FTSE世界国債インデックスとの連動を目指す先進国債券インデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、運用成績(騰落率、ベンチマークとの乖離)を調査します。
*先進国債券では多くの運用会社が為替ヘッジ有無の2商品を提供していますので両者について比較します。
*原則6カ月毎に更新します。
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[最終更新日:2021.1.14]2020年12月末日時点の情報に更新。
FTSE世界国債って何? 先進国ってどこの国?っていう方は下記の記事をご覧ください。
参考記事【外国債券インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
*本記事は原則2020年12月末日時点の情報に基づき記載しています。
先ず、各ファンドの純資産総額、及び月次資金流出入額から人気のファンドを調べます。
さらに、各ファンドにより実質コスト(信託報酬+α)は異なりますが、それがちゃんとファンド騰落率に反映されているか、そしてベンチマークとの乖離を確認します。
尚、ベンチマークとの乖離、各社、決算時の運用報告書や月報に記載されていますが、これを信じてはいけません。同じFTSE世界国債インデックスといっても、各社のベンチマーク騰落率は円換算レートの違いなどにより異なるからです。
見出し
比較した先進国債券インデックスファンド、その信託報酬・実質コスト・純資産総額
比較したファンド、及び、その信託報酬・実質コスト、設定日、2020年12月末日時点の純資産総額を下表にまとめます。(信託報酬の低い順に並べてあります)
*信託報酬は税込み、実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかるとして消費税率10%に換算した概算値です。
*DC専用ファンドは参考値扱い。(表中グレーの行のファンド)
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額(億円) |
為替ヘッジなし | |||
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 0.1540% (0.170%) | 2017/2/27 | 163.3 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 0.1540% (0.192%) | 2013/12/10 | 153.0 |
たわらノーロード先進国債券 | 0.1870% (0.203%) | 2015/12/18 | 190.5 |
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジなし) | 0.1870% (0.221%) | 2017/8/29 | 6.2 |
iFree 外国債券インデックス | 0.1980% (0.232%) | 2016/9/8 | 27.7 |
三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 0.2310% (0.264%) | 2002/4/1 | 709.9 |
SMTグローバル債券インデックス・オープン | 0.5500% (0.579%) | 2008/1/9 | 202.3 |
外国債券インデックスe | 0.5500% (0.569%) | 2010/4/6 | 29.8 |
野村インデックスファンド・外国債券[Funds-i] | 0.6050% (0.624%) | 2010/11/26 | 20.5 |
eMAXIS 先進国債券インデックス | 0.6600% (0.675%) | 2009/10/28 | 133.7 |
インデックスファンド海外債券(ヘッジなし) | 0.7370% (0.756%) | 2001/10/17 | 96.4 |
為替ヘッジあり | |||
インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 0.1760% (0.196%) | 2002/12/10 | 65.6 |
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.1870% (0.216%) | 2017/8/29 | 8.3 |
たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり> | 0.2200% (0.235%) | 2016/10/3 | 91.8 |
SMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり) | 0.5500% (0.577%) | 2013/12/27 | 34.2 |
野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型[Funds-i] | 0.6050% (0.621%) | 2013/9/12 | 12.1 |
eMAXIS 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.6600% (0.675%) | 2016/7/1 | 2.7 |
インデックスファンド海外債券(ヘッジあり) | 0.7370% (0.756%) | 2001/10/17 | 9.1 |
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
信託報酬最安値は2019年5月14日に信託報酬を引き下げたeMAXIS Slim先進国債券インデックス、これに対抗して2019年6月24日に引き下げた<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンドの2本。
そして、これに続く二番手グループが
- たわらノーロード先進国債券
- Smart-i先進国債券インデックス(為替ヘッジなし)
となっています。
実質コストではeMAXIS Slim先進国債券インデックスが最も低くなっています。
純資産総額1位は三井住友・DC外国債券インデックスファンド。設定が古く、かつ信託報酬も最安値では無いもののそこそこ低い事から、2位以下を大きく引き離してのトップです。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
信託報酬1位はSmart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)。2019.2.26の信託報酬引下げで2位以下との差をさらに広げました。設定当初は信託報酬以外のコストが高くなっていましたが、徐々に下がり実質コストでも最安値です(まだ信託報酬以外のコストが若干高めですが)。純資産総額は8.3億とまだ大きくありません。
純資産総額1位は、信託報酬2位のたわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり>。純資産2位のSMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)との差は徐々に広がっています。
尚、参考データとして取り上げた信託報酬最安値のインデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)は、SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)セレクトプランで取扱っています。
最新の信託報酬・実質コスト等は下記記事を参照して下さい。
資金流出入額 [先進国債券インデックスファンド 人気ランキング]
2020年下半期(7~12月)の概算の月次資金流出入額(*)6カ月合計、及び2020年1年間の累計を見てみます。
2020年下半期の資金流出入額が大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事は、それだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなく、ファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
2020年7~12月 | 2020年累計 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
為替ヘッジなし | ||||
1 | eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 47.1 | 1 | 86.8 |
2 | たわらノーロード先進国債券 | 38.8 | 2 | 70.5 |
3 | 三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 15.3 | 3 | 28.7 |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 15.1 | 4 | 24.6 |
5 | iFree 外国債券インデックス | 8.2 | 7 | 9.0 |
6 | SMTグローバル債券インデックス・オープン | 6.7 | 6 | 10.8 |
7 | eMAXIS 先進国債券インデックス | 4.8 | 5 | 17.1 |
8 | Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジなし) | 2.1 | 8 | 4.4 |
9 | 野村インデックスファンド・外国債券[Funds-i] | 0.5 | 9 | -0.2 |
10 | 外国債券インデックスe | -1.4 | 10 | -3.7 |
11 | インデックスファンド海外債券(ヘッジなし) | -1.4 | 11 | -4.3 |
為替ヘッジあり | ||||
1 | たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり> | 17.3 | 1 | 27.8 |
2 | SMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり) | 2.3 | 3 | 3.0 |
3 | 野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型 | 1.9 | 4 | 2.4 |
4 | Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 1.4 | 2 | 3.2 |
5 | eMAXIS 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.8 | 5 | 0.9 |
6 | インデックスファンド海外債券(ヘッジあり) | -0.3 | 6 | -0.6 |
参考 | インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 7.3 | 参考 | 19.2 |
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
2020年下半期、2020年累計とも、
順当に信託報酬最安値のeMAXIS Slimがトップです。そして、若干信託報酬は上がるものの比較的低コストのたわらノーロードが2位。
同率で信託報酬最安値の<購入・換金手数料なし>ニッセイは4位と伸び悩んでいます。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
2020年下半期、2020年累計とも、
2位以下に大差をつけており独り勝ちと言っても良いでしょう。
信託報酬最安値のSmart-iは2020年年間で2位につけてはいるものの、まだたわらノーロードとは大きな差があります。
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リターンの比較。実質コスト(信託報酬+α)が騰落率に反映されているか? ベンチマークとの乖離は?
2020年12月末時点の各ファンドの騰落率を見てみます。
*騰落率は各ファンドの基準価額から管理人が独自に計算した結果です。
*実質コストに対する騰落率を見ていきますが、期中に信託報酬の変更があったファンドは、その期間に応じて按分した実質コストを用います。
騰落率とコストの関係は、理想的にはインデックス騰落率から決まる傾き、切片の直線になります。
先進国債券の場合、利息に対する課税はほぼありませんので(*1)、外国株式のようにグロス・ネットを考慮する必要はありません。ただ為替レートの違いか各社のベンチマーク騰落率は異なります(*2)。ここではたわらノーロード月報記載のベンチマーク騰落率をインデックス騰落率とします。
(注)本評価では、多くのファンドがベンチマークとの乖離がないであろうとの仮定・前提のもと、この「多くのファンド」から外れた騰落率を示すものを「乖離」と判定します。評価方法やインデックスの詳細については下記記事をご覧ください。
(*1)引用: K-ZONE money : 投信フォーカス 取り戻せない「海外源泉徴収税」の実態を知る - 注目の投信 - 投資信託
(*2)為替ヘッジ無の場合。為替ヘッジ有では各社のベンチマーク騰落率は同じ値となっています。
(注)グラフ中のファンド名称は略称で記載しています。尚、日興AMの「インデックスファンド海外債券(ヘッジなし・あり)」は"日興"、DC専用の「インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)」は"日興DC"と記載します。
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
2020.12月末時点の6カ月、及び1年騰落率と実質コストの関係を見てみます。
6カ月騰落率
図中グレーの点線が(たわらノーロードの)インデックス騰落率から決まる直線ですが、6カ月騰落率では多くのファンドがプラス側に位置しています。利息収入がファンド資産に計上される日がベンチマークと異なるのでしょうか?よく分かりません。
そこで、多くのファンドがベンチマークとの乖離がないだろうとの前提で管理人の主観で引いた線がグリーンの点線。これから外れるファンドを乖離が生じていると判定します。
6カ月ではFunds-iがプラス側に、Smart-iがマイナス側に若干乖離しているように見えます。
1年騰落率
1年騰落率では、概ね、各ファンド、グレーの点線上に乗っており(若干マイナス側に位置)、(コスト要因以外での)ベンチマークとの乖離がない運用になっていると思われます。
ただ、Smart-iやSMTがマイナス側に乖離しているようにも見えます。
そして、もっとも騰落率が高いのは信託報酬・実質コスト最安値のeMAXIS Slim先進国債券。順当な結果です。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
同様に6カ月・1年騰落率を見てみます。
6カ月騰落率
6カ月騰落率では、概ね、各ファンド、グレーの点線上に乗っており、(コスト要因以外での)ベンチマークとの乖離がない運用になっていると思われます。
1年騰落率
1年騰落率では、ヘッジ無の6カ月と同様、各ファンド、(たわらノーロードの)インデックス騰落率から決まる直線上にはなく、よりマイナス側のグリーンの点線上(管理人の主観で引いた線)にあります。
このグリーンの点線を基準に考えると、たわらノーロードが若干、Smart-iは大きくマイナス側に乖離しています。これは両ファンドとも2020年3月に起こした乖離に起因するものです。
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まとめ & おすすめファンド
以上、先進国債券(FTSE世界国債)インデックスファンドについて純資産総額、資金流出入額、騰落率、さらにベンチマークとの乖離を評価しました。
人気を集めている=資金流入額が大きいのは、為替ヘッジ無がeMAXIS Slim、ヘッジ有がたわらノーロード。
先進国債券(為替ヘッジなし)のおすすめファンド
そもそも期待リターンが小さい債券クラスだけに、よりコストが重要となります。
そこで、本サイトが選ぶ現時点でのおすすめファンドは信託報酬・実質コスト最安値で、その低コストに応じた高い騰落率、また、純資産総額もゆっくりとしたペースですが増えてきている
先進国債券(為替ヘッジあり)のおすすめファンド
コストは最安値ではないものの比較的低く、資金流入・純資産が大きい
をお勧めとします。
今回は残念ながら若干のマイナス乖離が見られましたが、それでも、コストの低さで他ファンドより高い騰落率を示しています。
また、期待するファンドとしては、信託報酬最安値、そして実質コストでも最安値、
まだ資金流入、純資産総額が小さく、1年騰落率ではベンチマークとの連動性にも問題がありますが、直近6カ月ではそれも解消されており、今後に期待できるファンドでしょう。
*「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なファンドの選択はご自身の判断で行ってください。
eMAXIS Slim先進国債券、Smart-i先進国債券、たわらノーロード 先進国債券は下記の金融機関で購入出来ます。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
公式サイト SBI証券
楽天証券
投資信託保有で毎月楽天ポイントがもらえます。さらに楽天ポイントで投資信託を購入する事も出来ます。また、楽天カード(クレジットカード)で投資信託を積立購入する事が出来ます(上限5万円/月)。勿論ポイント還元があり事実上1%割引で購入出来るようなものです。
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松井証券
松井証券は、複数の投資信託を積立する際、設定したポートフォリオ(配分比率)になるよう自動的に購入商品・金額を調整してくれる「リバランス積立」が魅力(無料で利用可能)。
公式サイト松井証券
尚、先進国債券インデックスファンドはつみたてNISAでは購入できません。つみたてNISAで先進国債券に投資したい場合はバランスファンドを購入する事になります。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)でeMAXIS Slim先進国債券を取り扱っているのはマネックス証券iDeCo、松井証券 iDeCo、SBI証券 iDeCo(セレクトプラン)、たわらノーロード 先進国債券(為替ヘッジ有無とも)を取扱っているのは楽天証券iDeCo、イオン銀行iDeCoです。
マネックス証券 iDeCoでは為替ヘッジなしがeMAXIS Slim、為替ヘッジ有がたわらノーロードをラインアップしています。
他のアセットクラスの最新の情報・結果は↓の記事を参照して下さい。
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先進国債券インデックスファンド(本記事)