FTSE世界国債インデックスとの連動を目指す先進国債券インデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、運用成績(騰落率、ベンチマークとの乖離)を調査します。
*先進国債券では多くの運用会社が為替ヘッジ有無の2商品を提供していますので両者について比較します。
*原則3~6カ月毎に更新します。
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[最終更新日:2019.10.19]2019年9月末日時点の情報に更新。
消費税10%表記に変更。
FTSE世界国債って何? 先進国ってどこの国?っていう方は下記の記事をご覧ください。
参考記事【外国債券インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
*本記事は原則2019年9月末日時点の情報に基づき記載しています。
先ず、各ファンドの純資産総額、及び月次資金流出入額から人気のファンドを調べます。
さらに、各ファンドにより実質コスト(信託報酬+α)は異なりますが、それがちゃんとファンド騰落率に反映されているか、そしてベンチマークとの乖離(トラッキングエラー)を確認します。
尚、ベンチマークとの乖離、各社、決算時の運用報告書や月報に記載されていますが、これを信じてはいけません。同じFTSE世界国債インデックスといっても、各社のベンチマーク騰落率は円換算レートの違いなどにより異なるからです。
参考記事各アセットクラスのインデックスファンドのベンチマーク(配当有無、配当込の場合グロス、ネット)、及びその騰落率のまとめ。
見出し
先進国債券インデックスファンドの最近のニュース
ここ3カ月、特に先進国債券インデックスファンドに関する目新しいニュースはありません。
比較した先進国債券インデックスファンド、その信託報酬・実質コスト・純資産総額
比較したファンド、及び、その信託報酬・実質コスト、設定日、2019年9月末日時点の純資産総額を下表にまとめます。(信託報酬の低い順に並べてあります)
*DC専用ファンドは参考値扱い。(表中グレーの行のファンド)
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額(億円) |
為替ヘッジなし | |||
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 0.1540% (0.170%) | 2017/2/27 | 57.2 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 0.1540% (0.202%) | 2013/12/10 | 114.6 |
たわらノーロード先進国債券 | 0.1870% (0.202%) | 2015/12/18 | 97.0 |
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジなし) | 0.1870% (0.226%) | 2017/8/29 | 1.1 |
iFree 外国債券インデックス | 0.1980% (0.232%) | 2016/9/8 | 16.7 |
三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 0.2310% (0.266%) | 2002/4/1 | 637.5 |
SMTグローバル債券インデックス・オープン | 0.5500% (0.581%) | 2008/1/9 | 172.7 |
外国債券インデックスe | 0.5500% (0.570%) | 2010/4/6 | 32.5 |
野村インデックスファンド・外国債券[Funds-i] | 0.6050% (0.618%) | 2010/11/26 | 19.6 |
eMAXIS 先進国債券インデックス | 0.6600% (0.676%) | 2009/10/28 | 111.6 |
インデックスファンド海外債券(ヘッジなし) | 0.7370% (0.757%) | 2001/10/17 | 96.4 |
為替ヘッジあり | |||
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.1870% (0.217%) | 2017/8/29 | 2.8 |
たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり> | 0.2200% (0.234%) | 2016/10/3 | 55.1 |
インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 0.2860% (0.307%) | 2002/12/10 | 42.5 |
SMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり) | 0.5500% (0.584%) | 2013/12/27 | 30.0 |
野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型[Funds-i] | 0.6050% (0.650%) | 2013/9/12 | 8.9 |
eMAXIS 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.6600% (0.675%) | 2016/7/1 | 1.8 |
インデックスファンド海外債券(ヘッジあり) | 0.7370% (0.758%) | 2001/10/17 | 9.6 |
*参考データとして比較するインデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)は、SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)セレクトプランで取扱っています。
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
信託報酬最安値は2019年5月14日に信託報酬を引き下げたeMAXIS Slim先進国債券インデックス、これに対抗して2019年6月24日に引き下げた<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンドの2本。
そして、これに続く二番手グループが
- たわらノーロード先進国債券
- Smart-i先進国債券インデックス(為替ヘッジなし)
となっています。
実質コストではeMAXIS Slim先進国債券インデックスが最も低くなっています。
尚、信託報酬は低いものの初回決算で実質コストが高かったSmart-i先進国債券インデックス(為替ヘッジなし)ですが、2期目決算が公表され実質コスト0.457%から0.222%まで下がりました。
純資産総額1位は三井住友・DC外国債券インデックスファンド。設定が古く、かつ信託報酬も最安値では無いもののそこそこ低い事から、2位以下を大きく引き離してのトップです。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
信託報酬1位はSmart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)。2019.2.26の信託報酬引下げで2位以下との差をさらに広げました。為替ヘッジ無と同様、2期目決算では実質コスト0.236%から0.213%に下がっています。ただ純資産総額は2.8億とまだ大きくありません。
純資産総額1位は、信託報酬2位のたわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり>。2位のSMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)との差は徐々に広がってきています。
最新の信託報酬・実質コスト等は下記記事を参照して下さい。
資金流出入額 [先進国債券インデックスファンド 人気ランキング]
直近3カ月(2019年7~9月)の月次資金流出入額合計(*)、及び2019年の累計(1~9月の9ヶ月間の合計)を見てみます。
直近3カ月の資金流出入額の大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事はそれだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなくファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
直近3カ月(2019年7~9月) | 2019年累計 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
為替ヘッジなし | ||||
1 | たわらノーロード先進国債券 | 12.6 | 1 | 36.3 |
2 | eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 11.5 | 3 | 26.5 |
3 | 三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 6.9 | 2 | 27.1 |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 5.2 | 4 | 12.8 |
5 | iFree 外国債券インデックス | 0.7 | 5 | 2.2 |
6 | 野村インデックスファンド・外国債券[Funds-i] | 0.5 | 6 | 1.2 |
7 | Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジなし) | 0.3 | 7 | 1.0 |
8 | インデックスファンド海外債券(ヘッジなし) | 0.2 | 8 | -0.1 |
9 | 外国債券インデックスe | -0.4 | 10 | -2.1 |
10 | SMTグローバル債券インデックス・オープン | -0.9 | 9 | -1.9 |
11 | eMAXIS 先進国債券インデックス | -15.4 | 11 | -29.0 |
為替ヘッジあり | ||||
1 | たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり> | 8.3 | 1 | 18.9 |
2 | インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 3.3 | 2 | 8.0 |
3 | Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 1.4 | 3 | 2.2 |
4 | eMAXIS 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.2 | 4 | 1.0 |
5 | 野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型 | 0.0 | 6 | -0.5 |
6 | SMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり) | -0.3 | 5 | 0.2 |
参考 | インデックスファンド海外債券(ヘッジあり) | 0.3 | 参考 | 1.3 |
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
直近3カ月では、
- たわらノーロード先進国債券
- eMAXIS Slim先進国債券インデックス
- 三井住友・DC外国債券インデックスファンド
2019年累計では、
- たわらノーロード先進国債券
- 三井住友・DC外国債券インデックスファンド
- eMAXIS Slim先進国債券インデックス
直近3ヶ月、2019年累計ともたわらノーロードが1位。最安値ではないものの比較的低い信託報酬で人気を集めています。
また信託報酬最安値のeMAXIS Slimも2019年になり伸びてきています。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
直近3カ月、2019年累計でも
1位 たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり>。
2位以下に大差をつけており独り勝ちと言っても良いでしょう。
信託報酬最安値のSmart-iは徐々に伸びてきてはいるものの、まだたわらノーロードとは大きな差があります。
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リターンの比較。実質コスト(信託報酬+α)が騰落率に反映されているか? ベンチマークとの乖離(トラッキングエラー)は?
2019年9月末時点の各ファンドの騰落率を見てみます。
*騰落率は各ファンドの基準価額から「しんたろう」が独自に計算した結果です。
*実質コストに対する騰落率を見ていきますが、期中に信託報酬の変更があったファンドは、その期間に応じて按分した実質コストを用います。
騰落率とコストの関係は、理想的にはインデックス騰落率から決まる傾き、切片の直線になります。
先進国債券の場合、利息に対する課税はほぼありませんので(*1)、外国株式のようにグロス・ネットを考慮する必要はありません。ただ為替レートの違いか各社のベンチマーク騰落率は異なります(*2)。ここではたわらノーロード月報記載のベンチマーク騰落率をインデックス騰落率とします。
(*1)引用: K-ZONE money : 投信フォーカス 取り戻せない「海外源泉徴収税」の実態を知る - 注目の投信 - 投資信託
(*2)為替ヘッジ無の場合。為替ヘッジ有では各社のベンチマーク騰落率は同じ値となっています。
(注)グラフ中のファンド名称は略称で記載しています。尚、日興AMの「インデックスファンド海外債券(ヘッジなし・あり)」は"日興"、DC専用の「インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)」は"日興DC"と記載します。
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
3カ月、及び1年騰落率と実質コストの関係を見てみます。
図中グレーの点線が(たわらノーロードの)インデックス騰落率から決まる直線ですが、3カ月騰落率では多くのファンドが0.04%程マイナス側、1年騰落率では0.1%程プラス側に位置しています。利息収入がファンド資産に計上される日がベンチマークと異なるのでしょうか?よく分かりません。
ただ、ファンドの騰落率から引いた線(図中グリーンの点線)では、概ね同一線上にのっており、それぞれのファンドで問題があったという事ではないでしょう。
そして、もっとも騰落率が高いのは信託報酬・実質コストが低いeMAXIS Slim先進国債券と順当な結果になっています。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
同様に3カ月・1年騰落率を見てみます。
為替ヘッジ有では、各ファンドの騰落率とコストの依存性があまり明確ではありません。
信託報酬最安値、そして2期目決算で実質コストでも最安値となったSmart-i、1年騰落率では順当に騰落率でもトップとなっていますが、3カ月ではたわらノーロードに大きく負けています。
また、日興の2本はマイナス側に乖離しているように見えます。
まとめ & おすすめファンド
以上、先進国債券(FTSE世界国債)インデックスファンドについて純資産総額、資金流出入額、騰落率、さらにベンチマークとの乖離を評価しました。
人気を集めている=資金流入額が大きいのは、為替ヘッジ有無ともたわらノーロード。
先進国債券(為替ヘッジなし)のおすすめファンド
そもそも期待リターンが小さい債券クラスだけに、よりコストが重要となります。
そこで、本サイトが選ぶ現時点でのおすすめファンドは信託報酬・実質コスト最安値で、純資産総額もゆっくりとしたペースですが増えてきている
eMAXIS Slim先進国債券インデックス
先進国債券(為替ヘッジあり)のおすすめファンド
為替ヘッジありは信託報酬最安値、そして実質コストでも最安値となった、
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)
ただ難点は資金流入、純資産総額が小さい事。
そこで、コストの若干の違いより、純資産総額、今までの実績を重視するなら
たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり>
この2本をお勧めとします。
*「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なファンドの選択はご自身の判断で行ってください。
eMAXIS Slim先進国債券、Smart-i先進国債券、たわらノーロード 先進国債券は下記の金融機関で購入出来ます。
販売会社 SBI証券、楽天証券 、マネックス証券、松井証券、岡三オンライン証券
尚、先進国債券インデックスファンドはつみたてNISAでは購入できません。つみたてNISAで先進国債券に投資したい場合はバランスファンドを購入する事になります。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)でeMAXIS Slim先進国債券を取り扱っているのはマネックス証券iDeCo、松井証券 iDeCo、SBI証券 iDeCo(セレクトプラン)、たわらノーロード 先進国債券(為替ヘッジ有無とも)を取扱っているのは楽天証券iDeCo、イオン銀行iDeCoです。
マネックス証券 iDeCoでは為替ヘッジなしがeMAXIS Slim、為替ヘッジ有がたわらノーロードをラインアップしています。
他のアセットクラスの最新の情報・結果は↓の記事を参照して下さい。
国内株式(JPX日経インデックス400)インデックスファンド
先進国債券インデックスファンド(本記事)