイトより引用。
6カ月騰落率
実質コスト(/2)に対して6カ月騰落率をプロットします。
殆どのファンドが、配当込み指数から決まる図中グレーの点線上にあります。
これはコスト要因以外でのベンチマークからの乖離がない運用になっている事を意味します。
ただ、三井住友・DC、及びFunds-iがプラス側に乖離しているように見えます。
1年騰落率
次に1年騰落率です。
本来なら配当込指数から決まるグレーの点線上に各ファンドの騰落率がのらなければなりませんが、今期の評価では殆どのファンドがプラス側にシフトしています。(理由は分かりません。)
そこで、多くのファンドが乖離がないであろうとの前提のもと管理人の主観で描いた線がグリーンの点線。
この点線に対して乖離を評価していきます。
このグリーンの点線に対しても、6カ月同様、三井住友・DC、Funds-iがプラス側に乖離しているように見えます。
その他のファンドは、コスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない運用になっており、騰落率も、それぞれのコストに応じた値になっています。
そして、順当に信託報酬最安値のeMAXIS Slim、Smart-i 、DCニッセイの騰落率が高くなっています。
尚、今回の評価ではコストと騰落率の相関が比較的良くなっていますが(配当込指数から決まる線からプラス側にシフトしているという点を除けば)、国内リートは全般的に各ファンド、ベンチマークとの乖離という点で苦労しているようです。(eMAXIS Slimでさえも2020.3には大きな乖離を起こした事があります)
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まとめ & 国内リートのおすすめファンド(投資信託)は?
以上、国内REIT(リート)インデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、騰落率、さらにベンチマークとの乖離を評価しました。
信託報酬最安値はSmart-i JリートインデックスとeMAXIS Slim国内リートインデックスの2本。
売れているのはeMAXIS Slim国内リートインデックス。
そして、ファンドによっては(コスト要因以外での)ベンチマークとの乖離を起こしています。
国内リート(J-REIT)インデックスのおすすめファンド
本サイトが選ぶ現時点でのおすすめファンドは、
信託報酬・実質コスト最安値、資金流入も多く純資産総額も順調に伸びており、ベンチマークとの乖離も小さい運用となっている
*「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なファンドの選択はご自身の判断で行ってください。
販売会社
eMAXIS Slim国内リートインデックスは主にネット証券で取り扱っています。
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尚、国内リート・インデックスファンドはNISA(つみたて投資枠)では購入できません。成長投資枠か、あるいはつみたて投資枠で国内リートに投資したい場合はバランスファンドを購入する事になります。
また、eMAXIS Slim国内リートインデックスは個人型確定拠出年金(iDeCo)では松井証券が取り扱っています。
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国内リートではETFも充実しています。東証REIT指数との連動を目指すETFについては下記記事を参照して下さい。
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