FTSE世界国債インデックスとの連動を目指す先進国債券インデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、運用成績(騰落率、ベンチマークとの乖離)を調査します。
*先進国債券では多くの運用会社が為替ヘッジ有無の2商品を提供していますので両者について比較します。
*原則6カ月毎に更新します。
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[最終更新日:2023.7.14]2023年6月末日時点の情報に更新。
FTSE世界国債って何? 先進国ってどこの国?っていう方は下記の記事をご覧ください。
参考記事【外国債券インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
*本記事は原則2023年6月末日時点の情報に基づき記載しています。
先ず、各ファンドの純資産総額、及び月次資金流出入額から人気のファンドを調べます。
さらに、各ファンドにより実質コスト(信託報酬+α)は異なりますが、それがちゃんとファンド騰落率に反映されているか、そしてベンチマークとの乖離を確認します。
尚、ベンチマークとの乖離、各社、決算時の運用報告書や月報に記載されていますが、これを信じてはいけません。同じFTSE世界国債インデックスといっても、各社のベンチマーク騰落率は円換算レートの違いなどにより異なるからです。
見出し
比較した先進国債券インデックスファンド、その信託報酬・実質コスト・純資産総額
比較したファンド、及び、その信託報酬・実質コスト、設定日、2023年6月末日時点の純資産総額を下表にまとめます。(信託報酬の低い順に並べてあります)
*信託報酬、実質コストは税込み表記。
*DC専用ファンドは参考値扱い。(表中グレーの行のファンド)
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額(億円) |
為替ヘッジなし | |||
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 0.1540% (0.169%) | 2017/2/27 | 745.3 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 0.1540% (0.197%) | 2013/12/10 | 248.6 |
My SMT グローバル債券インデックス | 0.1540% (0.188%) | 2022/3/29 | 7.4 |
たわらノーロード先進国債券 | 0.1870% (0.204%) | 2015/12/18 | 399.0 |
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジなし) | 0.1870% (0.225%) | 2017/8/29 | 22.1 |
iFree 外国債券インデックス | 0.1980% (0.219%) | 2016/9/8 | 73.1 |
三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 0.2310% (0.265%) | 2002/4/1 | 825.7 |
SMTグローバル債券インデックス・オープン | 0.5500% (0.584%) | 2008/1/9 | 288.5 |
外国債券インデックスe | 0.5500% (0.571%) | 2010/4/6 | 29.3 |
野村インデックスファンド・外国債券[Funds-i] | 0.6050% (0.625%) | 2010/11/26 | 28.6 |
eMAXIS 先進国債券インデックス | 0.6600% (0.675%) | 2009/10/28 | 143.4 |
インデックスファンド海外債券(ヘッジなし) | 0.7370% (0.758%) | 2001/10/17 | 97.4 |
為替ヘッジあり | |||
インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 0.1760% (0.199%) | 2002/12/10 | 73.2 |
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.1870% (0.211%) | 2017/8/29 | 19.2 |
たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり> | 0.2200% (0.242%) | 2016/10/3 | 130.0 |
SMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり) | 0.5500% (0.586%) | 2013/12/27 | 42.4 |
野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型[Funds-i] | 0.6050% (0.616%) | 2013/9/12 | 12.7 |
eMAXIS 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.6600% (0.678%) | 2016/7/1 | 7.8 |
インデックスファンド海外債券(ヘッジあり) | 0.7370% (0.759%) | 2001/10/17 | 6.0 |
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
信託報酬最安値は2019年5月14日に信託報酬を引き下げたeMAXIS Slim先進国債券インデックス、これに対抗して2019年6月24日に引き下げた<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド、そして2022年3月29日に設定されたばかりのMy SMT グローバル債券インデックスの3本。
他のアセットクラスのように信託報酬引き下げ競争が激しくなく、4年強、信託報酬は下がっていません。
そして、これに続く二番手グループが
- たわらノーロード先進国債券
- Smart-i先進国債券インデックス(為替ヘッジなし)
となっています。
実質コストではeMAXIS Slim先進国債券インデックスが最も低くなっています。
純資産総額1位は三井住友・DC外国債券インデックスファンド。設定が古く、かつ信託報酬も最安値では無いもののそこそこ低いファンドです。
これを激しく追い上げているのがeMAXIS Slim先進国債券インデックス、700億円を超えました。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
信託報酬1位はSmart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)。2019.2.26の信託報酬引下げで2位以下との差をさらに広げました。設定当初は信託報酬以外のコストが高くなっていましたが、徐々に下がり実質コストでも最安値です。ただ純資産総額は19億とまだ大きくありません。
純資産総額1位は、信託報酬2位のたわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり>。純資産2位のSMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)との差は徐々に広がっています。
尚、参考データとして取り上げた信託報酬最安値のインデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)は、SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)セレクトプランで取扱っています。
最新の信託報酬・実質コスト等は下記記事を参照して下さい。
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資金流出入額 [先進国債券インデックスファンド 人気ランキング]
2023年上半期(1~6月)の概算の月次資金流出入額(*)6カ月合計、及び2022年合計を見てみます。
2023年上半期の資金流出入額が大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事は、それだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなく、ファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
2023年上期(1~6月) | 2022年 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
為替ヘッジなし | ||||
1 | eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 115.1 | 1 | 195.3 |
2 | たわらノーロード先進国債券 | 35.1 | 2 | 74.6 |
3 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 12.5 | 4 | 27.2 |
4 | eMAXIS 先進国債券インデックス | 5.8 | 3 | 28.1 |
5 | iFree 外国債券インデックス | 4.6 | 7 | 8.0 |
6 | Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジなし) | 4.2 | 8 | 6.3 |
7 | My SMTグローバル債券インデックス | 3.9 | 9 | 3.0 |
8 | 野村インデックスファンド・外国債券[Funds-i] | 1.0 | 10 | 2.5 |
9 | 三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 0.4 | 6 | 21.9 |
10 | 外国債券インデックスe | 0.0 | 11 | -0.9 |
11 | インデックスファンド海外債券(ヘッジなし) | -0.6 | 12 | -1.9 |
12 | SMTグローバル債券インデックス・オープン | -1.2 | 5 | 25.5 |
為替ヘッジあり | ||||
1 | たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり> | 19.7 | 1 | 24.7 |
2 | Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 6.8 | 2 | 5.8 |
3 | 野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型 | 3.6 | 5 | 1.0 |
4 | eMAXIS 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 3.0 | 4 | 2.8 |
5 | SMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり) | 2.5 | 3 | 5.6 |
6 | インデックスファンド海外債券(ヘッジあり) | -0.3 | 6 | -0.7 |
参考 | インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 8.7 | 参考 | 10.3 |
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
2023年上半期、2022年とも、
順当に信託報酬最安値のeMAXIS Slimがトップです。そして、若干信託報酬は上がるものの比較的低コストのたわらノーロードが2位。
1位、2位は2倍以上の差がついており、eMAXIS Slim先進国債券インデックスの独り勝ちと言っても良いでしょう。
同率で信託報酬最安値の<購入・換金手数料なし>ニッセイは3位ながらeMAXIS Slimと大きな差がついています。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
2023年上半期、2022年とも、
1位と2位は大きな差がついています。
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リターンの比較。実質コスト(信託報酬+α)が騰落率に反映されているか? ベンチマークとの乖離は?
2023年6月末時点の各ファンドの騰落率を見てみます。
*騰落率は各ファンドの基準価額(分配金非課税再投資)から管理人が独自に計算した結果です。
*実質コストに対する騰落率を見ていきますが、期中に信託報酬の変更があったファンドは、その期間に応じて按分した実質コストを用います。
騰落率とコストの関係は、理想的にはインデックス騰落率から決まる傾き、切片の直線になります。
先進国債券の場合、利息に対する課税はほぼありませんので(*1)、外国株式のようにグロス・ネットを考慮する必要はありません。ただ為替レートの違いか各社のベンチマーク騰落率は異なります(*2)。ここではたわらノーロード月報記載のベンチマーク騰落率をインデックス騰落率とします。
(注)本評価では、多くのファンドがベンチマークとの乖離がないであろうとの仮定・前提のもと、この「多くのファンド」から外れた騰落率を示すものを「乖離」と判定します。評価方法やインデックスの詳細については下記記事をご覧ください。
(*1)引用: K-ZONE money : 投信フォーカス 取り戻せない「海外源泉徴収税」の実態を知る - 注目の投信 - 投資信託
(*2)為替ヘッジ無の場合。為替ヘッジ有では各社のベンチマーク騰落率は同じ値となっています。
(注)グラフ中のファンド名称は略称で記載しています。尚、日興AMの「インデックスファンド海外債券(ヘッジなし・あり)」は"日興"、DC専用の「インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)」は"日興DC"と記載します。
尚、ETF、NEXT FUNDS外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし/あり)連動型上場投信【2511】/【2512】の騰落率(分配金非課税再投資)も同時にプロットします。
以下、2023.6月末時点の1年騰落率と実質コストの関係です。
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
図中グレーの点線が(たわらノーロード月報記載の)インデックス騰落率から決まる直線ですが、多くのファンドが若干プラス側に位置しています。これは先進国債券インデックスファンドでは良く見られる現象なのですが、利息収入がファンド資産に計上される日がベンチマークと異なるのでしょうか?よく分かりません。
そこで、インデックス騰落率を無視し、多くのファンドが乖離がないだろうとの前提で管理人の主観で引いた線がグリーンの点線。
この線を基準にすると、各ファンド、コストに応じた騰落率を示しており、概ねコスト要因以外での乖離がない運用になっています。
ただ、ETF NEXT FUNDS【2511】、Funds-i、そしてSmart-iも僅かにプラス側に乖離しているように見えます。
また、実質コスト0.20%前後の低コストファンドは、コスト差が小さい事もあってファンド間の差が良く分かりません。
その中でも、順当に信託報酬・実質コスト最安値のeMAXIS Slim先進国債券インデックスの騰落率が高くなっています(乖離していると思われるファンドを除く)。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
為替ヘッジ無しの場合と同様、インデックス騰落率を無視し、グリーンの点線を基準に考えると、たわらノーロードがマイナス側に、eMAXISがプラス側に乖離しています。
そして、(ETF、DC専用ファンドを除き)騰落率トップは、信託報酬・実質コスト最安値のSmart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)。
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まとめ & おすすめファンド
以上、先進国債券(FTSE世界国債)インデックスファンドについて純資産総額、資金流出入額、騰落率、さらにベンチマークとの乖離を評価しました。
人気を集めている=資金流入額が大きいのは、為替ヘッジ無がeMAXIS Slim、ヘッジ有がたわらノーロード。
先進国債券(為替ヘッジなし)のおすすめファンド
そもそも期待リターンが小さい債券クラスだけに、よりコストが重要となります。
そこで、本サイトが選ぶ現時点でのおすすめファンドは信託報酬・実質コスト最安値で、その低コストに応じた高い騰落率、また、純資産総額もゆっくりとしたペースですが順調に増えてきている
先進国債券(為替ヘッジあり)のおすすめファンド
今期の評価ではマイナス側に乖離している可能性がありますが、コストは最安値ではないものの比較的低く、資金流入・純資産が大きい
をお勧めとします。
また、コスト最安値の
もおすすめ。懸念としてはまだ資金流入、純資産総額が小さい点。
*「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なファンドの選択はご自身の判断で行ってください。
eMAXIS Slim先進国債券、Smart-i先進国債券、たわらノーロード 先進国債券は下記の金融機関で購入出来ます。
(2023.10以降にマネックス証券のNISA口座を開設した方は2024年9月30日までNISA口座でのクレカ積立還元率2.2%)
*通常ショッピング時は1.0%。
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さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
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またMATSUI Bank(住信SBIネット銀行マツイ支店)の口座開設すれば普通預金金利 年0.20%になるのも魅力。
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尚、先進国債券インデックスファンドはつみたてNISAでは購入できません。つみたてNISAで先進国債券に投資したい場合はバランスファンドを購入する事になります。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)でeMAXIS Slim先進国債券を取り扱っているのはマネックス証券iDeCo、松井証券 iDeCo、SBI証券 iDeCo(セレクトプラン)、たわらノーロード 先進国債券(為替ヘッジ有無とも)を取扱っているのは楽天証券iDeCoです。
マネックス証券 iDeCoでは為替ヘッジなしがeMAXIS Slim、為替ヘッジ有がたわらノーロードをラインアップしています。
他のアセットクラスの最新の情報・結果は↓の記事を参照して下さい。
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