S&P先進国REIT指数との連動を目指す先進国リートインデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、運用成績(騰落率、ベンチマークとの乖離)を調査します。
*<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックスファンドも同時に評価しますが、本ファンドだけはベンチマークが新興国を含むS&Pグローバルリートインデックスです。
*原則3~6カ月毎に更新します。
[最終更新日:2021.1.12]2020年12月末日時点の情報に更新
S&P先進国REIT指数って何? 先進国ってどこの国?っていう方は下記の記事をご覧ください。
参考記事【外国REITインデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
*本記事は2020年12月末日時点の情報に基づき記載しています。
先ず、各ファンドの純資産総額、及び月次資金流出入額から人気のファンドを調べます。
さらに、各ファンドにより実質コスト(信託報酬+α)は異なりますが、それがちゃんとファンド騰落率に反映されているか、そしてベンチマークとの乖離を確認します。
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見出し
比較した先進国リート(REIT)インデックスファンド、その信託報酬・実質コスト・純資産総額
比較したファンド、及び、その信託報酬・実質コスト、設定日、2020年12月末日時点の純資産総額を下表にまとめます。(信託報酬の低い順に並べてあります)
*信託報酬は税込み、実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかるとして消費税率10%に換算した概算値です。
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額(億円) |
eMAXIS Slim 先進国リートインデックス | 0.2200% (0.340%) | 2019/10/31 | 38.4 |
Smart-i 先進国リートインデックス | 0.2200% (0.497%) | 2017/8/29 | 13.9 |
たわらノーロード先進国リート | 0.2970% (0.527%) | 2015/12/18 | 90.5 |
三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.2970% (0.536%) | 2016/9/23 | 79.0 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックスファンド | 0.2970% (0.400%) | 2013/12/10 | 73.8 |
iFree 外国REITインデックス | 0.3410% (0.411%) | 2016/9/8 | 3.8 |
野村インデックスファンド・外国REIT[Funds-i] | 0.6050% (0.676%) | 2010/11/26 | 37.2 |
SMT グローバルREITインデックス・オープン | 0.6050% (0.676%) | 2008/1/9 | 198.7 |
eMAXIS 先進国リートインデックス | 0.6600% (0.720%) | 2009/10/28 | 112.7 |
信託報酬最安値はSmart-i 先進国リートインデックス、そして2019年10月30日に設定されたeMAXIS Slim 先進国リートインデックス、3位以下を大きく引き離しての同率トップです。
eMAXIS Slim 先進国リートインデックス、初回決算ながら実質コスト(年率) 0.340%(約半年分の決算期間を年率に換算した参考値)と判明、これは単独最安値です。また、純資産総額も38億とSmart-iを既に上回っています。
Smart-i 先進国リートインデックスは、1期目決算結果で実質コスト0.603%(消費税8%)、2期目決算(2019.6) 0.541%(消費税10%)、3期目決算(2020.6) 0.497%(消費税10%)と下がってきてはいますが、まだ信託報酬以外のコストが高くなっています。純資産総額も14億円と大きくありません。
純資産総額トップはSMT グローバルREITインデックス・オープン。設定から10年を超える歴史のあるファンドです。
尚、ベンチマークが異なり新興国も含みますが<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートは実質コストも低く、純資産も比較的大きくなっています。
最新の信託報酬・実質コスト等は下記記事を参照して下さい。
資金流出入額 [先進国リート(REIT)インデックスファンド 人気ランキング]
2020年10~12月の概算の月次資金流出入額(*)3カ月合計、及び2020年累計(12月までの1年間)を見てみます。
2020年10~12月の資金流出入額が大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事は、それだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなく、ファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
2020年10~12月 | 2020年累計 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
1 | eMAXIS Slim先進国リートインデックス | 8.2 | 1 | 33.0 |
2 | 三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 5.5 | 4 | 26.0 |
3 | たわらノーロード先進国リート | 3.6 | 2 | 31.5 |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックスファンド | 3.6 | 6 | 12.6 |
5 | SMT グローバルREITインデックス・オープン | 3.5 | 3 | 30.3 |
6 | eMAXIS 先進国リートインデックス | 1.2 | 5 | 17.6 |
7 | iFree 外国REITインデックス | 1.1 | 9 | 1.5 |
8 | 野村インデックスファンド・外国REIT[Funds-i] | 0.5 | 8 | 4.2 |
9 | Smart-i 先進国リートインデックス | 0.1 | 7 | 5.8 |
2020年7~9月期までは たわらノーロード先進国リートがトップでしたが、2020年12月末日時点では、直近3ケ月、及び2020年累計とも、信託報酬最安値のeMAXIS Slim 先進国リートインデックスが資金流入額トップに躍り出ました。
尚、同率信託報酬最安値のSmart-i 先進国リートインデックスは、あまり人気がありません。
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リターンの比較。実質コスト(信託報酬+α)が騰落率に反映されているか? ベンチマークとの乖離は?
2020年12月末時点の各ファンドの騰落率を見てみます。
*騰落率は各ファンドの基準価額から管理人が独自に計算した結果。
*ベンチマーク値もプロット。米国S&P Dow Jones Indices社サイトのデータを引用、さらに三菱UFJ銀行の為替レートを使って管理人が独自に円換算。
*実質コストに対する騰落率を見ていきますが、期中に信託報酬の変更があったファンドは、その期間に応じて按分した実質コストを用います。(期中平均コストは基準価額の変動を考慮せず)
騰落率とコストの関係は、理想的には配当課税を適切に考慮したインデックス(指数)騰落率(これを「真のインデックス」と定義)から決まる傾き、切片の直線になります。ただ、外国リートの場合、「真のインデックス」騰落率がわかりませんので、管理人の主観で図中グレーの点線を引いています。
*S&P社は配当課税を考慮したネット指数も出していますが、配当課税は日本に対して適切なものではありません。経験上、「真のインデックス」は配当課税を考慮しないグロスとネットの中間にあると思われます。
(注)本評価では、多くのファンドがベンチマークとの乖離がないであろうとの仮定・前提のもと、この「多くのファンド」から外れた騰落率を示すものを「乖離」と判定します。評価方法やインデックスの詳細については下記記事をご覧ください。
*<購入・換金手数料なし>ニッセイもプロットしていますが、ベンチマークが異なりますので参考値です。また、この短期間のデータだけでベンチマークの優劣をつけられるものでもありません。
3カ月騰落率
実質コスト(/4)に対して3カ月騰落率をプロットします。
先進国リートの場合、コストと騰落率の相関が悪く、ファンドによってはコスト要因以外でのベンチマークとの乖離が生じているようです。
その中で、Funds-iが若干プラス側に乖離しているようです。
*但し管理人の主観で引いた図中点線のY切片が指数(ネット)値より小さく、理解に苦しむ点もあります。逆にFunds-iがベンチマークにより近く、他の多くのファンドがマイナス乖離している可能性も否定は出来ません。
1年騰落率
次に実質コストに対して1年騰落率をプロットします。
1年騰落率でも依然相関が悪く、図中、二本の点線を引いています。おそらく、この二本の内側に「真のインデックス騰落率」から決まる直線が存在すると思われます。
これらの線より下方にプロットされるSmart-iやたわらノーロードはマイナス乖離していると推測します。
そして、騰落率トップは、順当に信託報酬・実質コスト最安値のeMAXIS Slim。
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まとめ & 先進国リートのおすすめファンド(投資信託)は?
以上、先進国REIT(リート)インデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、騰落率、さらにベンチマークとの乖離を評価しました。
信託報酬最安値はSmart-i、eMAXIS Slim、実質コスト最安値はeMAXIS Slim、
そして、2020年最も売れたのはeMAXIS Slim。
総じて先進国リートではコストと騰落率の相関があまり良くなく、ファンドによりコスト要因以外でベンチマークとの乖離が生じる事が多いようです。そして、どのファンドの乖離が少ないかを正確に判断する事は出来ませんでした。
先進国リート(REIT)インデックスのおすすめファンド
本サイトが選ぶ現時点でのおすすめファンドは、前述のようにベンチマークとの乖離という点では明確な結論を得る事が出来ませんでしたが、少なくとも大きな乖離は起こしていないと推測され、信託報酬・実質コスト最安値、そして最も売れている、
*「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なファンドの選択はご自身の判断で行ってください。
販売会社
eMAXIS Slim 先進国リートインデックスは主にネット証券で取り扱っています。
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尚、先進国リート・インデックスファンドはつみたてNISAでは購入できません。つみたてNISAで先進国リートに投資したい場合はバランスファンドを購入する事になります。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)では唯一松井証券が取り扱っています。
公式サイト松井証券 iDeCo
他社の個人型確定拠出年金(iDeCo)ではSBI証券(セレクトプラン・オリジナルプラン)、楽天証券、マネックス証券が三井住友・DC、松井証券、イオン銀行がたわらノーロードを取扱っています。
*松井証券iDeCoはeMAXIS Slim、たわらノーロード両方を取扱い。
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