FTSE世界国債インデックスとの連動を目指す先進国債券インデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、運用成績(騰落率、ベンチマークとの乖離)を調査します。
*先進国債券では多くの運用会社が為替ヘッジ有無の2商品を提供していますので両者について比較します。
*原則6カ月毎に更新します。
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[最終更新日:2023.1.13]2022年12月末日時点の情報に更新。
FTSE世界国債って何? 先進国ってどこの国?っていう方は下記の記事をご覧ください。
参考記事【外国債券インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
*本記事は原則2022年12月末日時点の情報に基づき記載しています。
先ず、各ファンドの純資産総額、及び月次資金流出入額から人気のファンドを調べます。
さらに、各ファンドにより実質コスト(信託報酬+α)は異なりますが、それがちゃんとファンド騰落率に反映されているか、そしてベンチマークとの乖離を確認します。
尚、ベンチマークとの乖離、各社、決算時の運用報告書や月報に記載されていますが、これを信じてはいけません。同じFTSE世界国債インデックスといっても、各社のベンチマーク騰落率は円換算レートの違いなどにより異なるからです。
見出し
比較した先進国債券インデックスファンド、その信託報酬・実質コスト・純資産総額
比較したファンド、及び、その信託報酬・実質コスト、設定日、2022年12月末日時点の純資産総額を下表にまとめます。(信託報酬の低い順に並べてあります)
*信託報酬、実質コストは税込み表記。
*DC専用ファンドは参考値扱い。(表中グレーの行のファンド)
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額(億円) |
為替ヘッジなし | |||
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 0.1540% (0.169%) | 2017/2/27 | 558.5 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 0.1540% (0.186%) | 2013/12/10 | 211.2 |
My SMT グローバル債券インデックス | 0.1540% (決算前) | 2022/3/29 | 2.9 |
たわらノーロード先進国債券 | 0.1870% (0.204%) | 2015/12/18 | 324.6 |
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジなし) | 0.1870% (0.225%) | 2017/8/29 | 15.8 |
iFree 外国債券インデックス | 0.1980% (0.217%) | 2016/9/8 | 61.0 |
三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 0.2310% (0.264%) | 2002/4/1 | 741.8 |
SMTグローバル債券インデックス・オープン | 0.5500% (0.578%) | 2008/1/9 | 260.8 |
外国債券インデックスe | 0.5500% (0.568%) | 2010/4/6 | 26.4 |
野村インデックスファンド・外国債券[Funds-i] | 0.6050% (0.625%) | 2010/11/26 | 24.7 |
eMAXIS 先進国債券インデックス | 0.6600% (0.675%) | 2009/10/28 | 123.5 |
インデックスファンド海外債券(ヘッジなし) | 0.7370% (0.758%) | 2001/10/17 | 88.2 |
為替ヘッジあり | |||
インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 0.1760% (0.199%) | 2002/12/10 | 65.4 |
Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.1870% (0.211%) | 2017/8/29 | 12.6 |
たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり> | 0.2200% (0.242%) | 2016/10/3 | 111.9 |
SMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり) | 0.5500% (0.578%) | 2013/12/27 | 40.4 |
野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型[Funds-i] | 0.6050% (0.616%) | 2013/9/12 | 9.3 |
eMAXIS 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 0.6600% (0.674%) | 2016/7/1 | 4.9 |
インデックスファンド海外債券(ヘッジあり) | 0.7370% (0.759%) | 2001/10/17 | 6.4 |
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
信託報酬最安値は2019年5月14日に信託報酬を引き下げたeMAXIS Slim先進国債券インデックス、これに対抗して2019年6月24日に引き下げた<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド、そして2022年3月29日に設定されたばかりのMy SMT グローバル債券インデックスの3本。
そして、これに続く二番手グループが
- たわらノーロード先進国債券
- Smart-i先進国債券インデックス(為替ヘッジなし)
となっています。
実質コストではeMAXIS Slim先進国債券インデックスが最も低くなっています。
純資産総額1位は三井住友・DC外国債券インデックスファンド。設定が古く、かつ信託報酬も最安値では無いもののそこそこ低い事から、2位以下を大きく引き離してのトップです。
これを追い上げているのがeMAXIS Slim先進国債券インデックス、500億円を超えました。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
信託報酬1位はSmart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)。2019.2.26の信託報酬引下げで2位以下との差をさらに広げました。設定当初は信託報酬以外のコストが高くなっていましたが、徐々に下がり実質コストでも最安値です。ただ純資産総額は13億とまだ大きくありません。
純資産総額1位は、信託報酬2位のたわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり>。純資産2位のSMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)との差は徐々に広がっています。
尚、参考データとして取り上げた信託報酬最安値のインデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)は、SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)セレクトプランで取扱っています。
最新の信託報酬・実質コスト等は下記記事を参照して下さい。
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資金流出入額 [先進国債券インデックスファンド 人気ランキング]
2022年下半期(7~12月)の概算の月次資金流出入額(*)6カ月合計、及び2022年1年間合計を見てみます。
2022年下半期の資金流出入額が大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事は、それだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなく、ファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
2022年7~12月 | 2022年累計 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
為替ヘッジなし | ||||
1 | eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 103.7 | 1 | 195.3 |
2 | たわらノーロード先進国債券 | 41.8 | 2 | 74.6 |
3 | SMTグローバル債券インデックス・オープン | 17.2 | 5 | 25.5 |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 14.2 | 4 | 27.2 |
5 | 三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 8.8 | 6 | 21.9 |
6 | eMAXIS 先進国債券インデックス | 4.0 | 3 | 28.1 |
7 | Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジなし) | 3.6 | 8 | 6.3 |
8 | My SMTグローバル債券インデックス | 3.0 | 9 | 3.0 |
9 | iFree 外国債券インデックス | 2.2 | 7 | 8.0 |
10 | 野村インデックスファンド・外国債券[Funds-i] | 1.7 | 10 | 2.5 |
11 | 外国債券インデックスe | -0.5 | 11 | -0.9 |
12 | インデックスファンド海外債券(ヘッジなし) | -1.1 | 12 | -1.9 |
為替ヘッジあり | ||||
1 | たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり> | 17.0 | 1 | 24.7 |
2 | SMTグローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり) | 2.3 | 3 | 5.6 |
3 | eMAXIS 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 2.3 | 4 | 2.8 |
4 | Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 1.8 | 2 | 5.8 |
5 | 野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型 | 0.9 | 5 | 1.0 |
6 | インデックスファンド海外債券(ヘッジあり) | -0.6 | 6 | -0.7 |
参考 | インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 7.0 | 参考 | 10.3 |
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
2022年下半期、年間とも、
順当に信託報酬最安値のeMAXIS Slimがトップです。そして、若干信託報酬は上がるものの比較的低コストのたわらノーロードが2位。
1位、2位は2倍以上の差がついており、eMAXIS Slim先進国債券インデックスの独り勝ちと言っても良いでしょう。
同率で信託報酬最安値の<購入・換金手数料なし>ニッセイは4位と伸び悩んでいます。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
2022年下半期、年間とも、
2位以下に大きな差をつけています。
信託報酬最安値のSmart-i、2022年年間では2位でしたが、2022年下期は4位に下げています。
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リターンの比較。実質コスト(信託報酬+α)が騰落率に反映されているか? ベンチマークとの乖離は?
2022年12月末時点の各ファンドの騰落率を見てみます。
*騰落率は各ファンドの基準価額(分配金非課税再投資)から管理人が独自に計算した結果です。
*実質コストに対する騰落率を見ていきますが、期中に信託報酬の変更があったファンドは、その期間に応じて按分した実質コストを用います。
騰落率とコストの関係は、理想的にはインデックス騰落率から決まる傾き、切片の直線になります。
先進国債券の場合、利息に対する課税はほぼありませんので(*1)、外国株式のようにグロス・ネットを考慮する必要はありません。ただ為替レートの違いか各社のベンチマーク騰落率は異なります(*2)。ここではたわらノーロード月報記載のベンチマーク騰落率をインデックス騰落率とします。
(注)本評価では、多くのファンドがベンチマークとの乖離がないであろうとの仮定・前提のもと、この「多くのファンド」から外れた騰落率を示すものを「乖離」と判定します。評価方法やインデックスの詳細については下記記事をご覧ください。
(*1)引用: K-ZONE money : 投信フォーカス 取り戻せない「海外源泉徴収税」の実態を知る - 注目の投信 - 投資信託
(*2)為替ヘッジ無の場合。為替ヘッジ有では各社のベンチマーク騰落率は同じ値となっています。
(注)グラフ中のファンド名称は略称で記載しています。尚、日興AMの「インデックスファンド海外債券(ヘッジなし・あり)」は"日興"、DC専用の「インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)」は"日興DC"と記載します。
尚、ETF、NEXT FUNDS外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし/あり)連動型上場投信【2511】/【2512】の騰落率(分配金非課税再投資)も同時にプロットします。
以下、2022.12月末時点の1年騰落率と実質コストの関係です。
為替ヘッジなし先進国債券インデックスファンド
各ファンド、コストに応じた騰落率を示しており、概ねコスト要因以外での乖離がない運用になっています。
ただ、インデックスe、 SMT、日興の3本が若干上方に位置しています(図中グリーンの点線)。これが乖離なのかどうかは分かりませんが。
また、実質コスト0.20%前後の低コストファンドは、コスト差が小さい事もあってファンド間の差が良く分かりません。
その中でも、順当に信託報酬・実質コスト最安値のeMAXIS Slim先進国債券インデックスの騰落率が高くなっています。
為替ヘッジあり先進国債券インデックスファンド
ベンチマーク騰落率から決まる図中グレーの点線上にたわら、Funds-i、そしてNEXT FUNDSが乗っていますが、他のファンドはこれよりプラス側に位置しています(グリーンの線)。
これは先進国債券インデックスファンドでは良く見られる現象なのですが、利息収入がファンド資産に計上される日がファンドによりベンチマークと異なるのでしょうか?よく分かりません。
勿論、どちらがよりベンチマークに近い運用になっているかは判断できません。
ただ、その中でもeMAXISは明らかにプラス側に乖離しているように見えます。
そして、(ETF、DC専用ファンドを除き)騰落率トップは、(グリーンの線上のグループでは)信託報酬・実質コスト最安値のSmart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)、(グレーの線上のグループでは)たわらノーロード先進国債券<為替ヘッジあり>。
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まとめ & おすすめファンド
以上、先進国債券(FTSE世界国債)インデックスファンドについて純資産総額、資金流出入額、騰落率、さらにベンチマークとの乖離を評価しました。
人気を集めている=資金流入額が大きいのは、為替ヘッジ無がeMAXIS Slim、ヘッジ有がたわらノーロード。
先進国債券(為替ヘッジなし)のおすすめファンド
そもそも期待リターンが小さい債券クラスだけに、よりコストが重要となります。
そこで、本サイトが選ぶ現時点でのおすすめファンドは信託報酬・実質コスト最安値で、その低コストに応じた高い騰落率、また、純資産総額もゆっくりとしたペースですが順調に増えてきている
先進国債券(為替ヘッジあり)のおすすめファンド
コストは最安値ではないものの比較的低く、資金流入・純資産が大きい
をお勧めとします。
また、コスト最安値の
もおすすめ。懸念としてはまだ資金流入、純資産総額が小さい点。
*「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なファンドの選択はご自身の判断で行ってください。
eMAXIS Slim先進国債券、Smart-i先進国債券、たわらノーロード 先進国債券は下記の金融機関で購入出来ます。
また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
公式サイトマネックス証券
また投資信託保有でTポイント、Pontaポイント、dポイントがもらえます。さらにT/Pontaポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト SBI証券
*三井住友カード(NL)なら年会費永年無料、三井住友カード ゴールド(NL)は1年間だけでも年間100万円以上利用(一部取引は集計対象外 ※対象取引や算定期間等の実際の適用条件などの詳細は、三井住友カードのホームページを必ずご確認ください。)すれば翌年以降は利用額によらず年会費永年無料。
公式サイト三井住友カード(NL)
公式サイト三井住友カード ゴールド(NL)
また、楽天キャッシュ決済でも投資信託積立が出来ます。楽天カードから楽天キャッシュへチャージすると0.5%のポイント還元。
楽天カード決済で5万円、楽天キャシュ決済で5万円、あわせて月10万円まで利用可能。
さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト楽天証券
公式サイト楽天カード
また信託報酬の高いファンドは投資信託保有によるポイント・現金還元が他社より有利になる場合があります。
公式サイト松井証券
尚、先進国債券インデックスファンドはつみたてNISAでは購入できません。つみたてNISAで先進国債券に投資したい場合はバランスファンドを購入する事になります。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)でeMAXIS Slim先進国債券を取り扱っているのはマネックス証券iDeCo、松井証券 iDeCo、SBI証券 iDeCo(セレクトプラン)、たわらノーロード 先進国債券(為替ヘッジ有無とも)を取扱っているのは楽天証券iDeCoです。
マネックス証券 iDeCoでは為替ヘッジなしがeMAXIS Slim、為替ヘッジ有がたわらノーロードをラインアップしています。
他のアセットクラスの最新の情報・結果は↓の記事を参照して下さい。
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